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神約聖書  作者: 裸形炉
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六十二ページ目

「これからどうしよう、あの部屋は、もぬけの殻だし彼女自身もそうだけど攫ったのが普通の人なら神約してるわけでも無いから神力は感じないよ」わんわんさんの上から下を覗くかのように話しかける。今は当てもなくあのホテル周囲を捜している直接その子に会っているならわんわんさんなりの鼻で覚えられたかもしれないけどアタシもわんわんさんも”彼女”を知らないあの部屋に残された匂いは複数有り嗅ぎ分けは困難に近い元々馬齢さんの使っていた部屋アタシを含め特にわんわんさんに居場所を嗅ぎつけられないよう複数の混在した匂い(人では嗅ぎ分けられないような複数の匂い)を振りまいていた捜すのは容易じゃない。ビルの屋上で止まるわんわんさん辺りを見渡すように首を振る「血の匂いがする!近くだ」そう言うと九十度に左側に進路を変える「血の匂いって指切ったとかそんな感じ何じゃ」アタシが尋ねるも「多量に濃い血の匂いだ。しかも建物の中外じゃない」その現場に到着する急発進する外車気にはなったけど血の主はまだ建物内に残っているようなので中にわんわんさんごと突入するとそこには同じ部活の後輩でなーえん事三年の”徳導 菜草”先輩がいた一瞬凍りつく何で?何で?いるの?もう一人は誰?同じくらいの年「助けて!」徳道先輩が急にアタシに掴まってくる。顔を上げるとうるうるとした表情で「外を歩いていたのそうしたら悲鳴が聞こえて、そしたら黒い服を着た人達が女の子を連れ去っていて」オドオドと泳ぐ目線先輩の話を聞くまでなら、考えすぎで流していたがここに来たのは偶然?攫われて来た?無意識に一歩下がってしまう「そちらの方は?」すると「あぁ、同じ学年の揺ちゃんこれから学校せっかくの休み何で買い物に行こうとして……二人して捕まっちゃってハッハハッハハ……まぁ二人とも怪我は無かったから良かったけどねっー揺ちゃん」と声をかけると「えぇー」と拙い笑顔で返してくる「ゴメンねー”揺は動揺”しちゃってる見たーいなんちて……ゴメン不謹慎だった……」必死に和ませようとする彼女の仕草が演技なのか疑ってしまう「ところで(アタシを舐め回すように冷めた目で)気合いの入った……そういう趣味、いいえ別にそういう格好ダメだとか、同じ年らしいその服装しないと目立って……」あらためて自身を見るアタシ、そんなに中二チックな病人なのかと思ってしまう。そんなアタシたちの会話に脇から「早く追わなきゃ!あの子を助けないと!」揺先輩?がアタシと会話をしていた徳導先輩めがけて迫ってくる「えっ!追うの?気持ちはわからなくはないけど」アタシの方を一瞬チラリと見て再び揺先輩に視線を戻し「アタシ達も一歩間違えたら”あの攫われた子”と同じだったかもしれない、ううん(薄暗い廃墟を見渡して)この場所で命を落としても何の不思議もなかったんだよ(ゆっくりと諭すように)”何の力も持たないあたし達じゃ例え追いかけてもなにも出来ない”(口調が一段と強くなる)」この言葉は彼女を諭してあるのかそれとも自らの後ろにいるアタシに対してのものか、しかし徳導先輩の意思を知ってか知らずか「それでも助けないといけない!そんな気がする」全くと頭を抱える徳導先輩それを見ているアタシの隣にジュロさんが出てくる。動揺しないように装うアタシに「言師ここは彼女達も連れて後を追うというのはどうだろう?」アタシから「えぇー!」という言葉が漏れ出していた先輩達は思わず振り返る彼女達には見えていないようだ。