表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/979

第一六四話 「サナ特製」


 その他、細々とした用事を足した後、部屋に戻りバーカウンターで調理をしているサナのところに行くと、飾り切りした人参を始めとした野菜類や鳥団子にするであろう、つみれなどが並んでおり、準備万端な感じだ。


 「凄いいい匂いがする。もう出来たの?」

 「まだですー。今入ってるのは出汁取り用だから食べても美味しくないですよ?」

 アクを取りながらサナがそう答える。


 「お父さんが買ってくれたコンロ、火加減の調節が簡単なので凄い楽です。」

 そういって笑顔を向けるサナ。

 エプロン姿が若妻というか幼妻感があって可愛い。


 「あともうちょっとしたら仕上げに入るので、お父さんはお洗濯の方手伝ってあげてください。」

 「わかった。サナも人手が欲しくなったら言ってね。」

 そう答えて風呂場に向かう。


 と、その前にサナの両角にキスをすると、サナも嬉しそうに背を伸ばして唇にキスを返してくれた。

 なんとなく習慣になってしまっているような気がする。



 「あ、パパ、おかえりなさいッス。」

 「レンさん、おかえりなさい。」

 風呂場に入ると、こちらに気づいたミツキとサオリさんが声をかけてくれるが、


 Tシャツがめっちゃ水で透けてる。


 で、二人ともそれを気にしていない。

 いや、ミツキはいまさらだが、サオリさんの照れる基準がわからない。

 単に気づいてないか、気づいたけどもう忘れてる可能性もあるのだが。


 「パパ、ちょうど脱水して欲しいところだったッス。」

 「それはタイミングが良かったな。」


 淫魔法【ウェット&メッシー】を解除して、洗濯や、ゆすぎに使った水をキャンセルし、念の為、淫魔法【淫具召喚】も解除して洗剤もキャンセルすると、後には乾いた衣服だけが残った。


 「これは便利ねぇ。」

 サオリさんが片手を頬にあて、小首を傾げながら感想を漏らしている。

 どうやらその仕草は癖らしい。


 「サオリさんの普段使わない私物は、このカバンに、普段使いする私物はこっちのカバンに入れておいてください。後でまとめて預かって置きますから。」

 「はい、何もかもすみません。」


 さっき外まで行って買ってきたカバンをサオリさんに渡す。

 サナやミツキとは色違いだがお揃いのカバンだ。


 淫魔法【ラブホテル】は、泊まって寝るだけなら楽なのだが、毎回部屋が変わるので荷物を置きっぱなしに出来ないのがネックだ。


 普段はこうやってそれぞれの私物を、普段使うもの、使わないものに分けてメニューのアイテム欄に仕舞っておき、ラブホテルの部屋に入った時に使う方だけ部屋の隅に出しておくようにしている。

 サナが使う調理用具類や冷蔵が必要な食材以外も同様だ。


 逆に部屋を出る時は装備や衣服を整えて、後は全部アイテム欄に仕舞っているのだが、これ普通の探索者は大変だろうな。

 宿屋とかでも部屋に置きっぱなしの荷物は基本的に保証しないそうだし。


 そんな事を考えながら、風呂場を後にすると、部屋のソファーの前では、サナがもう一つのコンロの準備をしていた。


 「お、そろそろかい?」

 「はい。お父さん、お鍋こっちに移してもらえませんか?」

 「ああ、いいよ。」


 袖を鍋つかみ代わりにして、バーカウンターの上のコンロからソファー前のコンロに鍋を移動させる。

 クツクツと音を立てる鍋から食欲をそそる良い香りがする。


 「コンロ2つ買って正解だったな。」

 「そうですね。」

 横ではサナが食器を運んでいる。


 その後も、サナが追加の具材などを、私がラブホテル備え付けのグラス類や先ほど買った酒器類を用意しているうちにミツキとサオリさんが風呂場から戻ってきた。


 「美味しそうな匂いしてるッスー。」

 「本当、楽しみだわ。」



▽▽▽▽▽



 「それでは、サナとサオリさんの再会を祝して、乾杯!」

 「「「乾杯!」」」


 酒器やグラスが合わさり、軽い音を立てたかと思うと、そのまま口から喉をアルコールが潤す。


 今回はせっかくのお祝いごとなので、お酒はちょっと奮発をして私とサオリさんが清酒『鬼盛り』を、サナとミツキはお店のオススメの白ワインを飲んでいる。


 「あら、美味しい。」

 サオリさんが唇に人差し指と中指の二本を当てながら、そういって感心している。


 「この街でずっとお世話になっている赤鬼族のロマさんオススメの清酒です。」

 そういってお銚子を取り、向かいに座っているサオリさんのお猪口に再度『鬼盛り』を注ぐ。

 結構いける口っぽい。


 「ありがとうございます。では、ご返杯を。」

 サオリさんが同じように手元のお銚子で注いでくれた。


 「お父さん、次あたしが注ぐね。」

 「じゃ、ママさんにはアタシが注ぐッス。」

 いつもの展開になりそうなので、前もってお銚子はそれぞれ全員の前に一つづつ用意してある。

 

 せっかくの好意なので、お猪口をグッと空け、斜め向かいに座るサナのお酌を受けるが、私の隣でもミツキがお銚子を構えながらお猪口が空くのを待っている。

 あれ?これヤバイペースになりそうな気がしてきた。


 「お酒もいいけど、サナ特製の水炊き早く食べたいな。」

 「えへへー、今取り分けますね。」



 ミツキッス!

 ママさんも胸の方はサラシで押さえてるものの下着はつけない派だそうッス。


 お店で買った下着でもいいッスけど、パパに出してもらう上下揃いの下着だと胸が楽なので、今度出してもらった方がいいかもッスね。


 次回、第一六五話 「何の店?」


 サナちーの作った鳥の水炊きが、めっちゃいい匂いするッス!

 これは楽しみッスねー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