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ACT.23 an upset<3>

急展開過ぎて何かもう色々不安

「テメェ……」

 横たえるケツァールは既に無い。既に焼かれ、消滅していた。原因は動力炉の爆発。自らの動力源により、自らの存在を絶たれてしまった。

 炎の背後に佇むのは深緑のアウラ。紅く光るブレードを下げながら、空中を彷徨う。

 もう片方の腕からも、ブレードを展開させた。両手を力なく下げ、死神のようにウルカヌスとミネルアを見下ろす。

「さて……じゃ、試させてもらうよ」

 深緑のアウラはブースターを煌めかせる。狙われたのはウルカヌス。両手を後ろにし、飛びかかるように落ちていく。

 即座にクリフは反応し、レールガンを敵へと這わせる。十字のカーソルは即座に機影と重なる――が。

 同時に、深緑のアウラはステップする。右方向へと大きく。これは従来のアウラの二倍弱はある。それでも尚、ウルカヌスは反応し続け、銃口は尚も追い続けている。

 ミネルアはその進行方向へと待ち伏せるようにステップした。ミネルアの向かう地点なら確実に交わるはず。大量の炎を背後から吹かせながら宙に浮くミネルアは単分子ナイフを構え、迎撃に備える。例え、ミネルアが仕留められなかったとしても、交戦中なら僅かながら隙は必ず出来る。ならばその隙をクリフが見逃すはずがない。優紀は仲間の腕を信じ、半ば犠牲のような思惑で深緑の機体を迎え打とうとする。

 間は刹那。

 深緑のアウラはミネルアと接触直前まで近づく。人間が感じ取れないほどの短い時間で、二機は接触する筈、だが。

 深緑のアウラは自らの身を捻らせた。それは上半身を捻り、下半身をそれに追従させるように回す。まるで独楽コマのように。

 また、遠心力に任せるように両腕を広げる。

 自然、噴射されていたブースターの方向も変化する。深緑のアウラの進行方向は大きくずれ、丁度ミネルアを中心にして円のような軌道を描いた。

 深緑のアウラはミネルアの背後に回った。

「――ユーコっ!」

 クリフは思わず叫んでいた。目前に広がる出来事に、叫ばずにはいられなかった。

 刹那の出来事。

 深緑のアウラが回り込んだと意識したその直後、クリフは信じられないことを視認した。ミネルアは全身を六度、切り刻まれていた。正確に関節を四カ所、頭部、背部。それぞれから紫電が漏れている。加えて位置関係がミネルアの陰になってしまっている為、深緑のアウラを狙い撃つことが出来ない。

 そして気付けば、深緑のアウラの膝も紅く変色している。

「そん、な――!」

 腕、脚、頭部、背部を刻まれたミネルアは推力を失い、地にゆっくりと落ちていく。強化したブースターを刻まれ、宙に浮く事が叶わなくなっていた。

「――やはり、遅いですね。……いや、こちらが速いのでしょうか?」

「クソッたれが!」

 クリフはトリガーを引く。銃口は正確に捉えていた。

 だが、弾丸が深緑のアウラを貫くことはない。二発、三発、四発とレールガンを連射するも、掠りさえもしない。

 深緑のアウラは軸を真横にして角ばった渦の軌道で回避し続ける。そして徐々に、深緑のアウラはウルカヌスへと接近していく。

 クリフとて闇雲に連射している訳ではない。しっかりと敵が移動するたびに、銃口を追従させているが、追い付かない。腕が円を描くよりも早く、深緑のアウラは何十メートルもの空を動き続けているのだ。