急に大きな声で彼女達の会話を止めてしまった「えぇーっと、じゃあアタシもついて行きます!」その答えに「話聞いてなかったの、一人女の子が加わっても、この状況で動くのは警察に連絡」そんな徳導先輩を遮り揺先輩がアタシの前に「お願いできるかな?」握手を求めてくる手を遮ろうとする徳導先輩だが手を引っ込める気はなく真っ直ぐ徳導先輩を見る真剣な表情の揺先輩”反対してもこの子と行くから”という強い意思を感じさせる。そんな気迫に押されてか「ハァー(半分目をつぶり)分かった、わーったわよ!……行けばいいんでしょ行けば!」投げやり口調で話す「ただし”あたし達は何も出来ない”忘れないでね」確認するように揺先輩を見据える、そしてアタシも含め全体に「後を追うのはいいけど慎重に距離を保って危なくなったら”あの子を助けられなかったとしても必ずその場を離れる事”私が提案したとおりその時は警察に連絡するわ、このことは二人とも約束して!」その言葉にアタシも揺先輩も頷く「分かったわ、それでどうやって追いかけるの?」それは……と言うアタシに横の彼女達には見ることも聞くことも出来ないジュロさんが「今、狗牙が後を追ってる(指を南東方向へ)取りあえず、あちらの方だ、詳しくは行きながら教える」そんなジュロさんの指示に従い「南東方向に向かったみたいです」そんなアタシの言葉に「どうして方向がわかったの?」という徳導先輩に目線を右往左往して「そう!ここに入る時、南東へ向かう高級そうな車が猛スピードで出て行くのを見たんです。それで気になってここに来たんです」このビルから出て来たかは定かではないが”攫われた女の子”も見ていない、その車に乗っていたとも言い切れないでも徳導先輩の話を聞く限り急発進した車が無関係とは思えなかった。十中八九”攫われた女の子”はその車に乗っていたんだろう。南東方向へ三人で向かいながら隣のジュロさんが一方的にアタシに話し掛けてくる「彼女達の話の断片からプロキシアスとのつながりは直接垣間見ることは出来ないが(前を歩く二人を見つめ)仮に”彼女達がプロキシアス”だとしたら、徳導先輩が今回の一件にこれ以上関わることをしなかったのは、我々がいる事を極端に避けたから、下手に長い間一緒にいればボロを出しかねないから、警察とやらに通報をためらうのも少々気になる。まぁ我々としてもこのまま関わるなら動きづらくはなるが(目を瞑り少し黙ったあとゆっくりとアタシの方の左目を開き)言師はこのまま動向するつもりなんだろ」確認するような問いかけに前を向いたままゆっくりと頷くアタシ、其れを見て両目を開き「ならついて来た事には異論はない、彼女達(目線を徳導先輩の方を向け)特に今回の事に反対していた彼女を動向させたのは大きいあの時”自分はついて行かない”選択肢を選ぶ事も出来たはずだ」アタシは首を傾げるそんなアタシに「”徳導先輩がついてこない”選択肢まぁホントについてこない訳じゃなく、我々の後からつけられた場合、先行して車を追ってる狗牙には離れられない儂ら七福神も言師から離れるのはリスクが高い、仮に今回の一件がプロキシアスの筋書きなら、徳導先輩は、あの時反対はしてないしワナを張るなら念入りに行うはずだ。そう考えると(揺先輩の方を見据えて)彼女が救いたいという気持ちが強かった、徳導先輩の予想以上にだからといって、自分達がプロキシアスだと”確信されるわけにはいかない”なので一緒に同行したと考えるべきか」つまりお互いにメリットとデメリットを差し引いてこれが無難な選択肢という訳か「こっちの方であってるのかしら?」いつの間にかジュロさんとは逆の位置から声をかける徳導先輩、前を見ると数メートル先を早足で進む揺先輩がいる「ちょっと!揺!先走りはやめて!もう少し」徳導先輩の言葉にほんの少しペースが下がるものの「こうしている間にもあの子はあの時与えたキ…「揺!!