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「こりゃ酷い″鯛形臓″が剔られる程の出血、園児から保母さんまで床や壁に飛び散ってやがる」血だらけの部屋を死体をよけながら話している「術中八九″ギガマイマイ″の連中の仕業だろう」警察官たちが推理を披露していた頃「これどういう事でしょうね」一つの変わった死体の前で唸る少女。血生臭い現場にフリフリ白い日傘を片手に現場を荒らしている「困りますよ、お嬢さまこのような現場に来られては」死体を観察している小柄な女性が一人歩き回っている「お嬢さまこのような事をされては私達が怒られます」そう言われると「失礼、でもこれを見てください」お嬢さまの指差先には一人の保母さんが「彼女だけは明らかに他の方とは殺され方が違いますよね」「確かに、この保母さんだけ滅多刺し?にあってる?恨まれてた?」隣の後輩らしき男が発言する「馬鹿、何真に受けてんだよ」茶々入れるなと後輩をこつく「そうなんですよ!」同意されたことを喜ぶ「びっくりした!何がそうなんですか?」ウキウキ気分を心に留め説明を始める「いえね、彼女だけ複数箇所を何度も何度も執拗に指している。その一方で他の方は頸動脈への的確な一撃でほぼ即死ですから実に効率がいいこれってどういう事なのかなぁとアタシの悪い癖」そんな疑問に「全く別人がやったんじゃ」いい質問ですねーと「そうなんです!私もそう思いました。、単独犯ではなく複数いえ二人いたんじゃないかと頸動脈へのスマート殺人鬼と滅多刺し殺人鬼がいる。そう考えると保育園関係者が警戒しなかったことへの説明もつくと思いませんか?一人ではなく二人そうですね男女の組み合わせならどうでしょう?新しく子供を預けたいとアポイントメントを取れば保育園の中へ堂々と入ることができます」其れを聞いた閃いた警察官が「犯行時刻の前後この保育園周辺の防犯カメラと聞き込み、対象は”二人連れの男女“相手は殺人鬼の可能性あり、防犯カメラの画像解析を優先して行うよう見つけても接触は避け尾行で応援を待ってください……言っておきますがお嬢さまの言葉を参考にしたわけではないので、あしからず」はいはいとにこやかと傘を回し「えぇ勿論ですわ」その場を後にする。現場から一歩外へ出るとお嬢さまの目の前にバイクが止まる「探しましたよ寅兎さん」ヘルメットを外した女性長い白髪を団子状に括っている少しジト目でお嬢さまを睨む「鶴海さんですか?どうかしましたか?」呆れ顔で「どうかしましたかじゃないですよ“お散歩の時間ですわ“って居なくなるんですから」少しむくれてみせると「あらあら置いてけぼりにしたわけでわないですよ」( i_i)\(^_^)と背伸びをしてバイクに股がる長身の鶴海を撫でる。恥ずかしがるがまんざらでもない鶴海に「これはこれは“恩返し出来ない鶴海さん“じゃない」撫でられながら「けっ、てめぇかよ」二人の中は険悪だった鶴と壁昔からの腐れ縁「あぁお嬢さまのお迎えか、そうだよな恩返し出来ない鶴にはお似合いのお仕事だよ」いってやったりとドヤ顔かますもその時「先輩、寅兎さんの予想通りでしたよ。近くの複数の防犯カメラに夫婦らしき男女が写ってました」ドヤ顔がキマズ顔に変化する「このタコ!要らんこといわんでいい」ふふーんと鶴顔をかます「なんだかんだで殆ど寅兎さんの推理通りに動いただけかよ」痛い所をつかれると「うるせぇお嬢さまは認めるがてめえはお嬢さまの腰巾着だろうがいや鶴巾着か」睨み合う二人を余所に「其れで防犯カメラから足取り追えそうですか?」と尋ねる寅兎だが「其れが保育園に入るまで写っているんですが、その後全く写ってないんです」クソっと地団駄踏む二人だったこんな所が腐れ縁なのだろうとニヤける寅兎だったが本来の頼み事を思い出し「お頼みしていたもう一つどうだったですか」あぁその件ですねと「ちょっと待ってください今問合せを」その時都合よくスマホがなる「はいええ!?写ってた!はいいえ動画いえ画像で結構です。本部の方に送ってもらうのと、本部とは別に私の方にも送ってください」……数分後スマホに転送された画像を見る「嘘だろ屋根伝いに逃げたのかよ!?」画像には家の屋根から屋根へ飛び移る男女の姿が写る「すみませんがここ拡大できますか」寅兎が指差す場所をスワイプで拡大する「リュック?が気になるんですか?」