 ステップ並みの出力を吐き続け、移動し続ける。そしてブースターはそれに耐え続けているという事実が、また深緑のアウラの異常性が滲み出ていた。

「お前、マジで何なんだよ! ――有り得ねェ!」

 ウルカヌスは後方へと移動しながら、銃を構える。

 クリフは脚部のミサイルを起動させた。

「――クソ」

 だが、撃ちはしなかった。

 今すぐにでも撃ちたいところだが、それは出来なかった。今は丁度、ミネルアとウルカヌスの両機で挟んでいる形となっているからだ。今、ミサイルを発射してしまっては回避行動の取れないミネルアに雨が降り注いでしまう。ケツァールの時は万全であったミネルアを信じ撃つに至ったが、流石に今は信じるも何もへったくれもない。信じるとしたら、それは完全に運となってしまう。

 ウルカヌスは曲線を描き、右翼へと曲がっていく。そして尚もレールガンは紫電を吐き続ける。

 通常の弾丸の数倍の速さで進み続ける帯電の弾丸も、やはり深緑のアウラには当たらない。

 そして、直線状にミネルアがいなくなる。

「――よし。喰らえ!」

 ウルカヌスは突如ブースターの噴射を止め、地に足を固定し、腰を落とす。

 すると、両脚部の外側に備え付けられたミサイルハンガーが一斉に開く。両に三つずつ、計六。

「――無駄ですよ」

 深緑のアウラは前方に備え付いたブースターを吹かせ、停止した。

 ミサイルが発射される。二発ずつ、息をつく暇もなく。

 広がるようにミサイルは発射されると、目標の熱を捉え完全に追尾する――

「追えないッ!?」

 ――筈が明後日の方向へと飛んで行ってしまう。更に発射された二発のミサイルも同様、計十二発のミサイル全てがだった。

 モニターに表示されるのは“not exist”。ターゲット存在せず。

「冗談、だろ……?」

「だから言ったでしょう、無駄だと」

 深緑のアウラは背部を煌めかせる。その光の量に、クリフは目を瞑ってしまった。

 だが、自分の失態に気づく。敵前で目を瞑るなど、隙以外の何物でもない。

 深緑のアウラのパイロットは鼻を鳴らすと、アウラの腕を振り被らせた。

 クリフは目を開く。移る光景は自らの視界に刃が突き立てられていく光景。

 その刹那にこの状況を切り抜けられないかと、クリフは構想する。ミサイル、ライフル、ブレード――しかしそのどれもが間に合わないことに気づく。

「――ちくっしょう!」

 クリフは自らの不甲斐無さに叫ぶ。

 振り降ろされた刃はコックピットへと吸い込まれていった。



「カウント三百。全員備えろよ」

 ビートの緊張感のある声が各パイロットの耳に届いた。それはコスモスの回収班だけでなく、ラインズイールの派遣兵士にまで及ぶ。

 ある地点を中心に森や岩ブッシュに身を隠し、待機する巨人が幾つも在った。展開すれば、丁度二つの輪が出来あがるように配置されている。外側には何十機ものファルスを待機させ、内側にはコスモスの回収班を待機させる。

 回収班のメンバーが乗る物は一応分類的にはアウラであるのだが、戦闘能力は極端に低く、武装をしていない今はスティンガーを持った人間にすら負ける可能性が大いにあるほど。それは脚部が旧世代の兵器であるキャタピラに人型の上半身を乗せ、蛇腹式のアームを二本取り付けただけの土木作業用エクスカベーター。こちらはファルスの機体よりも数は二倍ほど在った。そして武装はないが、発破用の爆弾チャージは複数装備していた。

「おいバンドー。回収だけだからな。分かってんだろうな?」

「分かってるよ。こんなポンコツでどうしろってんだ。俺は自分の命が惜しいんだよ、馬鹿」

「……どうだか、しっかりその選択肢が頭ん中にあるじゃねぇか。お前なら裸足で爆炎の中飛び出しそうだが」

 フェイクスの適正に合わなかった二人。ビートとバンドーは気を紛らわす為に軽口を叩くが、それも束の間。モニターには残り時間が既に残り少ない事を示す数字が表れていた。

「カウント六十! 来るぞ!」

 皆、身構える。回収機は夜空を見上げ、ファルスは円の外側に全神経を集中させる。

 スナイパーライフルを覗きこむファルス。腰を構え、ミサイル展開に備えるファルス。頭部から長く伸びるアンテナから送られる情報に神経を集めるファルス。ミサイル迎撃用のレーザー武装を展開するファルス。腰からチャージを取り出すエクスカベーター。中には、楯のような巨大な鉄板を抱えたファルスもいた。

