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第一三三話 「買い物」


 「査定終了まで、しばらくお待ち下さい。」

 「ミツキ、少し時間かかるかもしれないから、辺りを見学してきていいよ。サナ、案内してあげて。」


 「ハイッスー!」

 「いこ、ミツキちゃん。」


 早起きして来たところは、迷宮入り口前の換金所だ。

 今日の予定としては、午前中はミツキの服と食料の買い出し、途中で私は娼館で診断と治療、午後からは迷宮という予定なのだが、移動ルートを考えると、先に迷宮の入り口の受付を済ませておいてから動いたほうが効率的だろうということで、朝一で迷宮入り口まで来ている。


 ハーピーの死体を換金して手持ちを増やしておきたいのもあるし、食料品店はともかく服屋が開くまでの時間つぶしという意味合いもある。


 最後に迷宮に来るルートだと、また夜市の時みたいに物珍しさでミツキが迷宮入り口で捕まって時間がかかりそうなので、それを先食いした感じだ。


 ミツキの装備は淫魔法【コスチュームプレイ】で、サナと同じ防具にして、追加で昨日買ったレイピアとマン・ゴーシュ、それからもちろん眼鏡も再現している。

 バックパックもサナとお揃いだ。


 ちなみに朝食はギルドのレストランで軽く済ませてある。

 朝、ミツキを置いてサナとイチャイチャしていたお詫びというわけではないが、ミツキに合わせて今朝はパン食にしたせいだ。


 なにげにモーニングセットあるのな、あのレストラン。


 「お待たせしました。ハーピーの死体が4体で、金貨1枚と大銀貨2枚になります。

 あと、運搬者ポーターとして未登録でしたら、登録しておくと専用の依頼が入るのでお得ですよ?」

 「いえ、登録は結構です。」

 そういって、お金を受け取る。


 今回はハーピーの死体4体を抱えて換金所に向かうというのが不自然だと思ったので、運搬者ポーターとして持ち込んでみたのだが、思ったより騒ぎにはならないもんだな。


 ただ、運搬量としてはハーピーの死体4体分を運べるのは凄いような事を言われた。

 大きさ的には、おおよそ小さい子ども4人分くらいの量でも多いんだな。


 王子様方の死体4体分だとはっきり驚かれるくらいだから、そんなもんだろう。

 次はもう少し出す量を考えよう。

 そんな事を考えながら、サナ達と合流する。


 「なに変な顔してるの?」

 「パパ…」

 「お父さん…」


 ミツキの手には半分まで食べた焼き鳥のような串物が握られている。

 二人とも口が半開きで苦笑いしてるかのように横に広がっている。

 あー。


 「美味しくなかったんだ。」

 「ハイッス。」

 好奇心に負けたらしい。

 一口貰うと、異様に血なまぐさい肉を強めのハーブで捻じ伏せているような味だ。


 「これは…人数分買わなくて良かったな。二人は残りを食べきれそうかい?」

 「うー。」

 「頑張ります。」

 「いや、頑張るくらい無理することない。」

 ミツキから串を受け取り、残りを食べてしまう。


 「パパ、ごめんなさいッス。」

 「残そうとしなかっただけいいよ。」

 そういって空いている方の手で二人の頭をそれぞれ撫で、屋台側のゴミ箱に串を投げ入れた。



▽▽▽▽▽



 「わー、いっぱい種類あるんスねー。」

 「ミツキちゃん、食べたいものあったら言ってね。」

 今は迷宮入り口前の公衆トイレから、淫魔法【ラブホテル】経由で、娼館近くの公衆トイレに飛び、そこから歩いて街の北区にある食料品店街に来ている。


 前に来た時は気づかなかったが、街の中心にある噴水公園にも公衆トイレがあったので、そこの扉も開けてショートカット用のルートを作っておいた。


 ここまでショートカットできると、どこに行くのも便利でいいな。


 ミツキのパン食も視野に、サナがテキパキと買い物をしている。

 買い物が終わったものは、荷物になるので私のバックパック経由でメニューのアイテム欄に収納していく。


 「思ったより時間かからなかったね。」

 「足りない分の補充だけですから。」

 買い物袋をサナから受け取りながら、そんな話をする。


 「まだ少し時間あるし、先に服屋さんまで行こうか。」

 「あのー、やっぱりアタシ、サナちーとお揃いのこの服で十分ッスよ?」

 「逆にいえば、新しく買う服はサナも着れるようになるんだから、遠慮しない。」

 「あ、そうですね。それはちょっと楽しみです。」

 「うー、わかったッス。」


 また噴水公園まで戻り、今度は西区の生活用品街へ向かい、サナの時にはサイズ的に服が無かったので何も買わなかったティーンズ用専門店に再度訪れた。


 前にサナの服を買ったときと同じ様に、ミツキに似合う服を上下セットで2着と、下着も上下3着、靴下も同じ数を店員にお願いする。

 予算的には大銀貨3枚分くらいだ。


 「お父さんはこれから診断と治療のお仕事行ってくるから、二人はゆっくり選んでていいよ。

 早く終わったら、サナ、前に行ったパンケーキ屋さんか、噴水公園で待ってて。」

 「わかりました。」

 「了解ッス!」


 二人を残して店を後にする。

 歩いて戻るより、西門近くで適当な扉探してショートカットしたほうが楽かな?



 サナです。

 小麦粉と乾麺を少し多めに買い足しました。

 パンは窯も無いし、あたしが作るよりレストランで買った方が美味しいかな?


 次回、第一三四話 「初陣」


 あ、ミツキちゃん、そっちの服も似合うとおもうよ?

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