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オオキミか死人の王と聞いてはいたが、会ってみれば張り子の虎とは、名前だけが独り歩きを繰り返していたようだ。獣神の中でも神に対しての不確定要因として危険視されていたんだがな、まぁ今のオレには関係ないことか………風通しのよくなった部屋にいる死人に向け足を進める。オオキミと呼ばれる死人は覚悟したように目を閉じている。今さらかける言葉は無い″喰らって終わらせること″其れがこの場にいる者は理解している。いざ大きな口を開いた瞬間体の自由が奪われる。………なんだコレは体の自由が効かない(何だ?体がぶれる?膠着していく?!!まさか?!)石のように体がトマルコトナクゆっくりと固まっていく。其れは自身の中にある先程食べた死人″オタクサが原因″であることは理解している。この部屋を作り上げた死人だ。神を無効化する方法を考えていないはずなど無い………食べたことへの後悔する時間など与えられず儚く呆気ない神堕ちの最後だった。そんな動かない神堕ちをじっと眺めるオオキミ安堵の表情だが目の奥には恐怖を感じたからこその想いが燻る…………目の前の力に強く惹かれてしまう想いは隠しきれなかった…………噛み砕き………貪る………目からは怯えと涙が溢れている″こんな弱い自分はイヤだ!!!!!″………一心不乱に力を求めた。部屋の中には壮絶な食事風景だけがそこにある…………一方太市は卍燈籠を渡して貰うため云兎のいる部屋へ急いでいた。然し警戒していたムツサに出会してしまう「全くふらふらと云兎も一緒なのですか?」お説教はまだ終わりそうもない。下手に説明しても十中八九反対される。何とかやりすごさないとでもコロマルの機嫌が変わっちゃったらどうしよう、やめやめ考えるのは後にしよう「あのムツサ様物々しい警戒なのですが何かあったのですか?」そうムツサに尋ねてみると「侵入者がいるようだ。戦える者は戦闘態勢に入っている。太市も早く部屋に戻りなさい。部屋から無闇に出ないように、分かったわね」そう言い残すと巡回へと戻っていくムツサ。あれだけ派手に侵入すればこういう事態になるのは火を見るより明らかだった。其れより卍燈籠を先を急ごうとする太市の体は持ち上げられる。持ち上げられながら振り返る「父ちゃん………じゃなかった部姫不名様どうされたのでござりますか?」よそよそしいホントによそよそ過ぎた。「全部包み隠さず話せ………今は姉ちゃん達とも連絡がつかない。おまけに侵入者だ。いつものイタズラでは済まされない。だから」話せない父ちゃんはきっと反対するし拘束されるでもそれじゃ云兎やオオキミは食べられる可能性が上がってしまう。何も言わず横を抜けようとするもドスンと部姫不名の体に当たる?!「いつものおいたではすまないんだ………拘束してでも話してもらう」父ちゃんが本気だ「云兎が………」小声で発した言葉を聞いて廻りの死浪を気絶させたのは日雫不名だった「おじさんどうして?」その言葉に「云兎がこの件には絡んでいる。それに″君の行動は間違っていない″そういう流れがある。ここは僕が食い止める君は自分為すべき事をやるんだ。あぁ云兎によろしく二人とも無理はしないようにするんだ。さぁ行って」背中を押されるように走り出す太市。後を追う死浪はことごとく日雫不名の横を通ると魂が抜けたように倒れ込む。そんな死浪に「お前さん達はムツサ様の護衛へ向かえ、オオキミの護衛の数は増やしておいて損は無い。日雫不名の相手はオレだけでいい。さぁいけ!」廻りの死浪は一気に散開する。太市の後を追わないことを確認すると死浪たちの邪魔はしない日雫不名「これが、兄貴の″跳場″の答えかよ。太市を動かせる結果がいいと感じたわけか。だが兄貴………日雫不名あなたがしていることはこの死都への反逆行為でしかない。形だけでも取り繕わないとな咎鞠!」サッカーボール位のトゲのついた蹴鞠が現れる。「やれやれ部姫、お前とケンカするのは何時ぶりかな?」