表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神約聖書  作者: 裸形炉
76/115

七十六ベージ目

薄暗い部屋に三つの影が蛍光灯に照らされる「ハァー暇だわ~言師はちゃんとやってるかしら、アイツはアイツで国に帰っちゃてるし、いっそプロキシアスそのものを潰しちゃう♪」そう冗談交じりに話す不鎖の言葉はそこそこ広い部屋に空しくこだまする。「ちょっとは会話のキャッチボールしませんか~」と話すも一人は複数の画面に繫げてあるパソコンにしがみつきカタカタとキーを撃ち込む作業とマウスを忙しく動かしている。懲りずにあのーと声をかけ作業の邪魔をすると判断した馬齢が「あなたは少なからず言師から護衛を任されているんでしょう。もう少しまじめに護衛されてはどうですか」そう言うお目付役に「じゃあ鎖で雁字搦めに縛っちゃう~♪」怒ろうとする傷の癒えてない馬齢に丸めた紙が飛んでくる「無理に動くと開くって言ってるでしょが」という非凪様それに対してしかしという馬齢を鎖で縛る不鎖「何をする!」という馬齢に「心配しなくてもここら一帯にはあたしの鎖が張ってある問題は無いわ」と部屋に張っている鎖を彼女達にも見えるようにする。そこには部屋のあちこちモノを通り抜けるほどの鎖が所狭しと張り巡らせてあるソファーに腰掛けつつ「この部屋の外約半径一キロ程度には張り巡らせてるからノープロブレムよ」と改めて神の力を見せ付けられた非凪と馬齢だった。キーボードから音がしなくなり「大きな動きという訳じゃないけど一つ気になる事があるわ」そう話しコーヒーを入れる非凪様そんな非凪様に「次いでにあたしも3つね」という不鎖にはいはいとコーヒーを注ぐ馬齢は?と尋ねると私はと彼女が言う前に”いくつですか!”と強く言われて”四……五つ、ミルク多めで”と言う馬齢と非凪の会話をクスクスと笑う不鎖「それで、その”小さくない動き”ってのは何?鳥神の坊主と関わりあるの?」そう聞く不鎖にコーヒーを渡しながら「”障痕教”の話は聞いてる?」という非凪に「あぁうちのわんわんが話してくれたわ。あんた達のとこの坊主の一部が見出した答え”障害者を増やす”って考えだったかしら」そう言う不鎖に「まぁあながち間違ってない……宗教法人”WRB”プロキシアス傘下ということにはなっているけど、この前の会議の一件もありなりをひそめていましたが……そこの代表が交代してるんです。リーフ・デンバー……グラフトの一人である彼女はこの前の一件で失脚ということにはなっていますが……今までこんなことは無かった……新たに代表になったのは”漆顕 偲”……これは!」どうしたとコーヒーを吐き出しそうになる不鎖「女の子……8歳のしかも彼女には”感覚が無い”視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚、五感全てを失っているんです」言ってる意味が解らないのか不鎖が「此方ではそんなハンディキャップ持った子でも代表になれるのね物世界も中々うん感心感心」と残ったコーヒーに砂糖をもう一つ加えようとするその手を止め「なれるわけ無いでしょうが!あっちもこっちも大差ないだから気になるんです!」わかったわかったと宥める不鎖「で、その五感が無い女の子を何でその法人は担ぎ上げたの?」尋ねられた非凪が「五感が無いのに問題無いからですよ。彼女は道をスイスイ歩く視力もない、聴力もないのに、味もわからないのに食べ歩き味の感想も適格だ。暑さ寒さも感じられる。信じられません。医学的な検査は全て感覚の喪失を証明しているなのに」その後に馬齢が「まるで”奇跡”のようですね」というとスプーンをかみながら「そうまさにそれが”奇跡”と呼ばず何と言うのでしょう。SNSでは”神から愛された子””天から使わされた救世主”など様々な意見が述べられているんです。テレビ番組にも引っ張りだこ、インチキを暴こうとする人達をことごとく打ち負かし全国的に証明しちゃってるんですよね」参ったわと言わんばかりに話を進める非凪に「それであたしが調べてくるの?」というと「いえ今回はプロキシアス本社から”あたしを含めた数人に監査の名目”で派遣されます。ここで出ないというのは」その後に不鎖が「わんわんも言ってたけどあんたはなるべく召集には応じた方がいいわ、警戒されるだけだし情報も得やすいし、あたしと馬齢ちゃんは別のルートで探ってみましょう。