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「なんだか上手くいかないな」ぼそっとあたしがつぶやく今回の一件あたしが無理を通さず途中であのジジババのどちらかにでも打診しておけばそんな態度に鎖ねーさんが「心配ないとは言い切れないけどあのビカヂュー君は今回の会に出てもらい話してもらうというのはあたしも正しいと思うは情報の共有は必要だし彼にはその義務があるわ、反乱を起こし曾孫と孫を危険に晒す可能性は低いわね自分たちが消えるのが数秒伸びるだけ駆け引きで渡ってきた手合いなら分かるはずよ」わんわんさんも同意見のようだ「とにかく心配は交渉の判断に禍根を残す結果になりかねないあたし達も手助けはするけどやるのはあんた自身よそのことを忘れないで」その言葉に一旦心配は横に置いといて次の宝玉ちゃんの家族がいる八百万会との交渉へ向かった。「八百万って神世界ではそのどのような立場何ですか?」「うーーん(唸ったあと)御免よくわかんない」「わかんないですか?」「でも龍神みたいにさして口を挟んでくるような訳でもなく、かといって交流は多くそう数的には一番多いわね」そりゃ八百万って言うぐらいだからあたしの知ってるのはそう忘れもしない娘のためなら身代わりなんて朝飯前のあの越後屋だ、それにあの僕神くんぐらい「そう言えば彼女の旦那様あたしが言師グッズを集めていた頃、家が潰れたとかあれってどういうこと何ですか?」困った様子の鎖ねーさんに「八百万は昔は不鎖のいうようにかなり多かったようだか彼らは本来は物が長い間使われ続けることで神力が身につき八百万の神となるだが今は昔と違い特に人が物を大切にしないので八百万の神になる物が減ってきているのが現状だ。会ったことはないがそいつの家というのがお前が貰ったその杖に関わる一族なら潰れたというのは、分からなくはない」わんわんさんが何か言いたげだったが残念八百万会に到着した彼ら八百万の神は先程の不鎖ねーさんじゃないけど数が神世界の神の中で断トツに多いまぁ数だけで見れば死人の数が追いつきつつあるのだが、今いるこの建物も他の神達に引けをとらない大きさだここに集合だって聞いたんだけどな入口に入り中に進もうとすると「お待ちください、本日はどの様なご用件で?」ストップがかかり「俺と不鎖で説明を聞いてくるここに居ろよ」あたしは子供扱いされたさっきの気にしてくれているんだとわかっていたので、ここは甘えておこう振り向き様に大きなお腹に当たるボヨンと飛ばされてしまいすっころぶと「ぶんどこを見て歩いて居る!お前何でここに居る?」忘れもしないそのお顔は宝玉ママのオトンだ「あの時は大変お世話になって」イヤミたらしく述べると「えーーい何時まで憶えて居る何度も謝ったじゃろ!」「ソウデシタッケー」そんなやり取りを繰り返していると「ところで御前はどうしてこんな所に居るハハーンさてはお主」気づかれたかまあアタシも有名に「新米の八百万の神かほーれ何の神になった?」勘違いしているのはいいとして相も変わらずこういう態度か「わかっておるわかっておるお主も神としての格を上げたくこの宝石王こと玉神を頼って来たそうじゃろう」すがすがしい自意識過剰もとい自信家なんだね。すると宝石王の手荷物を持たされた「普段ならワシ自らではなく、傾に面倒を見させるところじゃが少し所用でまあなんだあの時の礼も兼ねてワシの秘書を体験させてやろう」この荷物重っ何が入ってんだろう(てか八百万がアタシをこき使おーっての)怒る三角定規をほーちゃんが抑える「ん?どうしたそうだ!何と今回はあのゲンシが来るらしい」そう言えば宝玉ママがそんなこと言ってたな「ゲンシって何ですか?」すっとぼけて聞いてみる「お主公でそのようにその名を軽々しく口にするものではないゲンシとは我等神に対しての災いであり天敵会わぬなら其れが一番会っても息を潜め気配を殺し去りゆくのを待つその様な化け物なのだしかも何故だかわからんが今回ゲンシに選ばれたのがなんと人だとか全く先代ゲンシさまも今の七福神様方も何を考えて居るのやら」頭を抱える宝石王を尻目に皆はどう思うと心会議開催(アタシはさっさと正体表してこの太った宝石を串刺したいわ)ドードーと三角定規をなだめ(オイラも正体明かすべきかな狗牙たちとも合流しないと)実に常識的な意見だ(ワシは秘書やってもええと思うぞ)(なんでよ?こんな奴の秘書なんて!)