四十一ページ目
双子の神力少女は責めてこない?警戒してる?でもあたしは横にいる猫メイドを見るが、満身創痍特に回復した様子もないしあたしにそんなスキルはないとなると考えられるのは、目線を目の前の双子に戻し残りの可能性とはいえ一つしか無い”あたしか”確かに”初見の相手”ではあるあたしは”未知数”しかも死人である猫メイドと違いあたしからは神力を感じる人である、あたしから本来感じることのない力なわけだ、それに加えさっきから、この神牢のシステムを使ってこない、その点から考えて神力少女は”強くない”その証拠が今の膠着状態だとしたら「あなたの残りの時!」ほんの数秒目を逸らしただけだったが甘かった先ほどの1回猫メイドさんへの目線の逸らしはこれで二回目もう一度戻す前に、先程まで数メートル先の本棚にいた神力が直ぐ手前で感じる振り返る駄目だ間に合わ「先手必勝!こちらもあまり貴方だけに時間は」痺れを切らしたのは弟君の方だったが、遠くから慌てること無く全体を見通していた姉のリーボちゃんが気づく「防がれてる!」弟君の一撃が入ったと思ったその時持っていたケースで拳を防ぐそのケースを見ながら……「其れからケースは揺が持ってて」その言葉に「何言ってんの、このケースの中に入ってるものの適合の為にここに来たんじゃ、こんな苦労するのもそのためだよだから」両手でケースを卯人ちゃんに渡そうとするケースの上に手を置く卯人ちゃん「確かに”龍神の片腕”の適合の為に来たのは間違いないけど、あくまで適合するかどうかは分からない、それより今適合してるのはあたしと(ケースに触れたまま薬指を立て続ける)揺、あんたの二つだけなんだ、このことは可能性云々よりも大事なのさ」そう言ってあたしにケースを預けたまま”龍神の片腕”の所へ向かう卯人ちゃん……ケースを見ながらだからここはどうしても守って見せる心に決めてここに居るケースが押される(押し通る気?)弟君の真上に黒いメイドの影、其れを見て「スイッチ」その直後後方へ飛んで避けその場にいた弟君が其れを支える「ごめん理母ねーちゃん」支えながらも冷や汗を垂らすその視線の先は猫メイドの猫踵落としによって、その地面のへこんだ部分を眺めている「あくまで今までの体制は変えない、思った以上に厄介ね(笑いながら)人だと思って油断しないで行きましょう特にあの”ケース”攻撃は出来ないけど”一瞬の防御”は出来るわ」そのアドバイスに「たかが一瞬だよ。直ぐに破って」意気込む弟君に向かって持ってる本でこつく「その一瞬止められたあと向こうの反撃が直ぐ来るわ、あの剔れた地面に成りたくないなら、少しは頭を冷やしなさい」そう言うとリーボちゃんが次は向かって来るようだ「やっぱり同時には来ませんね」尻尾を振りながら「同時は困るんだけど、あの入れ替わるのが厄介ね」まるで猫そのものこれが猫メイドの”似神非力”一瞬ふざけているのかと思う猫じゃらしが欲しいゴロゴロ鳴らして遊び……ってそんな場合じゃない大きく息を吸い直し脳に酸素を送る。あたし達が目の前の双子に勝つのは不可能、先ほどまでの猫メイドの戦いでも実質1対1(入れ替わりだったけど)仕留められなかった。でもこれはマナノ侍から聞いていた”人は神には勝てない”はっきりと言われたのでその確認は先程何となく分かった手元を見るそこには先程の弟君の一撃を受けても形が変わることのないケースがそこにある。恐らくだがこのケースはあのプロキシアスの社長の親指を立てる笑顔が浮かぶ「特注だから」中身を考えれば当然の一品だ。