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木刀と竹刀相手が多勢で来ようとしたが活保と呼ばれる男は部下達?に手出し無用と木刀を握り起き上がる大きい揺萩はなくともその体の大きさに似合わない身のこなしを見せる「素早いですねそれに自分の体をよく識っているし上手く使っている」縁側に腰掛ける先生は「あれはウチに居た頃からしなりもあり冷静によく見ているいや感じておる、じゃがそれ故″強くなれる範囲″というのをある程度感じ取ってしまった、この先どの程度までいけるのか、見えてしまった。ワシも若い頃負け知らずだった然しやればやるほど自分の限界を読めるほどになったどうしても行き着くことのかなわない場所、それでワシは其れを戦場に求めた生と死の狭間に至れば或いは行き着く事が出来るかもしれないと……だがこの前話した通り危険な賭だった。あの時の出会いが無ければワシは今ここにはおらん戦場は今は無理じゃだからこれが彼奴の行き着く方法なのかもしれんな」手がクソ木刀が推され始める。早くなってやがる……「強盗にしては小さいな?」木刀が喉元の手前に武器の木の枝は遠くへ飛んでしまった「殺せよ!」何故と尋ねられ「どうせこんな生活だ、駄目なら野垂れ死ぬだけだしよ」木の枝を拾いそれで殴られる「いってーな!」仁王立ちのチビ女がオレの目の前に、座る俺と同じくらいの背丈だ「あーったりまえじゃん、殺せよ?この程度の痛みも耐えられないピーピーが殺される痛みに耐えられるわけないじゃん」もう一回殴られる「あと死にたいとか口にすんな!生きたくても生きられなかった奴もいんだよ、あたしは知ってる見てたから、あんたのそんな痛みじゃないんだよ」オレは立ち上がり「何だとこのチビ女!」売り言葉に買い言葉だった、やれやれと「なら決着は剣でな、ほれ木刀貸してやる」自分がコテンパンにされた木刀を持ち目の前のチビ女と対峙する、小さい見下げないとやりにくい、チビ女はやる気満々自分の竹刀を振っている「決着ってどうやって」おっさんの方を向いている瞬間影が迫る「勿論ルールなんてない時間無制限のケンカチャンバラだよ」全身の乗った一撃が脳天直撃そのあとは終わらない殴り合いだった女だからなんて思っていたのは最初だけニ、三撃辺りからそんなこと思わなくなり容赦なく木刀が入るやったなぁと彼女もかえしお互いコブだの切り傷も作った二人共倒れてしまう「これは、お前さんの勝ちだな」オレを見てそう言い放つ納得いかないのか「父上何故ですかお互い満身創痍なのにあたしの勝ちとは言えませんが負けたとは……」オレの方を見て「何で顔狙わなかった?」其れを聞いてハタと自分の顔とオレの顔を見比べる「そんなの女だからに決まってんだろ、女ってのは顔が命何だよ、親のあんたがそれ言うかよ」大笑いして「どうだ悔しいかなら、一緒に」………木刀が彼女の脇にそのまま横に避ける彼女だが避けた方とは逆に軸と反対の足を引く引かなかった足は体幹を軸として滑らせて木刀は彼女を追撃するように追いかけ脇に一撃が入る力任せではなく体重を乗せ自然に放たれるその一撃は華奢な体に負荷をかける、これで終わりだと思っていたその想いはあの時の自分の甘さを痛感させるカウンター!大きな体故に、彼女が小さな体故に″生まれた盲点″いつの間にか自分の脇に入っていた竹刀「円のような理屈じゃな、力任せならばあのような事にはならんが活保が選んだのは体重を使っての一撃体幹の移動は力みのない真っ直ぐな力を産める、ただ力は″流れ″と同じ川の流れは変える事が可能だが、急に逆流なんてのも起こすのは無理だ」活保がその場に膝をつく、立っていられない「だが、受け流す川も大きくなければ″全ては″受け流せない」彼女は前に倒れ込む「今回もお前の勝ちかな?」膝立ちしている背中から聞こえるのは「懐かしいなぁ、この感覚………帰りてぇ………」最後の言葉は小さく聞き取られない、振り返り何とか立ち上がる「じゃあ返して貰ってもって(一度出した手を引っ込め頭を掻きむしる)納得いってねーのはオレか」そのまま後ろを向きまだうずくまる女の子に対してすれ違い様に「次もらいに来るときは、完膚なきまでに倒してやる(それまでのきついしゃべり方ではなくなり)この程度の痛みに負けねぇから」そう言ってこの場所を去っていく「勝ったのに持っていかないへーんなの」と碧雀「辺か?角もなくなる故に辺ではない!」