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最下層から抜け出した垣野一行は誰もいなかった当直室に入り込みシャワーを浴び持ってきておいた白衣に袖を通す「垣野くん似合うじゃん!将来医者でも粋じゃん」というナースハットをかぶり新米看護師の格好のなーえん「おしゃべりもいいけどこれからのこと説明するわね」という同じナース服に上からカーディガンを羽織った婦長クラスの貫禄を見せる奄霞さん「お前さんはスゲェ似合ってるよな、性格悪そうな!……ヒールは……やめて……凹むから」その場に足を抑えうずくまる古潭、大丈夫ですかと駆け寄る垣野くんを他所に女性陣の反応は冷ややかだ。「今いるのは1階の当直室(壁にかかる時計を見て)もうすぐ日をまたぐから守衛さんは見回り出ていると見ていいわね(テーブルには弁当のからとつまみのイカ天と紙コップ、紙パックのお酒が空いている)この酒臭さからついさっきまでここにいたみたいね(壁時計のすぐしたには見回りの時間表がある)午後十一時すぎからと午前二時の二回か、時間にはかなりルーズみたいだけど」とドアノブを音を立てず少し開ける「辺りは真っ暗か、先行はあたし、しんがりは古潭ね垣野くんとお友達は左右の警戒よろしく、時間もない続きは進みながら」そう言って部屋を後にする………手術室前の明かりが消える「お疲れ~」欠伸をしながら女医が出てくる「後よろ」と手術室内へ手を振る外のカートに服装一式をほおりなげ廊下に出るそこには両脇に黒い看護服の男女がいるその片方である背の低い女の子が抱えるバスケットを持ち上げながら差し出すそんな彼女のバスケットの中から糖度二百パーセントの増し増しの白砂糖をつまみながら「何か変わったことは?」という女医に「先ほど侵入者が数名……此方には害はないので……そのままにしております」という黒い看護服の初老の男性「ふーん、ほっといたの………遊べそう?」という女医に対して「いえ……監視はさせていますが」どうしたの?という女医に「手を出していないかが気になっていまして」どういうことと着替えながら聞く女医に「どうやら先日の″火傷をつけられた相手″が侵入者の中にいるようでして」と話す初老の男性に背の低い女の子が「あの時の変なコスプレの奴もいるの?」と聞いてくるが「いや、報告ではいないみたい」と監視カメラの映像をスマホで見せる。そのスマホを上からひょいと取り上げる女医「あぁ、あん時の取り巻きの子達ね、他のは見覚えないなぁ?」ポイとスマホを初老の男性にほおりなげる女医にスマホをキャッチしながら「他のメンツは″障痕教″のデータに載っていました。″赤川 古潭″WRB協会理事監査のメンバーの一人です。障痕教に入ったのは我々より遙かに前の古参です。元々は強硬派として私が警察にいた頃から幾度か名前を障痕教と共に聞いていました。もう一人は″孤塁銀 奄霞″ここの隣にある障痕教の施設に通っていた女性で数年間の引きこもりから脱出した縁もありそのまま障痕教に入り今や隣の施設の責任者です。そして最後が(スマホを拡大させながら)この少年″垣野 領″近くの中学の三年で野球部に所属、今の教導である″無感の神痕″の幼なじみで昔から隣の施設に出入りしていたみたいです」一通り説明を聞いて「目的は何なんだろうね?告白かな?略奪愛?イヤーン大好物何だけど❤」と乙女チックな妄想全開な女医に「遠猿様ここはあたしたちが捕らえてきます」と合流しようとする黒い看護服の二人に「新入りくんに任せてみよう~」しかしという女の子に対して「だってさー″あたしたちには彼らを止める明確な意志はないんだよね″」仮に彼らが″無感の神痕″をどうにかしようとしてたら如何するんですか?