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「師匠じゃないんだ………龍神!」弟を失いその応えを得るため神器質をとった姉の前に現れたのは彼らの師匠ではなく……龍神の片割れだった「不鎖っていうあの支神じゃなくて悪かったわねぇ、あなたの気持ちわからなくわないけど…………神器質渡してもらえないかしら、あたし達の本命はあの鳥神の息子なの」二対の龍を宝玉から召喚する。自らも羅髭を生やし臨戦態勢を整える。「まぁいいや」一瞬で龍神の後ろを取る「相手が誰でも関係ない″取り戻す邪魔をするなら″排除するだけ!」「鱗門」攻撃は大きな門を象った龍神に防がれてしまう「神器質…………確かあなた達は″二つで一つの神力を使ってたと聞いていた。でも今はその片割れもいないまともに神力は発動しない………其れを補う為の力ね」鱗門を解除して薙刀を振り下ろす「くっ!」あたったかと思った龍神だが薙刀が切り裂いたのは部屋に飾られた銅像だった。「移動いや選れ変えたってとこかな」龍神のもつ薙刀が漏らすと「聴いてはいたけど厄介ね………」すぐに姉との距離を詰める龍神薙刀を振り下ろすこと数回………全て神器質の能力で躱される「きりがない……戻って」そういうと手元の薙刀は玉に戻ってしまい髪飾りへ「時間もないし………起きなさい″愛籠″」…………髪に挟まる玉に反応が無い「無理矢理使われたい?」「………″営業時間は終了しております。またの機会って」「出て来なさい!」「チェブーブー……あいあいわかりやしたよ」玉から現れたのは葛籠に入った女の子「何なんですかあたしが呼ばれることなんかないじゃないですかタミーとモンモンだけで何とかしてよ!!」そんな葛籠の上に座り「アイツの能力が少し厄介なのよ、物理的攻撃なら何とかなるからそこまで引き釣り降ろしてほしいの」上に乗るな!という愛籠にじゃあよろしくと葛籠から降りる。葛籠が少し開き声が聞こえてくる「なるほど君は弟を元に戻したい消え去った神の復元ってわけ」「……」沈黙が応えだった「なるほど、でも神の復元は出来ないと思いますよ。だって神の魂は物世界の魂とは異なります」「うるさいうるさいうるさい……そんなこと解ってるよ!でもアイツは」「アイツ?……あぁ鳥神が言っていた″矛盾″のことですか………確かに矛盾なら何とかなるかも私たちとは異なる世界の神みたいですからねですが……″矛盾にその力があったとしてどうやってそんな偉大な神を従えるのかな?不思議ですね?」それはと黙ってしまう「私が調べてみますよ………その武器を渡して!やめてマイルームを傷付けないで」愛籠の願いは空しく葛籠の一部が破損してしまう「だからイヤだったんですよ!彼女は心的外傷後ストレス障害なの!大事な弟失ってりゃ悪魔の囁きには普通耳ぐらい傾けるでしょ!」葛籠の一部を見ながら「交渉は決裂ですよ!もういいでしょう隠る籠もる玉に戻してよ!」一瞬の油断だった。こんな奴がアタシに勝てるわけない。そんな状況を自然に作り出すのが目的だった「ごめんね!」葛籠の口が大きく開き彼女を包み込む!気づいた時には竹やぶの中にポツンと佇む姉がいた。先ほどまでいた龍神達はいない。「何処へ行った?」辺りは静かで笹が揺れる音と竹の間から木漏れ日がある程度先程まで戦闘をしていた龍神達はいない。「ここは葛籠の中あなたとお話したかったのでこんな形をとりました。外にいるのは私の主?とにかく彼女は彼女達はあなた達の持つ神器質っていうその武器を回収しようとしている」手に持つ武器を隠すようにして「これはダメ!弟を助けるためには必要なの」「弟さんかでも弟さんはもういないのでは?」「違う弟は戻ってくる。アイツは″矛盾なら何とかなるって″」「矛盾なる神………この世界の神とは異なる世界から現れ瞬く間に神世界を蹂躙した規格外な神、私の記憶が正しければ大概こんな認識でしょう………そんな規格外の神ならこの神世界の秩序をねじ曲げて助けられるか」「そう!だからこれは渡せない!取り戻すまでは!」