双子神の攻撃はあたしでも防げる行動の制限を布くことで(あたしの片腕に填められている葉っぱの形をしたシルバーアクセサリーを見る)うんともすんとも云わない”コレ”に頼るってのも今は無理か。あたしの顎にマッタリ顔を乗せながら「焦らにゃーい、戦闘中は笑ってた方が愉しーいよん」経験なのだろうかマナノ侍と違い年も近く年代も雰囲気的には時代劇感は無い、顔面部への靡かせる髭が何ともこそばゆい「位置取りは、このままで防御しかできないあたしが前にいたほうがいいんだけど……」ネコ耳をピクつかせノリノリで聞き入る……「何かやるみたいね」姉であるリーボちゃんが警戒を促す弟君は「こんなこと遣ってていいのあの死人と、特に”あの鳥神”は厄介だよ……最悪”地下のあの龍神が出張って来たらねーちゃんだってアイツが出てきたら俺らじゃ其れこそ止められない」弟君の言葉はもはや親分に怒られる等というレベルではすまなくなるというのは言葉尻からも伝わってくる。然し彼女らも放っておく訳には行かない、いっそ彼女らに神牢のシステムを使い捕縛しておき……駄目だこの広い神牢の空間をセキュリティシステムを使わずに捜すというのは、かなり難しいこの中では神力も感じづらい、ならばあたしか擱坐が残って彼女らの相手をするというのは無理かあたし達の神力元々”二つで一つ”の能力だ分かれればシステムがあるとはいえ、其れを無力化されると”あの人のお姉さん”と同じ程度と言わざる得ない目をいつの間にか瞑って考えていたようで「理母ねーちゃん!」と擱坐の声で目の前の異様とも言える光景を見る”あり得ない!”最初の感想だが、その光景に「擱坐あんたは後方にいざとなったらスイッチして!」そう言い終えると同時に擱坐を残し前方へ、前方から来るのは跳躍するように猫メイドがこちらに近付く然しそれ以上に驚くのはその肩に腰掛けケースを必死に持ち続ける”人のお姉ちゃん”だった妙手と言わざる得ない、誰もがこの状況下ではどう考えても、あたし達、双子神の”足止め”というのが最善策だと時間をかけあたし達双子をこの場に留める事が彼女らとあたし達”神と人の差”を考えても最善だ……そうなんだが走り抜け猫メイド号を拳で止める、今ので仕留められないのは分かる衝撃が派生し廻りの本棚が吹き飛ぶがメイド号はあのケースにより防がれてる”絶対に離すな”と猫メイドに云われていたのだろう人のお姉さん本人は動かずケースごと下の猫メイドがアタシの攻撃を防いだのか?神力に似て非なる力か……涙目で猫メイドの上にガシッと捕まる揺そんな彼女を見ながらふふっと先程の光景を思い出し笑みを浮かべる……「一緒に攻める?守るんじゃなくてにゃん?」先程のピンチを助けてくれたというのは分からなくも無いないが、目の前の女の子年で云えばあたしの死んだ時とあまり変わらない戦場というわけでは無いいきなり空から降ってきた”モノ”によりアタシの日常は地獄そう雲に覆われた空、動くことの出来ない体、感覚が無い訳じゃ無いと思う、痛みは感じるのだが、そんなことより気道が熱い、声も出ない、煙が風に靡いている、焼け焦げる匂い、血の匂い、獣のような呻き声、油断すると意識が遠退く、瞼が重い、痛みが五感を休ませてくれない、喉が渇く、動けもしない体で、いつの間にやらキョロキョロと眼球を動かし水を探す。暗くなり気温が低下したのだろうか、体がやんわりと冷える痛みは消えないが周りのうねり苦しむ声も微かに収まる、こんなことを二、三回繰り返しうねり苦しむ声が徐々に一つ二つと消えていくことそれがアタシの憶えてる最後の光景だった……足をしっかりと掴む非力な彼女に負担をなるべく軽減させたいと足場を作るため一歩一歩の力強く踏み込む安定したその過程は彼女の決意を感じているからなのだと自分でも分かる。