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第一二八話 「お揃い」


 「本当に奴隷解放は良かったのかい?」

 「はいッス!少なくとも今はサナちーと一緒がいいッス!」

 「お揃いだねー。」

 「ねー。」

 ミツキの首にはサナとお揃いで色違いの『隷属の首輪』が付けられている。


 娼館を出た後、早速、奴隷商の所に行って来たのだ。

 手数料を払って見てもらった結果、奴隷としての価値はサナもミツキと同じだったため、選択肢としては


 ・奴隷譲渡証明書でミツキを私の奴隷に書き換える

 ・ミツキを私の奴隷に書き換えた上で奴隷解放権利書で開放する

 ・ミツキを私の奴隷に書き換えて、サナを奴隷解放権利書で開放する


 の3種類の方法があったのだが、サナもミツキも奴隷解放は二人一緒がいいと言い出したため、ミツキの所有者の書き換えだけをして貰った。

 その際、せっかくだからということで、ミツキの『隷属の首輪』をサナと同じタイプに交換したのだが、思いのほか喜んで貰えている。


 ちなみにサナが赤のチョーカー風、ミツキが黒のチョーカー風の首輪だ。


 サナの首輪は最初の所有者の貴族の趣味だったため、同じものとなると銀貨20枚と思ったより高額だったのだが、これだけ喜んでもらえるなら良い買い物だったと思う。


 チョーカーもお揃いなのだが、実は今着ている服も二人はお揃いだったりする。

 娼館でミツキが着ていた服は破られてしまったため、今は淫魔法【コスチュームプレイ】でサナと同じシンプルな七分丈の淡いグリーンのシャツに膝上丈のカーキのキュロットスカートを着ているので、結果的に双子コーデみたいな状態になっている。


 今は夜市が始まる前の通りを探索者ギルドへ向かって三人で歩いているところだ。

 ミツキが初めて見る風景や物をサナが解説しているのが微笑ましい。

 そういう意味では淫魔法【ラブホテル】でショートカットしなくて良かったな。


 「パパ!武器屋があるッス!」

 「ここ、あたしもお父さんに弓矢とか買ってもらったとこだよ。」

 「あー、せっかくだからミツキの武器見ていこうか?」


 今回も店主のオススメを聞きながら武器を選ぶ。

 メインとしては、ミツキが使った経験があるというレイピアの中で、なるべく軽い物を選んで貰った。

 耐久性を優先してリーチの短いものにするか、リーチを優先して薄刃のものにするが迷ったが、結局最終的には淫魔法【コスチュームプレイ】で魔法のレイピアとして出して使うのでリーチを優先したものに決める。


 サブ武器としては同じく経験のあるマン・ゴーシュを選ぶ。

 こちらは防御力優先で柄に籠状のガードがついているものにした。


 「これでアタシも迷宮行けるッスね!」

 「一緒に頑張ろうねミツキちゃん!」

 と、二人は盛り上がっているが、結構いい値段がしたので残金が心もとない。


 というか、残り銀貨3枚と銅貨50枚とかつて無いほどの貧乏っぷりなので、今日狩ったハーピーのドロップ品を早めに換金しておいた方がいいな。

 とりあえず自分で使う予定だった投擲用の槍の購入は見送った。


 「それじゃ、このままミツキの探求者の登録もしに行くか。」

 「ハイッス!」


 迷宮管理公社兼探索者ギルドの建物の大きさに驚くミツキにお姉さんぶって説明しているサナという幕間を挟みながらも、無事ミツキも探索者として登録ができ、タグを貰った。


 「こっちはまだまだお揃いにならなさそうッスね。」

 「何回か納品するとランクが上がるみたい。」

 「じゃ、早速納品に行くか。」


 今度は換金所に向かい、それぞれのタグを見せた後、ハーピーのドロップ品を納品する。


 今回出すのはランク2の魔素核を6個だけだ。

 鳥革が2枚はあと2枚集めてから依頼書を受けて割増で換金するつもりだし、鳥肉4個は一部自家消費して残りは、おかみさんの所へと行き先が決まっている。


 ちなみに血などで汚れる物品は迷宮入り口側の換金所でしか受け付けないというので、ハーピーの死体4体はメニューのアイテム欄の中にもう少し眠らせておくことにした。


 結局今回手に入れたのは銀貨60枚だが、今となってはしばらく食費にしか金はかからないので大丈夫だろう。


 探索者ギルド側の建物に戻り、2階に上がって借りっぱなしになっている簡易宿泊所内のドアへ淫魔法【ラブホテル】を使用する。


 「今回はミツキが部屋選んでみるかい?」

 「え?アタシにもそんな事出来るッスか?」

 特性【ビジュアライズ】で、部屋の選択パネルを見えるように表示してやる。


 「好きな部屋を『手でペシッとして扉に向かってシュッて。』ってするんだって。」

 サナが何かを思い出したかのようにクスクス笑いながらミツキに説明しているが、なんだその説明。


 「じゃぁ、これの部屋にするッス!」

 ミツキはさっきの説明で理解したのか、扉に向かって魔法を発動させる。


 「それじゃぁ、行こうか。」

 「「はい(ッス)!」」


 ミツキが選んだ部屋はシンプルで部屋の真ん中にキングサイズのベッドが一つ、その奥に3人がけソファーとテーブル、その奥が風呂なのかな?

 最近、広めの部屋ばかりを選んでいた感じがするので、こういう普通の部屋が逆に新鮮だ。


 「探検ッス~。」

 「お風呂、お風呂。」

 ミツキとサナが早速部屋の奥へと進んでいった。



 サナです。

 例え主人と奴隷という関係でもお父さんと自分とを結ぶ繋がりが減っちゃうのはミツキちゃんも寂しいそうです。


 次回、第一二九話 「娘さん洗い」


 ところでお揃いの首輪を喜ぶって変かなぁ?

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