第一○六話 「嘘と失格」
すいません、予約掲載日時間違ってました。
「その、サナはもう発情期終わっているんだろう?嫌じゃないのかい?」
「気づいてたんですか?実は昨日の昼くらいから頭の中がさっぱりしちゃって…。
お父さんあのね、その、あたし本当は怖かったんです。
さっぱりしちゃった時に思ったんです、お父さんの事が好きなことも、一つになりたいと思うことも、発情期が見せた嘘だったら嫌だなって。」
「嘘…。」
おかみさんが言っていた『発情期中は身体だけじゃなくて心も盛り上がっちゃうの。愛情面も含めてね。』という言葉が頭の中で響く。
今までサナが私に向けてくれた愛情が嘘?
それは___怖いな。
「でもね、昨日、ミツキちゃんの前で抱いて貰った時に確かに感じたんです。
やっぱり幸せだって。
あたしも、そしてミツキちゃんも護ってくれるお父さんが大好きだって。
そして、愛おしいなって。」
私の目を見つめ、聖母のような微笑みを浮かべながらそう語るサナは
「だから、嫌じゃないです。ううん、抱いてもらえると嬉しいです。」
そうはっきりと宣言した。
「はぁーーーーっ。」
「どうしたんです?お父さん。なんかあたし変な事いいましたか?」
「いや、もしもさっきサナが言ってた発情期の嘘だったら、お父さん死ぬほどショックだったから、安心しただけだよ。」
実際のところ異世界に来てここまでサナから向けられる好意だけで頑張っていたところがあるので、かなり切実だ。
「お父さんもね、心配してたんだ。
心配というより覚悟かな?
サナの発情期が終わったらこの関係も終わりかな?って。
少なくても身体を重ねることはなくなるだろう。って、ちゃんと親子としての線を引かなきゃって。」
サナは祈るように胸の前で両手を重ね、緊張した顔で真剣に話を聞いている。
「でもね、最初はサナの発情解消のためと思ってしていたのが、サナへの愛情が溢れて抱いてしまうようになっていた。
恥ずかしながら可愛いサナに欲情するようになってしまったのも否定しない。
親として失格だとは思っていてもね。」
サナの表情が少し和らぐ。
「だから、サナから求められるのは嬉しいよ。
本当に、本当に嬉しく、幸せに思う。
それでもまだ、しばらくは抵抗があるから、サナが望むのなら、いつだって求めて欲しい。」
「お父さんズルい!あたしだっていつだって求めて欲しいんだからね!
それに、ちゃんと恥ずかしいんだから!
発情期終わっちゃったから、勇気もいるんだから!」
笑顔のまま、そう抗議しているサナと目が合い、そして同時に笑ってしまう。
「それじゃ…」
「しよっか?おとうさん?」
▽▽▽▽▽
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>190ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レベル20になった
>サナは淫魔の契りにより主を倒した
>140ポイントの経験値を得た
▽▽▽▽▽
午前中の予定と引き換えにサナのレベルが20になった。
ランクも上がったことから、ランク差ボーナスが無くなったため、淫魔の契りによるレベル上げは頭打ちとなってしまったが、ランクアップに伴うステータス上昇を考えると安全度が増したわけだから、結果的に良かったのだろう。
と、自己弁護。
サナもご機嫌だから良しとしよう。
現在のサナのステータスは
【ランク】 1 → 2
【レベル】 19 → 20
【筋 力】E 29 → 50
【耐久力】D 48 → 70
【精神力】A 105 → 130
【感 覚】A 105 → 130
【敏 捷】B 86 → 110
【器 用】C 67 → 90
【体 力】163/163 → 230/230
【魔 力】277/277 → 350/350
【精 力】 48/258 → 330/330
ステータスはランクアップのおかげか全体的に相当高くなり、何より体力が大幅に増えたのは安全面を考えるとありがたい。
あとは豊富な魔力を活かす方法を考えたいところだ。
やっぱり早いうちに魔法職に対する知識が欲しいな。
現在は支度を整えて、淫魔法【ラブホテル】経由で、新迷宮5階の階段のある広間にほど近い小部屋に来ている。
さすがに午前中ずっとエッチしてました。と、ミツキの所にお昼を食べに戻るのは抵抗があったからだ。
そのままイチャイチャしたい欲望を振り切って狩場に来ているのだが…
「美味しいところは狩られちゃってるわね。」
特性【ビジュアライズ】で新迷宮5階の地図をサナと見ながら敵を検索しているのだが、狩り易そうな敵、たとえば単独や少数でいる敵や、攻撃の読みやすい人型の敵は、ほぼほぼ狩りつくされている。
「迷宮涸らし?の影響がまだあるんでしょうか?」
「みたい。」
どれくらいのスパンでリポップするのかは分からないが、一昨日迷宮に来た時から追加されていないのは明らかだ。
これはちょっと前回並みには稼げそうにない予感がする。
残ってる敵は、ざっくりいうと飛ぶ系と堅い系ばっかりだ。
武器が当てづらい系と、武器が痛む系と言い換えてもいい。
どっちを狙うかというと、うちらの武器は魔法で出しているため、後者を選ぶべきなのだが、ゴーレム系だとドレインするときの弱点がほぼないだろうし、甲虫系は堅い上に飛ぶので更に面倒だ。
いっそ新迷宮6階まで行くか?
出る敵はランク2~4と高いだろうが、逆に涸れていることはそうないだろうし、上手く敵を選んでいけば、いけないことはないだろう。
いや、前みたいにリンクしたら十分死ねるな。
ミツキッス!
なんかアタシの知らないところでまたサナちーとパパさんがイチャイチャしてるような気がするッス。
でも前みたいにイチャイチャ禁止って気持ちにならないのは何でッスかね?
次回、第一○七話 「ハーピー」
なんか、大切なことを忘れているような…。




