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プロローグ 「サキュバスさんの家族計画」

 アニメでいうところのアバンです。

 2期アバンに内容を変更しました。(2019.8.1)


 「ご主人様、起きてください。」

 「んー、サナ、もう少し寝かせて。」

 「駄目です。もうご飯用意してあるんですから、お味噌汁冷めちゃいます。」


 容赦なくユサユサと私の身体を揺らしてくるサナ。

 着物を着た黒髪ショートボブのまるで日本人形のような少女に起こされるというのは贅沢かもしれない。

 もうちょっとその贅沢を味わおうかと思ったが、今日は朝が早いのを思い出した。


 サナの小さな身体を右手で抱き寄せ、黒髪の間から小さく二つ覗かせる桜色の角に口づける。

 「おはよう。サナ」

 折れそうに細く軽い身体はそのままポスンと胸の中に納まった。

 本当は両手で抱き寄せる予定だったのだが


 「むー、もう朝ッスか?」

 左腕は抱き枕状態で絡めとられていたのだ。


 褐色の引き締まった身体に内巻きミディアムの金髪。

 そしてその頭には白い兎の耳が片方ピンと伸びているが、もう片方はまだ布団に未練があるのかのように垂れている。


 「ミツキちゃんも起きてください。」

 そういって私の右手から脱出したサナがミツキに眼鏡を取ってやっている。

 「ありがとうッス。」


 ガバッと起き上がりサナから受け取った眼鏡をかけるミツキ。

 何も着ていない状態で寝ていたので、起き上がると形の良い褐色のお尻と、その上の白くて丸い尻尾が丸見えだ。

 小刻みにピコピコと動いている尻尾が起こしに来てくれた年下の姉が大好きだと雄弁に語っている。


 「かかさん、こっちにゃよー。」

 「あらあら大丈夫よ、チャチャちゃん。もうちゃんと起きているから。」


 そんな事を思っていると部屋の前の廊下を猫耳の少女が横切っていく。

 少し紫がかったカラスの羽根のような色のゆったりとしたワンピースに腰まである蜂蜜色の金髪を軽くなびかせながら引くその手の先には、少し栗色の入ったゆるふわロングの優しげな女性がついてきている。


 白の長襦袢から抜ける白いうなじが色っぽく、軽く汗をかいて張り付いているのか、柔らかい女性的な身体のラインに軽く見とれてしまう。


 「かかさん、そっちはお風呂にゃぁ。」


 「サオリさん、無意識にお風呂に行こうとしてるな。」

 「ママさん、お風呂大好きッスからねぇ。じゃ、アタシ先に行くッス。」


 ホットパンツにTシャツというラフな格好に着替えたミツキがそう言って跳ねるようにサオリさんの方に行ったかと思うと、そのまま後ろから抱きついている。


 「ママさん、おはようッス!お風呂は後でみんなで入るッスよー。」

 あらあらと柔らかく受け止めるサオリさんの声が小さく聞こえる。


 みんなの中にはまた私も入っているのだろうな。と、思いながら自分も起き上がると、その反動で大きな胸が揺れる。

 ミツキに似た褐色の肌の上に薄く紫がかったプラチナブロンドが大事なところを隠すように覆いかぶさっていた。


 相変わらずこれも慣れないな。

 そのまま大きく伸びをした後に男の身体へと戻ると、先ほどまで廊下を歩く三人の方を眺めていたサナが膝の上に載って来る。


 そしてその両手を私の顎に添え、頬におはようのキスをすると


 「おはようございます。お父さん!」

 そういって花が咲くような笑顔を見せた。


 初めてサナに『お父さん』と呼ばれたのが随分昔のように感じるが、それはこの娘と過ごした濃密な時間がそう思わせるのだろう。


 サナに作務衣に似た白鬼族の種族衣装を着せてもらいながらそんなことを考えていた。

 身長差がありすぎるせいか、お互い屈んだり背伸びをしたりと悪戦苦闘だ。


 そんな些細なことでさえ二人でクスクスと笑い合って過ごす、優しい時間。

 「ありがとう。サナ。」

 「いいんですよ、服くらい。」

 いや、そうではないのだが、まあいいか。


 早く食卓へ向かおう。あの家族の待つ食卓へ。

 この世界に来た時には思いもしなかった家族の下へ。


 時間軸としては、次の話からしばらく過去話となります。

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