第十一話 「召喚魔法」
今回はサナ視点です。
「正直なところ、ここが何処で、私がなんで此処にいるかさっぱりわからないのよ。気が付いたらこの部屋にいて、やっと話せる相手が見つかった。ってところ。」
そういって、その女性___レインさんは腕を組んで首を捻る。
「えっと…」
レインさんにこれまでの経緯を話す。
と、いっても、隷属の魔法の効果から命令で話せないことがあるので途中から。
自分は奴隷として買われてここに運ばれたこと。
部屋には貴族らしい3人組と執事らしき少年が一人いたこと。
レインさんはおそらく「召喚魔法」でこの場所に呼び出されたこと。
「召喚魔法?」
レインさんの眉が顰まる。
「レインさんは魔法の知識はありますか?」
「全然。少なくてもサナちゃんが知ってるような常識的なことも知らないと思うわ。」
自分もそんなに詳しくないけど、知っている限りの説明をしてみた。
儀式化した一定の場所にいる生き物や一定の条件を満たした生き物を呼び寄せるのが召喚魔法。
人族の王族が行う勇者召喚もこの一種。
逆に送り込むのが転移魔法。
これが物だと呼ぶのも送るのも移送魔法でどれも空間魔法という魔法の種類。
空間魔法にはほかにも異空間にスペースを作って鞄替わりにするという魔法もあって、それらを使う運搬者という職業はかなり優遇された職業で引く手あまただけども、運搬や保管できる量は本人の魔力次第なので基本少量で重要な荷物の運搬に携わるのがほとんど。
「話がちょっとズレちゃいましたが、あたしみたいにここに運ばれた記憶が無いのなら貴族が召喚魔法を使うようなことを言っていたし、そのあとに膨大な魔力が動いていたから召喚されたのはレインさん自身だと思います。あたしはその時に気絶しちゃったから見てはいないですけど…」
「まじーかー…」
「えっ?」
「い、いえ、そっか、それなら逆に納得しちゃうわね。」
レインさんは手のひらで顔を覆うように右手の人差し指を眉間に当てて考え込んでいる。
それにしても男たちは何処にいったんだろう?
そう思って部屋を再度見渡していると
「サナちゃん。」
「サナでいいですよ。」
「そう?じゃぁサナ。」
「はい。」
レインさんは真っすぐあたしの目を見つめ
「一緒に逃げましょう。ここから。」
怒りが籠ったような目でそういった。
キーワード回収まで相当かかりそうです。
長い目で見ていただけると幸いです。