葛籠から距離をとる姉手当たり次第に神器質で攻撃するも「無駄だよこの空間はアタシの″引篭″強固で外界との接点を持たないいや持ちたくないアタシの意思」攻撃の手は緩まない姉の弟を取り戻すいう意思が強く籠もった一撃一撃に「兄弟愛って嫌いじゃないわよ……寧ろ好物です」と茶化すも姉は真面目だった。姉弟といっても表裏一体鏡を見ているようだった………だからこそ弟がいなくなったあの瞬間体の半分を失ったような虚無感に襲われた。気付くとどうやったら埋まるかそんなことばかり考えている。何時までも埋まらない感覚葛籠の言ってることは正しいんだろう。帰って来ない者を取り戻すそんなのは″夢″じゃなく″誇大妄想″でしかない………でも″信じたい………信じた自分に浸っていたい………ホントに痛くて温い何かに…・…いきなりだった片腕が飛んだ神器質を持った片腕を飛ばされた「アァァァーー?!!?!」言葉にならない喪失……戻さなきゃでもどこからふと前を見ると葛籠が貫かれている空間が崩れ去っていくと葛籠を貫く龍神の女の子が現れる「何のつもり?片腕だけが跳ぶように間に入るなんて?」「そうしないと………あなたは…………消してしまうから″あの時みたいに″」そんな葛籠の言葉に「戻りなさい」と一言発すると葛籠は宝玉へと変わり龍神の髪に収まる。立ち上がろうとする姉頼みの綱出会った神器質は腕毎後方へ吹き飛ばされている。右手に持ち替えて等という行為を目の前に立つ龍神は許さないだろう。「動かないでね」「アァァァーー!!」片腕の方へ走り出す姉…………片腕がないぶん体が大きく揺れるすぐに足がもつれ倒れてしまう。然し這いながらも前に進む……″まーたサボってねーちゃんは″………″物世界ってどんなとこかな?″………″不鎖様にはねぇちゃんが必要なんだ。だから端から答えは決まってる″………這っていた動きを止め「アタシの為に代わりに巫山戯んな………そんなこと頼んでない!アンタはアタシの後だけ追ってればいいのよ!アタシの後ろ姿だけ見てれば」だからと神器質に手を伸ばすが龍神の槍が姉を貫く!「言ったわよね…………戻りなさいって愛籠」目の前には姉との間に葛籠が串刺しになっている。そのおかげで槍が急所には届いていない「アタシも言ったわ。二度と″夢幻フォロー″の時のようにならないよう止めると」然し槍に力が入り「私は″あの時″行った事を忘れてないし悔いてもいない。だから」姉は消えていく神としての形が保てなくなる。最後までその手の先にある神器質を掴もうとしながら葛籠の刺さった槍を抱えながら部屋を後にする。……「大きな音がしたけど?」そう話す女の子その傍らには老人の姿をした二児の父がいる。「複数の戦いに決着がついたようだ。こちらの相手はなるほど死人か」老神と女の子の前に現れたのは猫の格好をしている体が薄い人だった。「神と人………かあの鎖の神様とリベンジしたかったがしょうがにゃいな………相手が神なら本気でやるにゃんよ」猫の格好の死人の牙は剥き出しツメは長く伸びる「化け猫の死人か?言師には聞いていたがなるほど本当に物世界に死人がいるというのは拗れとるの」猫死人が持つ神器質を見ながら複雑な表情を浮かべ話す老神「龍神が戦闘を終えている。恐らくいやじゅちゅうはっく天裸形のせがれの元へ向かって居る。勝手な行動はとらんだろうが………言師を始め他の戦いが終わっていない以上いやはやこちらも急ごうかの!さて螺馬、始めるぞ」女の子に戦闘の準備を促すと頷き女の子の中に入っていく老神。女の子から七色の羽が現れる女の子の目の色は右目は赤くと左目は青いオッドアイに変わる「気配が変わったニャー人の気配ではないこれが神約……でも負けなーいニャー」腕をぐるぐると回して気合いを入れる猫死人に「悪いが一気に終わらせる。死人″お前はどんな夢を見たい?」猫死人のまわりから女の子の姿が霧のように消え去る。「おーい起きろよ」肩を揺すってくる女の子目を覚ますとそこは懐かしいとても懐かしい空間だった。