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神約聖書  作者: 裸形炉
73/115

七十三ページ目

「あたしと″神落ち″………功丑はオヤジ殿の元で学び、競い、大好きな奴だった。あたしさ、このなりだろ(自分の体を見ながら)小さな角、体、だから他の丑神の数倍頑張っても……強くなれなくてでも功丑はさ、そんなあたしに分かりやすく力の使い方や秘めた力が透椛にはあるんだって、他の丑神には無い才があるってそうやってどんな時もあたしを支えてくれたんだ」話しを聞く限りとても今彼女の足元に神約聖書で縛られたその″神落ち″がその功丑という神様だったとは思えない。神から落ちるという行為がここまで変えてしまうんだと言師は思ってしまう。大好きだった。憧れを持って功丑さん……″神落ち″を見る彼女の目に言師は自分の姿をダブらせる………″もしわんわんさんが……″持つ神約聖書が心の揺らぎを読み取るかのように緩まる。光は弱まりそれに呼応して光の帯はもろくなる。皆の声が木霊するだが………そこには大きな顎に体の大半を持っていかれた透椛さんがいた。だけど彼女は泣き叫ぶ訳でもなく抵抗するわけでもない「ゴメン……ゴメンね……気付いてあげられなくて……」バリバリと音と共に彼女の体は無くなっていく「前……ばかり見て……後ろの……功……丑の声……聞こえてたのにさ………当たり前だと………思って……やっと………楽に…」大きな影と共に吸い込まれる声はどことなく安らぎを感じた。そのまま口元を上げた”神落ち”「ウッメッーー!!イママデクッタ……ドウシテアンナモノタベテイタノカ?ハナカラ、モットハヤクタベテイレバヨカッタ」髪の毛が言師に伸びて!すぐに「弁天!」と三角定規を出すものの、髪の毛は垂直に曲がり飛べない鳥神の鶏冠を絡め取り一瞬で移動して「コッチハ”ドンナアジ”」一飲み足搔く間なんて無い大きな口から”あいき”が出る頃には鳥神の姿は跡形もなく食べられていた「モット……モット………タベタイ、オオク、イッパイ……クイテーーー!」ほとばしる神力、多分もう神約聖書では抑えきれないと言師が自覚してしまうほど、先程までとは別の何かが目の前にいた「ヒー……フー……ミーヨー……イルイルタクタン」髪の毛はまるで筋繊維のように絡まり体を構築していく……頭を体のように見立て髪の毛で作った腕と足が黒く光ながらくっつく。「ウゴクトヘル……ウゴカナクテモヘル……ココ″ダイスキダ″」黒い足を屈めて飛び上が……ろうとするがバランスが崩れ前に倒れる。倒れながら自身の黒い足を切断した者に「オマエ、ヒト″クッタコトナイケド″シビトトオナジ、シビトヨリ″カミノホウガウマイダカラ、オマエイラナイ、ハヤク″カミタベタイ″オマエオレトメラレナイ、シンヤクセイショデオサエラレナイ……ムリョク……ムリョク」切断した足は黒い髪の毛が風に扇がれバラバラに散っていく「気にも止めませんね。ここから逃げる素振りも見せないし、やはり″神を食べた事″で逃げる必要が無くなったから」同化しているシャーモンさんに尋ねると「そうじゃな、強さという点では確かに神力は増大した言師の推測通り″神を喰らった″事が神力の増大の一因じゃろうが……動きは思ったほどではない、ワシは少なからず″強い″程度しか感じないの」シャーモンさんのいうように斬った感触や間合いの取り方なんかは前と大差ない。動きが読まれていたり、躱されたりするわけでもない。しなかったと考えなくは無いけどそれにしては……「このまま押し切れそうですか?」疑問符がついたことにシャーモンさんが「押し切れなくはない!あいつの口ぶりから、外を囲んでいる獸神達を喰らう気満々だしの神力だけ増加した程度なら特に問題ないが……福禄寿お前さんは今まで″神を食べる″輩を知っておるか」七福神の中で博識な福禄寿に尋ねる。彼が知らないのなら他の七福神も知りはしない「ないな……″神落ち″だというなら知らないわけじゃない、その行動心理から″死人を喰らう″というのは分かっていた。