 皆各々、自らの役割へと備える。

「カウント三十!」

 と、ビートが叫んだ途端、雲を切り分け飛来する黒いモノが見えた。まだ遠距離であり全貌がはっきりとしないそれも、やがて大きく、鮮明に視認できるようになっていく。

 見えた、と思った次の瞬間には中空の半ばまで落ちていて、地面に衝突した。

 皆一斉にその衝撃に呻きを上げた。速度を最大に火を噴き続けた飛来物は、一瞬だが大規模な地震を起こした。

 白い煙が上がり、やがて風で流されていく。晴れたそこには、深々と地面に突き刺さった巨大なミサイルがあった。

「展開!」

 一人の男の声を火蓋に、回収機エクスカベーターは一斉に走り出す。森から身を出し、岩から飛び出て、または岩の上に昇り銃で見渡す。

「熱源反応! 飛来物約二十! 敵影南西、数五機!」

 長距離レーダーを搭載したファルスのパイロットが叫ぶ。と同時に、南西方面に展開していたファルスが一斉に一点を向く。同時にライフルを僅かに上げ、腰を落とし、レーザーの口を開かせる。その間にエクスカベーターは土埃を巻き上げながらミサイルへと駆け寄っていった。

 空を見れば、ミサイルの大群。そしてそれは既に二十という数ではない。群れるミサイルの奥の奥には、大地を駆ける数十機のクラウルとホークスがいた。まだそれだけの戦力を残していたのか、と背筋に僅か悪寒が走った。

 まるで蜂のように群がるそれを、ファルスは対処していく。マシンガンを円状にばら撒き、或いは対ミサイル用のミサイルをぶつけ、或いは一点に穴を空ける事だけに特化したレーザーが遠方のミサイルを十分な威力を持って爆散させていた。

 レーダー機と情報を共有しているファルスは次第に二つの位置へと固まっていった。シュペルビアの展開方角が判明したからだ。

 南西と南東。その二つにファルスは集中して集まり、ファルスの壁の後ろにレーダー機、その後ろにミサイル、エクスカベーターという配置。北側はユスティティアが待機している海岸で在り、そちらから攻めてくることはないようだ。

 最も最悪なケースである囲まれる事態が無い事を認識し、ビートは軽く安堵の息を吐いた。

 間に、チャージを設置し終わったエクスカベーターは再びミサイルから離れていく。

 やがてシュペルビア軍はミサイルを諦め、両手に持ったマシンガンへと移行する。それと同時、幾つかのファルスはミサイルを囲う様に、自機程の大きさのある鉄板を地面へと突き刺した。それは遠距離からエクスカベーターが狙われるのを防ぐためである。その重量故に楯の運搬を行えば武装がままならないことも顧みずにその防衛案は行われた。楯を突き刺したファルスはレーザー機から銃を受け取り、参戦していく。

 楯の上にスナイパーライフル、マシンガンを据え置き打つファルス。弾はそれぞれケリエル、ホークスに被弾し、爆散する。対するシュペルビアも負けじと大地を滑りながら両手のライフルを乱射する。それは楯に当たり、またはファルスの四肢を貫いていく。

 一機、業を煮やしたかのようにホークスが槍を投擲する。柄の部分と刃の後部にブースターが備え付けられた最新型。近接武装である筈の回転するその槍は、あらゆる弾を弾き突き進んでいく。その槍は直接ファルスに、及びエクスカベーターに当たらないものの、鉄板を深々と貫通し、その背後にいたファルスのコックピットは穿たれていた。

 銃撃のその陰では、三度目のチャージを行い、ようやくミサイルは地面から全ての身を曝け出させたエクスカベーターの群れ。剥き出しになったミサイルへと一斉に集まり、その腕からロープを絡ませていく。何重にも重ねられた繊維はどんなものでも運んでいける。