(確かに腹に据えかねる面も多いが、此奴は玉神じゃ少なからずこのタイミングでここにおるということは我らの案件に参加すると仮定する狗牙の話から暫く時間がありそうだなので)「そうなんです」あたしは深刻そうな雰囲気で話し始める「宝石王様達のお力で何とか試練の方は乗り越えられたのですが、仰るとおり実のところ不安を隠せず藁にもすがる思いでこの建物に引き寄せられたしだいでしてそこに何と幸運にも宝石王様との再会これは運命きっと宝石王様のご威光にあたしが引き寄せられてしまったんだと思います。ですから何卒私めを秘書にこちらからお願いします」深々と頭を下げ一礼する自分にまあ何と心にも無いことを平然と並び口から出るのかしらねーシャーモンさんそんなあたしの肩をガッと抱きしめ「あいわかったこのこの宝石王にすべてを委ねるといいさすれば立派な神にしてみせる」さああの夕日になんて下りはなく感激している宝石王をよそに「宝石王様は今回この場所にはどうして?そのあの方と(ゲンシというと怒られそうなので)何か関係が」秘書らしく黒い鼻眼鏡を上に吊り上げ「言いたく無ければ…」と宝石王の心をノックしてみる心のドアがほんの少し空き言いにくそうに小声で話し始める「実はのワシの所に今回の招集がかかったのは急なことじゃった緊急に我等で話し合いたきことありと八百万会会長三種神自ら主催として行うこととなり急ぎ秤輝をあちらにではなくここに馳せ参じたのだ」なるほど宝石王にとってゲンシの存在は不確定要素それに加え御偉方からの直接の招集普段なら会長?ではなく自分たちの代表が集めるみたいな感じ何だろうそれで宝玉ママと孫を避難させたと「申し訳ありません勉強不足で三種神とは?」「知らぬのは無理もない我等ですら普段なら会うことはおろか存在すらしっているのはごく一部なのだから劔神、写神、勾神、この三神こそが八百万の祖と云われているその三つの種を用い三種神というのじゃ」なるほどその三種神が納得するかどうかか(三種神かオイラは初めて聞くんだな)七福神でも知らないなんて(我らが神世界の頂点に立ったのはそんなに大昔じゃないんでの遥か昔矛盾なる神がこの世界に来る前よりこの世界に存在していたのなら?我らには分からん)シャーモンさんが知らないなんて(寿老当たりは知ってんじゃない)確かに寿老人様とか福禄寿様は知ってるかも「どうした?そんなに気難しく考えんでもよい、何せ今から逢うのだから」えっ?「まあ会うというても三種神の勾神様なのだが、他の三種神様とは面識がなくての」会う?「先程の話しも勾神様からお話いただいたんじゃ」やばいよ(確かにの)「心配するな気さくなお方じゃ」そんな気さくな言葉を聞きながら宝石王はあたしのこと八百万の神だって(それだって多分黒竜の衣の神力をあんたの神力だって思ってるみたいだしね)まあこの衣自体は宝石王が持っていた正確には有能神ママが若い頃来ていた物を貰ったものだその時はこの衣自体には神力はなかったそのあと黒竜が入ることで黒竜としての神力を宝石王はあたしの神力だと思ってる。でももし勾神様がいや間違いなくあたしのこと人だって気付く(それにオイラ達のことも)そんな不安とは裏腹に扉の前にこの先に話すなら「あっあの」そんな言葉をかき消すように扉が開くえっノックはそう思っていたら「相変わらず礼儀正しく無いですね玉神」ガハハと笑いながら「勾神様との仲なので必要ないかと」やれやれともうなれている様子だ「おや、やかましい飾神共は、今は劔と写に使いとして出ていますよ」そそくさと隠れようとするあたしを見て「そちらは?」申し訳ないとあたしを抱え自分の前へ「あら、新しい伴侶かしら」和やかに笑うその表情に敵意は感じないすぐにでもバレる下手をするとこの場で戦闘とまで身構えていただけに髪飾りのなかも一安心だ落ち着いたところで「違います」はっきりとした言葉でごめんなさいだ「ワシにはまだ大事な伴侶がおりますわい」ハハハと笑い「此奴はワシの新しい秘書ですわい」その言葉に続けて「初めまして玉神様の秘書をさせていただいています」下げる頭越しにこれ以上突っ込まないで欲しかったが「八百万の神のようだけど」「そうなんですこいつ神になったはいいが身の振り方を決めかねてまあワシが面倒見ることになったわけです」なるほどと「いい衣着ているわね」「ワシの嫁の若い頃のもんでワシが神の就任にと」就任?慰謝料の間違いなのでは!そんな目線を宝石王にするあたしの頭に目線がいき「その髪飾り綺麗ね」すかさず「さすが勾神様これはですね私の娘とその……ここは」見渡す宝石王の目には無限に続くかという砂浜が続いているいるのは自分だけだ「これは!」