急に弾かれる音しまった下半身だけに集中!リーボの拳がケースを弾かれ非力になった彼女へとのびる地面を蹴り上げ間に合わクソ、体に刻まれたあの時の痛みが「何!」リーボの叫びと共に声のする真上を見ると偶然か其れともアタシの意思に応えた?のか空中で開いたケースから出てきたのは両方を伸縮自在の銀のスライムでくっついた肉球グローブ、片方は太く水ブクレのように膨れ非力彼女とリーボの拳の間に割って入るがもう片方は逆にアタシの手元に指輪のように小さくなり中指にスッポリ収まっている。何が起きてるのかは分からないでも”リーボと非力彼女の間を一刻も早く広げないとそう思うと指輪のような銀の肉球は其れをもう片方に伝えるかのごとく腹いっぱいに膨れる。たまらず後方に「擱坐少し下がって!」お遊びじゃない顔でそう告げるリーボは自分も反撃可能なように僅かに距離を取ることを確認した、あたしはホッとすると両方の銀の肉球はアタシの手の一部の指輪として両方の中指に残る………ケースの防御力の理由其れが”これを守っていた”という訳ね、自分の中で何故”神約を交わしたパートナーを置いてあの鳥神がこの場を離れたのか”という一応の腑に落ちる答えを得て、それでもまだ納得出来ないこともあった”あの物体”は何かあの猫メイドの死人からは今までの”神力に似ているが違う力”を感じていた。だが目の前の死人からは”神力”を感じるこれにより少なからず”神の手により創られた物”神器質なのだと分かる。そこらに転がる本を手に取る……「ったく、ちょっとは真面目に聞きなさい!」うるさいなぁとそこらにある本を頭に乗せ遊んでいるとその本を鎖で取り上げられる、あたしと擱坐が神世界をつまんないと飛び出し物世界で面白おかしく遊んでいた時、神約に違反する行いをしてその時の”ゲンシ”に神約聖書で捉えられ不鎖というおばさんの元で罰を与えられている。周りを見渡す「薄暗っ、ここで何すんのおばっーーひゃん」両手で口を左右に引っ張られたまま訪ねる「あんた達は、神約の違反により罰せられたけど、重くはなかったけど悪印象だったので、あたしが引き取って今日からはアタシの助手よ(ニコニコしながら返事をしない双子神の姉の口を左右に更に引っ張って)お姉さんって呼んでね、それか師匠以外却下よ」と言われた事を思い出した「じゃあこの本もその”神器質”なの」そうよと不鎖は頷き取り上げた本を片手に説明を続ける「貴方達がいた物世界(並んだ助手を見ながら)にも”存在するもの”大きな意味での物質のことをこちらの世界では”神質”っていうの(わかったと頷くとよろしいと)では神器質とは何か分かる?」理母が「難しいことはわかーんない擱坐きゅん、タッチ!」弟の後ろに隠れキャピキャピ愉しむ、お姉ーやんに全く姉さんはと毎度の事なのか慣れた態度だ真っ直ぐおニューの師匠を見上げ「神器質ってのは何かは分かんないけど、物世界のある物全てがその物質ってんなら、神世界にあるその”神器質”ってのも”神質”と同じなのかな?」しどろもどろに答える擱坐助手に「ぶっぶー”神質”はあくまでそうね、この世界にある物全て、でも”神器質”ってのは、その神質から出来た物なのさ、過程は様々だけど」例えば~という弟の後ろから口を尖らせながらお姉ーやんが呟くそのお姉ーやんを鎖で吊り上げ擱坐きゅんの隣へ置きながら「そうねー大きく分けて三つね、一つは神質そのものが変化した場合ね、これは神など他からの干渉を受けず、偶然出来てしまうものなの神器質の中では長い時間をかけて創られる物程強力みたいね、でも元々の神質が強力な場合は短時間でも強力な物はあるみたい」じゃあおば……師匠の鎖とかと尋ねると「これはアタシの一部、鎖の神が鎖を使うのは当然でしょ神器質ってのはそのもの単体で神と同格の神力を有してるって訳ね」ふーんと分かったような顔で返す「二つは神質を使い神が自分の神力をつなぎに使い神器質として作り上げる物、この神世界にはそれらを専門に扱う神も要るみたいね、詳しい訳じゃないけど」擱坐きゅんが「じゃあ師匠は作れないんですか?」