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根城への道すがらお姉さんは子供たちに大人気だ。まるで学校の先生って言うか……ガキ大将の方がしっくりくる。そんな姉に「さっすがお姉ちゃん」という螺馬ちゃんが得意気だった「それで夢神様はこの後のこと何か考えはあるのかな?」というアタシの言葉に「どうやら夢神国に連絡をとってたみたいなので何か考えはあられるみたいです」話している間に根城に到着とはいえコレは手作りの砂場、遊具、そして大きな馬小屋?なのかワラが布いてある(どうやら狗神達の獣道の起点となる場所から近い。ここは休憩所の一つといったところか)長年使われていないようであちこちボロボロだが子供たちは気にせずナハ君が作ったであろう砂場や遊具でガキ大将とかしたお姉さんと遊んでいる「他の死人達も狗神のこともあり近づかないし、当の狗神達もここの獣道はここを使い始めてからは利用してないみたいなんだ、最初は警戒していたけど今は結構自由に使ってる」ナハ君自身も疲れているようでワラの上に寝転がりながら話をしている「早速で悪いですけど頼みがあります」会話が終わるとすぐさま螺馬ちゃんが夢神様に言われていたことをナハ君に伝える。
……「クソッ!」辺りは暗いあれから少し時間が経っているオジサンこと裁来は自身が大きな柱に繋がれて動けないことに憤りを感じている(それにしても、何だあの娘はあの娘達は俺たち死人のように薄くは無い……なら神?いやそんなはずは、何のためにあのガキを助ける、神じゃないとしたら死浪か、それなら神じゃ無くとも力の説明はつくか、分からないことだらけだが)自身の後ろで結ばれている縄の感触に(クソ何度遣ってもビクともしねぇーや)と死人の非力さを痛感し、ほとほと困っている。ふらつく素足の音と共に寝ぼけ眼の子供の一人女の子が前を通りかかる。しめたと女の子に話しかける「ようお嬢ちゃん、こんな所で一人でどうした?」その言葉に此方を向きペタペタと歩み寄る「うん眠れなくて、一人で遊ぶのはつまんないから眠くなるまで探検、オジサンはよく分からなかったけど悪いことしたんでしょ。あたしは具合良くなかったから、みんなと一緒に行かなかったけど、みんな話してたし、何か眠れるモノ持ってる」普段関わりを持ってるのはナハだけだ。他は”アレ”の実験に今みたいに接触していたが”アレ”をやると他のことは飛んじまうんでなオレのことなんか覚えちゃいない、あの妹が言っていたルカちゃんやさっきの譲ちゃんってのもその一人何だか、渡りに船とはこの事かと「あぁ持ってるとも、それにはこの両手が、ふさがっていてね取り出せれば、あげられるんだけどなぁ」興味津々で話に食いつく女の子に「ゆっくりと眠れるモノだよ(笑顔で)だからまずコレを解いてくれないかな?」解こうと手を伸ばすもすぐに引っ込め首を振る「ダメダメ、オジサン悪いことしてたよね、そうやって譲ちゃんのことも騙そうとしたんだよね?」笑顔を見せながらもチッそうだったここのクソガキ共は知ってるんだったな。半分目を伏せて断り立ち去ろうとするもこのまま帰られ誰かに告げ口されても困るので優しく懇願するように「違う、違う譲ちゃんも君みたいに眠れないみたいでキミと同じように悩んでいたんだ」立ち去ろうとしていた足が止まり此方を振り向く「でも回りにも相談出来ずにね。まぁ回りに相談したからといっても眠れることが出来るようになるかは疑問だけどね(不安がる女の子に)キミは眠れなくてもいいのかな?(最後に一言)”甘ーいよ”」その言葉に表情が緩む。こっちの世界は”食べる必要は無い”なので腹は減らない……感覚は存在する。魂だけなのもあるが、其れは一層強く感じる。死ぬ前の記憶は受け継いでいる、そこで得た感覚は魂に記憶されている。老若男女問わず”甘い”という響きは特に小さな子供にとっては強い想いを抱きやすいものだ。そこが攻めるポイントだと踏んだオジサンは「甘ーい甘いものだとろけて口いっぱいに広がるよ」唾を飲み込み物欲しそうに此方を見るが、手は出してこない小さいとはいえ集団生活をしている認識は薄いが規律の乱れはダメだというすり込みがされている。