 と、数が徐々に減って来たクラウルとホークスの陰から一機の巨大なアウラが現れた。その巨躯はウルカヌスに負けず劣らず。黄土色の彩色を施した堅牢なアウラはその肩に巨大な砲塔を担いでいる。そしてその片腕には、同サイズの砲塔が。

 思わず、皆その威圧感に息を呑んだ。巨人の中に彷徨う山のような圧迫感。それは一目で、圧倒的な性能を持つIMだという事を理解する。

 重い機体を引きずっていた黄土色のアウラは突如脚を止め、腰を落とした。幅を開き据える脚の後部から、地面へと突起が突き刺さる。それはこれから起きる強烈な反動に自機を持っていかれないようにする為。

 土の巨人タイタンは右肩に大砲塔を構え、左腕に大砲塔を持ち右手を添えた。

 兵士に予感が走る。その銃口の延長線上にいるファルスは一斉にブースターを吹かした。――が、

「――吼えろ!」

 ハゼクラは叫んだ。

 直後、一瞬でファルス達は黒い光に包まれた。電磁を帯びた煌めく光、瞬く間に原子が収束し発散する常闇の光――ハイペロン。

 そして光に遅れて飛来する一つの弾丸。だが、弾丸にしては極端に巨大。落雷のような黒いぎょく。それは着弾と同時に、黒い光ハイペロンを吐き出した。

「ハイペロン!? ――馬鹿な! どうしてシュペルビアが持っている!?」

 その黒を見てビートは心の底から驚愕する。

 だがその黒い光は紛れもない重粒子ハイペロン砲。光を浴びたファルスは機体のあらゆる箇所を凹まし、炎を上げた。

「ヤバいぞ! バンドー! 急げ!」

「解ってるよ! もう直ぐだ!」

 言うバンドーは既に何重ものロープを結わっていた。それを何機ものエクスカベーターは両手でロープを握る。するとその拳に被さるようにプロテクターが出現する。それは指を固定し、どんな重いものでも牽引していく為に展開された。キャタピラを吹かし、徐々に、徐々にミサイルを引きずっていく。

 その間も、エクスカベーターの背後では幾重もの悲鳴が聞こえる。

 軋む骨、潰される内臓、擦り減らされる脳。それらから逃避する為に、兵士は死の淵で悲鳴で喘ぐ。

 徐々にではあるが、ミサイルは動いている。摩擦というものは動かす時が最も強い。故に一度動かすことが出来たのならば、その時の力を維持し続ければ速度は圧倒的に加速していく。故に、先程よりも何倍も速く。

 が、しかしタイタンも確実に近づいていた。ハイペロンによりエネルギーを消費したため、ブースターは使えない。重い脚で一歩一歩近づいて行く。

 ファルスは鉄板の陰から飛び出し、タイタンへと駆けていった。土の巨人を警戒しつつ、左右へジグザグに走行しながら。

 また、タイタンは地に固定する。

 来るぞ、散開――! と兵士は叫んだ。一個隊に固まらず、散り散りにファルスは広がっていく。一薙ぎにされないため、作戦を成功させるため。その為には、多少の犠牲は問わないと。

 ハゼクラは舌打ちした。恐ろしく効率が悪いからだ。ブースターが使用不可になる程に膨大なエネルギーを消費するハイペロン砲を撃っても、一度に精々三、四機。よく訓練されている――とハゼクラは半ば感心した。シュペルビアにはない統率力。所詮、俺達は――と。

「カニス――行け!」

 タイタンが腰を落とす中、ハゼクラは“仲間”へと叫ぶ。

「……了解した」

 タイタンに追従していたケリアルが駆け出した。ミサイルへと一直線に。

「お前、カニスなのか?」

「――」

 ビートの問いに、返るのは沈黙。

 ファルスはその猛突してくるケリエルに群がっていく。が、タイタンの砲塔からまた玉が打たれる。狙う場所はケリエルの前方の前方。つまり、ファルスが向かっていた場所。

「おい、応えろ……」

 気づいたファルスは再び散開していく。膨大なエネルギーを消費して打たれた玉は何にも傷をつけることはなかった。しかしその一発がシュペルビア側に傾いたことは変わらない。

