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神約聖書  作者: 裸形炉
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五十八ページ目

思いが浮かばない領主を他所に、それを横目に椅子に座る片腕の彼女に近づく意識はないのか、彼女に触れるとそのまま彼女の体の中に手が吸い込まれロックがかかる「何のまね?」引き抜けない目の前の彼女には印が刻まれる考え込んでいた領主の顔が更に混乱するあの顔はこの状況を予想していなかったのだろう。横を振り向こうとするもそこには答えを求めたものはおらずそのものは動かない似鳥のそばに移動していた錆びた鎧「哀れだね(微妙に動く眼球を振動させている似鳥を見て)戦う為だけに生まれてさ、必死にソレを全うして(声の方向を私に向け)戦わなくなったら放置されて(私から領主へと声が移動する)回収されても求められるのは″やっぱり戦いで″弱いものはいつも弱いまま強いものにいいように使われるだけ」長い間信じた道が行ってきた事が実る事など無かったと重いその言葉は続いている「あれから決意をして出来ると思い旅立って(触れていた手を丸め握りながら)旅立って……そして人との触れ合いはすごく楽しくて愛おしくて助けてくれる協力してくれる人でも……それと同じくらい冷酷で残忍でそこは何も変わらなかった。それでもきっと何十年、何百年いやきっと何千年、万年経ってもきっと変わらない″力がある物と無いものの差″あたしは変わらない事が分かった″その場しのぎ″ホントにそうなのかな、あたしはそれでも″その場しのぎじゃない力を与えたい″」これがこの状況がその答えか、踵を返すそのまま考え尽くす領主の前に「そこで考えたの″どうすれば弱いものを救えるか″櫻咫のように力を持たない弱いものは″創る環境の因子排除、創る人の因子排除、創る物の因子排除″により創られる故にそれらを創り出せない社会の構築が目標でもそれでも居なくならない目の届かない、耳の届かない、手の届かない場所で着実に増えているそんなかの者達をアタシは排除出来ないならどうする?」咄嗟に領主の耳の穴に手を突っ込む「!!!!!」声も出せず呻く領主の鼓膜と内耳まで突っ込む「こんなものかな?」と引き抜くその手は錆びた鎧にべっとりとつく粘つく血液がドロッと垂れている、しばらくすると起き上がる領主だが「何で音がしない、砂の音しかしない?聞こえない!何も聞こえない?」其れを見ながら唇が動く錆びた鎧「これがアタシの出した結論!」其れを見ても聞こえず理解できない領主は「何だ?なんて言ってる?私抜きで話を進めるな!」そんな領主に笑いながら「あなたに話しかけている言葉は今聞こえている物には分かるけど」そうやって私に話し掛けながらも兜の隙間から見せる唇の動きは領主に向かって見せている、何を話しているか不安になる「傷は治ってしまうのでも心の傷は残るでしょう、幾ら話を聞かせても、それが心を打ってもその時だけ(両手を広げながら)だって当たり前でしょ、分からないのは″一生失うことがないから″だ・か・ら(抉り取った指についた血と内リンパ液を感じながら)ミーンナニ刻んであげればいいんだよ、皆が全員が傷を負えば痛みを知るの小さな人から老いた人まで」椅子の彼女に縛られながら、その彼女には所々傷がある擦り剥いたとか転んだなんて傷じゃない、切り付けられ化膿している一度傷付いた傷口を更に傷つけられる、青痣やまだ腫れている場所もある、日常的に″椅子に座る彼女が誰かに暴力行為を受けた後″溜息が止まらないここに来る切っ掛けを作った助けを求めた似鳥に触れたとき″彼女が見ていた