と聞く初老の看護服に「私達ってさ、少なからず私はね、この″障痕教″っていう″全ての者に瘢痕を″ってのに共感して嫁いじゃったわけ別に義理の家族が誰だろうかを誰になろうが関係ないわけ」待合室の長椅子に横になり「なーふぁーんでぇーここで待ってよっか!」とスヤスヤと吐息を漏らしはじめる。分かりましたとスマホで連絡を入れる……「何だよ!角川のおっさん!会話は厳禁だろメールにしろっての!」と垣野一行の後方につけている新入りくんが受け答えする。そんな彼の言葉に意外そうに「てっきり手を出した後かとも思ったが、そっちの様子はどうかな?」スマホ越しに聞いてくる角川に「この前の二の舞はゴメンだからな、それに角川のおっさんの言いつけは守れるほどは大人なんでね、どうやらあいつら迷わずに進んでるとこを見ると目的地ははっきりしてるみたいだな」其れを角川の横の長椅子からキュン死するキュン死!と騒ぐ女医をほっておいて「なるほどこのタイミングでの侵入からして狙いは″無感の神痕″だろう遠猿様はお前さんの好きにしていいと言ってる。どうする?必要ならワシたちも援軍に行ってもいいが?」その提案に「分かったなら俺一人でやる、といってもチャンスがあったらの話だ。相手は複数いるが″あのねーちゃん″もいるんで引き上げるとかましてや角川のおっさん達の手はかりたくない……なんで好きにやるわんじゃ」そう言って会話はとぎれた。全くあいつはと角川はまんざらな顔をしている………「やる気満々な彼に見覚えは?」という不鎖に首を横に振る馬鈴「面識無しか、とりあえず第三勢力ってとこプロキシアスなら侵入者たる前の一団をほっては置かないし、かといって手は出さないか複数を警戒しての事か、どの道こっちの様子見は変わらない、あくまで戦闘が目的じゃないからね」不鎖の言葉に頷きながら「その前の一団はどこへ?このスピードから何かを探してる?というより向かってると判断すべき」と発する馬鈴にさすが諜報専門と褒めながら「でも向かってる先には神力は持ってないけど″厄介なのが待ってるみたいよ″」と張り巡らせた鎖のセンサーに敵をとらえている不鎖「とりあえずさっきより慎重に後つけるわよ」と馬鈴と共に進んでいく…………「やっぱりそう来るわよね」と″無感の神痕″がいる離れの部屋への渡り廊下には車椅子の社長令嬢と母親役の世話係、ブツブツと独り言を呟く片手にナイフを持った細身の男が道を塞いでいる。昼間の出来事を考えればリーフデンバーが見張りを構えないわけじゃない。それでもまさか二人同時とは交代制にしようぜと訴えたくなる。項垂れる奄霞さんに「他に道はないの?」と尋ねる苗だったが「こういう作りだからここに閉じ込めてるってとこ、残念ながら他に路はないわ」聞くも無残な返答に「行くよ!」という垣野くんをなだめ「何の策も無いまま出ても、勝ち目は無い、それどころか時間が立てばたつほど向こうの守りは堅くなる」そう言う奄霞さんに「用は垣野くんが会えればいいわけよね」ならと………「あっかんべー奥へ行ってもいいかなー」と苗が番人の前に揺と一緒に現れる………「あたし達が囮になる!」えぇーっという揺をほっておいて「引き剝がしても一人かな、どっちが来るかは分かんないけどこの状況ほっては置かないだろうから」………「僕が……行く」と一言その場に残し苗の前に立つ細身の男「……られ……られたく……無かったら………立ち去……れ!」その時には既に苗の皮膚が切りつけられている「いった………ちゃんと……言った」そんな彼の後方には微動だにしない車椅子。戦闘には加わらない事を確認すると苗を抱え逃げる揺そのあとを追う細身の男さながら不審者に襲われた少女達の構図だ。苗の後方でヒソヒソと「如何するの?