第一五九話 「サオリ」
「サナが大変お世話になったみたいで…」
目の前に深々と頭を下げる綺麗なお姉さんがいる。
え?誰?
サナのお母さんはどこいった?
目の前のお姉さんは歳でいうなら20代中盤までは行ってないだろう。
サナと同じような白い肌に濃い紫の瞳、その目はタレ目がちで優しそうな雰囲気があるのに、右目の下にあるホクロのせいで色っぽく感じる。
髪は少し栗色の入った明るめのゆるふわロングの髪を後ろで一つ縛りにしている。
その髪の間から伸びる角はサナと同じような健康的な桜色をしており、大きさとしては4~5センチくらいはあるようだ。
少し顔が赤くなっているのがまた艶があり、一言でいうなら色気のある、ゆるふわお姉さんといった感じで、ちょっと見とれてしまいそうになる。
「え?お姉さん?お母さんじゃなかったの?」
と、思わず口に出てしまう。
「お母さんですよ?」
と、サナが答える。
「こんなに若くて綺麗なのに?」
「あらあら、口がお上手なのですね。わたし照れちゃいます。」
右手を頬にあて小首をかしげるお姉さん。いやお母さん。
「パパ、亜人族だと人族と比べて見た目若いのは普通ッスよ?」
そうなの?!
「普通、二十歳前後くらいから外見が変わるのがゆっくりになって、逆に60歳前後くらいから一気に老ける事が多いッス。」
ってことは、ロマや夜市のおかみさんも私が思っているよりは年上なのか。
「えーと、失礼ですが、奥さん、おいくつですか?」
無礼は承知だが、どうしても気になるので言ってしまった。
「27になります。」
「「にじゅうなな?!」」
あ、ミツキも一緒に驚いている。
ってことは、これは非常識な事でいいんだな。
「ってことは、サナ。いやサナさんを14歳の時に?」
「はい、そうです。あの、今までどおりサナと呼んでいただいて結構ですよ?」
キリキリと機械仕掛けのような動きでミツキの顔を見つめてしまう。
「いや、いくら亜人族でも初産は早くて16~18歳の間。普通は20歳までくらいッス。」
「事情がありまして、ちょっと早めだったんです。」
なんとなく奥さんの表情に影が差したような気がする。
「それよりも、改めてサナを助けていただいてありがとうございました。
サナの母のサオリ・サオトメと申します。」
改めて頭を下げるサオリさん。
耳の横を少しカールして伸びる髪がフワッと揺れる。
なんか、いちいち色っぽい。
これが人妻の魅力というものなのか?
未亡人の力というものなのか?
「い、いえ、色々縁がありまして。サナ…には私も何度も助けられました。
私はレン・キュノミスと申します。」
そういって手を伸ばし、握手をする。
「アタシはミツキ・エオーレっていうッス。ママさんよろしくお願いするッス。」
「あら可愛い。貴女がサナの言っていたミツキちゃんなのね?サナがお世話になってます。」
「いえいえ、アタシの方がサナちーにはお世話になりっぱなしッスよー。」
続いてミツキも挨拶をした。
▽▽▽▽▽
サオリさんの話を総合すると、サナが攫われた後、族長の座をサナの姉に譲り渡し、捜し物の方向と距離が分かる魔法を頼りに今までサナを探していたのだそうな。
ただしその魔法は1週間(この世界も7日らしい)に1度しか使えないため、効率が悪く、このエグザルの街に着いたのも昨日の夕方だったらしい。
疲労困憊だったため、南東区の宿で一晩休み、朝一で奴隷商のある歓楽街にサナを探しに行こうとしているところに私達と出会ったそうな。
疲れもあってカッとしてしまい、いきなり攻撃をしてしまったことを何度も謝っていたが、今は一眠りして頭がスッキリしているとのことだ。
淫魔法【睡眠姦】のせいかな?
路銀もほぼ尽きていたので、この街でサナを見つけられたのは幸運だったと話していた。
そんなサオリさんは今、サナと一緒に風呂に入っている。
今回の部屋は前にミツキが選んでくれた露天風呂のある部屋が空いていたので、そこにしたのだ。
風呂でゆっくり足を伸ばして心身ともに疲れを取って貰おう。
「うん、大丈夫そうだな。」
「部屋の中に別の部屋を繋げたんスか?」
今は部屋の外に出る扉に再度、淫魔法【ラブホテル】を使って、部屋を増築(?)する実験をしている。
実験は無事成功したのだが、魔力効率が悪いのか部屋のグレードは落ちるようだ。
サナとサオリさんは、今日、積もる話しもあるだろうから、部屋を二人で使ってもらって、私とミツキは今晩もう一つの部屋を使う事にしよう。
サナです。
お母さんが落ち着くまで大変だったんですよ?
次回、第一六○話 「大人の女性」
なんかお父さんがデレてるような気がします。
お母さん、評判だと残念美人っていわれる事多いけど、お父さんから見ると、また感覚違うのかな?