 カニスは駆けていく。まだ稲妻を帯びた闇が球状に漂う中、一直線にミサイルへ。

 ファルスは一斉にケリエルへ向かって乱射するが、当たらない。角を描く様に幾重も止まらず回避するケリエルには掠りもしない。

「答えろよ――カニスッ――!」  

 ケリエルはかすかに残る闇に触れるその直前に、身を捻り半分のまどかを描く。

 半の半周したケリエルはファルスの方へ向きながら、マシンガンをばら撒いた。容赦なく、的確に撃ち放たれたマシンガンはファルスの腕を、脚を、頭を奪い去っていく。

 またもファルスは半回転。漂う闇をなぞっていくように最短距離を行く。

「畜生――ッ!」

 ビートは堪らずコンソールを拳で殴りつける。それは、彼自身にも何故そうしたのかよく分からない。ミサイルへケリエルが近づいているという危機感からか、雄軍が劣勢になっているから、そのケリエルに登場する者への憤りか。

 と、エクスカベーターが一定の距離まで近づいていることをビートは確認する。

 腕にエクスカベターの前方には海が広がっていた。そこに潜むのは母艦であるユスティティア。

「距離、到達! ユスティティア浮上しろ! ファルス全機後退!」

 その言葉を聞き届けると、突如海面が波打った。同時に、後ろ向きにファルスは下がっていく。

「――させるか!」

 カニスは更に意識を集中させた。

 幾重ものファルスの間を縫って行く。ライフルを当てようとするファルス、ブレードを振り下ろすファルス。ケリエルは身を捻り、ステップし、マシンガンで撃ち貫き、その全てを回避していく。

 舞う様に鮮やかなその動きは、経験により為されるモノ。

 ユスティティアは海面から完全に姿を現す。そして陸と艦を繋ぐ通路が下ろされた。そこへエクスカベーターは進んでいく。

 カニスは舌打ちと共にケリエルの腕を動かさせた。

 銃を構え、撃つ。サイトに収まるのはミサイル。ぶれる銃口は狙わずともミサイルを抱えているエクスカベーターの何機かに当たり、その装甲を砕いていく。

 だが無論、ファルスも黙っている訳ではない。位置関係により、ケリエルの延長線上にエクスカベーターが存在するファルスは回り込み、左右を挟むファルスはケリエルを挟み乱射していく。

 目標を排除する為に。

「戯けが」

 ステップを数回行い、ケリエルは降り注ぐ弾丸をかわす。かわされた弾丸は虚空をすり抜け、直進していく。ケリエルはファルスに挟まれていた。つまり、同士撃ち。

 味方である筈の弾丸に撃ち貫かれ、ファルスは爆散していく。

 その時点で、全体的な布陣が海岸寄りになっていた。つまり、猛進するケリエルにファルスが集まっていき、今まで広がっていた防衛範囲が縮まってしまった。

 それはつまり。

「ハゼクラ! 撃て!」

 タイタンの射程距離。

 土の巨人は両手で抱える大砲を僅か空へと傾ける。

「ヤバい! 回収班! ミサイルから離れろ!」

 そして、発射。

 放たれた玉は放物線を描いて空を駆けていく。バンドー含む回収班は何事か、と思うも、ビートに従いロープから手を放しキャタピラで散開していく。

 視界に捉える。玉が隕石のように落ちてくることを。それは明らかにミサイルへと落ちる軌道。

 エクスカベーターは散開していく。ファルスは銃弾を撒き散らし、撃ちおとそうと試みる。

 ――が、着弾。

追記。エクスカベーターは油圧ショベルの英語版、だそうです。まんまです。

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