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第十三話 「ご主人様とお呼び」

今回、ちょと時間軸が行ったり来たりします。



 「私を貴方の奴隷にしてください…。」

 ベッドに腰かけ上目遣いでそんなことを宣言する日本人形のような美少女。

 濃い紫の瞳に吸い込まれそうだ。

 

 この、なんだな、グッとくるな

 

 「ご主人様とお呼びなさい。」

 「ご主人様…。」

 

 そうサナが「宣言」した途端、その身体が赤というかピンクというかそのような光に包まれた。

 そのまま頬に触れてステータスチェックのスキルである【性病検査】を使う。

 サナのステータスの職業欄が奴隷 (レイン・キュノミス) に変わってる。

 よし成功だ。


 「気分はどう?」

 「なんかドキドキします…」

 「いやそうじゃなくて、部屋を出る不安感は?」

 「あ、はい。…大丈夫そうです」

 よし!


 

 少し前___


△△△△△


 「でも…私は無理です…」

 先ほどまでクスクスと笑っていたサナから笑顔が消える。

 

 「なぜ?ここから逃げないと、たぶん未来はないわよ?」

 何か気を使ってるのかと思い声を荒げてしまう私にサナは淡々と語る。

 

 「私はこの部屋で目を覚ましたときに、『この部屋から逃げてはいけない』と奴隷としての命令を受けました。これはご主人様が亡くなった後も有効です。」


 「逆らうとなにか障害が?」


 「魔法による契約なので、逆らうと精神的な苦痛、圧倒的な不安感、これはこの部屋を出ることを考えたこの段階でも今まで感じたことのない強い不安感を感じてます。」

 目を伏せながらサナは言葉と続ける。


 「奴隷商人の元で別の奴隷が「命令に逆らう事」を体験させられたのを見ましたが、実際に部屋を出れば、今感じてる不安感の比じゃない精神的苦痛と身体的苦痛、具体的には呼吸困難と動悸、そして吐き気に襲われます。『だから命令に逆らってはいけないし、万が一ご主人様が死ぬとお前たちはずっとこの状態になる。お主人様を害して自由になろうなどとは思わないことだ。』そう、教えられました。」


 そういってサナは首元をあけ赤い首輪のようなものを見せる

 淫スキル【淫具鑑定】でアイテム鑑定すると「隷属の首輪」というアイテムらしい。

 今まで着物の衿で隠れて見えなかったんだな。

 貴族の趣味で選んだのだろうがチョーカーに見えなくもないお洒落なデザインだ。


 実際のところそのご主人様とやらは死んでるわけだから、奴隷商人のブラフか、もしくは奴隷自身が主人は死んだと認識しないと苦痛は発動しないのだろう。


 それにしても『逆らうな』じゃなくて『逃げるな』か、いい趣味してるぜまったく。

 嬲る気満々じゃねーか。

 

 それはさてとき

 「解除の方法は?」

 「命令が解除されるか別の命令で上書きされるか。もしくは主人が変われば、大丈夫だとは教わりました。」

 

 それならたぶん奴隷という職業が解除されても大丈夫だろう。

 命令の上書きは主人が死んでるから不可能、隷属の首輪自体は当然そうそう壊れるような素材ではないだろう、なによりここには何も道具は無いし。

 あとは主人を変える…たとえば私がこの娘の主人になれば…んー、サナの話だとこれも魔法での契約だな。

 

 代わりに私をご主人様とお呼びとはいかないか…

 

ピコン!

>淫スキル【サディスト】を習得

>淫スキル【マゾヒスト】を習得

>淫魔法【加虐の心得】を習得

>淫魔法【被虐の心得】を習得

>淫魔法【緊縛の心得】を習得

>淫魔法【愛の奴隷】を習得

 なんか一気に来た。


▽▽▽▽▽


 そんな訳で手に入れ、今発動した淫魔法【愛の奴隷】は『ベッドの上等での奴隷宣言を受理し自分の奴隷にする魔法』だ。


 この使い勝手の悪さ!

 が、今は助かる!

 「ベッド等」の「等」に何が含まれるかもちょっと気になるが、とりあえずどうでもいい。

 

 「ご主人様も隷属の魔法が使えたんですね。」

 「いや、ホントにご主人様って呼ばなくてもよいのよ?っていうか、今のも『命令』になってるの?」

 「最初に『命令』と明言しないとなりませんよ?」

 ノリで言っただけかい。


 「ご主人様と呼ぶように『教育』されたので癖になっているんだと思います。」

 あー、そういう。

 

 「奴隷の解除まではできないから、せめてここを脱出するまでは私がご主人様で我慢してね」

 「はい!こちらこそよろしくお願いします!ご主人様!」

 そういって花が咲くように笑うサナ。


 なんかちょっと元気出てきたっぽい。

 


キーワード回収まで相当かかりそうです。


長い目で見ていただけると幸いです。

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