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神約聖書  作者: 裸形炉
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四十三ページ目

風貌は長年檻の中に居たことも有りボロボロだ然しそれ以上に龍神、檻越しですらあれだけの威圧目の前に来られるとそんな卯人を尻目に「それでその適合というのは?」黒いボックスに向け尋ねる「やだなーそんな焦んなくても」そう言うボックスに「焦らない?お前さんはここにいないにしても仲間の回収は急ぐべきだろう?」驚いたように「脅しといてなんですが、まさかの仲間意識ですか?」ちょっと余計なこと言うなとボックスを手で塞ぐ卯人「貴様が言ったことだ”立ち止まれないと”それに今ここで最終決着というわけではなかろう”お前さんの目的”とやらは」黙って前進しようとするも彼の目の前には彼の数倍の鎧を纏った三体の塊が進路を塞ぐガーディアン?「ならば”ここの主”が戻ってきている神牢内部に入ったといった所だ(塊へと手を触れる)しかも言師付きだ(羅髭が伸びる)死人にしろ人にしろ(三本の指を合わせるようにしながら拳状に閉じていく)その適合者とやらもいるのだろう?」(閉じきるまでに目の前にいた鎧は消え道が開く)片手にボックスを持ちながらもさっきまでの戦いは本気どころか一割すら実力を出していないのではと思い知らされる(凄いこれが龍神”第一世代”噂には聞いていた“第一世代は別格”だって)小さい頃から龍神国そんな国がこの神世界に存在するその程度の認識しかなかったその中の噂の一つが時閒の龍が創った国でその時その時閒を支え直接”時閒から神力を得た者達”がいるってそれが”第一世代”と言われているはこの頃、龍神国が他と関わり始めたとおじいちゃんから聞いて分かった事だ。「だそうよ、それで目的は達成したんだしこれからどうするのよ?」卯人は冷静に保つようにして手のボックスに話し掛ける。困ったようにうーんと唸りつつ「そうですね”まだ会いたくない”というのが結論ですかね、出来ればこのまま離脱……黙んないで!冗談だって」冷たい声でふーんと一蹴する「分かった」と背中越しに喋る災奏に注目が集まった………「足の踏み場もないね」あたしとここの主である不鎖お姉さん「まったくどうなってんのよ理母もここより奥ね、擱坐はさらに奥、擱坐の方が何で全権持ってるんだか?あの子達がバラバラに動いて居るとこを考えればまぁ妥当な判断か、悪いけど言師今はこれ慎重に進むしかないわね」神牢に入ったといっても中に入ってびっくり中は本棚や壁がせり上がる”何者かの侵入があった”そのことを今の状態は示していた「理母ちゃんと擱坐くん大丈夫だといいけど」別れているという不鎖お姉さんの言葉に不安が募る。いつも一緒アタシとしてはそんなイメージが定着していた本が犇めく中を上手く通りながら「あの子達はそんなに柔じゃないわよ、大丈夫……大丈夫」自分に言い聞かせるようにアタシの横を通る不鎖お姉さんの目は少し淀んで見えた………「目が開けてらんない」手にしたケースを前面にその影に隠れながらも吹き飛ばれる爆風が何度も吹き荒れる。細目でその爆風の原因の前方を見る一方は猫耳カチューシャに銀の肉球猫パンチグローブをはめている死人のメイドさんと対峙しているのは黒い羽織を纏った正義の味方事双子の片割れガングリオンリーボが激しい肉弾戦を髪を引っ張ったかと思うと平手打ちが炸裂女の子の喧嘩修羅場とかしているその様子に同性とはいえ少し引き気味だった。