「何だよまた居眠りか、空襲警報がなったら置いてっちまうぞ」丸坊主で学生服を着た男の子が机に肘をつき笑いながら話している。そんな彼のほっぺをつねりながら「⚪⚪ちゃんは先月空襲でだからからかうな!」ほっぺの手をはね除け「何だよ!このご時世珍しくもないだろ。誰だって危険と隣り合わせだ」そうだったと顔を伏せる「⚪⚪ちゃん具合悪いの?」大丈夫と顔を上げたあと隣に座るこの空間にはいなかった奴の顔を見る「どういうつもり?」そんな彼女にオッドアイを見開きながら「なるほど(指をならすとビデオの一時停止のように周りが止まってしまう)これがアナタの夢何だ。」机から立ち上がり「ずいぶん普通なんだなぁ、王になるだの!誰かを祝いたいだの!世界を変えたい!なんて輩は多かった。普通の学園ドラマな夢を見続ける事か、悪くは無い夢だが面白くもないただの夢だね。君はこの夢から覚める事が出来れば君の勝ちだ外へ出られる。猫死人は慌てながら「みんなここから避難しよう避難ここはダメダメなの!」教室に彼女の声が鳴り響くがそれよりも高いサイレンの音が鳴り響く。猫死人の声が一層高まる「早くここから逃げなきゃ!」………忘れもしない⚪月×日戦いは佳境を迎えようとしていた。私たちの国は負けている………いいえ″すでに負けていた″でも国のお偉い方は負けを認めなかった。それが目の前の彼らを大事な友達を失う結果になった。このまま目覚めなければそう思ってふと瞼が開くと「どうしたの?⚪⚪ちゃん?サイレンあぁそれなら」教室のラジオから流れてきた言葉は「⚪月×日正午敵国⚪⚪の首都を陥落ここに我が国の勝利が確定サレシモノナリ我が国民は神たる陛下を讃えここに勝利の宣言を高らかにオコナウモノナリ」…………何だコレ?勝利?負けは確定していたのにどうして近くの男の子の胸ぐらを掴み「可笑しいよ?!どうなってんの?あれだけ劣勢だったのにあり得ない」その言葉に「劣勢?何言ってんのさ、我が帝国は連戦連勝負けたことなんかないだろう欧州も傘下に収めて後は海の向こうの野蛮な国だけだったじゃないか?まぁそんな野蛮な国も全面降伏も近いだろうし」他の皆にも聞いて回ったが応えは同じ………「皆死なない………いい夢を見れるとてもいいじゃないか」違う「違う?これは誰の夢でもない君が望んだ夢さ、ここには失った者がいる失ったモノがある。いつまで馬鹿をやって過ごせる。馬鹿で何が悪い馬鹿のどこが悪い夢に浸ることは愚かなことか、叶わぬ夢を見るのはつまらないか。全部を捨てることも出来ずかといって叶わぬと嘆くばかり馬鹿よりよっぽどたちが悪いたった一度の人生?大きな天災だろうが運の悪い事故だろうが同じだよ。さぁ選ぶがいい(指をならすと扉が開く、扉の先にはオッドアイをした女の子がいる。先程戦っていた場所だ)戻って戦うのもよし止めはしない。その時は私達も持てる限りの力で闘おう………然しここに残らなければ君は苦しみ続ける仲間を失う悲しみから逃れるすべはない。さぁ選択するといい…………バタン扉が締まる音「あれでヨカッタのかな」幸せそうに眠る猫死人「神器質の力で物世界に居られる間はいい夢を見れるだろうよ。あぁいう選択は気に入らなかった?色々なのさホントに色々いいことでも悪いことでもやった記憶はなくならないなら夢の中だけでも安らかにさせたい………例え行き場のない袋小路な選択であってもね」…………「この部屋だね、失礼シマースと中にあれは人かな神でなかったのを喜ぶべきか、君がここの主なの」部屋の中央には野球部の服を纏った男の子がいる「守るべき人が僕にはいます。あなたが邪魔をしなければ私は何もしない」男の子は静かにそう告げる。其れを聞き竹刀を持つ女の子は「アタシはさ神ってのは信じてないわけじゃない。不動ちゃんと神約を結んでる。でもあんた達の親分のやろうとしてることは正しいのか間違ってるのか分かんないでもねウチの後輩が必死に止めようとしてるそれは分かるの。だからその手助けをしたい。