八十一ページ目
揺られながら銀色の林を抜ける頸から上の無い獣。そんな獣に跨がるのはいずれ死人神オオキミとなるであろう死人の少年「そしてその後ろにはこの死都の偉大なる結界システムを構築した可憐な美少女……美女………カワイイ系のおばあちゃん(うんうんと自分に妥協する)こと!」ストップしてしまうコロマル……(この感じヤバイ……チェまだメインディッシュにはほど遠いってのに、この姿ならあちらは神力を感じてねぇな……神力の具合から獣神?だがクソッ分かんねぇ何でこの死都に獣神が居やがる……そうか!獣神王か……照留様は天裸形の義理とはいえ娘か、天裸形が次期″社″への就任を断ったことは獣神王の耳にも入るか……それで獣神王直属の者がこの死都まで出張って……とはいえオレも苦労したがここへはどうやって入ってきた?オレの上のこの女の死人の能力は本物だやすやすとは入れないはずだが………)立ち止まったままのコロマルへ「どうした?腹でも壊したのか?」えぇ~拾い食いはマナー違反だよ等と後ろからの言葉は気にせずコロマルから降りる太市にしょうが無いなと自身も降りるオタクサちゃん「にしても″未″はどうしたんね?時と場所的にはここに居るはずやんね」キョロキョロと辺りを見渡すオタクサちゃんだが銀色の林は静かに靡いているだけで大きな死獣が近くにいる様子は無い。そんな彼女をコロマルに再び跨がる太市が声をかける「どうやら大丈夫みたいだよ。早くウチに急ごう!」とオタクサちゃんを急かす太市、その声に″未″が居ないことに納得がいかなかったオタクサちゃんだったが「そうだね、今はその死獣の為にも院瀬見に向かう事が急務のようだ」と自分に納得させコロマルへ跨がる………跨がったコロマルについている?白い毛が気になったオタクサちゃん静かに其れを眺めている…………そんな彼女と太市を乗せるコロマルだったが走っても走っても中々″院瀬見″に着かない「止まって!」と大きな声でオタクサちゃんがコロマルを静止する。急いでるのにと太市は止めたが構わずオタクサちゃんはコロマルから降りながら「院瀬見は確かに遠いし、この霊林炉の性質からすれば迷う用には出来てる……でもそれと平行して″ウチの死獣たち″とも会うはずだよ……そのためにアタシが動向しているんだから……でも今の刻にここを縄張りにしている″死獣″が姿を現さないそれは何故?」地面に落ちている光る石を拾う「これね、神器質の欠片なんだ」とまわりの風景とは似合わない石を拾うオタクサちゃん其れを眺めながら「こいつはさっき加工したばかりの神器質の削りカスなのさ(辺りを見渡しながら)こんな場所に自然に出来るものじゃないんだ。つまりアタシがさっき落とした物……これが意味することはなーんだ?」という問に頸をかしげる太市だがその答えを発したのは後ろの死獣だった「やれやれ、勘のいい死人だなぁ、まぁいいさどの道時間稼ぎも限界」太市のそばを離れながら「どうやらその″院瀬見″と呼ばれる場所には獣神が居るようだし、このまま行けば鉢合わせは必死だ。さすがに神と会うと神力を抑えているとはいえ判ってしまう」と頸のない部分から生えるように頭部が現れる。頸を捻りながら「さてさて、どうするのかな?」というコロマルの言葉に「どうする?コロマル君は私達を逃がしてくれるのかな?」赤く染まった白衣を靡かせながら真正面にいるコロマルに投げ返すオタクサちゃんの顔には余裕は無い「そう警戒するなよ、院瀬見にいる獣神にはまだオレの存在はバレてないこのまま院瀬見には行かず囲折合の方へ……」「断る!」″囲折合″という言葉が出た瞬間オタクサちゃんの顔つきは変わった。そして銀の林が揺れたと思うとそこにはコロマルを囲むように死獣が勢揃いしていた。そんな死獣たちを見たあと哀しそうに手元の白い毛を見て「やはり、足らないか″丑″と″未″やったのはキミか?」そういうオタクサちゃんに対して目の前のコロマルは「確かに毛むくじゃらの奴は喰ったな、あまり美味くなかったがもう一匹は知らないな、信じられんなら別にかまわんが」その言葉に手元の白い毛を握り締め「分かった!」とポケットから輝く石を取り出す「これは出来たばかりのほっかほかの神器質、濃度の濃い天然物を圧縮したもの、神様の中にも神器質を取り出す技術を持つ神様がいると聞いていたのでやれると思ったんだ。