其れを聞いて部姫不名が「そうだな、ムツサ様の命令で大きな死人街を訪れてそこの在り方を巡って争って以来かな」蹴鞠を体でリフティングしながら答える部姫不名に「あの後二人ともたかが外れて街がめちゃくちゃになってムツサ様と謝りにいったっけ」と昔を思い出す日雫にそうそうと笑う部姫そのまま二人はぶつかる大きな音が辺りに響き渡った…………「何?日雫が………分かった(跳場の掲示を優先したか、いずれにしても戦力の確保は望めない)一端オオキミの処へ、太市の動きを鵜呑みには出来ないが狙いがオオキミでない可能性もある。それならオオキミを守るのは最低限でいい。端から戦いにはならない。嵐が過ぎるのを最低限の備えで乗り切るぞ!」集まっている死浪に命を下す…………「くそ、中はだいぶ入り組んでいる。警戒が強くはないが、おい赤い死人お前さんがいるのに何で攻撃してくる?」戦いながら赤い死人は「オタクサ様の塊魂はここに入ってきた異物の排除が目的だ。死浪とて例外ではない(確かに少しおかしいな、オタクサ様はもう…………考えても始まらないか)取りあえずここを突破する塊魂の体はこの囲折合を形作っている神器質と同じもので出来ている」赤い死人に砕かれた塊魂の体は暫くするともとの体に戻ってしまう。其れを見て赤い死人が「インターバルはあるもののここで戦うということは無限に再生する塊魂を相手にすることだ。いずれ追い詰められることになる」その言葉を受けグーガが「被害は最小限に留めるつもりだったが、天裸形の義娘を確保するのが最優先か……そこの赤い死人を頼む」そう言うと黒いボックス二つは赤い死人を囲む。「無用なことだ。私は死浪の長なのだ。この程度の塊魂に遅れはとらない」黒いボックスの片割れが「別にあなたのプ~ラ~イド♪を傷つける気は無いんですがね~」黒いボックスは二つ赤い死人を覆うようにバリアを展開する。もう片方の黒いボックスがボソッと「見ていれば分かります」と赤い死人に忠告した。一瞬だったグーガの尻尾が見えない速さで動いたかどうか思うとホントに一瞬で終わった。辺りの塊魂は復活しない?どうなっているのか分からない赤い死人を他所にバリアを解除する黒いボックス二つ「これからどうするのですか。無闇やたらに回っても照留の居場所は分からない。頼みの綱のそこの赤い死人さんもこの建物のどこかにあるくらいしか分からないのでしょう?神堕ちの神力を今は感じない。狗牙様の攻撃で弱っているのか。身を隠しているのかは分かりませんが、どちらにしても″卍燈籠を神堕ちより先に見つける事″その事を優先してもらいたいです」黒いボックスと化している社長には今はその事しか望めない。その話を聞いた赤い死人は「云兎様の元へ行ってみましょう。太市様と一緒におられたはずです。太市様が卍燈籠の居場所を知っているそう考えると云兎様が一緒に行動されていないのが気になります」太市あの神堕ちについていった死人の子どもか?「そうだな、確かに神堕ちとの戦闘のさいに神堕ちから離れようと思えば離れられた。神堕ちもその事に執着していない様子だった………それでも着いていったか。となると″着いて行かざる得ない何か事情があった″そう考えるべきだな。それが″云兎様″という女の子の死人と関わっているそれでその云兎様の居場所に心当たりはあるのかな?」そう尋ねると「私では場所の特定は不可能です」ハッキリとした発言にそれじゃあやみくもにと述べようとすると「然し″日雫不名様″の跳場なら云兎様の流れを読み取れるはずです!私は日雫様に跳場を習いましたが流れを読みずらく場所の特定までは行えません。ただ日雫様の流れはだだ漏れをさせられているのでハッキリと分かります。今はこの二つ上の広間誰とまでは分かりませんが戦っています。急ぎましょう」了解と階段を駆け上がっていく。……部屋には残骸が転がっている。オオキミを守るため部屋に入ったムツサ達が見たモノは侵入した?であろう神の残骸が散らばる異様な空間だった「何だ!?オオキミ!オオキミ!」一変した景色に辺りには砕け散る塊魂その中をかき分け必死にオオキミを探すムツサだったが、オオキミの姿は何処にもなく砕け散った塊魂ではそれがオオキミだったかも判断出来なかった。