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第一○二話 「パパ」


 「あ、あの…『パパ』って呼んでもいいッスか?」

 少し落ち着いた様子のミツキが、おずおずとそう言ってくる。


 「身請けするまでは今までのように呼んでくれた方が良いと思うけど、この部屋の中でならいいよ。」

 話の途中までしおれるように沈んでいったミツキの頭と、うさ耳が、最後の言葉でぴょんと跳ねた。


 「本当ッスか?!」

 「いや、こんなことで嘘ついたってしょうがないだろ。」

 そういってミツキの頭をワシワシ撫でる。

 サナほど髪は細くはないがサラサラの金髪が指の間を逃げるように踊る。


 「パパ…パパ!なんか、言うの初めてだから恥ずかしいッス!パパ!パパ!」

 恥ずかしいといいながらも嬉しそうに胸にグリグリと顔を埋めながらミツキがそう言うたびに、ぴしたんぴしたんと、うさ耳が顔に当たる。


 「あの、お父さん。ありがとうございます。」

 サナが優しい笑顔で見つめて来た。

 反対側の手で頭をそっと撫で、サナの角に口づける。


 「もしもミツキちゃんとアタシの立場が逆の世界があったとしても、こうして同じように助けてくれるんですね。

  嬉しいです。大好き、お父さん。」

 そういって、頭を撫でている私の手を取り、自分の胸の中で愛おしそうに抱きしめている。


 そうしている間にも、こみかみ辺りにぴしたんぴしたんと当たるうさ耳が気になるが、優し気なサナの表情に少し見惚れてしまう。


 ぴしたんぴしたん

 ぴしたんぴしたん


 おちつけ!

 さすがに気になったが、両手が塞がっているため、口にミツキのうさ耳を咥え、動きを止める。


 「ひぁぁぁっ!」

 「あ。」

 ミツキとサナの両方から声が上がる。


 「あ、あの、い、いきなりは、て、照れるッス。」

 ん?どっかで見たような挙動不審さだ。


 「兎人族にとっては耳を咥えるのが愛情表現なんですよ。」

 サナが解説してくれた。

 

 「鬼族の角みたいな?」

 「鬼族の角みたいな。

 あと、耳の根元のモフモフしたところをモフモフすると、より強い表現だそうです。」


 なるほど。

 もふもふもふもふもふもふもふもふ


 「ちょ、ちょ、サナちー!パパ!ちょっと!あ、あ、ふ、ふにゃぁ。」

 なんか大人しくなった。

 そういや『練習』の時に淫スキル【性感帯感知】で見た時にも弱点だったな。うさ耳関係。


 「ミツキちゃん、可愛い。」

 他人事のように笑顔のサナだが、その黒髪の間から小さく覗いているピンク色の角に狙いをつける。


 「あ、お、お父さん。」

 片方の角は手で、もう片方は唇と舌で愛情表現をする。

 「あ、あっ、あっ…」

 サナもすっかり色っぽい声上げるようになったなぁ。


 「もう!今は、あたしはいいのに!」

 ちょっとオコなのに嬉しそうにしているのがカワイイ。

 「一人だけだと不公平だろ?」

 「うー、パパ、鬼だけじゃなく兎殺しッス。」


▽▽▽▽▽


 「じゃあ、向こうの部屋には朝戻るとして、そろそろ寝ようか。私はソファーで寝るから二人はベッド使っていいよ。」

 「えー。」

 えーじゃない。


 「奴隷がベッドで主人がソファーって普通に抵抗あるッス。」

 そんなこと言われてもキングサイズのベッドといえども、3人だと結構くっつかないと狭いのだ。


 「そうはいっても3人だと狭いし、ミツキだってまだ男と一緒に寝るのは抵抗あるんじゃないか?」

 「う、正直身構えちゃうと思うッス。」

 「横で緊張されると、緊張がうつる感じもするしなぁ。」


 「うーん。あたしはお父さんと寝たいけど、それならご主人様の姿になってから3人で寝るのはどうでしょう?」

 「あ、それならOKッス。」

 「なるほど。」


 早速、種族特性【トランスセクシュアル】で再び淫魔の身体に替わる。

 二人は部屋に備え付けのバスローブがあるのだが、自分の分が足りないので、同じものを出そうとしていたところに、サナが昨晩、淫魔法【コスチュームプレイ】で出したパステルピンクのベビードールの話をミツキにしたものだから、御着替え大会再び。になっている。


 パジャマパーティー風になるなら、それはそれで微笑ましくて良いのだが、品ぞろえが淫魔法【淫具召喚】で召喚できる衣装がベースとなっているので、良くてネグリジェくらいのエロ衣装ばかり。


 サナのお薦めが前も着たベビードール。

 よほど前に褒められたのが嬉しかったらしい。


 私のお薦めが露出の少ないロングドレス型のネグリジェ。

 女同士の身体だとはいえ肌の接触面積は抑えたい。


 やっとサナの細いのに柔らかく、それでいて少し芯のあるような身体つきに慣れてきたところだったのに、ミツキの健康的で張りのある身体を上乗せとか安眠に悪そうだからだ。

 いや、真ん中はサナに譲ってミツキからは遠くで寝るつもりではあるけど。


 ミツキのお薦めが短めのキャミにショートパンツの組み合わせ。

 ミツキの出身である南国風のフォルムでリラックスできそうだから。という理由だそうな。


 それぞれバラバラでもいいのだが、サナがお揃いの服で寝てみたいというので、ミツキに合わせて、全員キャミにショートパンツにして、色をサナがパステルピンク、ミツキが白、私が赤と変えてみた。


 いや、お揃いはいいんだが…



 サナです!

 お姉ちゃんになりました!お父さんありがとう!

 あと、実はいろんな服着れるの嬉しいです!ミツキちゃんもありがとう!


 次回、第一○三話 「朝風呂」

 お礼に、二人の為に何かしてあげないと…

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