最も簡単な作業じゃないし、手元のこれも微かに形を維持できてない、アタシの技術では今はここが精一杯なわけさ」そう言いとその神器質を上に掲げる周りの死獣が一塊になり、その神器質に吸い込まれる。「ゴメンね、みんな!」そう手元の神器質に投げ掛けた後「太市様、良き死人神になられますよう!」そうニッコリと太市に微笑みかけるオタクサちゃんそのまま視線を目標のコロマルへ写し「いくぞ!神!高難易度クエストだ-!」と手に持った神器質を飲み込むと「ウワァーワァーワァー!!?!」声にならない声で叫ぶ、体は光るその様子に「死人の器ではその力には耐えられなかったみたいだな」とツメでトドメをさそうとするとその爪は止められる?「私を……誰だと………この神疆ウイグル慈鎮区……を始めこの……死都の構造と結界システムを創った………カワイイ系おばあちゃんだぞ!」そこにはカワイイ系おばあちゃんというにはゴツい光る形状をした″西洋のドラゴン″のような死獣がそこにはいたそんなドラゴンの口が開き語り始める「私が生きていた時代、様々な文献や異常気象、天変地異、英雄や蛮勇の伝説にこれでもか現れた象徴、それが″ドラゴン″だった。血を浴びただの、血を引いているだの、ドラゴンを模した武器、骨、皮等……まぁ大概はニセモノだったんだけどさ……憧れ、そうなりたい、そうでありたいってね」光る自身の腕を見ながら「その一つアタシなりの答えが″この形″なのさね」そして光る翼を広げながら「死人の器では耐えられない?確かにキミの言ってることは間違ってないこの姿を維持している今も砂漠の楼閣のようなもんだ。今すぐに消えて無くなる事だってあり得ない話じゃないさ、でもアタシにはやらないといけないことがあるからさ」そう言うと″囲折合″を背中にして「あんたがこのまま″囲折合″へ向かうってんなら、神をオオキミに近づける事になる。死人転生機関の案件がある今!そのリスクは少しでも避けるべきだ。だからお前さんはここで止める」本気でできると思ってるのか?と聞かれるも「やらなきゃならないことはナニヒトツ変わらない!」とコロマルを吹き飛ばす(いける思った以上にこの神器質は………クソッ意識が)と片膝をつくオタクサドラゴンそこへ起き上がるコロマルが「自我の欠如といった所かな。精神力で複数の魂を引っ張ってる状態が今の君だ、複数の魂である死獣は君自身との相性は長年の付き合いからも悪くないけど、器以上の力を使い続けるということは器への負担も大きくなる。結果大きな力と引き替えに身が破滅する」だから立ち上がるな、無理をせず、よくやった等という言葉はやはり彼女が望むものではなかった。立ち上がるオタクサドラゴン大きく光る両足で踏ん張りコロマルへ向かっていく。だが最初こそ圧していたオタクサドラゴンが見る見る間にコロマルに押し返されていく神々しかった体はどこへやら色褪せた光りはドロドロと熱い日差しに当たったソフトクリームのようだ。それでもオタクサドラゴンの目は死んでいない……窓の外は声援で溢れている。古代のある帝国その地域一帯を手中にしていた帝国は自国の維持・拡大を目的として外へ外へと軍を進めている。その進軍していた一団が今しがた帰還したのだろう。真っ昼間だというのに部屋を照らす明かりは窓一つ薄暗い部屋には年頃を迎えた女性が本を枕に先ほどまで爆睡していたが外の騒ぎに起こされてしまった「そんなんじゃ何時までも同じことの繰り返しよ」窓から外を眺めながら苦々しくそう吐き捨てると頭をかきながら窓際から部屋の奥へと戻っていく。部屋の中にはこの頃には珍しく紙が散在している。そのほとんどが陳情するもの『長く国を維持するための軍の革命』や『街の見取図の変更と根本的な改造』など多岐に渡ったが全て送り返された。必要としない、無駄などの意見が殆どだった。そんな薄暗い部屋が彼女の短い人生の全てだった。彼女が過ごした時代そんな人間は五万といた。彼女は部屋があっただけマシだったのだろう。大きな帝国における小さな命、そんな帝国が彼女は大嫌いだった……目覚めたのは何もない荒野だった。薄くなっている体、見たことも無い姿の獣や明らかに人とは違う者に驚き、歓喜する少女……ここでなら……ここでなら………創れる!そう確信する少女………然し長い年月は彼女の姿こそ変えなかったが彼女の意欲は少し削がれた。この場所が神世界だというのは理解できた。