一瞬貫かれたと思い振り返るとそこにはオオキミの姿がある「オオキミ?何で?」一緒についてきた死浪はいつの間にかいない?「ムツサ僕は弱かった。死人の安定の為にと思いこの死都を作り、神を刺激しないように過ごしてきた。だけど″ここは神の国だ″僕らは異物でしかない。だからね(突き刺す力が強くなる)必要なんだ!(片手で死浪のなれの果てである塊を桃でも囓るように頬張っている)さっきからお腹が減って仕方ないんだ」……………その部屋から物音がしなくなるまで時間はかからなかった。オオキミの部屋の扉が開かれる「卍燈籠………あれの中に″神がいる″もっとだ………もっと食べたい」そろりそろりと歩みを進める。そこへ部姫不名と日雫不名の兄弟が駆けつける。そこには兄弟と変わらない年格好の青年がオオキミの部屋から出て来た所だった。「てめぇ、何者だ?お前が侵入者………神堕ちなのか?」咎鞠を踏み締めながら睨みつける部姫不名に「そうだな………今はそう言うことになるかな?!」青年が応える咎鞠を青年に向かって蹴り出す部姫不名だったが指一本で其れを止める青年「僕は神堕ちなんだろ?だったらこんな″似非神力なんか″子どもの遊び………いや失礼そんなちっぽけな差ではないか神と戦ってはいけない。そう教わらなかったかい?」咎鞠を目にも止まらぬ速さで押し返し部姫不名に圧倒的な力の差を見せつける。吹き飛ばされる部姫不名を「″然魂象″」という声とともに現れた水で出来た大きな腕がキャッチして包み込んでいた。「兄貴悪ぃ……油断した」その言葉を聞いた青年が「油断ですか……それで部姫の次は君がやるのかな………日雫」自分の名前を知っている事に驚く部姫不名だったが日雫は驚いた様子を見せない「ここに来たムツサ様は何処へ………」応えない青年「ムツサ様と共に大勢の死浪がここへ来たはずです。その者達をどうしたんですか?」応えない青年「ここ囲折合に侵入した神堕ちは″獣神″だったはず……あなたは″どうしてそんな姿になっているんですか!!!………オオキミ!!!!!」普段声の大きくない日雫が声を荒げる「さて、どうしてかな………ムツサも他の死浪達も今や僕の一部だ。勿論″神堕ち″も、然し何だな神堕ちを食べていた頃は少しはこの死人街の為とか死人の未来の為とか考えていたんだが、どうにも色々な者を食べてしまうと″そんなどうでもいい事″は頭の中から消えて力に溺れる僕がいるんだ。とてもとても気持ちのいい″力があるというのはこれほどの高揚感を生むのか、実に心地がいいんだ。あぁ質問に答えないとね″この姿は″おそらく喰らった死浪の魂を吸収した結果だろうね、最もそれもこれも″神堕ちを喰らって変化した体のせいなんだけど………勿論正真正銘君たちの知る″オオキミ″だよこれで答になったかな……じゃあ君たちはどうする?正直言うとね気づかないままの方が喰らいやすかったんだ。でも僕がオオキミだとわかって戦うと″食べづらくてね″だから見逃し!!」オオキミ青年に炎の腕が練り込むように直撃する。兄貴と水で出来た腕の中で動こうとする部姫不名に毛細血管の如く植物が水の腕の中を張り巡り絡み付く「じっとしていて回復させるから、それに」炎の腕の先が弾け飛ぶ「少し派手にやるから!!」新たに風の腕を体から引っ張り出し「″合然″」といって弾け飛んだ炎の腕に風の腕を添えると一段と大きな炎の腕が現れる。練り込まれた穴の奥からオオキミ青年が現れるほぼ無傷に近い「すごいな日雫は此処へきた頃はまだ″一、二本しか使えなかったよね。しかも形にもなっていなかったじゃないか″それが今や複数の腕という形を保てるまでになっている。ムツサも鼻高々ってもうムツサはお腹の中だったね」罪悪感も薄く話すその仕草に本当に変わってしまったのだと実感してしまう兄弟「″五指檻″」炎の腕の先端である指が伸び爪のように床に突き刺さりオオキミ青年を炎の腕の檻で閉じ込める。「お願いですから、もう喰らうのはやめてください。戻れなくなります。これ以上の強行は」懇願する日雫に「やだよ!