だがそんな輩まぁ大概大人だがそんなものは”価値観と倫理観を少し膨らませてやれば”「大丈夫だよ何なら片手だけいやオジサンの懐を探ってみるといいそれならオジサンの縄は外されないので大丈夫だろう。お兄ちゃんとの約束も破らなくて済む」少し考える女の子ダメかとも思ったが「そうだよね……少し……ほんの少しなら構わないかも」そう言ってオレの懐へ手が伸びる「左の内ポケットに入ってるだろ?」上手く誘導してガサゴソと懐を探させる女の子そして「ん、コレかな」と白い粉の入った袋を取り出す「これが、甘いの?」女の子を見据えて「あぁ、とっても甘ーいよ、全て忘れてしまうほど、どうでも良くなってしまうほどにね……」半信半疑な女の子の態度に対して「なら、僕が先に飲んでみよう、そうすれば妙なものなど入っていないとわかるだろう?」口を大きく開ける俺に白い粉を少量放り込む「あぁ~幸せな気分だなぁ疲れが吹き飛ぶ(多少大げさだがコレも少量なら魂の定着を促し転生を少し延ばしてくれる。甘いのは二次的なものであり……毎回思うが甘すぎるなコレ)どうする?要らないならせっかく取ってもらったんだオジサンが全部貰っていいかな?だって(白い粉を見つめ)それで最後何だよね」女の子の瞳孔が大きく見開く、其れを確認して声のトーンを少しあげ「一緒に来たお姉ちゃん達に他は全部取られちゃって何とか隠していたのが”それだったんだ”」女の子は袋をギュッと握る、其れを見て追い詰めるように「でもそれだって何時見つかるか分からないなぁー、うぅーん(一呼吸置いて)そうだよねお兄ちゃんのいうことはきかないとダメだよね……無理強いは出来ない最後にお願いがあるんだ”その白い粉を全て僕のく”」「分かったよ!……ホントに……ホントにくれるの」勿論と柔やかに返し「キミに助けて貰ったことは絶対に言わないよ」そう喋りながらも女の子は必死にバレないように縄を解こうとしている……そして「解けた、これでコレはあたしのあー」背中に衝撃が女の子に加わりその場に倒れ込む女の子そんな倒れ込む彼女の耳元で「大人をむやみに信じちゃダメですよ」さてとこのくらいにしてこんな化け物の巣窟はとっととお暇しないとな、窓の外を確認して暗く深い森の中に溶け込んでいく…………静まり返る部屋柱の縄は解かれ空いた窓が一つと部屋の中央に横たわる女の子その中から現れる夢神様「ヤレヤレ、律儀じゃな(床に落ちた粉の入った袋を拾いながら)回収していかない所を見ると貴重というわけではないのか」そのあとにムクッと女の子が起きるそして服の上のボタンを外し中の札を外すと小さかった女の子は螺馬ちゃんの姿に「倒れ込むのはいいけど、後ろから襲われる時、分かっててもやっぱり怖かったなぁ」静まり返る馬小屋?夢神様が「お前さんの姉がおったらこっぴどくしかられているからの」今はここには螺馬ちゃんと夢神様しかいない………数時間前「ここを出るって?いやここには数百単位の子供がいるんだ。具合の悪い子もいる。どこに行くかは分からないけどつれては、置いてはいけない」真っ直ぐな兄の顔で話すその顔を見て「大丈夫です。知り合いの……その死人の方がいまして……えっとその方がある神の国でメイドをされてまして」直接あったことは無い螺馬ちゃんがしどろもどろで説明している。でもというナハ君に「大丈夫よ、その子は嘘つくような子じゃないことは姉であるあたしが保障する。信じてくれない」今やこの馬小屋?のガキ大将と化している螺馬ちゃんのお姉さんの言葉に「お姉ちゃんの妹ちゃんなら」「お兄ちゃんあたしたちなら大丈夫」「どんな所かな?」とワイワイ話す子供達を見て「分かりました。そこへ向かいましょう」と了承してくれた。そのあとすぐに「でっけー!」「かくかくしてるー」という声の通り大きなノアの箱舟ならぬブロックの箱舟が姿を現す、これって礼文っていうブロックこの前の夢神国では黒幕だったけど、その記憶は夢だったことにされ今は何もなかったように部下として夢神国を守っている船の中から人影が降りてくる「お初にお目にかかります。私は夢神国メイド長をさせて貰っています”コゥト”と申します以後お見知りおきを」外国人を思わせる金髪姿、彼は大奥様の所で私奴という大奥様の奴隷をしていた死人だ。