空に向かい叫ぶ「勾様これはどういう」その時空が開く蓋を取るようにそしてその間から勾神様が和やかに覗いている「まったくおまえは昔から変わりませんね、己の有利に働くよう言葉を使い故にいいように扱われるのです」その言葉に「何かその若い神がお気に入召しませなんだかそれは若輩故どうか私めが至らぬためその者には何卒寛大なご配慮を」勾神の様子が怒りから和やかに小声で「お前のそう言うところはホントに関心するですけど」大きな声に変わり「ならばそこで暫し反省せよ」そう言い残すと目の前にある箱の蓋を閉めてしまった「さて先程続きですその衣いえ龍神の衣から感じる神力はかなりのものですね」「……」にこやかに続ける「その髪飾りの中にもちらほらと先程の黒竜に匹敵するほどの神力がひとつ、ふたつ、みーーっつですかね」唾を飲み込む、着物の袖から手を出し先程の箱へバレてるあたしをあの箱に閉じ込める気?「そしてその三つとは別に強い神力を感じる昔の其れとは違うようだけど力は感じるということは賜りの移行を行っているのね」賜りの移行まで「あなたはまさかゲンシだったのですか?」過去にあたしの前にもゲンシだったものはいたようだ。今目の前にいるこの勾神がゲンシだとしたら賜りの移行についていや待ってゲンシでなくとも神約聖書の引き継ぎの現場にさえ居れば「例えば支神でもいいんじゃない」あたしをからかっているかのような笑顔でそう呟く「それであなたはここに何をしに来られましたかあなたが夢幻フォローとやらの一件について皆で話し合いをしたい事はその髪飾りのお仲間から聞き及んでおりますしかし今回もそしてこれからも我々八百万の神は神世界が矛盾だろうと五行神だろうと七福神になったとしても何も変わらずあり続けるだけです。少なからずあたしはそう考えます」「つまりあなたは」「はい今回の一件については参加もしません」今までのように少なからず神世界のことを考えてとかじゃ無い無関心どうしよう何かが欲しいとか権力とか何かを誇示したい訳でもない「どうします箱の中身私的にはもう少しお灸を」お灸が終わるまで外で待つことにしたそこに「探したぞ」とわんわんさんと鎖ねーさんが合流今までの経緯を話す「ふーん八百万会とは聞いてたけどずいぶん後ろ向きというかまぁ八百万の神ってのはそんな感じよね」続けてわんわんさんが「で、どうする」とりあえず他の三種神にも聞いてみないとと話し、わんわんさんたちと別れると勾神の部屋から宝石王が出てきたゲッソリという顔立ちでいる宝石王に「あの他の種神様にはお会いしたい件なのですが」「分かっている勾神様から伝えておくそうだ」宝石王が箱で反省させられていたときにあたしは勾神様に他の三種神にも意見を聞きたいとはなしておいたのだ。勾神としては全員が納得し参加しないその形が一番いいと考える無論これはあくまで勾神としての意見だなので今回の招集者であるあたしがそれぞれの三種神から個別に聞いてもらう方が良いと考えたようだ。次の種神様の部屋に到着宝石王がノックしようとすると「あいておる」宝石王がドアを空けるとすぐさま宝石王の顔の横の壁に昔ながらの銅剣が突き刺さる音がする感覚からすれすれなのが分かる「これは何のまねか!」と尋ねるその声が室内を鳴り響く中は暗く一寸先も見えぬ闇だが鳴り響いた声の反響から室内はひろくその声がひと段落したのを見計らってか「ふん今日はやたらと多いの、当てる気なら当てて居る」勾神とは違い低い声の印象はがっちりとした鎧のような筋肉モンゴルあたりの外国力士そんな風に感じた。灯りがつくのかとも思ったが「つけては鍛錬にならん」と一喝されこのままで話すようだ。あのと、こちらから話す前にビューだのぶんぶんと鋭い武器?がそこらかしこを飛んでいるそんな中を静かな足音だけが響くその足音は決して急いではおらず最低限度の行動でこなしている(無論鍛錬故実戦とは違うが良くここまで)シャーモンさんも感心していた。「話なら聞いて居るワシは彼奴とは違い参加したいと思っている」いきなりの返答だ何故というと「己の鍛錬のため!!」とまぁありきたりというか自分本位っと言うか暗闇でただ黙々と鍛錬するその姿からは策略というものが感じられなかった。返答?参加?