自分が生きていない死人であることも……知れば知るほどここが自分たちの世界では無いことも”人は神に対して無力である”彼女はそう結論付けた。長いときを色んな場所を巡り出した答え、そしてその答えを出すまでに自分たち死人には変えることの出来ない運命である”転生”と呼ばれるモノがあることも知った。転生は神々が行うことも出来るし死ぬことと同じように何時どこで起こるかは分からない……いや本当にそうなのだろうか?人は死ぬとき必ず理由がある。殺されるなどの外部の圧力の影響ならそのものに遭わなければ死ぬことはない。病気ならば体のメンテナンスつまり食べ過ぎず、適度に動く………生きていた頃医学の父と呼ばれる者の本等を読んだ”死ぬこと”にはそれに結びつく”答え”というのがあるものだと………なら死人の”転生”と呼ばれる神世界での死は回避ないし予防できる彼女はそう結論付ける。死人は薄い生きている人や神と比べると比較的に薄いのだ。然しそれも同じ薄さではない色々な場所を行き来して色々な死人とあった。姿形は死んだその時の姿であり変わることは殆ど無いこと年をとっているほど転生が遅い等ということは無い。年をとった者、若い者、男女関係なくしいていえば……”魂の強さ”に比例している。然し魂の強さは生前の行いとは無縁のようだ”魂を導く乙女”のような戦士をどうのこうのという話では無さそうだ。神様に生前奉仕した者、巫女や聖職者、坊主、神主等が優遇されているというのは無かった。こちらに来て生前聖職者だった者が教会のようなモノを開いてそこに集まっているのを見た。死人は神世界においては異物だ。何もする必要は無い。ただ転生を待つそれだけなのだ。食べることも眠る必要も無い。薄い体はあくまで魂が作り出している姿でしか無く本当に体があるわけでも必要な訳でもない精神だけが魂の中にあるだけ。魂というのはどうやら形は無いらしいが東の方では球のようなものに燃えている?らしい事が前に文献で読んだのでそんなモノなのだと思っていた。だがどうやらこの神世界ではそれらを具現化出来るようだ。食べることも眠ることもしないのだから基本何もしない、ここに来た死人は最初こそ活動的な者が殆どだがこれらの理を知った者は自堕落というか何もしない、たまにああして教会のようなモノにすがって祈ってる。そんな彼らも転生する。転生したものを崇めるような動きもある。一方で神に挑もうとする集団もいる。死人の中には神による転生を望む者もいる。この前あった一団だ先頭はヨボヨボな爺さんだ。何でも自分たち死人にも場所が必要とかで彼らは神に挑むというよりはその蛮行を止めている。そんな彼らに誘われた彼女は”転生のメカニズム”研究の為老人と行動を共にした。そして神と神の間の領域に自然の神器質が濃い場所を見つける銀色の林が靡くその地に街を創った。死人の為の都を……そこで少女は研究を重ねた。転生のメカニズムから魂の一部を使った神に対抗する力の使い方、転生を遅延させるモノの開発、神々の中には力の低い神もいる。そんな神々との協力など少女がこの神世界においての死人の発展に寄与したのはいうまでもなかった。そんな少女が今”転生”のときを迎えている。体の光は今にも消えそうだ………終わりはあっさりとバリバリという音、何も出来ず呆然とする太市、その傍らでボリボリと複合した魂という珍味を味わうコロマル「これはこれで味わい深い、死人と死獣ただのごちゃ混ぜの雑味とも思ったが(舌舐めずりをして)悪くない!……とはいえこのような珍味には早々出会えんだろうが」さてとと震える少年の前に立つコロマル、そんなコロマルに「オレもたべるのか?」と尋ねるも「たべて欲しいのか?だがそうなると次が欲しくなる。例えばさっきの祷珀というキミの姉とか」震えながらもダメだ!という死線を送る太市其れを見て「そうだな、このままオオキミというのを喰っても……」次の瞬間「ダメ!絶対ダメ!」強く否定する太市に「だから……だからこそさ!姉を父を母を大事な他の者には代え難い家族だろう」太市の真横に耳打ちする「”卍燈籠”……太市も知ってるだろあの中には”ごちそう”がはいってるんだ。オレはそれがどうしても食べたい。他の者を引き替えにしても、だから協力してくれないかな卍燈籠を手に入れるために君が必要なんだ」脅されてる……選ばされてる。