第一○九話 「自信」
「今日はこれくらいにしておこうか。」
淫魔法【ラブホテル】で部屋と出入り口を確保した上で、種族特性【トランスセクシュアル】で男の身体に戻る。
「はい。晩御飯は今回出た鶏肉で何かつくりましょうか?」
「それは楽しみだけど、今日はサナ、働きすぎだ。夜はおかみさんの所に任せて、明日お願いするよ。」
「わかりましたー。」
そういってサナは撫でて?撫でて?といわんばかりに頭を擦り付けてくるので、軽く撫で、両方の角に口づける。
結局倒したハーピーは諸々合わせて22匹。
ドロップ品は、ランク1の魔素核が20個と、鳥革が10枚、鳥肉が8個、ハーピーの羽根が2つ。
そのほかにハーピーの死体が2体だ。
「これでどれくらいになるんでしょうね?」
「魔素核はランク1だから合計で20銀貨くらいだろうけど、ほかの相場がわからないな。
でも、大した金額にはならないと思うよ?」
「そうですか…。」
ちょっとサナが残念そうだ。
今日はもの凄く頑張ってたしな。
「いや、今日は下拵えだからいいんだよ。
ハーピーの数も少なくなってリンクしづらくなったから、明日からランク2以上のやつを狙って行こう。
そうすれば、魔素核の分だけでも1桁上がるさ。」
そういってサナを励ます。
実際これは事実で、最終的な狙いはランク3のデミハーピーだ。
ランク3の魔素核ならそれだけで金貨1枚分だしな。
「サナの努力は明日実るから大丈夫だよ。」
再度サナの頭を撫でると、サナが頷くように微笑んだ。
ちなみにレベルの方だが、今回はトドメを私が刺している関係で、サナは変わらないが、私はレベル26になった。
ほとんどドレイン【経験値】のお陰だが、ちょうど経験値が端境期だったせいもあるが4レベルアップは予想外で、これだけでも今日の価値はあったと思う。
▽▽▽▽▽
バックパックの中にハーピーの死体を1体入れ、もう一体を肩に担ぎながら、ラブホテルのドア経由で迷宮入り口にある公衆男子トイレの扉にショートカットし、そのまま向かいにある換金所へ向かった。
二人の探索者タグを見せて、ハーピーの死体2体と、魔素核、ドロップ品のカプセルを係員に渡し査定して貰う。
今回もたまたま前回と同じくヒゲの係員にあたり「またお前らか。」みたいな顔をされた。
ハーピーの死体が持ち込まれるのは珍しいらしい。
これはちょっと期待したい。
▽▽▽▽▽
「思ったより高く売れましたね。」
サナが笑顔でくるくると私の前を回っている。
鳥革が1枚8銀貨、ドロップ品のハーピーの羽根は魔法のアイテム扱いらしく1つ銀貨10枚と、思ったより高く売れたのだ。
武器分を除けば、デミミノタウロスより美味しいかもしれない。
ハーピーの死体は1体30銀貨と、金額は高いのだけども運搬の手間を考えると微妙な金額だった。
そろそろ観念して運搬者として換金所に持ち込むことも視野に入れよう。
メニューのアイテム欄から持ち歩くのであれば、そう手間でもないので美味しい部類だと思う。
ちなみにサナのお願いで鳥肉のカプセルは2つキープした。
結局、今回稼げたのは銀貨183枚分。
金貨1枚と大銀貨8枚、残りのを3枚銀貨で貰った。
そのうち、銀貨13枚分をサナに食費とミツキと一緒に使うお小遣いとして渡してある。
今回は報酬として渡さなくても素直に受け取ってくれた。
今は、換金所から通路を戻り、迷宮の受付に戻って来ている。
受付で二人の探索者ギルドのタグを確認してもらい、受付の外に出たので、これで公式的に迷宮の外にいることになった。
淫魔法【ラブホテル】で色々ショートカットするのは楽なのだが、迷宮に入る時に受付を通る以上、その後で外にいるところを公式に見つかると色々ヤバそうなのだ。
ついでに探索者ギルドの方に寄ると、以前に手続きをしていたカッパータグが出来上がっているとのことなので、引換券と交換し、正式に探索者としては下から2番目のランク『カッパー』へとランクアップして貰う。
これで探索者ギルドに貼ってある依頼を受けることができるようになったので、少しは金策が楽になりそうだ。
銅色の認識票がちょっと輝いているように見え、サナも嬉しそうにしている。
ちなみに手間賃として一人銀貨2枚取られたが、初期投資として割り切ろう。
「せっかくだから、掲示板の依頼書見ていこうか?」
「はい!何かあたしたちで出来る依頼あるといいですね。」
今日のサナは自信に満ちている感じがするな。
「お父さん、早く行きましょ?」
そういって手を引くサナに連れられ掲示板へ向かう。
サナです!
今日は頑張りました!
前に比べて今日は少ないかな?って思ってましたけど、前にミツキちゃんが言ってたゴールドでも1日1金貨くらいだっていうのを考えたら十分だったみたいです。
次回、第一一○話 「カプセル」
なにかいい依頼あるといいな!