戦うのは間違いないけど(自分の羽根のブレスレットを見ながら)あれから自分なりに″コレ″使おうとしたけど一度も使えなかった」悔しそうにブレスレットをはめる腕を強くニギル。そんな揺に苗は「そんなに悲観的にならない、一度発現はしてるの、その時点で揺が適合してるのは確定だから」その時「″何がそんなにおかしいんだよ!″」突如大声で叫ばれたことに、揺と苗の会話が止まる「そんなに変かよ………ヒソヒソと………キモい奴だとか根暗だとか……おまえらだって……一つ間違えば……同じだったくせに!………なんで僕だけ何だよ………同じ事やった奴は………何で何喰わない顔で生きてんだよだから………俺は弁慶じゃない………」揺の手首をナイフが掠める「おまえら………が悪いんだ!………煽ったから………煽らなきゃこんなことにはならなかったのに!………何がいいかな耳かな?……ダメだそれじゃ自分がやった事を聞けない………それとも目かな?……其れもダメだ。だって自分がやられて怯えるところを見ることが出来ないそうだ!!………全部を少しずつ減らそう老人のように一つ一つ出来なくなっていくことを若い頃から感じて絶望!………うんこれ最高じゃん……そして言ってやるのさ″何をしても無駄だってコソコソ話してやるんだ″」チョーウケルとばかりにナイフを持った腕で額を抑える。その異様な思想に背中から変な汗が出る揺に「走るよ!」と揺のほうに背中を向けたまま後方へ揺の横をすり抜ける際にくるっと回転して揺の腕を握り振り返る揺を引っ張って走る細身の男の方からはナイフの雨が降り注ぐだがそのナイフは体を擦るばかり「ほらほら、耳、手首、足首″手が滑っちゃうよ″」と本気ならとうに二人の女の子は後ろの変質者の餌食になっている。数メートル後方をナイフを″的確に外しながら″進んでくる細身の男に落ち詰められていく………そして行き止まりに「健は切れない程度に疲労させて肉離れ、筋組織は少しずつ違うことを傷つけていきました。愉しいねーお話……愉しいねー」一方的な会話を楽しむ細身「もっと悲しんでよ………諦めてよ…………苦痛で顔をよがめてよ、そうしないと……興奮しないでしょう……じゃあまずその足から取ってダルマさんにしちゃおうかな」ニコニコとナイフを投げる揺は願うブレスレットに然し何もおきないその時後ろから細身の男の後頭部に衝撃が走り前に倒れこむ「あーあこれじゃ風俗に流しても割り引かれるやないか?」闇の中から現れたのは黒い半袖の看護服をきた男、倒れこむ苗を抱えながら「あなたは!」という揺の目の前に来て自分の焼け焦げた顔面を髪をあげながら見せつける「よう!このクソ嬢ちゃん久しぶり、あんたのくれたこの創が痛とーて痛とーて適わん、どないしてくれるんですか?!今すぐ服ひん剥いて、気の済むまで!って」黒い看護服の顔を掠めると同時にナイフが肩に突き刺さる「痛い……お前ら社会のクズはこれだから……ヤクザ上がりが何で″僕らの夢″を壊したがる。お前らの罪悪感的なしょーもない理由で入ったエセ信者のくせに!お前らは薬売って社会のクソ共をラリらせときゃいいんだよ!僕の庭に入ってくるな!僕の僕だけの世界何だよ!」そんな自分に妄信的な発言に「薬を売っときゃいい?巫山戯んな持ち込むのに苦労して捌くのに苦労する、今じゃ安売りの物まで出回って左うちわじゃいらんねーのによ、それに今ワシはこのクソ女と話してんだよ!邪魔すんな!」立ち上がる黒い看護服の男、細身の男と向かい合う「言い争ってもしょうがねー(ふいに投げられるナイフを素手で握りしめ投げ捨てる)お互いタイマンの殺し合いがスッキリすんだろ」面白いと両手にナイフを持ち体幹を滑らすように間合いに入る細身の男、垂直にナイフを一点頸基にだが看護服の男は膝をすぐ様を折ながら、ナイフの真横を素通りするそれに気づき引き戻そうとする腕をいち早く脇が確保しようとするもナイフをその場に捨てその分の速さでサッと後方に力を抜き倒れる。