上手く行けば何かわかるかも」そう言う不鎖に「分かりました……馬齢ちゃんもムリしないように」黙ってここにいてくれないなら不鎖と一緒にいたほうがいいと判断したようだ……ファミレスの一角にスマホを片手に頼んだクリームソーダの熔けかけのアイスを突いている苗の姿がある。かなりソーダに溶けたアイスはこの席に彼女が長く居坐っていることを示している。窓の外には大きな建物が見える宗教法人”WRB”の施設が聳え立つ。周りには明らかにその施設を目的にこの場所を訪れた者達がちらほらいた。ズレ落ちる慣れない眼鏡をあげなおす苗レンズには度が入っていないが慣れない眼鏡は顔にとってはうっとうしさ半端ないようだ。そんな彼女の席に「急な呼び出しは勘弁して欲しいわね。今日はパパが休日出勤なの、親戚のおばさんが来たからよかったもののママ一人にはできないし」ここに来るのが大変だったと愚痴をこぼしつつ席に座ると同時にご注文はウナギですか?と”うな重キャンペーン中です”と勧められるも結構ですと断りコーヒーを頼む「あら、ダイエット美味しかったのに」と苗はデザートのクリームソーダを突いてた理由を明かす「そんなことより、今回は何、適合者が見つかったとか?」運ばれてきたコーヒーに口を付けつつ尋ねる揺にアイスを頬張ったスプーンを外に翳し「あれ?何か解ります?」外の建物を指す。その方角を見る揺が「何?あの変な建物がどうしたの?」その反応に「変な建物ですか。あれ、うちの傘下の企業何だけどな」と前置きしてスプーンをソーダの中に沈めるそしておもむろに自分の聞いていたイヤホンを揺の耳に「……全ての人に瘢痕を……人は生まれながらに持つモノが決まっているそれは努力して手に入れるものとは違う肌の色、住んでる地域、財の格差でも肌の色が機能に違いをもたらす、住んでる地域が異なっても体に変化はない、財は創ることも出来るでも……体の機能は設計図により決められた通りに作られるだから見える者は見る努力などしない、聞こえる者は聞く練習などしない、持たない者にとっては努力や練習は何の役にもたたないのだから……ならどうやってその差を減らすノーマライゼーション等と、うたったところでそんな世界は存在しない……なら″全ての人に癒えない傷があればいい″眼が見えない、耳が聞こえない、臭いがわからない、何に触れているのか認識できない、何を食べているのか理解できないとね……そうすれば少なからず……″頑張ってね″などと実もない言葉は紡がれることは無い……だって″頑張りようなどないのだから″そんな言葉は自身が一度も経験していない者いえこれまでもそしてこれからも経験することの無い者が言う″ただの挨拶″なんですよ!……」溜息をつきながら揺のイヤホンを取る苗「あまり趣味がよくなかったわね」と自分のイヤホンも取りながらスプーンでソーダを混ぜつつ「すごいでしょう、こんな常識外れみたいなことを広めてそれで人が集まってきて脈々と受け継がれてきた……人の考えが多様になってきて減ってはきたものの……無くならなかった……どうしてかなパパも悩んでたみたいよ」アイスの溶けたソーダを太いストローでジュルジュルと考えつつ飲む苗に「そういうの………少し分かる実際には少し前までは……見てる側だったから……でも直が消えたあの日奈落を覗く側から一転奈落から見上げる側になった。ママは泣いてた……ずっとずっと洗濯も掃除も料理も……何もしなくなったそんな時学校から帰宅すると変な格好をした男女が家にいた大量のグッズ水晶、御札、羅針盤、2リットルの水がこれでもかと積まれている………机には領収書の山……どれも金額がオカシイのは一目でわかった……怒号するあたしの声ただ一言″出て行って!″男女は″直くんの事が……″とママは嬉しそうに見つかると言っている。あぁ……ダメだ……今は何を言ってもと私が虚ろに憶えているのはそんなとこ……その後パパが商品を返していくママがどうしてという態度にただ………アタシに″ごめんな″とポツリと述べただけだったの」語られる話にファミレスの机に突っ伏したまま主怠そうな声で苗が「ふーんごめん、あたしは分かんないかな、あの時も洒を弟を簡単に終わらせちゃっても何とも感じないんだからね……だからかな……揺の気持ちは多分一生分かんない、グラフトは人とは違うって事かな(さてととゆっくりと顔を上げながら)おっとそれでこれから何だけど」そんなあっけらかんとした苗を見ながらあの時も感じたけど自身とは違う者なのだと理解した揺、目の前で話す苗がテーブルを挟んで遠くに感じる「聞いてる?」