「でもリュックなら保育園へ行く前にも女性がからってましたよ、ほら」スマホに入っていた防犯カメラの画像を映し出す二つを見比べながら寅兎が指摘する「ほら膨れてる、これは保育園へ来るまでは何も入っていないでも出るときは何かを入れた」核心をつく答えをはじき出すそれに気付くと「おい保育園関係者全員の身元と死体の照合急げ」起こる先輩に慌てる後輩二人は現場に戻って行くそんな彼らとは対照的に「と寅兎さんこれって保育園関係者を虐殺した快楽犯人と言うよりは」間髪入れず「ええ寧ろ“ある人物をさらう事が目的だった“殺人はただの口封じ、滅多刺しの犯人はわかりませんが、頸動脈への一撃は手慣れた犯行だといえますから」やるべき事を理解する鶴海さんヘルメットを寅兎へ投げると「寅兎さんも黙って見たりしませんよね?」と聞き返すエンジンを吹かすバイクの後ろへ乗る寅兎さん「機動力なら私達の方が上です。必ず助け出しますよ鶴海さん」真っ直ぐな目と声が彼女をかき立てるしっかりと鶴海に捕まる。バイクは男女を探しに向かった方向へ走り出す…………「どうした?彦潤電話なんてメールでもいいだろうに?」屋上の風の強い音が響いている「悪い炎笑お前にも話しておいた方がいいと思ったんだ。今朝の保育園の件知ってるよなその事で話がある………」電話越しの二人の会話淡々と話す声は青年を浮かび上がらせる「そりゃあ、今朝何人か搬送しようと現場に行ったからな、でも全員死亡してて救急車乗せらんなかっただろう。てかお前もいたじゃん。先輩刑事さんと一緒にそういや殺人現場に似つかわしくないお嬢さまも居たっけ、知り合い?」確認するように話しかける。すると一旦声を休めた後「そのお嬢さまの進言でどうやらギガマイマイが関っている」驚きで声がストップ休みに入りそうになる。一旦落ち着きもう一度尋ねる「何其れマジ?!耳鳴一部からは一部並の力を持った地域離脱者がいるって報告入ってる。別件だと願いたいよ」厄介物が増えるのを嫌う電話ぐち「耳鳴一部には連絡を入れておいたお互い気をつけてな」通話を終えてスマホを懐へ入れる。そこへウワサの先輩がからかうように「彼女か?同棲か?年下か?やだやだ仕事中は慎むように!」軽くグーバンチだったがカウンターを食らう「先輩も彼氏出来るといいですね。鶴海先輩に先越されますよ」ただならぬ空気に話をはぐらかす後輩こと彦潤「アタシは仕事が恋人「はいはい、鶴海先輩とお嬢さまは独自で動いてるのは」って話を遮るな、ふんお嬢さまをせいぜい有効利用させてもらうさ」女の子にあるまじき顔を晒す「うわっ先輩、悪の大幹部っすね」そのまま車に乗り込み捜索に当たる。複数箇所を聞き込みするも「画像を引き伸ばしてもサングラスにマスク怪しさ満点ですが、顔の特定が難しいからこの人達探してますってのは米粒探すみたいなもんすね」資料を漁る後輩刑事こと彦潤進言を加える「確かにキツいねこりゃ………ところで鶴の方はどうしてるんだ。別に気になってる訳じゃないんだがな」ツンデレかよといわんばかりだ「先輩ですか(素直じゃないっすね、でも鶴海先輩はともかくお嬢さまは鼻が利くか、そっちで追ってみるのも一つの手かな)そうですね、じゃじゃーん発信機鶴海先輩のバイクに取り付けておきました。これで追ってみるのも一つですよね」手際のいいっーか少し怖い後輩に「ふん、私もそう言おうと」もういいってと彦潤「じゃサイレンならして飛ばしまーす」………風をきるバイク顔を出しながら「鶴海さんのバイクはすごいですね。トラック並みの馬力を搭載している非認証のエンジン」ふふーんと笑いながら「色々乗って試したんですけどね、私のスピードについてこれなくて」空気の読めない発言をかまそうとする寅兎さん「いえ違法ですよと注意してます」分かってますよと「でもこういうとき便利でしょ」否定はしない寅兎さん「確かにそうですが(指差す後方からサイレンが追いついてくる)飛ばしてください」以外な答えに「えっー止まって説明じゃ「殺人鬼カップルは屋根伝いに移動していました。スピードそうですね後方の今のパトカー並みでしょうか画像の表情から必死に逃げてはいないということ」其れを聞き「つまり全力で逃げられると(鶴海がアクセルを強く踏み込む)しっかり捕まってますね」逃避行が始まる『そこのバイク止まりなさい!』スピーカー越しの声が遠ざかっていく………「そうですか了解」ワクワクしながらも「もう見つかったか?」