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第一二九話 「娘さん洗い」


 「これは凄い…。」

 目の前に広がるのは露天の檜風呂。


 露天といっても外側の壁が大きなガラス窓になっているだけなので露天風といったところなのだが、開放感があり浴槽の大きさが2畳くらいあって、十分足を伸ばして入れる大きさだ。

 洗い場も同じくらいあるので、風呂場としては相当大きい。

 しかもこの香り…


 「ね?温泉でしょ?」

 サナがキラキラした目でこっちを見てくる。

 「これはご馳走だな。」


 「と、いう訳で、パパばんざーい。」

 「ばんざーい。って、ちょっとミツキ?」

 後ろから抱きつくようにして作務衣の前の紐をいつの間にか解いているミツキ。

 流れるように作務衣の下の紐を両足首、腰の順で解いていくサナ。


 「え?サナまで?」

 というかサナが主犯な気もする。

 ミツキに上を、サナに下を脱がされ、あれよあれよという間に褌一枚にされてしまった。


 「お父さん、一緒に温泉入ろ?」

 「そういうのは脱がす前に言うもんじゃないかな?」

 「だって、そういうとパパ逃げるって、サナちーが。」

 まあね。


 気まずいと言うか、スタイルの良いミツキはもちろん、サナも最近は色気が出てきて刺激的過ぎるのだ。

 っていうか、ミツキ、なんで私のシャツの匂い嗅いでるの?


 「パパの汗の匂いするッスー。」

 「臭いだろうに。」

 「こんなに汗かくくらい一生懸命に助けに来てくれたって思うと、キュンってするッスー。」

 なんかミツキが、ぽわんとしている。


 「お父さん、次、あたしの番ー。」

 そういってサナが手を広げてくる。

 脱がせってか。



▽▽▽▽▽



 「ぷはー。」

 最近忘れがちの、自分がおっさんだった事を思い出すような声がでる。

 なんだかんだで温泉はいい。


 あの後、サナに引き続きミツキも脱がせて、かけ湯をした後、何はなくてもという感じで檜風呂に浸かっている。


 浴槽の窓側に寄りかかり、両手両足を伸ばして、ほぼほぼ大の字でくつろぐ。


 目の前では浴槽の反対側に寄りかかってサナとミツキが手で水鉄砲を作って遊んでいる。

 ミツキはやり方を知らなかった様子だが、サナに教わるとすぐに覚えたようだ。

 器用なものだ。


 うん、こういう家族風呂というのも悪くないものだな。

 性的なものを意識しすぎていたかもしれない。と、温泉が身体だけじゃなく心までほぐしていくようだ。


 「なんか身体が温まるの早い感じがするッス。」

 「温泉だからね。冷めるのは逆に遅いよ?」

 それに仲良し姉妹を見ているとついつい顔が緩んでしまう。


 視線に気がついたのか、ミツキが泳ぐ真似をしながら近づいて来て、私の左腕というか左肩を枕にくっついてきた。


 「パパ、今日はありがとうッス。」

 「無事で良かったよ。サナもおいで。」

 こちらを優しい笑顔で見ていたサナが右腕目掛けて近づいてくる。

 それを途中で捕まえて、胸の中に捕まえ、反対を向かせて足の間に座らせた。


 「サナはいつもミツキを優先してあげて偉いね。」

 そういってサナの両方の角に口づける。


 「でも、サナも甘えたい時はミツキに譲らなくてもお父さんに甘えていんだからね。もちろんミツキも。」

 「お父さん…。」

 「パパ…。」


 ん?何か変な事いったかな?

 「「大好き!」」

 ミツキからは左の頬に、サナからは右顎くらいに同時にキスをされた。


 「なんか照れるな。」

 「うふふっ。」

 「サナちー、半分、半分場所分けて欲しいッス!」

 「いや、二人は無理だろ。」

 「じゃ、こうで。お湯の中だから、お父さん重くないでしょ?」

 そういって右脚の上に座り直すサナ。


 「じゃ、アタシこっちッス。」

 背を向ける形で左脚の上にミツキが座ったが、座高的に収まりが悪かったのか、こちらを向く形で座り直して左肩に頭を預けている。


 それぞれを両手で支え一塊になった。

 「あったかーい。」

 「ッス。」

 「ああ、温かいな。」


 温まった後は、ミツキを洗うことにした。

 と、いうのも娼館で抵抗した時に目に見えない場所をぶつけたり、擦れたりで怪我をしているかもしれないと思ったからだ。


 入念にチェックをしながら洗うと、やっぱり数箇所あざになったり擦り傷になったりしているところがあったので、淫魔法【精力回復】で治療する。

 血が滲んでいる擦り傷は、つい消毒しようと舐めてしまったのだが、エロいスイッチが入りそうだったので、その後は自粛した。


 その後、サナも洗ってやり、代わりにまた二人がかりで身体を洗われる。

 二人とも何がそんなに嬉しいのかという感じで楽しそうに洗っているので、これはこういうコミュニケーションだと思ってなすがままに受け入れた。


 洗い終わった後はまた檜風呂に戻り、また寄り添うように温まった後、名残惜しいが浴室を後にする。


 その気になれば何度でも入れるしな。


 ミツキッス!

 身体チェックされながら洗われている時は恥ずかしかったッスけど、なんかパパと一緒にいるとドキドキしたり安心したり複雑な気持ちッス。


 次回、第一三○話 「祭り」


 アタシもうパパのものなんだと考えると、ちょっとくすぐったい感じするッスね。


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