という声に引き戻され何だっけと素直に答える揺に「そこの代表が変わったの」苗の言葉にそれって驚くことそんなに続いてるとこの代表なら今までだってという揺に「いくら宗教法人とはいえその代表も年を取るからね、でもその代表はかなり前からグラフトなのパパはこの″障痕教″という団体を容認してきた。それはその大元になったのが自身のグラフトだったから、確か蒼雀とか言ったかなプロキシアスの専務でもある八烏 櫻咫こと櫻ジィと同じに創られたって認識してる」表向きは社長の令嬢である苗、専務である八烏とは家に来たパパの部下程度の認識しかないのが普通だが、グラフトの立場からいえばより人に近く平和な時代に創られた苗より、神約により物世界に投げ出されまだプロキシアスの原形が出来る前に創られた最後の似鳥である八烏専務は同じグラフトであったとしても差があるようでどこか他人行儀だ。そんな苗に「それで今回はその宗教法人を自慢したくて見えるとこまで呼び出した訳じゃないよね」このアイスが溶けたソーダを太いストローで飲むのが何ともと至福のひとときを感じている苗に聞く「いやさーほらあたしって独り暮らしじゃん……諸々の都合で洗濯やりながら夕飯作って風呂を沸かす……まぁなれりゃそうそうこの所そのコツが少し掴めてきてさなんつーのかな(立ち上がり帰ろうとする揺に)ちょいとゴメンゴメン……その宗教法人に派遣という形のプロキシアスの査察がはいんのさ」それに参加するって事と立ったまま揺が尋ねるとまぁまぁ座って座ってと宥める苗が「いんや派遣は明日からみたい、でもそれって表向きでしか無いわけだからジャンジャジャン!」ポシェットから取り出したのは一枚の紙そのまま揺に手渡すと「全ての人に平等を!格差是正!君の新しい世界を開こう!って何これ………まさか」そんな表情で苗を見ると手を握り「私たち新たな段階に突入すべき刻」忙しい毎日が彼女を変えてしまったのか、その時「菜草ちゃん!馴れ馴れしかったかな徳導さんでも良いかな」そんな爽やかな青年丸刈りな背の高いスポーツマンが颯爽とあたし達の前にすると苗も立ち上がり「垣野くんこそ全国大会近いんでしょ、忙しいのにわざわざ此方から遊びに間違った見学したいって頼んだのに、あとみんなみたいになーえんでいいよ」と気さくに話す苗こと徳導 菜草、元々学校には偽名で通っている。三年生なので言師のこととは関係ない隣町に本社のあるプロキシアスの社長令嬢その肩書がいやだった。グラフトなので拒否権なんか無いんだろうけどパパにワガママ言ったら何とかなったと学校用のIDを用意してもらい通っていた。元々プロキシアスそのものは大いなる目的つまり″照留様の神病を治す″為の物でしかなかった。表向き後継者を決めていた洒がいたので自由気ままなお姫さまだったんだけど色々あって今やプロキシアスの後継者となってしまったそのこともあっての独り暮らしというわけよくやるとコーヒーに砂糖をドロドロと入れる揺の方に手を差し出し強引に握手しながら「いやいいんだまさかこんなに近くに興味をもってくれる人がいたなんて!」鼻息荒いその態度に引いていると「垣野くん、せっかくのビジュアルが死にそうだよ、近くはやめようね」とYシャツをグイッと引っ張るなーえん「あははゴメンねつい興奮して……でも″全ての人に瘢痕を″なんて一見するとテロリストみたいな思想なんで敬遠されがちで……でも違うんだあれはあくまで理想……そういう風に分かり合える世界になるようにしていこうって……でも今は」どうかしたの?と揺が聞こうとすると「その前に先ずは自己紹介しなくちゃね……まぁお互い知らない仲じゃないんだけどね」となーえんが話を進める「ええっと先ず彼何だけど、うちの中学の三年で垣野くん、野球部のスタメン何だよ」あははと照れながら「公九郎に比べたら全然、うちの部の守護神の二刀流、全国だって公九郎様のいや内助の功たるなーえんちゃんのおかげだって」なーえんちゃんに深々と頭を下げる垣野に「″皆がいるから続けてんだってじゃなきゃ今頃ソシャゲ三昧の日々だったのにな~″だって公はほっとくとすぐサボるから″あーあメンドーイ″ってね、それに″野球はソシャゲと違ってひとりじゃできない″って二人の時も垣野くん達の話ばっかり何だかんだで野球バカなのよ」それは自分も同じかなと二人して笑っている。