手伝いたい気持ちはあるがアタシに出来ることはこのスーツケースで自分の身を守り猫メイドさんの邪魔にならないこれ以外の選択肢はない然し次第に双子姉は不利に成っていく、覚醒した猫メイドさんの神器質が発動しているアタシのと違い卯人ちゃんと同じく彼女の心体と同化しているので死人であるはずの彼女は神と同格の場所に立てる程の実力、一方双子姉の方は防戦一方元々弟君と二つで一つの神であり片割れだけでは死人や人相手ならまだしも神器質の力を手にしている。彼女が使っている力はもはや”偽神非力なんかではなく紛れもなくホンモノの神力”なんだ「立場が逆転したニャー」余裕綽々の猫なで声で話す彼女に「正義のヒーローはピンチにならないとね!」と手招きしている「そうなら、ここらで終わらしてご主人様の後を追いますニヤっ」猫パンチをグローブのように合わせ一気に距離を詰める反応が間に合わず次の瞬間猫パンチから隠された爪が飛び出し体を貫く感触!然しそこにいたのは”双子姉ではなく満足気な弟君の姿だった……数分前こちらは逆に弟君の腕がマナノ侍の体幹を貫いていた「参ったね……」結果は始めから見えていたマナノ侍は戦術駆使して弟君の隙を作るだが残念ながらマナノ侍には決定打が無く、例え”似神非力”が万全で日本刀にもヒビが入っていないそんな状況下にあっても言ってしまえば”神と死人”その如何ともし難い”存在そのものの違い”が今の立ち位置を作り出す事は予測できる戦っている弟君はもとより一番それが分かっているのはマナノ侍であった死浪そのものが行ってきた”神の研究の積み重ね”がより一層”神と人”との差という事を思い知らされる絶望的なその差は、其れでも諦めなかったそんな選択肢もあったが選ばなかった死人達それが”死浪”の集まりなのだ深く剔る腹の所からは血が噴き出すわけではなく、光の粒子と成って出て行く”転生させられている”神による死人の転生神約に違反する行為だ。剔るその腕の先の弟君からも悔しさが滲み出るこんなつもりじゃない好き好んで人を転生させたいわけじゃないでも今はコレしか無かった。姉が心配なのだ双子故に分かるのだ”あの猫メイドが発動した神器質は姉だけでは倒せないだからこそ消え行くマナノ侍が「取りあえず役目は果たした、あの猫メイドに会ったら、色々あったが……楽し……」一陣の風が強くなり聞き取れないまま転生の時を迎えたマナノ侍、消えるその時まで楽しんでいた。少し落ち着き廻りを見ながら「楽しかったかな」ぼつりと掃き終えると「今からじゃ間に合わないか、スイッチ」次の瞬間土手っ腹に鈍い痛み「ま、間に合ったか……」目の前の驚いた猫メイドの顔とその後方にケースを持てず落とす人の女の子が唖然と此方を向いている。ゆっくりと動く首を軋む遥か遠い昔の事今とは違いもっと低い位置首など動かせない全身を光の布で雁字搦めにあい物世界の……そうだ、確か血生臭さと混じって泥の匂いがしてたっけ見上げた先は軽い水が滴る、そういえば雨って物世界では天気ってのがあって、特に雪って白くてフワフワ舞って当たり一面(口が半開きで緩む)に敷き詰まった時は理母ねーちゃんと嬉しそうに遊んだっけ、そして這い蹲った真下に薄く揺れる二つの影微かに空いたその部分で影を見つめる。神世界に居場所を見出せず理母ねーちゃんの提案で「時代は物世界、神世界なーんてもう古い!」の一言で、神世界から飛び出した神は基本的に神世界に住まうだが全部が全部そうではない、人と共に在りたいと考える神や“加護“という限界を感じ直接“神約“を結び力を与えたり助けたりしたい神など勿論僕らはこれらの神様的な思考ではなく、物世界への憧れとでも言おうか神が人に憧れるなど馬鹿げた話だか、至極神世界は退屈だったそんな中凄く心引かれたのは死人の存在だ彼等はこの世界にはない考え(いい物もあれば悪い物もあったが)を持っていた理母ねーちゃんに言われたからでは無かったが、物世界へ行きたいというのは僕の中にもあったのだ。