景色の中に震える瞳に映る碧雀の見下すその姿は私が今まであの団子を頬張る姿はどこにも無くその時はとても信じられなかったが、今は見えずともあの錆びた鎧兜の下から聞こえる声がその姿を容易に想像出来たが取り込まれた腕はビクともせずその場を離れられない「ソレは貴方用に創り変えたんだ、この前送った似鳥と対なんだウイルスとワクチンみたいな関係かな、いきなり″碧雀様が捕らえられた″なんて話を聞かされる、しかも戦闘用では無いとはいえ似鳥、ただの人にやられたなんて選択肢は無い、その似鳥が回復する見込みもちゃんと消しておいた、ならどうするか(ニッコリ笑い)″吸収して戻して直接体感する″ある素因を含んだまま、その素因はね鍵なんだ普段は体の一部と同じ成分だけどね(私の傍らの椅子に座る片腕の彼女を見て)その鍵とぴったり合う鍵穴にのみ作用するように創った起動条件は″鍵が鍵穴に触れた瞬間″作用は″その鍵と鍵穴の持つ全ての因子の共有ほら貴方の胸」見ると私の胸が少しふっくらしている「その子、胸が少しアタシより大きかったからちょっとイラッとしたんだよね、でも今はどう少し小さくなったと思わない?ホルモンの共有を行ってるんだよ、くっついてる間だけどね、ホストにはある程度の素因は時間が在れば修正されてしまう、プロキシアスの方で行えば尚のこと無敵に近いホストの無力化でもね、引っ付けちゃえば無敵も無敵じゃ無くなるんじゃ無い?」にこやかな声が辺りに強く響く「その子は吸収出来ないだって″今はホスト自身″本来ならグラフトたる彼女がいまやホストそのものといってもいいんだよ、グラフトへの伝達は″上位が下位に対して行える″でも今は少し状況が違う、貴方単体なら確かにアタシの上位だよ」私の傍らの椅子を指さし「その似鳥は″アタシより下位だ″例えるならホストたる貴方は(頭に人差し指を持っていき)脳や脊髄そしてアタシは筋肉や臓器(人差し指を再び彼女に戻し)彼女はそうだな換えの利く結合組織かな、本来ならこの順番が伝達順だけど、今の貴方は、その子も含んでいる、果たして貴方は私より上位なのかな?」少し膨らんだ胸を通って腕が椅子に座らされている彼女に視線を移しながら言葉通りだと繋がっている認識をすでに意識を無くしている事が共有しているから分かった「矛盾か……」その通りと話を続ける錆びた鎧「そうフィールドバックが起こって混乱するどちらとも判断がつかなくなったので″抑制する効果が同時に働き″掻き消してしまう」だからと私に対して腕を翳し「伝達″脈拍低下、ホルモン分泌低下″なーんて事もアタシはその似鳥に対しても出来ない理屈はさっきと逆″貴方と一体化しているから″」眉をひそめる私に「そう、これって貴方はアタシに手は出せないけどアタシもあなたをどうこうできないって訳」私と錆びた鎧の中を断つように頑丈な扉が吹っ飛ばされて間に倒れ込む部屋の中が薄ホコリで覆われる、吹き飛んできた方に首を向ける錆びた鎧「ありゃ人を宛がったけど、やっぱり止まらないか、サロリさんも役にたたないか、まぁアタシが雇ってないから文句は無しかな」吹き飛ばしたそのままの姿勢の拳を使い攻撃するも手を広げ其れを容易く止めに入る錆びた鎧の彼女は「あれから数十年か、あの時は助けることが容易く出来るんだって身の程を知らなかっただから、櫻咫の遣ってることも理解できないでも、今は違う″櫻咫とは違う答えに辿り着いたんだ″だからさ」そのあとを櫻咫が続ける「それでも御前は助けたいんだろ俺が因子排除をし続けても生まれ出でる″弱い者″をなぁ」受け止める拳に練り込むように力を入れる、錆びた鎧は所々が砕け兜の中から顔の引き締まった碧雀が姿を現す、そんな彼女に「少し痩せたな」と話ながら両者がはじき飛ばされる「苦労が多いんでね」と話す碧雀と櫻咫睨みあいになりながら「動けるのか?」