だって″僕が強者だから″キミ達を食べないでいるのだってどっちでもいいんだよ。食べれば僕の力も上がるだけども、やっぱり神が食べたいなー」それは高級店のパスタを食べてもお徳用のカップラーメンを食べてもエネルギー源で見ればどちらも炭水化物の摂取でしかないオオキミ青年にとってはその程度の違いだった。腕を一本一本無力化していくオオキミ青年「たやすいなぁ、持って生まれた者と持たないで生まれた者″その差″は如何ともし難い程の差になり″其れが埋まることなどないんだよ″って見下すってのは此程快感何だな~♪」倒れる二人の兄弟に対して言い放つ。「………今のままでは無理か」……………階段を駆け上がる狗牙と夏蓮亜そこには今さっきまで戦闘があった痕跡があった「日澪様の揺らぎが此処で消えている…………狗神殿どうやら宛が外れた………ここの先の部屋にオオキミがおられたはずだが(奥の部屋を見ながら)あの通り居られる様子はない。卍燈籠を探したいのは山々だがオオキミの事を放ってはおけない。済まないが」申し訳なく話す夏蓮亜に狗牙が「別に構わない俺たちは卍燈籠を探す、お前はどうする?″ここに残るのか?″」その言葉に「あぁ」と静かに頷く後ろ姿に分かったとその場を後にする狗牙達……………「出て来たらどうですか、それとも狗神殿を追いますか?」壊れた柱の影から青年が姿を現す「夏蓮亜か?相変わらず勘がいいね?どうして狗神殿?と一緒に行かなかったの?ここに残ったら食べられちゃうよ日澪たちみたいにね」「!!」ここに来る途中跳場が乱れた時点で何かあったのだとは分かったがまさか目の前に立つ少年の顔はよく知る人物の面影を色濃く残している「ふーん、やっぱり長年一緒に過ごすと分かっちゃうんだね、どうだいこの力(夏蓮亜の後ろの壁が一瞬で砕け散る。その事には動じる事無くオオキミ青年を見つめる夏蓮亜)さすが死浪を束ねている者だ。私は嬉しいよキミがいたからこそ、この長い年月を死人街で安穏と過ごせたからね、ありがとう(頭を下げる)さてお礼もすんだしキミはここから逃げる気も無い。むしろ私を止める気満々の目つきじゃないか。哀しいな僕はまた一つ大事な者を喰らうのか。中々どうしてだが不思議だ………キミを食べたいという欲求も芽生えている。そうだね(赤く赤く染まっていく夏蓮亜)ではいただきます!」先に仕掛けたのはオオキミ青年夏蓮亜の懐までひとっ飛びだ。後ろの壁を砕いた一撃をそのままに赤く燃え上がる体に打ち込む。砕けない!!赤い体に拳はのめり込むことも、赤い体が後方に吹き飛ぶ事もないオオキミ青年の判断が遅れる。過信、余裕、驕りなどの感情を赤い拳が吹き飛ばす。飛ばされたのはオオキミ青年だ「はぁ~もう不名様達は戻せませんか?」吹き飛んだ方向へ夏蓮亜がポツリと声にならない声で話しかける。それに応えるように吹き飛んだオオキミ青年が「無理ですね、消化してしまっています(起き上がり首を捻る)日澪も部姫もコノセカイのどこにもいませんよ………日澪はとても強く信念を持ち誰にでも分け隔てなく接することが出来る子供でした。彼にならこの死人街を任せられるそう思っています。部姫は大ざっぱですが心根が優しい二番目を受け入れられる子供でした。二人共……………とても美味でした魂がくたかれているその最後の一瞬まで兄は弟を弟は兄を心配していました………そんな魂を砕いた時の音は…………何とも言い表せない程頭をぐらつかせ意図しない快感が流れてくる。こう言う考え方を鬼畜だと思うでしょうナンセンス………味わった者だけがかわりのきかないこの一瞬を創り出せるんですよ。理解出来ないという顔ですね。必要無いですよ。だってキミも僕の一部になるだけなのだから」言葉と共に起き上がるオオキミ青年その体は無傷のままだ「渾身の一撃が決まった?相手は神を喰らったとはいえただの死人だ。やれる勝てる?倒せる?なーーんて思っちゃったのかな。不名たちの攻撃も一通り防御しないで喰らったけど、今の攻撃で確信しました。″神を喰らったことで僕はもうただの死人では無くなった″そして神に限らず死人違うな死浪をくらうと先程よりよく見えるよく聞こえるよく感じられる。