と余裕ブルーな先輩「先輩の“鶴海先輩に対しての勘”だけは本物っすよね」と褒めるも「ふん、付き合い長いからな、そんなことより発信機気付かれてねぇよな」それがとスマホを見せる『此方に向かわれる最中でもいいのでギガマイマイを含め武装組織の所有地リスト送ってもらえます』「とっくに気づいて」「利用されてたってわけか、利用はお互い様だ。送っておけ」はいはいとデータ送信………スマホが震える「鶴海さんストップ」ブレーキを踏む鶴海「当たりですか?」「当たりですか、この近辺に5件、以外に多いですね。時間かかりそうです」………「イテテっしらしらねーよ。誘拐?そんな割に合わない仕事請け負わねーっの!イテ………マジで外しやがった」ごめんねと肩を入れ直す鶴海「どうやら、ハズレみたいっすね」「もう一つお聞きしたいのですが?」丁寧な寅兎なたいして団員の頭を下げさせる「正直に答えないともう一回外しとく?」首を振る団員「サイフもとい仕込み刺しのような武器を使う殺し屋さんに心当たりは?」鶴海を警戒しながらも「ナイフ今時チャカの方が手っ取り早いぜ」「そうなんですよ。サイレンサーをつければ音に関しての問題もクリア出来ます。ですが(鶴海が腕を締め付けそれだけかと訴える)私達が探しているのは昔の手練れにちかいんです」知るかよという団員を地元の警察に預け次の場所へ「あの本殿はいったい何をされているんですか。いきなりここ一帯の取り締まりを行うなど」「いえ私たちはある事件で誘拐された子どもの捜索を行っています」(喋っちゃっていいんですか?内通者がいるかも)(それなら其れで尻尾を掴みやすくなります)(掴むだけですか?)(鶴海さん人質の子供さんの命かかっていますよ忘れないように!)念を押す寅兎了解と視線を合わせる。そんな彼女達の姿を三階の一室の窓から伺う男女のカップル「へぇ、もう追いつかれたのかショートカットが過ぎたかな」詰め将棋も終盤「来ますよ、戦闘態勢をお二人は僕の近くを離れないでくださいね。男の子の確保が目的です」分かってるとリュックに男の子を入れて背負う。男の子はスヤスヤと寝ている。ドンとドアが蹴破られる「警察の者です。これ家宅捜索令状ね。⚪時△分令状により強制執行開始」強面顔に傷が、しかし鶴海さんが強面顔を引っ張っル事で顔に新しい横傷だけで済んだ「悪い、命びろいした」「いやいや俺のせいじゃないっすよ。寅兎さんの読み通りですね」奥の方から「へぇ二、三人は潰しときたかったんだけどな、さすが”ヒトデナシの寅兎”さんですね」「私はヒトデナシという自覚はないんですけどね”ヒトイラズの万奈”さん私もデナシよりイラズの方がよかったです」「パートナーとしてはショックなんすけどマジで」「鶴海さんは鶴海さんですから」「そういう言い方キツいっすねまさかの知り合いじゃないですよね」「勿論初対面です。初めまして」「えぇ私もあなたの顔に記憶がありません。お互いデータベース越しの対面だったようですね」「トラップ使い、あなたがヒトイラズといわれるのはトラップを駆使して多数を蹂躙する様から来ているようですね。納得ですよ」部屋へは侵入しない「分かったところでどうします。中はトラップだらけここでの即席トラップを作るのも逃げる算段もつけてある。此方は逃げ切るだけ君たちは捕まえなくちゃいけないんだ」どうしますか?と愉悦で投げかける将棋少女そんな彼女の前へお嬢さまが進み出る「鶴海さん中には入らないでくださいね、トラップの位置は把握できましたけど、人数増えると対処が難しいので」地雷が埋まる地面を散歩するように進む寅兎「ちぇ、いい場所通りますね。読みがいいですよお嬢さま」将棋盤から目を離さない万奈「攫った男の子を素直に返してくれませんかね?」将棋盤の前に立つお嬢さま「あの子は核に繋がる糸かな、僕らとは違う存在”可能性への架け橋”だからまだ返せません。心配しなくても危害を加える事は絶対にありませんからとはいえ、信用は出来ませんよね」傘を回しながら「残念ながら」ドスンと崩れる家重機のショベルカーで家の半分を削り取る「あんたいかれてんな!幽霊屋敷を放火で燃やす湖に堅城を湖海の水を抜く…………トラップがわからないなら」「ハイ、切り崩すに限るです」解体工事が進んでいく「やれやれ全く(懐から注射器を取り出す。驚くべき中身は真っ黒な液体)此奴は使いたくないんだ」崩れかけた部屋の四方から黒い武器が降ってくる「鶴海さん!それに触れてはダメです!避けて!」普段冷静な寅兎さんの必死な態度に「はなれんぞ!撤収開始鶴海さんは?」