君にも絶対の理由があるみたいだけど、それはあたしとは関係ないから」あっさりと切り捨てた女の子に「そうですか………いえそういうハッキリとしているのは嫌いじゃない…………こっちも遠慮がなくていいや″プレイボール″」野球男子の一言で周りが野球場へと変わる。「何野球でもやるのアタシは野球やったことないんだけど?」「アナタの噂は聞いている。勿論神約者としてではなく学校内の噂です。四月の勧誘は有名ですから」アハハと笑いながら「恥ずかしながら部員集まんなかったからね…………じゃしつこい性格だってのも識ってるよね」えぇとホームベースにいた彼は一瞬で女の子の左側面に立っている。女の子目がけボールを投げる女の子は後方に交わすが服に擦れてしまう。「″ワンアウト″」彼の後ろのスコアが一つ赤くなる。「三つアウトで交代とか?」「いえ(指を三本立てて)三つで終わりです。左足重くないですか?」言われた女の子は自身の左足を見ると「石になってる?何これ?」「無闇に動かさない方がいいですよ。今はまだ左足だけ時期に体の自由がなくなります」上げたマスクを深々と被りながら話す表情は冷静というよりは冷徹さを感じる「″プレイボール″ほら早く避けないと後がなくなりますよ!」今度は右側からボールが飛んでくる「右手ですか次は………この神器質の力はまだ慣れていないので如何することも出来ませんね、私は今ので両足をやれると思いましたがホントに凄いなその足で避け続けるなんて!」片手片脚を起用に揺らしながら体をくねらせ避けていく女の子「なるほど、少しずつ慣れてきたかな」女の子の体にボールが当たらなくなった。女の子の身体能力に加え″戦神″である不動力士と神約状態にある彼女にとって除ける事は大した事ではなかった。「これ如何したら終わりなの?避け続けるのはいいとしても終わりが分かんない触れたらダメなんでしょう」………初めから神に勝てるなんて思ってないこの神器質をもらった時に言われたことだ『神器質を持ってはいても神は強い』勿論勝てないと言われたわけじゃない。でもこうして戦ってみて分かる。例え俺の神器質が戦闘に特化していても勝てないだろう事はわかったっ!キャッチャーマスクに切れ目が入る。彼女はマウンドでボールを避けている。いつ?!いつ攻撃された!「ありゃ、避けながらじゃ上手く当てられないかな?ほらニゲキメ来るよ!」今度はプロテクターの一部が破損する。駄目だ攻撃の手段が判らない。なら相手が攻撃する隙を与えない!いくぞ!ボールが飛び交うスピードを加速させた。あと1球あと1球さえ当てれば…………救える………何も出来なかったあの時とは違う見ているだけはイヤなんだ…………だから!だから!ボールが加速して躱している彼女の動きを制限していく。そしてボールと彼女の間が狭まり当たる?…………これで俺の勝?彼女に当たったボールが地面に落ちるが彼女は石化しない?自身の体を見ると赤い布が神器質を貫いている!「危なーかった」彼女の言葉が全てを物語っていた。俺が負けていた彼女にボールが届く前に終わっていたのか。その場に崩れ落ちる野球少年試合終了のサイレンがぼんやりと聞こえていた……………どうかしたかい?と医師がパートナーの白い兜に尋ねる「いや、我々も先に進もう」部屋に入ると自分達の相手がいるのかと思ったがそこは迷路だった。この部屋の主はヒッキーなのだろうか?広がる部屋まるで森のようだ。この森のような部屋に居るであろう神器質を持った何者かを探している。すると「しつこいな、いい加減休んだらどうだい?先生?」そこには包帯で顔を覆った女の子がいる「君は?僕の患者なのかな?キミのような小さな子は覚えているはずなんだけど」医師がそう答えると「あぁ、この姿ね新しく転生した先がまた病人とはついてないね」そう言いながらタバコを吸う真似をする「中指と小指を挙げる…………!君はまさか蛹街さんなの?」柔やかに笑う包帯少女「よく屋上で取り上げられたよな、必死に病気と向きあってくれた………まさか神約者とは思わなかったけどな」医師が知っている蛹街という人物は中年男性だ。病気が全身に広がっている薬漬けでようやく体を動かせられていたそんな患者だった。