と独自の解釈をしている櫻咫「確かに…変じゃあないかな」あぁやって話している姿はナンだろう子供達の成長みたいで楽しい、見た目はおじいちゃんと孫だけど、一人で回答を得ようとせず自分でないものとの自分にないものを取り込む私は今この瞬間を大事にしたいと心に刻む、そのあと彼女の打ち身を見て安静にしていればニ日位で治りそうだった。その日の夜この家を後にする昼間の間に二つの刀には神力を注いでおいた、このことは彼らには言わなかった気づくもよし気付かないもよし気づかなければまた違う使い手に渡るだけだ「出て行くのか?あの子は悲しむがな」杖もつかず歩く先生がいる「やっぱり動けましたね、どうして布団の上に?」色々あるのさとこれ以上は話してくれそうにない、どっちでもいいから聞かないけど「私の目的を果たすために″ここにいるだけじゃ駄目なんです″」視線の向こうにある似鳥達を見て話す其れを組んでか「達者でな″人ならざるもの″」化け物というわけじゃ無いんだけどと半笑いしながらも「お元気で″人なるもの″」とその町を後にした。夜は静かでいい学ばせる為の旅なので触れ合いを求めるというのが普通だが、前を歩く似鳥達を見ながらそう思う。辺りは暗く足下も見にくい一歩一歩ゆっくりと辺りに注意を払いながら進む櫻咫とあまり考えず月に照らされて暗い夜空を埋め尽くす星々に、頸をイタそうにしながらドコまでも続く其れを足下も気にせずキヤッキャ言いながら見ている碧雀、経験というなら″この静寂並びに何故今出て来たのか?″を考え、感じることで″答えを出す″これが大事だ、何も触れ合いは人とばかりではなくもっと大きなグーーグーー今いいこと言ってるつもりだけど、静寂が一層響かせるそして減った~減った~の大合唱に繋がる星々ではお腹は満たないですよね「灯りが見える!」櫻咫からの連絡、ここら辺に町なんて無かったと思ってたけど、先生のウチは町外れだし、だが灯りは確かに闇夜にポツリと光っている「お団子~~!」走り出したら止まらない見る見る小さな碧雀がさらに小さくなっていく「甘いのはちょっと渋めのお茶か、ぼうろ系がいいなぁ」隣をマイペースに我が道を行く櫻咫、お菓子が待ってるといいけどねと少しペースを上げ後を追う事にはする……一つの山の入り口遠くからの見た目は山そのものにしか見えないが聳え立つ門はどう見ても城の城門に他ならない灯りはこの山のような城から出ていたし、それに大きな城門の脇にある小さい出入りの扉今は扉など無く風通しが良さそうだ壊されている。想像したくはない。散らばる木片は壊されて間もないことを示す。想像したくはない「扉が小さいと入りにくい」そうだよねこんなことするのはあたしんちだけですよね。諦め櫻咫の後を追いかけ中に「お邪魔しまーす、碧雀ちゃーん帰りましょーう」声が低く言ったがそれでも響いた中は広い山は殆どが張りぼてみたいな感じか、西洋の城内部はそんな感じだった。死人の中にも鼻が高かったり、髪の色が金髪、明らかにこの今いる国とは違う死人もいた「物世界も広いんだな」と声が漏れてしまう階段を降りてくる音コツコツと高い靴を履いている暗い部屋の奥大きな階段からそれは聞こえる、物世界に来てからは聞き慣れない音だった「今日はやたらと招いてもいないのに客が多いの」見えてきたその姿はお腹の空いたドレス姿の鼻から上を仮面で覆った女性だった「すみません勝手にお邪魔して、ウチの娘が迷子でしてどうやら扉を破壊して中に入った形跡がありまして迷惑は承知しているのですが、これ以上迷惑をかける前に連れ帰ろうと」其れを聴き「勝手に入るとは躾のなっていない御子だの」笑いながら「返す言葉もなく、髪の色は碧色でして食べ物は食べさせてはいるのですが、中々の利かん坊でして」一通り説明を終えると口を開く仮面ドレス「分かったとにかく我が屋敷をこれ以上無駄で歩き回られてもいい気持ちはせんからな、着いて参れ部屋を用意しよう、探索はこちらで行おう″扉が壊されている″とはいえ外に出てしまったかもしれんなその点も加え、こちらで探索する」両手をパチンと叩くとぬいぐるみの仮面をつけた者が脇に仕え「探索はこの周辺も含め行え」すぐにぬいぐるみ仮面はいなくなり奥の部屋へと通される………グーグーグーグー地下の牢獄「おいっその腹の音何とかなんねーか」同じ鉄の錠を手と足の両方にされている男と女、男の方はつい先日一悶着あった活保と呼ばれるカッコつけてやり直しを誓い去って行ったはずだが、近くにいた「はぁーあんだけカッコつけて出て来て、その知り合いに会う、ダセーな」女の方は言わずも分かる「ねぇ、お団子持ってない?」