という彼にちょっと無理ですかねというと「見届けてもらわないと行けないでしょう」錆びた鎧を完全に脱ぎ捨てながら櫻咫へと向かっていく碧雀「そういえば遣り合うのは初めてかも?」そうだなと碧雀の攻撃を弾く戦闘タイプでは無い似鳥だけど、さてどうしたものか、激突する両者はほぼ互角実際こうなった場合一方が傷付けるシステムには作っていないなので、結果こうなる実際にはお互いに殴り合いが続いてお互い疲弊する、ジャンケンするような感じたまたま立っていた方が勝つ感じ、だがお互い引かない端から見ればおっさんと鎧により身長のかさを増やしていた少女のガチの殴り合いだ。さてそろそろ止めるか腕を掴む彼女を自己への統合がシナプスを通じて完了しつつある完全な統合はできずともその時大きく揺れる感覚が全身を覆い目の前が真っ白に……傷付いた時には目の前が真っ黒何かに埋まってる?勢いよく椅子の彼女ごと浮上すると一面にあった城の部屋はおろか街や廻りの森林等の風景が一変している足元には瓦礫と燃える建物の残骸呻るような声が辺りの瓦礫の中から所々ポツポツと聞こえてくるこれってそんな廻りの風景の中にポツンと決着がついた一角がある碧雀を貫く櫻咫の姿、両者とも息も絶え絶えだ「アタシ……の負けか」貫いた腕を抜くも片脚か吹き飛び顔の左側が潰れている櫻咫がいる「ただの運だ、お前さんとワシは表と裏″どちらもホストの為にいるにすぎない、行ったにすぎない目的は一つだ、お前さんが求めた結果も、ワシが成し遂げたい結果も変わらず同じなのだ」片脚では立ちにくいのか尻餅をついてしまいその場に座る「片脚は片腕よりつらいね……くやしいなそんな気持ちを押し殺すこの風景は何かな」見えにくい目で回りを見渡す「どうやら物世界の天変地異みたいだね」ゆっくりと私は碧雀達に近づき説明を続ける「この一体の大地が大きく揺れたみたいだね、建物あの頑丈そうなお城まで木っ端みじんの瓦礫とかしてる、おそらく城下町を含め多くの人がここら辺一帯から感じた人の気配は三人を残して感じないそう言って碧雀と櫻咫を残しその三人の人気を頼りってその三人は偶然知っている人物だった。その三人を救助して碧雀達のもとへ「これで全部残りはやはり感じられない、まさか神力でもなくここまでの人の命を奪うなんて」と神世界には無い物世界の自然の恐怖におののいていると「ここは領主、領主との約束あれ動けない?」真下を見ると大量の血液が愚弄さんここの領主に買われてその呪縛からの脱出の為に私達を領主のもとへ彼女は必死だったんだと思う彼女への天罰なんて思わない運良く複数の人の中で生き残り運悪くその命を終えようとしている。泣いている姿はいたたまれない、そんな彼女とは対照的に「俺はもう青空は見飽きたが動かんか」タバコを吸いながらサロリ傭兵が腹に突き刺さる柱を撫でながら「感覚がマヒというかふうっー(タバコをふかしながら)ないなぁ胸から下がある感覚がしないしね、参ったねこりゃ傭兵稼業も長いんでまぁ戦場のどっかで終わるとは思って無かった訳じゃないんだがな」いつも決断は突然だ、だが抗う術も持たず、違う櫻咫に直接やられた碧雀以外の私なんかはあんな瓦礫に埋もれていてもケガはしていない、櫻咫や碧雀も別にこの天災の影響は受けていないあの傷は戦いによるものだから、人ははかなく弱いもの其れを認識させられる。城下町を見つめ「早くて……安くて……冷めても……パパ何でなんでなの」視線の奥にはかつて私も食べたであろう彼女が呟くショップが今も変わらず有るはずだった。