投げかける言葉に「子供が助けを求めてる救出を優先」逃げるカップルを追いかける「私は無視」黒い武器をすり抜けるように躱す「なるほどトラップの場所の確保は半々でしたか重機での威嚇がいい証でしたねなら」カップルと寅兎の間の床が抜ける「追跡はここまでで、頭の機転、大胆な発想、勉強になりました………ただ”持つ者”と”持たざる者”の差別は口に出さずともお分かりいただけますよね。警視庁のエリート、千里眼のような推理、其れは普通の世界なら生態系の頂点……ですがこの世界は違う”鯛形臓の差別”こそが全てを凌駕する世界だから………我らギガマイマイはそんな世界が大嫌いだ。この世界を終わらせるかもしれない者への恩がここにあるサァ鯛形臓の不全なる世界へ」にゃろうと食ってかかる鶴海さんを抑えさせて「ギガマイマイ……公安の監視対象組織でしたか、鯛形臓の不全による平等確かに一つの能力で一生が決定するのを破壊すること其れは正しく聞こえますね、でも持ち得て生まれた者も”始めから持っているしょうがない事なんだだから其れを理不尽だと奪うなら全てを終わらせる答えにたどり着かないとだめだ。中途半端が色々傷つけるんだよ。どこでもね。だから君にはその子は渡せない。親の為に子が傷つく。反対よりも尚更駄目だよ」「駄目か?なら我慢するしかない。一生が終わるその時まで」ドロドロな体を部屋に拡散させるカップルの男の体の一部がスライムのようにちぎれて動いていく「鯛形臓まで使わなくても」「いいからお前は鍵を届けることだけ考えてろ」敵対し盾となる男「鯛形臓を無くすと言いながら忌み嫌う力を使ってまでボクを止めますか?」寅兎の問いに「他の奴と違う。ドロドロ野郎、スライム擬き色々傷つけられましたからね、まあ力が無く”少し人と違うだけじゃん”だとさ(壁を抉りながら)なんて奴よりはいいけどね」万奈と寅兎の間が広がる駆け出す寅兎その手がリュックを掴む「辛い経験をしたんですね。一言たった一言です”その子を返しなさい”すみません二言でしたか」淀みのない目で宣言する寅兎「心配するな、あんたの命はここで消える」スライムが四方八方から寅兎へ「得物、苦手なんですがね」スライムはそのままジメンへ落ちる「逃げますよ」躊躇のない言葉に「なんで?まだ?」「対鯛形臓ワクチン型五番”ブリュトリッフ”小太刀タイプ………警視庁と公安、護省の合同開発による対鯛形臓対策、犯罪の多様化を見据えて作られたモノです。実戦配備されてるとは驚きましたよ」苦い顔をする万奈「言わずもかな、ここにいる全員携帯しているのであしからず」拳銃のホルダーとは逆に鞘に収まる”ブリュトリッフ”が警視庁の面々が所持している「犬どもが、そうまでして身分を守りたいか、力無い溺水を沸きたたせたいのか!!型にはめ吊り上げるそれが高めること?生き延びること?笑止!!強い力はそのもの自体が害悪だと何故悟らん?故に差異は罪」はっきりと言い放つ万奈「何よこれ」唖然とするリュックを背負った女性先ほどまで建ち並んでいた建物は無くなり更地になっている「これで罠の心配もなくなるっもんすね」寅兎へ鶴海がグッとポーズをとる「隠れる森もない、戦力差も言わずもかな、投稿を進めますよ」静な口調で万奈を見つめる寅兎に薄ら笑いを浮かべながら「投稿は勘弁ですね」万奈を中心に四方八方の地面に亀裂が走る………「地盤沈下ここらニキロ四方に空洞化が確認されました」「でっかい穴が開いてた洞窟だったって事かよ」「正確には”洞窟ではなく森”と表現する方がいいかもしれませんね」「えぇ、洞窟なら俺らが調べたりお嬢様が気付かれたりしたでしょうだがそんな痕跡がない。ここに空洞が無かった」「空洞化しないようにいえ気付かれないように地面の森を作り隠したというところですかね」「共同戦線はここまで後追うぞ」「追うって?どうやってすか?地面のスキャンから空洞化は半径約一キロメートル。空洞といっても脆く崩れやすい獣道です。どこから地上へ這い出るか検討がつかないのに」黙り足が止まる先輩に「空洞の亀裂が万奈さんが故意に作ったトラップなら………見た目にだけとらわれていては見落としますよ」振り返る先輩「スキャンを広げる」「だから範囲を広げたって」という後輩に「横じゃない”縦にだ!”」にこやかな寅兎と変顔する鶴海にご満足ですかと睨みつけ去って行く先輩。後輩が疑問を投げかけようとするも「表面はフェイク実は奥に」改めてスキャンすると驚声が響く画像には奥に大きな空洞そして東南へ続く一直線のトンネルが映し出される