それと同時にもう一方のナイフを持つ側の片足を内旋するとくるっと側臥位の姿勢になり突っ込んでくる看護服の男の真横にそのまま真上からナイフが頸基で止まる!ナイフを持つ肘の手前に看護服の肘が当たりナイフを持つ腕が伸展状態のまま止まっている。「おっと危ねー、ヒッキーにしてはナイフの扱いはうめーな、だが取説の鵜呑み感がパネーから(そのまま蹴り飛ばす看護服)こうなる。もうちょい人の体骨格系を勉強することを進めるぜ」愉しそうに話す看護服に「血みどろの実用医学みたいな奴の言葉とは思えない、今のは………油断した……それだけ」立ち上がりながらサプリメントを背負っていたバックから取り出し飲み込む「何だ?血管が脆いとかヒッキーくん?」その言葉に「これはだめか!」と手に持っていたナイフを看護服の方にほおりなげる。そしてバックを漁りながら片手にスマホで検索している「違う………そうか分かった!」とスマホをしまいバックから丸い指輪と腕輪を取り出しおもむろに両手につける。そしておもむろに語りはじめる「あんたは″神″を信じるかい?」そう聞かれ苗と彼女を抱き支える揺は「神器質?」と苗に尋ねるも「違う!……少なからずあんたのそれとは別物よ、彼はグラフトじゃない、リーフデンバーは確かにグラフトだけど彼女には神器質に関しては情報へのアクセス権はないわ、元々″障痕教″の対処の一貫として創られてる。だから彼女が神器質をはじめ神世界に関する知識は皆無のはずよ」意識が低い中でもハッキリと言う苗の言葉に「じゃああの人が言ってるのは?」という会話をしているうちに細身の男の会話は続く「″無感の神痕″力をもらったのは彼女だけじゃない(腕輪と指輪を見せ付けながら)僕も選ばれたんだ!」そう述べる彼に看護服は「選ばれたね~それでその指輪やら腕輪でどうすんだ」どびかかる看護服にニヤリと腕輪と指輪のついた腕を翳すと弾き飛ばされる看護服起き上がる看護服に「どうだ″神の一撃″は?」という細身の男そこに立ち尽くすのは全身に傷を受けた看護服の姿「″僕は君には触れてない″だろう?」そう看護服に尋ねる細身の男に「確かに触れられた感触は無かったな」と触れてないことに気付くそれでも自身には無数に切り裂かれ出血し痺れ痛む、それらを見ながら看護服は「仕込み武器か?まぁ良くあることだ」と構わず前に進む「アンタ、痛覚ないの?そのキズ深くは無いけどかなり痛いはずだぜ」計算違いだったのか有利に立つ細身の男が一歩ひく展開になっている。そんな細身の男に「痛たいさ、感覚が鈍く気を抜けばすぐにでも倒れちまうだろう、だがこんなことはしょっちゅうだったんでね」割と平気な顔で話す看護服に細身の男ほどでは無いが苗と揺も引いている。向かってくる看護服に手を前に突き出し「待て!」そう叫びながらもう一方の手をスマホを弄くり「対処……″キズを負っても倒れない″」よほどテンパっているのだろうスマホを間近に構え目を泳がせている。其れを見ながら苗が「ハハッ……割とガチなヒッキー?というより今時の若者ね、咄嗟に弱いわね。相性間違いなら即撤退ってのは今時のゲームで習わなかったのかしら、でもこれで看護服の??何で仁王立ちで目を閉じ止まっているのかしら?彼?」そこには目を閉じ自分は攻めない事を見せつけるように看護服が佇んでいる。目が点になる苗と揺そんなことは気にも止めず検索に没頭する細身の男。堪らず「今間違いなく″今でしょ!″」ポーズに合わせ仁王立ち看護服に叫ぶ苗しかしそのまま胡座をかき座り込む看護服「俺のタイマンてのはお互い手の内を見せ合っての勝負なのさ!そのスマホで俺への対抗策を練るってのがお前の十八番なら構わねぇ!