無言の後「えっ今そんなくだり、この前別れたばかりでこんな風に再会したことに対して気まずいってそんな話だったよね、お団子ってあのお団子戦闘中にあの男から貰ったあのお団子、ここ牢屋だよね手枷足枷着けられて身動きもままならないし、お前はともかくオレ全身痛めつけられて結構喋ってるのも痛いんだけど」何だ持ってないのかとプイとふて寝するそんな彼女に「確か碧雀とか言ったっけお前がいるって事は師匠達も来てるのか?」確かめられずにはいられなかった巻き込んではいけないそんな想いがあったからだ。だが頸を振る碧雀にどこかホットする「そっか、でもだったらお前は何で、お前とこの保護者はどうした?一人で来たのかよ」うんとふて寝しながらも頷く姿に「理由はよく識らねーが、厄介な場所に迷い込んだな、オレがここに居るのは″揺萩″を所有してなかったからと傘下を抜けようとしたからだ、おかげでこの様だ後悔はしていない、元々″揺萩″はここの主からもらい受けた物だマウーティアここの主の名だ仮面をしているドレス姿の女だ外からはタダの山にしかみえないこの城は創り上げた城主」説明してるものの食べ物の話ではないので聞き流す程度の碧雀だった「お前はあの時″揺萩″を使いこなしたよな」前の戦いお団子の一件がなければ、自分の相手をしたであろうこの小さな化け物っ娘の実力を知りたかった「元々あれには神力注いであったしアタシはそんなに注いでないよ」神力ってのが不思議な力ってのは分かっている目の前の化け物っ娘がその不思議な力を注げるというのは分かった、同時に只者じゃないのも「ん?じゃ何でその力をつかわねーんだ、其奴を使えば簡単に出られるってか捕まんねーだろ」項垂れて「お腹減ったてのもあるけど……あの変な仮面は人じゃないと思う。んーでも神じゃーないしな」頸をゴロゴロ考えている「とにかく今はどうだ、今のオレじゃ(手足を見ながら口を苦々しく)どうにも出来ない、お前なら何とかなるか?」ウーンと考え「これって手と足の施錠に神力を封じる為の施しがあるこの手と足の枷を外さないと神力は使えないでも」ポンと手錠を引きちぎる「こうやって鎖の部分は普通なんだ、神力を使う奴がこんなお粗末な物作るかな?」活保も鎖を引きちぎろうとするも鎖はビクともしない「何だ、作りがちがうのか?」必死な活保に「人の力じゃ無理だよ」と人差し指と中指で「ちょっきーんとね」手の鎖を切る同時に踏みつける形で足の鎖も切る「さてと辺りを見回し、なりゅほどねと「神力の封じのみか、しかもかなり粗いある程度の神力は防げてもって、これだいぶ前の封か解け罹ってるしモロい、ヘンなのまっいいか」鉄の檻を破壊して「お団子探しにレッツゴーだ」と牢を壊す活保も後を追うようについていく。廊下を歩きながら碧雀が「ねぇそのマウーティアだっけとあったときはこんな感じだった」いきなり話しかけられ「この中はこんな感じかな思ったより変わってないな、そういえば前よりあのぬいぐるみ仮面の取り巻きの数が減ったような」その言葉にふーんと聞き流しながらも廻りの廊下を眺めている、壁を指で滑らせながら「維持が出来てなーいなーんとなく解っちゃった」とスキップしながら前に進む……「ここどこー?」先程まで意気揚々と解った発言をかましていた女の子は田舎から出て来た若人のようにキョロキョロしながら前に進む「何だよ、わかったっーからてっきりって、どこに行こうとしてるんだよ?」後ろの声など気にも留めず進む「どこに行くかくらいは教えて貰えませんかね」うるさいなーと「仮面からは感じなかったかしなー、それにはぐれたことないしな、似鳥であるあたし達には持ってないし、でもあっそうか中身だけじゃある程度近づかないとここのシステム死んでしまっては無いんだよね、中途半端に生きてる?みたいだしだから道なりに進もうと思ったけど」壁を一撃で抉る「神力的にはまだ機能してても物理的にはもうダメだねこの家脆すぎる」横の部屋に風穴開けてしまう「ちょっと何してんだよ!」周りを気にするも開けた風穴の中へ「なんだコレ?」手にしたのはワタが抜けたり、破れたり、ちぎれたりしている数多くの大きな人形が山のようにホコリをカブって置いてある。そんな人形を見て回る碧雀手に取りつつ「刀創、刺創、銃創、擦過傷、裂傷、あらゆる創傷の山か」バンと横に活保を押し飛ばす「何す!」