「神約に違反して″ゲンシ″に罰を受けたのか………」医師のパートナーである写神が目の前の女の子の正体を話す「ご名答いやいやここの社長じゃない鳥神様とは初めての転生のさいにであってね。実験がてら色々つかわれてんのさ。転生そのものは変わんないけど」「これで何回目ですか?」「んん………あぁナナカイメかな?」「どうして神約に逆らうんですか?」「…………まぁ四の五の言っても結果はこうなったお互い立場はハッキリしてる。本来なら肉弾戦と謂いたいが、この通り今はか弱き女の子だ。神器質をもってしても神約者の相手は分が悪い。だから(森の奥へ消えていく)じっくり遊び相手になって貰う」取り残される医師と写神「困りましたね蛹街さんはこの空間を使って逃げ回る気なのでしょう」そういう医師に「相手の神器質が判らない以上どうしようもない。慎重に進むしかない」そんな写神に「いいえ、ここは一気に行きます」と宣言する医師………木々が生い茂る森の奥そんな木陰に女の子は蹲っていた(逃げ回ることで時間稼ぎをする、これが一番いいや)大きな音が響いたと思ったら木々の葉っぱが雪のように散ってい?いきなり目の前に医師が現れる。後方へ飛ぶ女の子(どうなってる?写神の力か!)あと少しという所で女の子を掴めなかった。「次いくよ」と医師が行動を開始する………「ハァハァ………写し神の力にしてもどうやって的確に俺の場所が分かった?分からねぇにしてもこうも病人ばかりとは転生もそれなりに良いことやってきたんだよ!」包帯の女の子のすぐ後ろ白衣の腕が空をきる。「惜しい少し擦ったか!」あーぶな気配が無い?どうして「なるほどそうか!(ポケットの飴を取り出す)いつの間にかこんなものを仕込まれた。仕込んだのは多分写し神のほうかな。俺が避ける瞬間を狙ったのかな葉っぱはカモフラージュに使ってさ」「ネタバレ満載だ。すまんなもっと上手くやれなかったよ」反省している写し神に「構わないよどうせすぐバレると思っていたから、でも相手の能力も大概分かった。相手の神器質は隠れることに特化したものだ。ここに来て一度も向こうからの攻撃は無かった。なら蛹街さんは逃げ回ることを重視するはず、後はこっちが捉えられるかだけだね」淡々と話す医師に「こっちの神力もバレてるからそう簡単にはいかないんじゃない」写し神の進言に「そうだね蛹街さんにすれば戦う必要は無いんだから逃げ回るという選択肢をとるのが一番だ。蛹街さんの神器質がこの森を作ったのならそれは彼の心のありよう何だと思う。一時期精神科も目指してたんで当たらずもってとこだと思うよ」森を進む………今日から研修生として働くことになった………数時間後、ヘタレこむ医師の卵「何、もうへばったの?」同じく看護師に成り立ての女性に活を入れられる「研修辛いとは聞いてたけど…………現場こんなに大変なんだ」コーヒーを飲みながら「何、大学院は天国だった?」「いや大学院も資料集めたり充実はしてたよ。でも人の病気に直接触れ合うってのはさ大変で特に65号室の患者さんはさ………」「あーぁ蛹街さんね………全身癌の転移が見られて動けもしない冬眠療法っていう低機能代謝状態にして癌の進行を遅らせる方法も………なんか実験動物みたいよね」どんな人でも救う事を夢見て医療業界の門を叩いたが現実は絶望する毎日が待っていた。同期はそこそこやれればいい薬出してりゃいい、そんな堕落いや合理的に仕事をこなすものばかりだった。特にこの病院は酷かった。蛹街さんだけじゃない複数の患者さんに多量の薬を投与している。先輩の医師たちは医学の発展なんて言ってるけどこれじゃ…………屋上で蛹街さんと出くわす吸っていたであろうタバコを隠し苦笑いを浮かべる「どうしてですか?」タバコのことだと思った蛹街さんは「ちょっとだけ1本1本だけ………ってあれ違うの?」「………私にも1本ください」タバコを加え吸い始めるも咳き込み涙目になる医師の卵に「大丈夫か先生にはタバコは会わねぇって」笑う蛹街さんに「あなたは実験台にされてるんですよ!この病院の!」