大奥様が居なくなった後もあの場所を守って居たんだけど、大奥様程の死人は街にはおらず死人連合からの取り潰しが問題となっていた。そんな時”しー”こと飼玉ちゃんを失いメイド長を探していた夢神国と利害が一致、元大奥様の街は夢神国の管轄下に入ることにそれに伴いコゥトさんは手腕を買われ夢神国メイド長に治まったのだ。ちなみにコゥトという名前は大奥様がアタシにつけたものでもう使わないからと彼にあげたの元コゥトとしては寂しくもあり嬉しくもって……とにかく他の私奴のみんな豚々丸や眼鏡の彼女も今は夢神国の中でブタベロス達と働いている。気まずそうに話せないナハ君を見て「話は聞いております。此方には礼文様がおられるので心配されずとも全員一緒ですよ」不安になっていたナハ君に優しく声をかけ子供達をテキパキと礼文へと積み込んでいくとそのまま馬小屋?をあとにした……再びガランとなった馬小屋?「この後あたし達はどっちにオジサンの後を付けている言師さんを追うの?それともお姉ちゃん達のいる夢神国へ向かうのか、その問いに応えたのは夢神様ではなく「追いかけるしかないでしょう」馬小屋?の奥から出て来たのはお姉ちゃん?だけじゃなかった。「ナハ君と妹さん?何で二人も一緒に」お姉ちゃんはえっと考えて「あたしがここに来たのは螺馬あんたがいるからよ!帰るってんなら止めないけど(頬をつまみ上げながら)そんなつもりなら端からこっちには来てないでしょ(溜め息をついて)だからお姉ちゃんは螺馬の行くところについて行くわよ!……それで残りの二人はあたしも残るようには言ったんだけど」ナハ君が一歩前に出る「死浪の方々のおかげで安全な場所も提供していただき皆安全に過ごすことが出来ます。でも頼ってばかりでは、いえ頼れている今だからこそ、自身で出来ることをやってみたいんです。今までは幼い子のことも考えて毎日の暮らしに追われてギリギリで余裕が無かった。だからこそ、この前の提案”教えてくれ”とはいいません同じ死人であるあなた方がそこまで辿り着けたんです。個体差はあれ今の自分でも少しは成長できるとこの世界で暮らす力や知恵を身に付けたいんです。それが今だと思っています。迷惑をかけないとは断言できませんけど、ついて行かせてくださいませんか」其れを見て「ましぇんか」と妹ちゃんも小さな背中を丸める。そんな妹に「すみません、付いてこないように言いくるめるつもりだったのですか?」そう言い困った顔の兄に「ニャハニー一人だと無理するもんだからあたしがカンシーするの!」どうだ!エッヘン!と両腕を組む妹ちゃんに「分かる、分かるわーその気持ち」ねー!と意気投合するお姉ちゃんと妹ちゃんそんな二人を見て呆れる螺馬ちゃんとナハ君だった。いつの間にか螺馬ちゃんの中に戻っていた夢神様が(話がついたとこで後を追うかの、自身の世話を焼いて貰うのも結構だが”我等が神世界に来た目的を忘れないことだ”)夢神様に諭され、そうだったと思い直しながら「では話ながら行きましょう言師さんに早く合流します」そうだよね。あたしが神世界に来た理由は言師さんの護衛を任されたからだ。だったら今単独で動いている言師さんといち早く合流することが今しなくちゃいけないことなんだと胸に留め言師の後を追いかける………闇の中木々をかき分け奥へと進む裁来オジサン慣れたことなのだろう死人にしては難なく進んでいく。そのあとを木々の上から一定の距離を保ってついていく。相手はさっきの白い粉もあるが多少は長くこの神世界にいることは伺えるが相手は死人であるのに変わりは無い”神力は感じない”のがせめてもの追いかける上での此方のアドヴァテージになっている「それにしてもかなりの距離を休みもなく移動してますね」ナビゲーションのフクローさんにきく「私たちを死浪と断定まではしていないでしょうけど”神を敵に回したかも”という警戒感から来ている行動と見て間違いないでしょうね」真横で話す長い帽子に「ならもう一度捕らえますか?」というアタシに「いえ、死人といえども疲れはします。必ず拠点に向かうはずです。