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第一四三話 「氷」


 手持ちが寂しいと言っているのに、出してやらないのは男がすたるわよね?という、おかみさんの言葉に、仕方がないな。とロマが答え、結局今回もロマのおごりとなった。


 当然、お酒の話になり、この間飲んだ麦焼酎風の蒸留酒やサナ達に飲ませた林檎の果汁を使った蜂蜜酒の話をすると、「意外と強い酒飲むんだな、そういうのが好みなら。」と、ロマは歓楽街から大通りに出て来たばかりの探索者(警備上の部下らしい)に声をかけ、お使いに行かせた。


 これは強めの酒がきそうなので、とりあえず早く出て腹が膨れそうなものをおかみさんに頼む。

 今日のお薦めは塩焼きそばだというので、それを注文して、サナとミツキと三人で分けた。


 塩焼きそばと聞くとなんとなく海鮮のイメージがあるのだが、豚肉のような肉の細切りと色とりどりの野菜が入った具だくさんの焼きそばだ。


 「これ、美味しいッスね!」

 「ミツキちゃん、麺類結構好きだよね。」

 そんな会話をしている二人を見ながら私もいただく。


 風味づけに醤油を使ってるせいか、塩味の青椒肉絲(チンジャオロースー)に野菜を追加して麺に乗せたような感じで中々美味い。


 三人ともお腹が空いていたのか、ペロッと食べきってしまったところに、お使いの人が帰って来て、ロマの所に瓶を置いていった。


 「焼酎ってわかるか?」

 「はい。」

 こっちの世界にも焼酎という概念はあるんだな。


 「これは麦で作った焼酎で、その名も『鬼渡り』。

 『鬼盛り』の兄弟会社で作ってる焼酎だ。

 で、こっちは林檎酒。林檎のワインだな。そっちの二人用だ。」


 「パパ、前は氷入れて飲んでたッスよね?」

 「氷だと?中々贅沢な飲み方してるな。美味いのか?」

 「風呂上がりとか暑い日とかには良いですよ。」


 「ふむ。サナ、そこの氷菓子屋に行って氷を買ってきて貰えんか?お釣りで何か買ってもいいぞ。」

 ちょっと思案したロマがサナにそう言って、銀貨を渡した。


 「あ、アタシも行くッス!」

 「うん、ミツキちゃん行こ?」


 「お前らも使うなら少し多めに貰って来てくれよ。」

 「はーい。」


 「…仲良くやっているようだな。」

 「おかげさまで。」


 二人が戻ってくるまでの間、いつもの『鬼盛り」で一杯やる。

 酒の肴は冷たい焼酎に合わせて何か作ってくれるとのことなので、おかみさんにお任せだ。

 とりあえず前にも出してもらった小鉢を肴にロマと酒を酌み交わした。



▽▽▽▽▽



 「これは悪くないな。」

 「でしょう?」


 「なんか、しゃわしゃわする。」

 「あ、でも慣れると美味しいッス。」


 焼酎のロックを試すロマと、林檎酒(結局シードルのような飲み物らしい)を試す二人。


 二人の前には、シロップのかかったかき氷も並んでいる。

 サナの赤いのはブダのシロップで、ミツキのはオレンジのシロップだそうな。

 木べらで食べながら林檎酒を味わっている。


 おかみさんの作ってくれた肴は油の少ないさっぱりした料理ばかりで、非常に今日の酒と合う。


 サナとミツキに小さなオムレツのような料理も作ってくれた。

 一口とはいかないが、女の子でも二口くらいで食べれる大きさで、中にはチーズやほぐした鳥肉が入っている。


 サナに一つ食べさせて貰ったが、あまりお酒の種類を選ばない味で普通に美味しい。

 

 「ロマさんはペース早いですから、ちゃんと冷えるように少し大きめの器にたっぷり氷入れてから注ぐといいですよ。」

 「そうか?女将、ジョッキあるか?」

 「はいよ。お兄さんもいるかい?」

 「はい、お願いします。」


 ガラガラと2つのジョッキに残りの氷を入れ、お互い焼酎『鬼渡り』を注ぎ合う。

 酒が冷えるまで肴を摘みながら待ち、少し氷が溶け始めたところをグッと行く。


 「美味いな。」

 「美味しいですね。」


 「お父さんたち楽しそう。」

 「サナ姉さんも、お一つどうぞ。」

 ミツキもサナのコップに林檎酒を注いでいる。


 ミツキ、私、サナの並びで座っているので、ちょうど私の前で瓶を差し出すミツキとコップを差し出すサナが合う形だ。


 一口、それを飲んだ後、サナが今度は私にお酒を注いでくれた。


 酒を含む毒や、病気を無効化する種族特性【性病耐性】の上位特性【性病破棄】をオフにしているので、また深酒しないように気をつけねば…。



 ミツキッス!

 サナちーが氷買いに行った時に酔ったパパも好きって言ってたッスけど、なんか変わるんスかね?

 そういえば前に距離感が変わるみたいな事をいってたような気が…。


 次回、「ミツキと酔っぱらい」


 パパだけじゃなく、サナちーも結構飲んでるッスけど、大丈夫ッスかね?

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