今まで神世界でも数多くピンからキリまでいた………が実際″神を食べた″なんて奴はいない全く新しい事例だ……進化、新たなステージだと考えるならいや……″神を喰らう″など考えたくはない″未知数″単純な強さ以外で考えるならシャーモン君でも足元を救われかねない……それに食べるという概念上は我々も″彼のエサ″になりうるということだが我々七福神をエサにしないのは……」黙って言師を見る「あたしと一緒にいるから……って事は」頷きながら「あの丑神……喰われた透椛殿は支神ではあったが喰われた……だが我々はこんなに近くにいるのに喰われていない……その違いは″神約を交わしている″ということだ……我々と言師には神約というパスが繋がれているので食べる事が出来ないということだと推測します」其れを聞いてシャーモンさんが「それで周りの獸神達を狙っているか」頷くロクジュさんそんな心の会話の間に新しい髪の毛が束ねられ黒い足が完成していく。「花人さん!死人のおじさんをお願いします。多分アレはあたしや死人である貴方達は狙いません!」ハッキリとした声で後ろにいる死浪である花人に裁来を守るようにお願いする。死人の捕食の可能性はゼロじゃ無くなったけど、ほーちゃん達を危険な目に合わせる可能性それが頭の隅で踏み出す一歩を躊躇させるが次の瞬間ポンと七福神全員が髪飾りから表に現れる「みんな!駄目だよ!髪飾りに戻って!」言師がなりふり構わず叫ぶと「食べられるかもしれないからなのかな?」真っ直ぐ″神落ち″を見ながら話すほーちゃんに返す言葉がなく下を向く言師の顔をグイと持ち上げる弁天「食べられるかもね!」その言葉にだったらと振り向こうとするも顔は前に固定され「かも……かもでしょ絶対じゃない」そのあとを続けるように言師の周りを泳ぐビース鯛が「だから″何もしない?″」けどという言師に今度は俵丸に乗ったクーテンが「違うよね!やらなきゃ前に進まにきゃね!」と俵丸を撫でている。その横で槍を肩で抱きながら「勝負はいつも未知数、福禄が言ったとおりだよ。だったら一歩一歩確認しながら進みゃいいさ」言師の目が″神落ちを見据える″のを見てシャーモンはふふっと顎髭を摩る。入れ替わるように縦長の帽子を目まで被さるロクジュさんが「今ここにいる言師、我々七福神、死浪の花人さん、死人のおじさん、そして喰らい神力が膨れ上がった″神落ち″、一方周りにはここでの状況が分かってない獸神達と合流してない夢神と神約を結ぶ螺馬ちゃん、人である彼女の姉、そして死人の兄妹と……どうですかこうやって少しずつでも確認していけば色んな道も見えてくるというモノです」ロクジュ先生の言葉を噛み締めると「さぁ、出し惜しみは無しです。ここからは全力で物事にあたりますよ」とジュロさんの呼びかけに背中を押された言師が大きく一歩踏み出すと同時に髪飾りに戻る七福神「ヘッターヘッター……ヘッターゾー!!!!!」髪の毛が何重にも重なり丸い黒い塊になったと思うと草の根のように髪の毛を四方八方に栄えさせる「ガマンシナイ……ゼンブオレノダ!」円を中心に永遠に伸び続ける髪の毛という枝は障害物を避けながら外へ外へ「行かせない!ビス様!」あいよ!と地面の中からチャポンと水面を跳ねるように現れた一匹の鯛その口から水玉がバブルのようにはじけるとポンと根を伸ばしていた髪の毛が水の壁に弾かれ中央に戻ってくる。「オマエ!!」っと邪魔をするなと髪の毛が言師を捉えようとするも飛んできた俵丸!に乗りサーフィンの要領で髪の毛を乗りこなすジグザグ上下に髪の毛をすり抜けるようにしながら″神落ち″に近づき神約聖書を広げる。中から現れた光の帯は一直線に″神落ち″を縛ろうとするが「ダッダッタラ!ナンダ、オマエアタマワルイ!ナニモデキナイ″シンヤクセイショデオレシバレナイ!!」絡まる光の帯がギシギシと神力膨れ上がらせて引きちぎろうとする!必死に神力を膨れあがらせるのに必死だったがメドがついたので言師の方を見るが、そこには浮いている俵が一つ「イナイ?ドコニ?」探す″神落ち″の後方から挙動不審に動く目玉を「だーれだ?」と覆う言師その傍らから別の声が聞こえてくる「君は確かに強い神力を持っているだけど″器は大きくない″言師を通して触れてそれがよく分かる……だからその膨れ上がった神力を無くしてあげますよ♪」そうジュロさんが呟く「ムダ!オレオマエノ″チカラキョゼツスル″ナメルナ!」しかし先程までちぎれそうだった光の帯は息を吹き返したように締め付けはじめる。「ナゼ、チカラハイラナイ?オレオマエヨリ″ツヨイシンリキ″ナハズ?」その答えを耳元ではなしてあげるジュロさん「確かに神力は神の強さのバロメーターです。