先程も見ましたが彼はあの白い粉を置いていったそれは彼にとっては”あの場に居続けるリスク”のほうがあの白い粉よりも大事だったということでしょう」そのまま一定の距離を保ちつつ後を追うと木々を抜けて広い平地に出る……「ハーッハーッハ……さすがに死人とはいえ動き続けると疲れはたまる」やっぱりまだあったか見上げるその場に大きな鉄筋のビルがそびえ立つ近付くと「止まれ!」とビルの中からセーラー服に上から新選組のような羽織を着た女子高生が現れる「チョイマチ”花人のネーサン”俺ですよ俺」自らを指差すその顔を見て「何だ裁来のオッサンじゃん、あれ?こんなとこまでどうしたの歩いてきたとか?ちょーウケるんですけど」苦々しくも「しょうが無いでしょう、ネーサンと違い俺はただの死人ですよ、まぁでもネーサンがいるなら一安心だ。急ぎウチの頭に連絡が取りたいんで護衛を回してもらえるようにネーサンとこで頼めねーかなどこかの死浪なら、こっちもネーサン達に頼めばいいんですがねもしかしたら”神を敵に回した”かもしれねーんでさ」その言動に「何、それマジ!で今その神様は追われてんの?」首を横に振るオジサン「まだ気付かれてはいないと、だからこそ急いでここまで来たんで」それを聞いて奥を見据えて「分かったよ、ならあたしがあんたの護衛を引き受ける」そう言うと「取りあえず、少し体を休めな、ここからあんたんとこの頭のいる死街までは少しかかる、途中戦闘になった場合、仮に神だとしたらこっちも少し準備をしないといけない、どの道すぐには出発出来ない」その言葉に「わかりやした、少しベットを借りますよ」どうぞと言葉をかけビルの中へと入っていく二人………「言師さーん」木々の間ビルを伺う言師の元に螺馬ちゃんと何でかお姉さんとナハ君兄妹が一緒に現れる「お姉さんはまぁわからなくはないけど、ナハ君たちはどうして」というアタシに「大丈夫です。あたしの方でも守りますから」という螺馬ちゃんにゴリ押しで来たことは容易に分かった「それで言師さんはあのオジサンを追ってましたよね?」前にあるビルを指差し「あの建物に入ってしばらく経ってまだ出ては来てないみたい、それとあの建物にどれくらいの死人がいるかは分からないけど、死浪が一人いたわ。年の頃はアタシやお姉さんより少し上だと思う女子高生ぐらいかな、セーラー服を着て新選組みたいな”紅色の羽織”を着て」其れを聞いたナハ君は「その死人”何も武器を持って無かった”じゃないですか?」そう言う彼に「うん、そうだねパッと見は持って無かったかな」額に手を当てて「お抱えの死浪は数多くいるとは思ってたけど、まさかそんな”虹翔席”がしかもよりにもよって”紅席”」その場に蹲るナハ君に同じ死浪なのに知らないんですか?といわれるも他の事には興味ないからと詳しく説明を求める「死浪の中まぁ僕が知っている中しかもこの頃頭角を現してきた死浪それが”虹翔席”という七人の死浪からなる一団です。その死浪としての強さは神世界では抜きんでています。噂ではその強さは神に匹敵するとか、噂なので真偽はわかりませんが、その中でも最強と言われるのが”紅席”です。その強さは神すらも倒せると僕が強くなりたいと思った要因にもなりました。彼女が異質なのは”武器を使わないことです”死浪ならば武器を持って普通は戦うのですが、彼女は素手で戦うそうです。詳しくは判りませんが」ナハ君の説明を聞いてフクローさんに意見を聞いてみる(似神非力が神力に匹敵ですか、にわかには信じられませんが、一時的なら”想い”と”その想いの元となる媒体”の相乗効果と考えれば、しかしそれもあくまで一時的なものでしかありません)前に夢神国で見た今はプロキシアスのカトハカっていう色黒のメイドの死浪がブリキの人形の鞭を意図も容易く受け止めていた。あの時は神力だと思っていたけど、それは似神非力という、性質がとても大ざっぱな神力に似ている。細かく言うとどの神力とも似てはいないんだけど、あの時はホントに神力だと思ってたくらい似ていた。最も今のカトハカさんは神器質を融合しているので正真正銘の神力なんだけど、それでこれからの方針をみんなに伝えようとすると「お話中ちょっと失礼する」全員の輪の真ん中に鮮紅色の羽織をセーラー服の上から靡かせ現れる死人?