垣野くんがポツリと「でも残念だよな、確かに全国へのキップは公九郎のおかげだけどさ、部員ポテンシャル的には菜草マネージャーが心の支えって野郎多かったんだよ。まぁかくゆう俺もそのひとりだったんだけど、急に辞めちゃって、公九郎となんかあったの、あいつ野球以外ぼーっとしてて、でも手を上げるとかそんな奴じゃ」聞きにくかったのか、ここに来て一気に聞いてくる垣野くんに「大丈夫、ちょっと外せない用事できちゃっただけ、公とは円満です」と胸を張って言われた垣野は胸を撫で下ろしながら「そっか、少し残念だな、チャンス到来かとドキドキしたのに」それはご愁傷様と笑い飛ばすなーえんの二人の空気に揺がコーヒーを飲んでいると「じゃあ今度は彼女の紹介するわね」と視線が揺の方に集まる彼女はねと、なーえんが言おうとすると「″猿蟹合戦″」ポツリと述べる垣野の言葉に恥ずかしげに顔を落とす揺「そんなに有名?」というか細い声と態度は彼女にとっては触れられたくない部類に入るのだろう。咄嗟に垣野くんが「違うよ、その喧嘩を仲裁する君を見てさ何だか憶えちゃって」尚申し訳なさそうにしている揺、彼女のクラスの風物詩、比較的静かな揺のクラスであるが部屋中に蔓延する香水の匂い、静かな要因を作る一つであるのは揺の友?である女子″月蟹 里依″(八人とお付き合い中❤)スナック里依、クラブ『ムーンキャンサー』なんて学校の異端扱いされている。それと対をなすのが通学のバックにはお気にのアニメキャラのキーホルダーに缶バッチ、筆記用具は萌えるモノで埋め尽くされており机の上のフィギィアはスレスレギリギリなモノオタクアイテムとしての丸眼鏡をかけた本人曰く″私は腐女子ではない全てを受け入れる発酵女子なのだ!″と断言する熱の入れよう″猿間鷲 近衞″二人とも何だかんだで腐れ縁もあり教室では揺を挟んで両隣なわけだが見事なまでに合わない小学生の頃は揺の家に行った時も″すごーいおじさま″と父親にスキンシップ手玉にとる「里依ちゃんは可愛いなぁ」と新入りキャバクラ嬢を見るかの如くデレデレするそれを情けさなそうに見る母親、片や″スゲェこのえー、何でこのあとの展開が分かったの″という直少年に″あの背景は作りが他とは違うのだよ先に絵コンテというモノをだね……″とマニアっぷりを見せる、どうやら彼女には違う景色が見えているようだ。直少年のその後を左右しかねない運命を導いたのは彼女だったかもしれないそんな二人だがクラスの立ち位置も二分する。一見すると人当たりもいい里依の方が断然男心を掴むのかと思いきやそうでもない。男のオタクはキモいの一言ですむのだか、女の場合彼女は腐女子ではなく発酵女子だそうでしかもかなりのオープンだその事もあり揺のクラスはその手の話も話しやすいのだ。男心という点でも半々今日はスナック里依に通い、明日は近衞喫茶に足が向くそんな二人だから元々だったけど、ことある毎に対立している二人とも喧嘩は口から始まりつねったり引っ張ったりのまぁ見ていて″ある意味女子の本気の喧嘩って男子よりコワイよね″と思いたくなるほどだ。そんな喧嘩を仲裁するのは二人との付き合いも長い揺しかおらず必死に止めている。そんな姿は目立つし恥ずかしい″猿蟹合戦″所構わず行われる喧嘩は揺のクラスの風物詩として観光客こと生徒達に秘かな人気となっていた……「おーい戻ってきた?」となーえんが揺の前で手を振るそんな彼女に「大丈夫、紹介だったわね、(よし)アタシは金糸 揺です垣野くんとは同級みたいだけど、ごめん憶えてない、な………なーえん、菜草さんとはこの頃その知り合ったの、とりあえずよろしく」ぎこちない挨拶実際会ったのはこの頃なので間違ってない「こっちこそゴメンねいきなり変なこと言って」とフォローしてくれる垣野くんそこに「二人の空気和んだ所で後は若い者同士~」とボケるなーえんに「「お見合いか」」と突っ込む二人に場がなごむ「早速だけど垣野くん案内して貰えるのかな?」というなーえんに「勿論、じゃあ向かいながら話すね」とファミレスを後にする三人  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