(一際大きな声)……心配なのは分かるけど、あたし達の足じゃ車に追いつく前に捜さないと」必死に説得する徳導先輩そんな彼女達の会話中「どうやら車が止まったようだ、狗牙はそのまま見張っているが移動はしないようだ、ここからそうだなこのペースで歩いて10分程度の場所だな、例の女の子も部屋に閉じ込められている今すぐどうこうするつもりは無いらしい……なので」アタシの方に目で合図を送り「あの、その角を左に曲がって」何気なしにジュロさんの言葉通りに二人を誘導しようとするも「ちょっと待ってどうして左なの?右に行ったとはいえないの?いえそのまま直進したかも知れない(怪しいモノを見る目をして)どうして左に行ったと言いきれるのか?もし違えば大幅なタイムロスよ(その場に立ち止まり)理由を教えて?」先に進みたそうな揺先輩を掴んだまま、真っ直ぐな目でアタシを見る。うぁーうぅプロキシアス云々ではなくまぁ徳導先輩としては今回の一件には反対していたし”あの子を助けられなかったとしても必ずその場を離れる事”っていうくらいなんだから相当慎重に考えているって事か息を整えて「ここの道の先は長い直線で見通しもいいだからほら(真っ直ぐな道の先を指差す)あの点滅する明かり見えますか?」徳導先輩が揺先輩を掴んだまま体を反転させ見渡しのいい直線の先に目をこらすと確かに点滅する赤い明かりがある「あれって?警察車両って事は”検問!”」再びアタシの方を振り返る「そうです。先輩の話からアタシの見た車に”その攫われた女の子が乗っていたと仮定するなら”はたしてこのまま真っ直ぐな道を選ぶでしょうか」再び灯りの梺を指差し「今はただの検問中のようです。あの黒い車がこの交差点に差し掛かったのは早く見積もっても数十分前ですもし彼らが検問に差し掛かっていれば不審がられたはず車も結構混んでますし強行突破しようもんなら移動するなり応援を呼ぶなり”少なからず騒ぎにはなっているはず”でも検問所は通常運転です」なるほどと真っ直ぐ行かなかった理由には納得された模様だ。咄嗟とはいえ偶然あってる検問や直線に造られている道路いやー公務員の皆様には頭が下がりますなー等と感心しながら、さてと視線を自身の斜め上に持っていく、今までの説明はアタシの視線の先にいる七福神の御頭ことジュロさんの考えた話を代弁しただけだ(預言者的な)「それで真っ直ぐ行かなかった理由ってのは分かったけど”右側を選ばなかった理由”は?」一つの答えを解き終わるも次の問題が差し迫っていた「今の予測で真っ直ぐはなくなりました。残ったのは左右どちらに曲がったかですが、ほら」アタシは先程から通る車を指差す「あれ?曲がって無い?」先程から通る車の全てが真っ直ぐか左側にしか曲がっていない事に徳導先輩が気づく「右側この先って商店街があるんです。何でも町のクリーンアップのためとかで、平日の昼間と土日祝日は歩行者天国になってるんです……つまり右側へ曲がったという選択はない、それにほら」先程車が通れないと言っていた右側から車が出て来る「あぁやって間違える人もいる、戻って来たということは、右側は通り抜けが出来ないって事なんです、しかもナンバープレートはここの土地の者じゃない事を示しています商店街まではここから車で数分気づいて他には抜け道もないので戻ってくるしか選択肢はありません、あの車みたいに」だから曲がらないってわけと徳導先輩の言葉に付け加えて「ここを曲がったであろう黒い車はここら辺の地理に詳しい”地元住民”だということです」なるほどと掴んでいた手を離す「つまり近くにあいつらがいるってこと!」あたし達は急いで左側へと進路をとった………「くっそーくっそ!」