アタシと螺馬ちゃんが間合いを取ろうとするも「まった!まった!」と両手を前に逆さに広げ”何も持っていない事”を示す「ほら、手ぶらですよ。戦いにきたんじゃなく話し合いにきました」まわりの輪が自分より広がるのを見て「ホントですってそうだな”鳥神”天裸形”は次の社の主にはなりませんよ!”どうです死浪や死人はおろか神々ですら知らない情報を!」アタシの髪飾りが巻物の付いた杖となって目の前のセーラー服の首元に当たっている「そんなはずは無い、今の神世界にあいつ以外に”社”につける者などいない、あいつだからこそ俺らも他の奴らも認めざる得なかったんだ……其れを断る?そんなこと”絶対にないな!”」アタシの体を通し自身の言葉を突き付けるジュロさん、だが間違いなら首を差し出しても構わないと言わんばかりにそのままの姿勢で溜め息をついて「それマジ下げぽよーん、今のままならガチに鳥神”天裸形”は次の社の主にニャることはニャーいね(人差し指を立て頬をグリグリしながら口を尖らせて)だって、てめぇの意思で申し出を断るんですまーす”辞退する”ってね」自ら断る続けて螺馬ちゃんの体を借りた夢神様が「何故?そんな情報をお前ら死浪が知っている?」お前らも死浪だろうがという顔をしたセーラー服だったが「さぁ?そこまで教えてやる義理は同じ死浪といえどもないあーりませーん、とミャーこんな具合に話し合いに来ただけ、もち今のこの状況についてなんやけど、あなた方は本当に死浪それとも神?さっきの話具合だと死浪というよりは神に近いかなぁーって、それなら満更裁来のオッサンの読みもあながち間違っちゃ無いんだけどさ(親指を立てて奥のビルを指す)あそこにいる裁来のオッサンはあんたらが神だった場合自分達死人が神を敵に回したって大騒ぎになるわけ、まぁあたしらもかり出されるだろうけど、ぶっちゃけ死浪といえど死人な訳だし神に勝てるなんて突拍子もない自信持ってる同僚もしってっけど、ま無理っしょ少なからずウチはやーなの転生短し楽しめ乙女ってねクレーンゲームと負け戦は遣るなってママもよく言ってたし、なわけであんたらがこんな木陰で見張ってるってことは裁来のオッサン泳がせてアジト壊滅とかなんでしょ?」遠からず当たっている「だんまりはそういうことって捉えちゃうよーん」アタシが「それで貴女はあたし達に何を求めるの?ただの世間話しにきたわけじゃないでしょう」ふーんとアタシの顔を見ながら「もし戦いになったら”あたしのことだけはマジ勘弁してくんないかな”って」その態度にナハ君が「仲間を裏切るんですか?」ぼそっと放ったその後「仲間?うーん確かに連んではいるんだけどねゴメン、ウチはそういうの面倒いんだよね、なんかこうー重いっーかまぁ最初は安心とか楽しいって感覚あったんだけど、なんつーのあたしって飽きっぽいのよね”仲間・友情・信頼”とかなんて言ったらいいのかな苦しいだよねー息苦しい?まぁそんな感じ、ちょっとそんな眼で見つめないでよー」何でもないと俯いてしまうナハ君目標にしていた人物、テレビ、ラジオ、インターネット、人伝など尊敬して自分の中で勝手に人物像を作り出して良くある話だけどナハ君の想像上では虹翔席の紅席は最強の死浪だったんだろうそこに彼の想いを膨らませてでも実際会ってみると思ってた人物じゃなかったか「その1点さえ飲んでくれるならあたしとしては彼を置いてここでドロンしても彼の護衛をやっぱムーリって断ってもいいけど別の死浪が護衛につくその後のことは煮るなり焼くなりご自由に……でどうするの?」話し合いといいつついつの間にか取引と化している「もし断ったら?」アタシが聞くと、辺りを見回し「裁来のオッサンに知らせてと言いたいけど、ここで死人に知らせてもあんまり意味はないやろね、まーぁ放りだしーの逃げーの一手みたいな、ウチはあんたらと直接ガチったわけじゃなーいし、裁来のオッサンの言葉をのみのみしただけ、もしあんたらが神なら裁来のオッサンはここまで来てる訳がないしょ、現に裁来のオッサンは付けられてることにすら気付いてない、本人結構マジで逃げきったつもりややウケなんですけど……でもそれはあたし達死浪も一緒っしょ(脇を締め、あたし達を見据え)逃げきれないコレは変わらんしょ」態度で答えが分かったのでフクローさんにバトンタッチする「わかりました。