さてきみを倒してどこまで強くなれるか、楽しみです」ワクワクするオオキミ青年。そんなオオキミ青年を見ながら…………言葉が通じないわけじゃない。ただ廻りの者達と違っているそれだけだ。大きな体には似合わない赤い頭巾を被る死人。赤く染め上げる肉体は一目見ただけでは神にも見えてしまう。そんななりをしているせいで神世界を永劫歩き回る結果になっている。そんな死人に声をかける者がいた。ひ弱な体をした白い髭をはやした死人だ。高齢なのだろうがこちらの世界にはそんなことは関係ない″光ってしまえば転生の合図″姿形は意味をなさない。片手を差し出して「おいでよ!死人街へ」横のおばあさんに頭をこつかれる「まだ!影も形もないでしょうが全く!」そんな二人の様子を見ながら眼鏡をかけた白衣の女の子が「確かに今はないけど、いずれ創れるそんな気しないですか?あたしはこの二人にあった時、そう感じたんです。あたしも偏屈でして″でも必ず居場所ってのはあるんです誰にでも″まぁ其れが望むものか、望まないものかはべつなんですけどね」そう言い終わると二人を仲裁に入る女の子其れがオオキミ達との出会いだった。昔を振り返るなんて………赤いフードを被る大きな赤ずきんちゃんみたいだ。夏蓮亜の姿が変化していく額から左右非対称な角が生え、目は獣のように鋭く瞳孔は開いている。そんな姿を久しぶりに見たオオキミ青年は「懐かしいなぁ………その姿がこの死都を守って来たんだよね………(胸ぐらを掴まれるオオキミ青年あっという間の出来事だった。そのまま腕を押し付け圧迫されるが)それでもこんなものなんですね」夏蓮亜の力は凄まじいはずはずなのに圧迫されていたオオキミ青年がピタリと動かなくなる「いいですよね、やっぱりなんだかんだで″端から持っている力″其れが全てを決めてしまう、努力は否定しませんけど全ては持っていなかったからが起因となってしまう。持ってさえいればふと考えてしまうのですよ」大きく一歩踏み出すオオキミ青年数倍はある夏蓮亜を押し返してしまう。夏蓮亜は赤い頭巾をさらに深く被るすると体は真っ赤に色彩豊かになり全身の体毛の色も赤くなる。「すごく綺麗ですね♪ですが″恐くはないですね″不安に駆られもしない変えようのない強さというのはこれ程素晴らしい。力を持たない頃はやることなす事全てに恐怖を抱いていました。心のどこかで神に怯え、力を持つ死人に怯えている毎日毎日魂を磨り減らしていく………今のは比喩ですよ。そんな事では魂は磨り減らったりしないのでそういう気持ちだったということです。対峙する二人……然しすぐにそれは間違いだと気づく死人と神………決着はすぐについてしまう。「あーあ、赤い頭巾がボロボロだよ」片膝をつき息の切れる夏蓮亜を見て心配するオオキミ青年「まだまだ!」立ち上がろうとする夏蓮亜、そんな彼の頭に触れると立ち上がることが出来なくなる。「それでは(口を広げながら)我が一部になるといい………いただきま~す」後方から口を貫く鋭利な刃物「がにぃほの?」口が閉じれず後方を見るオオキミ青年がそのまま後方へ引っ張ってほおりなげる。「どうして?」夏蓮亜が顔を上げた先には先程別れた狗牙がそこにいた。「悪い、もう少し早く止めに入ろうと思ったんだけどね、きみの覚悟を無碍には出来なくてねギリギリまでは手は出さなかったんだ」夏蓮亜を守るように前に立つ狗牙その廻りには黒いボックスがいる『まだ取り込んでいませんね、然し死人が神を食べた?どういう経緯かは解りませんが目の前にいる者は間違いなく死人の皮を被った神ですね、神器質と似たような状態ですね』似たようなね…確かに神力を感じはする。この感じは神堕ちした獸神のモノなんだがとても濁った感じだ。「神だ…………クックッこんなにも早く神を捕食できるなんてワクワクドキドキですよ。貴方はどんな味がするんですか?食べたいなぁ………」手を伸ばすがその手は切り落とされる「うわぁぁぁ、手が手が」のたうち回るオオキミ青年「妄想から戻ってきたか?