焼け焦げる匂いが辺りに充満する”火傷三度”体表面の火傷はショックレベルまで達しているほど酷いまわりの大の大人が引いてしまうほどの惨状誰もが”助からない”助かったとしても再起不能状態は明らかだった。真っ赤になった自身を見る体温は異常を示し意識があるのが不思議なくらいだった「あ、兄貴動かないほうが!!」そう言って心配したであろう弟分の頭には風穴が空き発砲した彼が常軌を逸していることで廻りは遠ざかる、そんな中「何じゃ、騒がしいこれはこれは鉄鋼所にでも就職したのか真面目に借金返済しようとは」そんな彼女の傍を弾丸が通過する「……ハァ……ハァ……悪いが返済ならもう少し待ってくれるかこちとら給料日前で金欠でねぇ」そんな彼の前に座り込み片手を使い結膜、口腔内、肌の色を眺めながら「顔面蒼白に冷汗、脈拍はまだ微かに取れるか、呼吸も粗い混濁とまではいわないが、その状態でそれだけ喋れるとは凄いねぇ……だがお前さん長くはない!なぁーにこれでも医者の端くれ火傷レベルがそこまで行くと瘢痕化なんてレベルじゃない……間違いなくショックを起こして…」其れを聞き、くそっと唇を噛み締め、乱射しようとするその拳銃を抑えて「だが……皮膚移植ならまだ望みはある……しかもお前さんは運がいい……ここにあたしが要るんだから」仁王立ちになる彼女「壱千万それとも壱億か、ここを担保に入れても」そう言う彼に「金など要らない」クスッと微笑む「私は生まれ変わったのさ、そう”神にあったの”」そう言って胸から碧い雀の小物を取り出す、其れを人差し指に絡めたまま「人は気付かないどれだけ恵まれているかを、日々の生活に追われ、余裕はなくなり(小物を掌で握り締め)傷付けたことにすら忘れてしまう(両手を広げ)でも大丈夫(懐からメスを取り出し火傷の皮膚面に突き立てる)あぁー」絶叫が鳴り響く痛覚はまだ生きているから、そんな心地よい音楽でも聴くように「だから”刻まなきゃ全てにクルシミヲ”(絶叫し終わると意識を失い崩れ落ちる)そして起きたとき……貴方を新たな世界が包むわ」弾け飛んだ血液を拭き取ること無く彼女はテーブルクロスでも敷き食器を並べ今から食事でもするかの坦々と火傷した男の体を切り刻んでいく……「悪い……夢か……」辺りを見渡すいつもの寝室、先代の組長からもらい受けた愛用の日本刀を逆さに眺める。薄暗い部屋の前起き上がるのを確認すると大急ぎで組の若いのが誰かを呼びに行く「ったく最近の若いのは、俺が的にでもなったら」ドン!と開きその顔には見覚えあるが名前がピンと来ない舎弟と借金取りのヤブ女医がそこにはいた「あの状況で起きんとは、肝が据わってんのか、ただの馬鹿か、いずれにしても助かってよかったな組長ってその組もほら」女医がリモコンを取り出しテレビのスイッチを入れる「本日昼前に起こった眺欄組の敷地内で起こった銃の乱射騒動で組の殆どの組員が逮捕される事件が起きました」乱射?組員が逮捕?ちょっとどういう女医にその事を確かめようとしたときテレビから変わり果てた組の屋敷の映像が飛び込んでくる屋敷は無残に無くなり残骸の山で小高い丘のようだパトカーのランプが夜の帳を赤く染めている「どういうことなんでしょうか?」ニュース番組の司会者が横のコメンテーターに意見を求める「内部分裂の結果だと言わざる得ませんね現に”組長と舎弟の一人は行方知れず”壊滅したのは市民にとっては朗報でしたが、危険人物の確保は早急に警察にお願いしたい所ですね」何を言ってるのか理解できない、くそっ!と手を上げる組長に「詳しく話してやるよ、お前さんにとってはいい話ではないがな!」女医は口を開く、話は組長が気を失ってすぐのこと三人の訪問者、正確には侵入者の存在から始まる

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