その条件を吞みます……ただし此方の条件も幾つか吞んでもらいます。一つは貴女はこのまま彼の護衛をしてもらいます。此方としては新たに死浪に加わられるよりその方が良いので、二つは質問です。貴女は先程”今のままなら”天裸形は次の社の主にはならないと言った。つまり確定はしていないもし”今のままじゃなくなったら”変わるということ貴女はその事に直接関わっていますか?「それって答えにくいんだけど、一つ目の条件を呑むと裁来のオッサンの頭のとこに今ウチの他の色席が集まってんのよね、その手前戦わないっていうのは神だからといっても、その今はえっーと死人転生機関ってのがあるみたいで、やたらめったら神が無理矢理転生ってのは出来ないみたいなのよね。だからその後々厄介なことにもなりかねないしあたしだってすぐ転生するってのは分かんないわけだし」まさかアタシが発起した死人転生機関がこんな形でネックになるとは、なるほど関わってはいるってのは今の質問で分かった言いにくそうな彼女に「それはそちらの都合です。此方としてはここで貴女と一戦交えてもいいと思ってますから」そう言うフクローさんに対して「さっきも言ったけどわざわざ裁来オジサンを泳がせたのはアジト壊滅の」彼女が発する言葉を止め「ナハ君たちの事を考えてもあなたがいうように壊滅が最も手っ取り早い方法かと、そうなると実質貴女を含めたその虹翔席という死浪ともいずれぶつかるでしょう。ならここで目下の害である”そこのビルの死人”と”貴女”は私たちの敵ということになり(彼女を見据えて)ここで叩いても問題はないですよね(笑顔で吐き捨てる)」実際アタシの声別人みたいだ、中身はフクローさんなんだけど、彼女は考えてるのかすぐには答えは出さないしかしアタシの口が先に開く「時間の無駄ですね、こうやってあたし達の足を止める事が貴女の目的かもしれない”だんまりはそういうことって捕らえちゃうよーんってね”」焚きつけてみると「分かったわよ……ただし先に残りの条件聞かせてそれから裁来のオッサンにはまだ少し係るって言ってあるからあの中で寝てるはずよ、嘘ならここであたしを煮るなり焼くなり好きにしてもいいわ」わかりましたと了承し「それでは三つ目は貴女の能力の開示です」しかし「それはいくら何でもお断りね、例え貴方達と戦うことになっても先に手の内見せるそこまでの馬鹿じゃない、最も貴方達の能力も開示するってんなら考えるけど」心の中でいくら何でも今のは無理なんじゃというアタシに(そうでしょうね、ですが彼女さっきから話し方が幾分丁寧になってますよね)そういえば最初は結構若者言葉?だったのに今はかしこまったというか(言葉を選んで慎重にまぁ余裕がなくなったせいもありますけど、今の意見は付録です。私達からすると今回のナハ君の件は神世界で目立たないで動くためのカモフラージュのようなものです。言師の何とかしてあげたいというのもわかります。しかし本来の目的は”次の社の主の選定”でも実際は鳥さんこと先代”厳師”の天裸形が着くのを見届ける事でした……しかし目の前の彼女から発せられた情報は放置することが出来る内容ではありません、三つ目の条件は二つ目の質問つまり”天裸形が何故社の主への就任を拒んだのか”その理由を知るため、彼女は恐らく核心に近い情報を持っていると思います)彼女が関わっていることは何となく口を濁すとこでわかるけどと思っているとフクローさんが話を進める「……とはいえ一方的に貴女を野放し状態にして、仲間が揃うと寝返ったなーんて洒落にならないんですが、取り敢えず話を持ち掛けてきたのは貴女の方です……能力の開示が出来ないのであれば……必然的に先程の二つ目の質問にはある程度答えをいただきたいですね。可能な限り」仕方ないわねぇとゲンなりして答えるセーラー服「条件は以上です。それでは話してもらえますか”天裸形が社の主につけない理由”を」と迫るフクローさんにせかされその場の木に余垂れかかり、自分の知っている情報を話し始める。