膨れ上がった君の神力は私の神力を上回ってい故に単純に私の神力は君には通じないという計算になります……しかし君は一つ勘違いをしていた。今までは死人の魂を喰らっていたが彼等は神力を持たない故……神力の増大という結論には至らないけど今回は違う″神を喰らう″という新しい一歩を君は踏み出した……新しい前進は新たな力を君に与えた……けど器はそれについていってない……君はその膨大な神力は自分の神力だと思っているようだけど厳密には違う…″足し算なんだよ″」分からない″神落ち″は言葉が詰まる。その答えを差し伸べるようにジュロさんが続ける「つまり君自身の神力は前と変わっていない食べられた透椛さんと鶏冠の鳥神の神力を足して使っていた。そうだな″消化してないから、自分の身に成っていない″時間が足りてないのさ……となれば私がやることは″君に消化される前に私が彼等を老化させてあげればいいのさ″そうすればほらこの通り」光の帯は完全に″神落ち″の体を縛り上げる。その様子にジュロさんの口が囁く「君本来の神力は神約聖書で縛れる程に低下するというわけさ」暴れる″神落ち″「イヤダー!マダ!!マダタベル!アノアジ″カミ″ノアジ……ヤットミツケタ!クワセロー!」中毒ひと言で言えばそのようなものか、たじろぎそうな足も踏みとどまり「神約聖書においてここに封じる!」光の帯が今にも″神落ち″包み込もうとしていた………「ハッ……ハッハッ……あとがないね……こりゃ参ったな」その場に座り込む死浪の騎士、辺りの家は無くなり残骸のうえに大きな体の首の無い死獸が馬乗りになりその爪を振るわんしている。あの娘が目を覚ましてくれれば、いや脅しがずぎたのは如何せんこちらに非があったか……太市様は無事戻られたかあの二人ではちと不安が募りますがここでお別れ、覚悟して爪を受ける寸前コロマルの動きが止まる。そして何かに導かれるようにしてその場を急いで離れる「助かったのか?」一人どっと疲れる死浪の騎士だった……「えっ!」光の帯を貫き帯に包まれたままでいる″神落ち″に首の無い獣?が突っ込んでくるすると光帯はばじけとんでそこには先程の頭部をつけたコロマルがそこにはいた。「まサか、コこデ、こノ姿に戻るとは、多少計算が違いましたがまぁいいでしょう、予想より早く″神の取り込み″を行ったかまぁ喰らうという選択肢になり得ることは理解はしていない訳ではなかったし予見も出来たが……せっかく取り込んだ神力を奪われるとは……まぁいいや……取り込める機能が定着している今はそれでよしとするか……コロマルねぇ……まぁ体は保険のようなモノだったし問題ないが……オレが死人になつくか……深層心理ってのはオレは死人を求めてんのかね……クックッもう死人のいざこざには興味無いんだが……なるほど″腹も減った訳でさ″……鳥神の元女王様の活き作りてのもいいか……よし」とその場を後にする。唖然とそれを見送る言師「いきなり出て来た″神落ち?″なのかな?」頭が整理できない様子の言師に「全く恐ろしいガキだ……まさかこうなる事を予見したのか?功丑……遠目で見たあいつは透椛さんの取り巻きにしか見えなかった…だけど″端からそれすら偽りだったとしたら″」どういうことですか?と言師が説明を求めると「わかった、順を追って説明するとはいってもこれはあくまで仮説だが……そう考えれば納得がいくことばかりだ。一つ透椛さんに抱いていた嫉妬は本物だろう………いや本物だからこそ今回の計画を思いたったと言える。基本我々″神は成長はしない″ここが人との大きな違いかな」そう言うロクジュさんに言師は「でも僕神……傾くんは急に強くなってたけど」言師になるための試練の最中立ち寄った時の事を思い出して話す言師にロクジュさんは「彼は確か八百万でしたね、彼の中には元々それだけの力が眠っていた。それが″何かのきっかけにより″発現したということなので、言師の″急に強くなってた″というのはその結果だと思います。努力して強くなったということは無いんです」ロクジュさんの言葉になるほどと頷く言師に話しを続けるロクジュさん「けど″神落ち″になった彼……功丑という丑神にはそれがなかった……彼は角もあり、体格も普通の丑神程度にはありました……でもタダそれだけでしかなかった……特出すべき点がなかった。