にこやかな笑顔の先にあるのは選択だ”家族”か”知らない神様”かそんなの決まってる「協力したら……助けてくれる?」答えなんて端から決まってる。やるしかない”卍燈籠”を取って来るのを手伝ってコロマルに差し出すこれしか家族を守る手段は無かった。太市の覚悟を決めた視線に「もちろん、卍燈籠というごちそうの為だけに、この場所まで来て、キミを助けている。其れも全て”卍燈籠の中にいる照留様という鳥神にありつき貪るため。ここにあるそれ以外には興味もそそりもしない、先ほどの珍味はたまたまかな、誓ってもいいよ。信じるか信じないかは君次第なんだけどね」差し出したコロマルの前足は先ほどまで一緒にいたオタクサちゃんの魂片がべっとりとついている。そんな前足を握りしめる太市くん。そんな彼を背中に乗せながらコロマルは「さてこんな風に話せるようになったのはいい、このまま囲折合にいこうか。キミの振りをしてあの折り紙の少女に話したが扉を開けてはくれなかったんだ」その言葉を聞いて「多分、今向かっても開けてくれないと思う」どうしてと聞くコロマルに「あの時、あくまでコロマル……あなたの首を治すことをあの女の人は望んでいた。そのためにこの神世界を飛び回っていることもでも見つからずそこにオレが希望を与えてしまった。願うかどうかも分からないのに………だからその場にいた云兎もそれに賛同している。あそこの云兎の了解を得ないと多分あいつは扉を開けない」なるほどと述べて「それで、つまり”おれの首を治す”という目標を達成させるためにはどうすればいい?正直頭はこの通り問題ない死獣として分離させるために首無しをしていただけ、最もこの体の一部だったコロマルとしては元飼い主には傷付いてほしくないってのが本心だ。ごちそうをさっさと喰ってここからおさらばってのが誰にとっても最善の道だと思うが」そう述べるコロマルに「なら出来ることはやっぱり祈姉を連れて囲折合に向かい云兎から卍燈籠をもらう。これが最短だと思う」と述べる太市に「分かったならキミを”院瀬見”の近くまで運ぼう。ただし近くからはキミ一人で私のところまでキミのお姉さんを連れてきてほしい、”院瀬見”の近くに神力を感じる。獣神と接触しているかは分からないだが少なくとも私が近づくと、どうしてもその獣神に悟られる可能性が大きい今の姿でも微妙に神力は出しているからね」そのまま逃げ出すかもしれないですよ?という太市、もしくは協力を仰ぐかもといってみるも「その時はそのまま”囲折合”へ向かい強引にご馳走をいただきますかね、その道すがらもしかしたら運が悪くキミの家族を喰らってしまうかも?!」と述べる「期待していますよ。未来の死人神様」と尻尾で背中を押される太市とコロマルは白き城へ向かう……………「どうしたの?ダーリンなんちゃって(コホン)まだお互いのことよくわかんない訳だし、グーガくん……何だか距離を感じる。新鮮でありっちゃ有りだけど、グーちゃんはうーん二人の時ってアタシは気にしないからいいけど、グーガ……何だか恥ずかしい」あーでもないこーでもないとグーガの背中で小躍りを続けること少し斜め下から声が「そこアタシの席なの、それにアタシのグーガ!」というリニャンに「分かるわ、大事なお兄ちゃんを取られる妹の気持ちでも寂しさは一時的なもの貴方にも新しい出会いが!」無理矢理どかそうとするリニャンをイシドセ君が抑えて「取りあえず、祈琥様はどうして?グーガさんに乗っているんですか?」と聞く枯枯坊主に「決まっているわ、だって運命の王子様だもの」と断言する「それに何か探し物があるんでしょ……ズバリ”呪いを解くアイテム”ねそれが……えっと”卍燈籠”ってモノ何でしょ!」鼻息荒くしながら「大丈夫、ここ神疆のことならあらかた場所は把握してる。そうだ!その卍燈籠ってのもオオキミなら知っておられるはずよ」間違いないと頷く祈琥に「分かった。ならキミの力を貸してくれ」アタシ頼りにされてる。リア充キターと右腕を大きく振り上げ”我が生涯に……”と感無量だ。一方リニャンは頰を膨らませご機嫌ナナメだったが、では行くぞとリニャンを尻尾で祈琥より前に座らせるとご機嫌ナナメだった顔がほころぶと同時に後ろをふり向き眉を上げ”どうだ!”といわんばかりの態度をとる。そのすがたにハンカチを噛み締めながら火花散るグーガ王子争奪戦その後ろにイシドセ君と枯枯を乗せ白き城を後にする。