先程まで自分たちのいた場所に太い腕の仮面のおそらくマウーティアの部下が現れる仮面の部下に「こいつ!気をつけろオレへの暴行犯はこいつだ、牢屋からの脱出が見抜かれたか!」活保へと迫るが、ふと自分の足元から声が「ねぇ、今回そのマウーティアって奴以外に″会ったのはコイツだけ″」目の前に迫る仮面の部下を指さすと「あぁ意識があるうちしか断言できないけど″コイツ以外見てないと思う″ってコイツどうするんだよ!」するとそうと左足を踏み込んで仮面の部下を張り手で吹き飛ばす「どうやら最後みたいだし敵意もないから、こんなもんしょねぇ応えとして合ってる?」と風穴の方を見てみると仮面のヘソ出しドレスと彼女の連れがいた話は少し戻りヘソ出しドレスに用意された部屋へ「紅茶でいいかの?」という彼女にお願いしますと頼む、碧雀ならお菓子をねだりそうだが私も櫻咫も香りは楽しめる方だ。彼女は紅茶の並ぶ茶葉の瓶を開け選びながら「済まないねぇ、中々の人材不足でねお茶も自分で拵えないといけない有様だ、なので娘さんの捜索も少し時間が罹りそうだ」そう言って選んだ紅茶の葉を用意してお湯を沸かす「長い間″一人でお暮らしに″」仮面のドレスは驚いたような顔をする。先程命令を出した者が彼には見えなかったのかと驚き「いや数人の使用人がおります」沸いたお湯で紅茶を注ぐカップもそうだが一口飲んでいい香りだと思うそしてこの国に似付かわしくない、これらを持っている彼女が何者か気になってしまう。この城に入った時から感じていた違和感、神力は感じるこの城全体からだがとても薄い、それにこの中で一番大きな神力は目の前の彼女ではなく先ほど彼女の脇に傅いていたあの太い腕の仮面の者からだ、しかし其れも少し妙だった傅く者から感じる神力はその者から発してはいても湧き出ている訳ではない、簡単にいうとこの前の″刀″と同じなのだ。注がれた神力が少しずつ漏れ出ているそんな感じをあの傅く仮面からは感じとれた、なら一つの疑問がわく″紅茶を入れる彼女からは神力は感じ得ない、そんな感じ得ない彼女が神力は注げない″天井や周りを見ながら、ならここの本来の主はどうしたのだろうと「うーんイマイチかな」コラコラそういうのは口に出しちゃ駄目ですよ櫻咫、カップを置きながら「すまんの、ご覧の通りワシは(仮面を取りつつ)年をとったおばさんでしてね、なかなか出来ることが減ってきてな、だがここは″この場所だけは守り通す″そう誓ったんでな」失礼とは分かっていたが話してくれるよう頼んだ、すると目を閉じ紅茶の香りが漂う中、言葉が紡がれていく……昔ワシが小さい頃は泰平の世の一歩手前の時代そんな戦場に巻き込まれ父と母と兄弟達を失い途方に暮れていたこんな時代そんな子供特に女を狙うハゲタカは多くてね、アタシも例外なく追われることに足にマメが出来る走る事には慣れているが、昼も夜も雨も関係なく追われることに心がすり減る、ドコまでも、イツまでも、ツヅク?続く?つづく?雨音に頸を地面に押し付けられている捕まった頸の痛さとは別にとても落ち着いている。心のどこかで安心しているビクビクとするすり減りに、でも待っていたのはひっくり返され頸を掴む男の瞳孔怖い息が出来ない男の息が一層粗くなるまわりで笑い囲まれるツヅクンダずっと終わらない私は考えるのを感じるのを辞めた時「あれ、夜?辺りが暗くなる」次の瞬間目の前の男が真上を見ている。あっあの表情どこかで見たと思ったら水面に映った逃げてるときの自分だ絶望で何も感じたくない恐怖だけが映る。よく見ると、あたしの頭を跨ぐように何かがいた悲鳴と肉のひきちぎれる音が跨がれて見えない分怖い助かったなんて思えない″今すぐここから逃げないとダメだ!″あたしの直感がそう言ってる。息が絶えるあたしの頸を締めていた男が倒れている腕はちぎれ真っ白な顔で小さな声が漏れる「白似鳥」それが何なのかその頃のあたしには分からずでも確実に目の前に立つそれは″人ではない″それだけは分かり同時にソレにとっては″命あるであった者は同じく奪う者″であることに変わらない大きな刀があたしを裂こうとする「全くこんな物を創らせて親バカのツケかな」右耳の近くに聞こえたその声右を振り向くも誰もいないが、いきなり右目の視界に黒い点が横切るそれを追ってそのまま正面を向くと先ほどまで刀を構えていた化け物は吹き飛ばされて見えないほど小さくなっているフワリと浮く其れは″小さなお爺ちゃん″だった。そのままあたしの手のひら羽根のように軽く舞い降りた。