神を食べるというか″魂を取り込むのはもうやめろ″自我を失い求めるだけの″ナニカ″に陥ってしまうだけだ」息をゆっくり行いながら「それは見逃してくれるのかな?」失った腕を押さえながら尋ねるオオキミ青年に「それは食べることを諦めるという事かな?」即座に「やだね、おっと本音が出てしまいました。食べることは手っ取り早い力をつけることだと気づいたのだから駄目」その場を離脱しようと藻掻くオオキミ青年だったが狗牙の尻尾は其れを許さない。不毛な追いかけっこが続くがオオキミ青年の動きが徐々に制限されていく「ならしょうが無い、少し手洗いが無力化させて貰う!!」オオキミ青年の両手両足が宙を舞うダルマのように倒れる。それでも逃げられもしない姿で逃げまどう「イヤだイヤだ」容赦ない一撃がオオキミ青年の胸に突き刺さるそのまま動かなくなってしまう「オオキミ様…………」自身の羽織をオオキミ青年に被せる。そんな夏蓮亜を見て「悪いな、俺達は先を急ぐお前の言っていた日澪という死人も………多分そいつが喰らったんだろう」そう言い残し卍燈籠を探しに戻る。ある部屋の前に言師達は男の子と鉢合わせになる。「お前達何者だ!」扉の前に立ちはだかり言師に尋ねる。そこへ「待って太市くん!」そこに現れたのは云兎の母である惨支だった。その声を聞いた途端扉が開き押し倒される太市「ママ?!ママだ~♪」いってーと頭を摩る太市喜び勇んで惨支の元へ向かう云兎に「ちぇーおれがあんだけ開けてってお願いしても開けなかったくせに」と膨れるものの今までに見たことも無い笑顔を見せる云兎にしょうが無いかと思いながら「それより云兎″卍燈籠″はどうしたんだよ?」という太市に「持ってくる」と部屋の中から卍燈籠を取り出す死人のお姉ちゃんはまだ起きていない。これでこれがあれば云兎の持つ卍燈籠を取り上げる太市!「これが必要なんだ!」必死に訴える太市に場は凍り付くが「オオキミならもういない!」上の階から狗牙と黒いボックスが現れる。もういないという言葉に食ってかかる死人たちだが「そこの獸神の言われるとおりです。(オオキミ青年のなれの果てを抱えて現れる夏蓮亜)申し訳ありません。ムツサ様それに日澪不名、部姫不名………オオ」そう言葉にしようとするも狗牙が「そこの神堕ちのなれの果てに残念ながら喰われてしまった、だがその神堕ちも力を使い果たし朽ち果てた」狗牙はオオキミの暴走のことは一言も口にはしなかった。必要ないと判断したからだ夏蓮亜も其れを汲み取り″オオキミはあくまで神堕ちに食べられ転生した″ということにした。納得いったのか卍燈籠を離す太市すかさず『お取り込みの所悪いのですが狗牙様……卍燈籠を』そう急かす社長に分かったといい「言師悪いが毘沙門天の力を貸してくれないか?」うんと頷きシャーモンさんが表に出てくる。シャーモンさんが狗牙の鎧になり一撃で卍燈籠を切り裂く…………然し中は空だった…………時は死人達によって卍燈籠を使い弱っていた照留がさらわれた直後。卍燈籠の中で目覚めた照留は必死に脱出を試みていた「やっぱり無理か、天裸形様無事だと思うけど………くっこんな時にこれは第四段階体!?(透き通り卍燈籠をスリ落ちてしまう)死人達は神力を感じないから気づかれなかったけど…………どうしよう一旦戻って…………いえまだ私にはやることが残っている。あの人をあの子を…………止めなくては」そういって病の体を引きずりながら物世界へと向かう照留…………神世界から物世界へ初めて見る世界噂にはきいていたけど………楽しむ………余裕はないかな……!?雨の中土手に座る少女他の人?達は見えてないわけではなく見ようとしなかった。彼女に触れるも反応がない「どの道……必要だし」彼女の心へ入り込む『君はどうしてここにいるの?』はっと辺りを見渡す『なるほど″五感の消失″珍しいわね…………私と契約しない五感は戻してあげられないけど貴女に″第六感を与えてあげる″』彼女は頷く『いい返事ね、アタシはそうね″無感の神痕″よ♪宜しくね。それで貴女の名前は偲そう″シィ″って呼ばれてるの』……ここにまた一つの神との約束が結ばれた。