神は努力をしても意味はありません……ただの凡庸な神でしか無い……初めはそれでよかったけど非凡な神に接すれば接するほど、自身の凡庸さが浮き彫りになっていく……優しかったことは先程の透椛さんの話しからも推測できますから……でも触れれば触れるほど彼の心のヒビは太く大きくなっていった。そして神では駄目だ!と思い立つ……″なら神落ちすればいい″と考えた。ここまでならよかった……普通の思考の範疇なのですが……ですが″神を食べるであろうことを彼は予測した″だけどリスクも伴うそこで自身をふたつに分けたんです。一つは″神落ち″として死人を喰らい新たな可能性を模索すること……そしてもう一つは死獸として万が一のスペアを作っておくこと……″神落ち″は狩られるリスクもかなり高い、獸神を筆頭に神々、それに神約聖書を持つ言師の存在は致命的ですから、そして神を喰らい成長を遂げる可能性を示したいずれ狩られることで元に戻るよう仕組みを作り出しそして今元に戻ったんです」そんなロクジュさんの推測を聞きながら「じゃあ″分かりやすく力の使い方″は」合いの手のように「″本来自分が力を求めるために得た結果″だと」確認するようにロクジュさんに言師が「じゃあ″秘めた力がある″って応援して……」心苦しくロクジュさんが「いたからこそ″その埋めようのない差″を感じ惨めでどうしようもなく悔しくて堪らなくなった………彼が決意するきっかけ……さっき言った考えは言師が先程言った″分かりやすく力の使い方″からも思案の繰り返しは読み取れる……その先も具体的な道筋も今をもって思えば出来ていたと考えてもいい」言師の頭の中に一つの言葉が浮かぶ「……″きっかけ″だった」言師の一言を受け横で浮かぶロクジュさんも「もし……もしも″透椛さんが力を持たなければ″ふとそう思ってしまうよ」震え首を振る言師を見て「そうですね……もしもはないし………そんなこと言っても詮なきことだ。さてこれからどうする?言師」顔を上げながら残った花人さんと死人のおじさんの元へ「動けそうですか?」木によたれる花人さんに聞く「大丈夫、大丈夫それよりあれは、何なの途中からきた変な首の無い死獸?が合体した?そんなことより問題はあいつの向かった方向……やばい……あたしの感が正しければ……オオキミのいる死都の方角、でもオオキミは死人?あいつは神を狙ってるはずなのに何で?兎に角、急がなきゃってありゃ」思うように体が動かず倒れてしまうくそっと体を起こそうとするも起きず、そうこうすると「全く花人のねーさんは年の割に頑固だよ」と裁来のおじさんが彼女を背負う「あらら、どういう風の吹き回し、なーんの得にもなんないことしちゃって……なんて悪いけど裁来のおっさんアジトまでは護衛までは送ったってももうないんだけどどうしてもいかなきゃいけないようが出来たの、ホントは裁来のおっさんをアジトまで送ってあたしはとんずらかまそうと思ってたんだけどね……残念残念というわけで降ろし」よっこらっしょと本格的におぶる「コラコラ……話し聞いてた……ってか今のあたしじゃ目の前の言師ちゃんの相手はおろかおっさん一人守るっーかおぶられるのが精一杯守ってやれねーっての」そのまま言師の前に立つ裁来「やっぱりオレの勘は当たるお前は神なのか?」その質問に「あたしは神じゃありませんけどあなた達のしてることは許せない!」睨み合う両者「神じゃねーか、だがあのチカラをお前さんが持ってるのは間違いねー」頭をかきながら「あんたの狙いはウチのアジトの壊滅だったようだが……この通り綺麗さっぱり無くなったでも……その壊滅させた奴はまだいる。はぐれモノってのはさ何処のセカイでもいて……結構愉しくてさ」その言葉に「子供を食い物にしてよくそんなこと……」キリッと睨む言師を見て「やるってんならやって貰ってもいい別に未練はねぇ……ただ″あの神落ちは許せねぇ″だから」必死に懇願する裁来に「分かりました。少し待ってください」とその場をあとにしてすぐに後方にいた夢神様達を連れてくる勿論あの兄妹も妹はぶーぶー怒ったが「お前のしたことは許せないけど」壊滅したアジトを見て「他の皆は言師さんのおかげで″居場所″は見つかった……だからもう二度とあんなことをしなければいい」兄の言葉に妹も「ニャハニーカッいーね♪」とにこやかに兄の手を握っている。こうして言師連合は″神落ち功丑″を追うことになった。

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