その問いに「そんなもの作れんなら、こーんな辛気臭いとこの番なんてやってないっーて」ケラケラ笑う姉の理母ねーやん鎖で柱に吊されるほっときつつ「三つはさっきの二つ目の流用神器質の欠片を使い新たな神器質を生み出す物、一番多いのはこれね前二つは出来る事がとてもレアなのだから元々あった神器質の欠片、又は使えなくなった神器質をリサイクルするって訳」鎖に吊される理母が「使えなくなったりするんだ」と鎖を揺らすので鎖を引き締めて「そりゃあ神器質とはいえ時と共に神力自体が減ってくるからね強力な物は今も形を変えず残ってるみたいだけどー」………手に取った本を見ながら昔を思い出し、この神牢自体も神器質なので一つ目ってのはなさそうか、なら二つ目か三つ目何処の神が創ったのかは知らないが、あんな物がゴロゴロあるのは面白くないわね手に持っていた本をそこらにほおりなげると「擱坐手を出して”神牢の仮決権の移行”」手に印が浮かぶ「どうするの?こっちに全権渡されても」手を合わせながらも相手を見据える「少し予定を変えるわ”アタシの持つ仮決権の半分を擱坐に移行”」……何か手を合わせてる「何かしてくるのかな?ってまさか、あなたが三つ目の適合者だったとは、確かに社長は”人、死人、神は問わない”って云ってたけど」指輪を見ながら「悪いけどあくまで今回の依頼は貴女たちの護衛なの(そう言いながら指輪を外そうとする)適合者ってんなら他あたってよ、んっ?あれ?クッーー!何これどうなってんの?」必死に外そうとするもまるで自分の爪を剥がすかのごとく、歯を引っこ抜くかごとく体の一部を無理やり引き抜こうとする感じでびくともしない「とれにゃーい」息も切れるほどの抵抗にも”あなたの一部にゃん”と言わんばかりだ「なんで?どうして?」と迫る猫メイドさんに「えっーとその多分取れないと思いますけど、詳しいことは社長か卯人ちゃんに聞かないと……カトハカさんは嬉しく無いんですか……だって望んだ結果ではないにしろ”神の力”を手にしたんじゃないですか」あたしはそんな力無くても似神非力がと続けるが「それでもその力は限定的マナノさんみたいに”カギが壊れる、合わなくなる”事で力は失われるとても不安定な物です。でも今あなたが身につけた神の力は、幸か不幸かあなた自身の一部になった」それならとアタシの左手首にハマる羽を模した銀のアクセサリーを見る「あたしは(右手でそれを覆い隠すようにしながら)まだ認められてないから(目を伏せ気味に笑顔で)役不足の半人前何です(銀の肉球の入っていた弾かれた足元のケースを見る)卯人ちゃんはああいう風に言ってくれたけど(左手首を曲げ)形の選定のみ偶々何じゃって、そのあとはカトハカさんや卯人ちゃんみたいに体の一部には定着せず神力も……だから」話に夢中で気づいた時には、廻りは本で囲まれていた「そんな!神牢の力は卯人ちゃん達の探索に使ったんじゃ?」目の前に集中する弟君がやらせるかと肉球グローブを発動するカトハカさん然し上から地面を貫く一撃にたじろいでしまう次に気づいた時には丸い本のドームの中にいた。その中には弟君ではなく姉さんの方とあたし達だけになっていた。