神世界から物世界へのルート真っ暗な中を理母ねーちゃんに手を引かれながら歩いていく長い凄く長い足が自然と止まってしまう振り返ると意気揚々と旅立った神世界の姿はとても小さな光の点と成っている前はまだ物世界の片鱗も見えず不安が理母ねーちゃんに掴まれた腕を引っ張る帰りたい訳じゃ無かったが下を俯いたまま歩みを止めてしまおうとする。だけど引っ張る腕は力強く握ったままズンズンと暗闇を臆せずに進む、何故だろう廻りには音もしない冷たさを感じていいはずなのに、暖かいとはいえないその手とその先の自分と背丈や体格はあまり変わらない彼女に暖かさと共にボソッと「やっぱ理母ねーちゃんだなぁ」と聞こえない程度で呟きながら進んでいると物世界に到着していた。其れからしばらく色んな所を廻った一言で“殺伐とした世界“それがこの物世界だった。街ではそうあの死人見たいに刀というものを腰に差した者が跋扈している世界、この物世界にいる者は器に入っているので腹が減るらしい食べ物を求め醜い争いも続けていたそんな者達が幸せじゃないのかと言えばそうではなく、そんな者だからこそとても愛おしく思うのかもしれない。理母ねーちゃんと僕は一つの小さな家を作った廻りには何もなかったけど拠点にしたんだ。その後立ち寄った在る村で「擱坐ほらコレ」理母ねーちゃんはこちらに来てからその気さくな態度も有り、結構人とも喋っている仲良くなってしまう。そんなことを僕は危惧していた「なーんでそんな決まり?」ぶーっと膨れる姉を抑え「あまり関わるとよくないよ理母ねーちゃんだってこっちに来て観たでしょう“ゲンシ“の姿を」物世界に来て少し経った頃、闇雲に廻って居た頃此方の世界で暴れる八百万の神と遭遇した、大きな猪の姿をしていた媒介となった猪の意識は無く、刀を持った変な帽子の人達が束に成ろうとも適わなかったがそんな時大きな勾玉が出現し猪の上に置き石のように覆いかぶさる「やれやれ、この所やたらと多いわね、此方の世界に来る比率も増しているし、それに比例してこれでは」ため息を吐く全身透けている着物に頭の帽子は刀を持った人達とは違う。だが明らかに違うのはその者から感じたのが神力だということだ「仕方ありませんよ、其れを裁くのが私の、この“減師“の役目ですから」横に在るその者は明かもなにも勾玉の透神よりも姿形が異常?だった“飛んでいるウニ、クリ“そんな風貌なのだ白いトゲの丸い塊に黒い鼻眼鏡(鼻が在るかは疑問だけど)がフワフワと浮いている。そしてトゲの一部が割れ一冊の本が現れる。えらくボロボロで傷だらけな本を取り出し「汝その神たる本分を逸脱しその者の意思を奪い取った者で有りこれは重大な神約に違反するものです。故にここに罰を与えるものなり」複数の光の束が布で包むようにその者を縛り上げる「コノモノノ、ダイジナオモイ、カナエタカッ………」光に包まれて消えていく様を……その時の事を思い出しながら「あの時の事……僕らも気をつけて損はないよ」その言葉に「大丈夫大丈夫もう擱坐は心配症だな(ジト目で見据える弟に)分かったわよ」其れから僕らは拠点を作りそこから色んな場所へ帰る場所があれば必要以上に関わる事はない、それに一度行った場所へはしばらく行かないことにした。助けるときもその場限りのもの、または助けた姿は見せないこととして“減師“との遭遇を極力減らすことにした“神約に違反しない“そうすれば関わる事はないのだから、そんな事を注意しながらもこの物世界を楽しんでいた矢先僕達の運命を大きく変える出来事が待っていたその子と出会ったのは一つの村の一軒家の軒下だった焼け焦げた村おそらく襲われたのだろう血のニオイが焼けたニオイとが混ざり何ともいえない香りを醸し出すふと軒下から風が、狭い所を通るような音が聞こえてくる。開けてみるとそこには年の頃は幼さの残る女の子だ然しその女の子の異変に気づいたのはすぐだった「ねぇ君はどうしてここに?」だが彼女は答えないというより分からない反応がないのだ。