しかし今はそんな店はなく現実には瓦礫の山がそこにはあった彼女を引き上げたとき厨房の方から聞こえたであろう声の主が瓦礫の下敷きとなりかろうじて太く黒い腕が娘の方に向き今にも掴みそうな格好をしていた、だがその手の持ち主からは人気は感じることは出来ず、重体ではあるものの四肢が動かない彼女を連れてきたのだ。三者三様の姿なれどそれぞれの生を終えようとしていたそんな三人を見て「アタシはもう助からないよね」言おうとしたことは何となく分かる「分け与えれば″あの三人は達になるんだよ″自由なようで自由などなく、伝達という理不尽な命令に付き従う事になる」警告私も与えることの意味はこの前の出来事で十分理解していた、それでも彼女の言葉はぶれなかった。「それでも″目の前の弱いものを救いたい″」その一言を持って座っている櫻咫も私も反対できなかった。「では始める!」私は碧雀に手を添え「伝達″器官の停止及びシナプス結合と判断しその者の吸収″」一通り伝達を終えながらにこやかな笑顔と共に私の中に数百年ぶりに戻ってくる碧雀というグラフト流れ込んでくる想いは胸を張り裂けそうであり、誇らしくもあった。気を取り直して進む行くぞとその背中を押す櫻咫の姿を見ながら三人の元へ涙を流しながら………「!!……生きてる?」自分の手を見ながらもグーパーしながら動きを確認する感覚的にはつい今し方まで死にそうな感じだったのに夕日に照らされ少し眩しいものその感覚が生きていると実感させているお腹を触るも突き抜けていた木材どころか出血も見られない夢だったと思わせるも腹を触り治したときそこに残る瘢痕の太さが先程の死ぬ体験を嘘で無かったといやでも感じさせられた「どういうことだ?」ゆっくりと立ち上がるサロリ傭兵、座ったまま自分に起きた事がまだ理解できない看板娘とそんな二人を見ながら奥にいる私にこの現象を問いただす愚弄さん「これはどういうこと、この惨状いいえ、アタシは何で?」生きてるのか?ですか他の二人にも聞こえるよう話を進める「まずはここで起こった事から(廻りの見渡し変わり果てた風景に目を緩め)恐らくはこの物世界の事象だと思われます。詳しくは識りませんが、こちらに来て何度かこのような事が他の場所であったと記憶しています。大地が揺れその上にある建物が崩れ火の手が上がる」愚弄さんがお前達がやったのでは!と、いきり立ち襲いかかるもそんな愚弄さんの肩に触れ「多分、こいつらの仕業じゃない、俺は世界中を旅してきたこの現象には何度か見覚えがある原因は様々だが、その殆どは″偶発的に起きている″はずだ」そうなのかと戸惑いながらも納得するこういうことに思い当たる節でも愚弄さんにはあったようだ。そんな様子をニッコリ笑いながら「だが″物世界″とお前は言ったその世界に限っての話だろうがなそれに″こちらに来て″始めは他の国の事とも思ったがお前さんが元いた国?ってのは″別の世界″そう考えると納得する」驚くというより他の二人はポカンだ多分言ってる意味が理解できていない異国というのとは少し違うだがサロリ傭兵はあまり驚いていない「驚かないのだな?」傍らに居た櫻咫が問いかけるも「世界は粗方巡ったこの世界馬鹿みたいに戦だけは耐えなくてね、その土地すがらお前達と同じように話も聞いただが此程大きなものはまだ1回から2回位だ、お前さんたちの冷静な対応もそうだが、この大きな衝撃に遭遇しても、被害処か傷も負わない様を見ると″人じゃない″というのはおのずと答えが出る、で他の二人も気になるだろうし、お前さんも隠す気も無いなら話してくれんだよな」瓦礫の手頃ものに座りながら私は今までの昔話も交え三人に包み隠さず話した話し終えたのは暗がりが太陽に照らされ空が薄く色好き始める朝方まで続いた。

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