好きなだけ検索しな!その検索の斜め上を俺は魅せてやる♪」此だから喧嘩ってのは愉しいと手を膝に当てカッカと笑う看護服そんな彼を苗は「何これ……男ってのは……こんなこと考えてんの……疲れた揺終わったら起こして」と揺に頼んで眠ってしまう。こんなとこで眠れるアンタもどうかしてると思う揺だったが目の前の男の勝負を見届けなくてはと再び視線を二人に向ける。一通りスワイプしながら検索しているそしてスマホをリュックに戻して「僕の力は逆巻く力……揺るぐ事無き戻りし力……この繋ぎし輪は大きめの結び……今補と簿の間を空を運んだ!」呪文のように聞こえた言葉に反応するように大きめの腕輪は光を増す。そんな細身の男を見る揺の頭には″神″という存在が過ぎっている。自身の腕を見ながら確かに苗は目の前の光輝くモノが″神器質″ではない………そうなんだろうけどと揺は思うもののあれはどう見ても、不安がよぎるそれは言葉としてもう一人にいる目の前の男に声をかけていた「あなたのポリシーはよく分かりません……分かりませんが″あれは″駄目です。私があなたに……そのつけたキズについては………スミマセンでしたでも!……もしかしたらあの細身の男ももしかしたら同じような力を持っているかもしれないんです………だから!」遠回しに油断はするな!力量がわからないなら打てる手は打っておく!当たり前かもしれないけどと思っていると前の看護服の男が胡座のまま背中越しに「風呂上がりに、鏡の前に立つとそこには皮膚が爛れたカッコイイ男が立っててよ……痛くはねーんだよ、どこぞの女医様に治されたからとはいえ(顔に手を当て)ご丁寧にキズ跡は遺しやがった″これに触れ続けながら残りの人生生きなさい、良くも悪くも後悔しながら″だってよ、はじめは悪いことしかないと思った。当たり前だよな……こんなキズさえ無ければ今頃は組長に治まってた……何の反省もしない……ただ他人を踏みにじって生きる……今だって忘れそうになる。努力しなくなるただ……そうただ漫然と生きている……だから女医様は″触れ続けろ″って言ったのかもな。どんな言い繕っても″お前につけられたキズ″ってのは変わらねー、お前がどれだけ詫びようが、開き直ろうが、そんなのは関係無い!ここで目の前の奴に負けようとな」そう彼が発した直後、細身の男が動く「これが!神の鉄槌だ!」その時「大丈夫!」という声と共に撃ち落とそうとする輝く拳の半歩前に出ている看護服そのまま細身の顔面に一撃打ち抜く。そのまま吹き飛ぶ細身が「何でだ神の力だぞ!神の」その言葉の後に「私の力は逆巻く力……揺るぐ事無き戻りし力……この繋ぎし輪は大きめの結び……今″補と簿″の間を空を運んだ……神力の名と共に、その名は″ガングリオン″」淡々と話すその台詞、先程の細身の男の言葉とは少し違う。意味の分からない揺と看護服の男を他所にその台詞を放った苗とその苗が放った台詞に驚く細身の男「何で?どうしてと?何故元の?」彼は真っ白になっている絶対にあり得ないその台詞を知っているのは自分だけ………男は興奮したように苗を見つめるすると苗の口から「……水虫……」と言うと、細身の男はうまく動かない体を動かしながら苗に近づいてくる。遠ざかろうとする揺に「大丈夫、大丈夫だから」とその場に留まらせる苗「十年前……見つけた……夢中でよんだ……ゴミージョとの決戦、和解、まさかの展開、神力少女の秘密まで」何を言ってるのか理解できない「でも……完結はしないまま、やっと会え………」後もう少しバタリと力尽きる細身の男どうやらさっきの看護服の攻撃はクリーンヒットしていたようだった。ドウイウ事と聞く苗に「えっーと、まぁ昔の……若気の至り的なとこかな」と恥ずかしそうにしている苗だった。