そこまででこの子がここに居た理由が何となく分かってしまった。この子は目、耳それに手や足も短くお腹もヘコんでいる。隠すように育てられたのだろう彼女の下に引いてあるゴザこれだけが彼女の世界だったのだろう親は見捨てることなく育てられたんだろうけど村を襲われてそのまま………」なにどうったのと呑気な姉がひょこっと頭を出す何この子と興味津々に見回した後「よし!連れて帰ろう!」と一言述べた後によっこいしょと背負う素振りに「ちょーっとその人の子、如何すんのさ」どうするって勿論という姉に「関わらない、助けるのもその場限りだって決めたよね」そんな僕を背負ったまま素通りする「じゃあ放っておくんだ?」振り返りそう話す姉の態度に「そんな事いったって……如何すんのさ……その子は、見えないんだよ、聞こえないんだよ、ちゃんと立つことも座ることも“生きてけないじゃん!“」理不尽な言葉だったこんな事思ってる自分が嫌でたまらなかった。それ以外の答えが見つからない自分が情けなかった「生きられない?見えないなら声をかけてあげれはいいじゃん、聞こえないなら文字で書いてあげれはいいじゃん、立てないんなら抱えてあげれはいいじゃん、座れないなら」全部を言い終わる前に「そんなの全部“その子だけでは出来ないこと“ばかりじゃないか、理母ねーちゃんだってこっちで沢山みてきたでしょ。そんな子が辿る物世界は多分この先もずっーと変わらないよ……」捲し立てたのは油断するとすぐにも流されそうな自分がいた“何も出来やしないくせに気まぐれで助ける“そんなことをしてしまう姉に賛同してしまいそうで怖かった……でも理母ねーちゃんは結局止められず、その子を拠点に連れて行く四六時中診ている事が多くなる決して楽ではなかったけど、其れから数十年の月日が流れるその子は白髪のしわくちゃの老人に成っていた最後まで動くことはなかったけど、顔は何処か穏やかだった「ねぇ擱坐あたしね」夜にその子の遺体を燃やしながら呟く姉の横で「村ここら一帯は人も住んでないし、いいんじゃない(姉の半べそ顔を見ながら)もっとやれることあったんじゃないかって僕も思った”おこがましいかもしれないけど”救い出したいでしょ」見ると横で両方の手を使って必死に目から溢れるものを拭き取りながら理母ねーちゃんが「う゛ぅ~ん」と何度も首をふっていた夜空にの星と火の粉が混ざり合い何ともいえない光景を眺めていた…其れから僕達は彼方此方を廻る一見すると人々が何気なく暮らす世界でも”歪んだ世界”がそこにありどうしようも出来ない影が出来ていた”歪みを取り除く”とそこは正常に機能した……そう思っていただけなのかもしれない………そんな事を続けていけるはずはなかったやはり”減師”に見つかるそして今地面に這い蹲っている「色々な街から”人を攫った”のはお前達かな?」光の布で縛られた間から出た口で「あの者たちも、周りの者も、あのままでは”歪みは酷くなるばかりだ”!」そんな自説を「確かに(動けない者を見ながらも)あの者達はお前達のいう“歪みの源“なのかも知れない、居なくなることで“歪みは無くなる“だが勾殿」ヘイヘイと勾玉から発した光が映し出したのは“いがみ合う者達の姿“「目に見えるものが共通だったから“同じ方向を見ているように感じただけだ“どの世界も“感じられない、心など分からないことばかりだ」姉の理母が「だからこそ、話せば!」首を横に振り「言葉は飾るのさ多かれ少なかれだから、下手に理解して取り違う、故に歪みは無くならん」それでも僕達は信じたかったんだと思う………「理母……ねーちゃん……は信じ……」双子神の片割れが今静かに神世界から消えてしまったのをマナノ侍が持っていた日本刀の近くで音もなく涙する理母ねーちゃんは感じていた。

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