言った後に後悔したが「そうだなぁ………実験台か………でもそれで他の誰かは助かるかもしれない………もうこの体は長くないだろう。なら世のために役立ちたいじゃん」「でもあなたはずっと病気で苦しんできた人生でしょ……世のためっていうのはあくまで″自分が世の中から普通に得られたと実感した。生きていると実感した後に沸き立つ感情ですよ″普通よりも与えられてないなら無理して他の人と同じに返す必要があるんですか?僕には分からない」蛹街さんが吐き出す煙草の煙が雲のように空を流れる「俺にも分かんないさ………繰り返し繰り返し長い間考えても答えは見つからなかった。今も模索中でも″与えられたから与えられなかったから″ってのはさなんかこう違うのかなってね。まぁ人生落伍者の台詞だ。聞き流してくれ。先生は医者になって間もない。頑張って藻掻いてみなよ」そう言いながら病室に戻っていく。ふらつきいつ倒れてもおかしくないそんな状態で「あの時蛹街さんに言われたからこうやって写し神様と出会えた彼女と出会えた。だから蛹街さんを止めたい。彼の正体はここに来る迄にわんわんくんの友達だという女性から聞いた。後は本人に聞くさ」目の前に包帯を巻いた女の子(蛹街さん)が現れる「長い付き合いだからかなぁ先生」声は幼女だが医師の目には痛々しさを滲み出していた中年の男性が見えている。「もう逃げないんですか。私達は武器を有していないあなたの神器質は隠れることに特化している。対して写し神の力は写し換えることどちら戦闘向きじゃない。つまり僕たちの戦いは逃げきるか捉まえるか…………鬼ごっこに近いモノになる。ならどうして僕の前に現れたんですか」「話し合えないかなと思って………キミ達の仲間に遊神と小学生くらいの女の子は居ないかな?」「小学生?すいません私は彼らの正式な仲間ではないので、知っているのは僕と戦った女の子ですとはいえ彼女は中学生だし、わんわんくんは遊神ではないと思うから」答える医師の言葉に付け加えるように写し神が口を開く「遊神?ではない狗牙は獸神だよ、小学生の女の子はいたけど神約しているのは夢神だったはず、それ以上詳しくは知らない」そうかと話す蛹街さん「知り合いの女の子達もいると思ったんだがな、ゲンシゲンシと騒いでいたほどだったから、じゃあしょうが無い、話し合いは無しだ。とはいえ(手元の神器質を見ながら)預かった以上はいどうぞとはいかない、なので一発勝負しよう俺が勝ったら″鳥神の旦那が事を成すまでここに一緒に居てもらう″君が勝ったら大人しくこの神器質は渡そう。ルールは簡単鬼ごっこだよよーいスタートと共に私は隠れ逃げる。捕まえたなら君の勝ち。逃げ切れれば私の勝ちだ。いいかな?」「断ります」「何だよ。相変わらず頭が固いなぁルールがなきゃ」「だってもう決着ついてますから、さっきもいったけど″お互いの特徴を鑑みても鬼ごっこを選ぶのは間違ってないけど間違ってるのは僕が何もヨウイセズにこの場所に貴方をおびき出すわけ無いということです。疑ってます?なら鬼ごっこしましょうか?逃げて結構ですよ」それじゃとその場から数キロ離れた蛹街さんだが次の瞬間目の前には医師の姿がある「何で、クソ」今度こそ確実に離れ!?然し目の前には医師がいる。追われている。クソと何度も離脱を試みるも幾ら試しても目の前には医師の姿があった。「追いつかれてる?」首を振る医師「僕は一歩も動いていない。写し神の力を使って交換するモノをこの部屋のあちこち置いたんだつまり僕たちの意思でコノヘヤニいるものは″この場所に戻すことが出来る」何だよそれと崩れる蛹街さん………数時間後「参った。ほれやるよ悔しいが俺の負けか………タバコ吸いたくなるねぇ」…………ドアが同時に開く。片方からは言師が入ってくる。もう片方からは「あら言師じゃない。同じ部屋だったのね」不鎖のお姉さんが現れる「ということはここの敵は」「間違いなく」「おやおや此奴は二人ともめんこい女子じゃあわいの。おっと御師もめんこいがの」警備員の格好のおじいさんと夢幻フォローの姉が立ち塞がる。