何のことだと宝石王に聞かれ「勾神様から宝石王に他の三種神のご意見を聞いてくるよう承っております」と受け応えると「何故ワシに直接」と少しふて腐れ気味だったが「反省中でしたので」となだめ「勾神様は我等八百万の神は如何なるものが頂に居ろうとも変わらぬと仰られています劔神様はそうはお考えにならないのですか」別に意見するつもりはないあたしとしては宝石ちゃんとその子供の事を考えても鎖ねーさんが言ったようにこの神世界のこと一部の神が決めるのではなく少なからずその場に居合わせるそのことが後々のしこりをなくす結果に繋がると思うから、そんなあたしの問いにぶんぶんとなる音の向こう側から「遥か昔この神世界には八百万の神と五行神と呼ばれるこの世界の基礎となる神がいた……だが」ぶんぶんと鳴る音を掻き消すように大きな音と共に「彼奴が現れた」彼奴?其れを聞くなり心会議室が静まり返る。暗闇の中の声は続く「どこから来たのかは分からんが、ただひとつ彼奴は強かった……そして見る見る間に、ワシも戦いを挑んだ三種神の中でも力には幾分かの自負もあっただが(頭をぶつけるような音がする)我等や五行の一撃は彼奴に届くこと全て防がれる、彼奴の一撃は放たれた時には既に我等も五行も満身創痍な姿と成り果てる」足跡が声と共に暗闇から現れる。その姿は思い描いたものとは違い思った以上に小柄でキズを負っているそのどれもが剔るような深いもので今もはっきり残るほどだ「ワシは今一度彼奴と……いやそれはもう詮無きことか」宝石王の顔を眺め目を細めるしばらくして両目を閉じ回れ右をしてまた暗闇へ「勾神の意見も最もだろう、だか」暗闇に飲まれて行きながらも「そういった事なかれ主義が彼奴のような者の降臨を許したのも一つの答えだ。故にワシは今回の件に関わらず八百万の神として戦うその一歩としての今回の話し合いじゃとワシは思う」彼奴か多分、勾神様や劔神様それぞれの答えはその″彼奴″ってのと戦って得た答えなんだと思う、片方は戦わないもう片方は戦う同じ傷を味会っても出す答えはこうも違うんだ無口になった心会議の面々も何か知ってるのかも知れないけど今は考えるよりもやることをやろう。あたしは横を見上げ「とりあえず写神様を尋ねましょう」と宝石王に促しその場をあとにする「そう言えば飾姫共はおらなんだな」飾姫?それって勾神様のところで話してた心会議が沈黙なので「飾神様とは勾神様のところで話されていたかたですか」ひょっこり宝石王の正面に顔を出し尋ねてみる髭に手を当て眼を細め「まあ、昔なじみといったところか、ワシの家は知っての通り元来続く石神の一族じゃ」あたしがツーンとした口調で「あたしを替え玉にしたりですか」と頭をツンツンと顎髭にぶつけ顎が上がりながらも「えーい秘書にしてやったじゃろが、話の腰を折るな」と顎で一撃う~~顎クイならぬ顎でご~~んだ少し涙目になりながらも気にせず「勾神様他の三種神は知らぬが我が勾神様を祖に持つ神は勾神様の元へ神業を積みにいっておった、そこで出会ったのが」「飾神様だったと」静かに頷く「五月蠅き姉妹での………」顔色が見る見る悪くなる不味いことかなと、えっえっーと、そうだ!「僕神くんじゃなかったえっーと今用事で出てる」「あーあ傾のことか」あたしがそうそうと頷く。さすがに婿殿とかはいえないので「あいつなら次の写神様のところじゃろ先程あわんかったしの」そういうなり例の写神様のところについた扉を叩こうとすると扉があき中から写神様ではなく傾くんが出てきた。「写神様はいかがした?」との答えにびっくりしたように肩を震わすそして口に人差し指を立て「申し訳ありませただいま眠られておられ起こしますと機嫌が悪いらしく」その言葉に分かったとその場を離れるある程度離れたところで今回の経緯を伺う「して今回の写神様は何と?」「何ととは?」「勿論今回の夢幻フォローとやらについての意見じゃ」「はい私が写神様の元を訪れたのは少し前のこと何やら考えておられる様子其れには眠ることが不可欠らしくしばらくしてから伺う方がよろしいと思います」「そうかやはり直ぐには決めていただけないか」そんな宝石王と傾くんに「それでは今まであった勾神様、劔神様、そして写神様の意見を纏めてみましょう」然しと宝石王「肝心の写神様は」すかさず「傾様も少しは写神様のこと聞いた感じでいいので答えてください」分かったとうなずく傾くん「では今回の会に出る意思を示しているのは」「勾神様はお出になる気は無さそうだ」傾くんの表情は予想通りといった顔だ次に「劔神様ですが出ても良いとのご意見でした、勾神様は何があっても変わらぬそうです。それに比べ劔神様は関わろうとする意識が強い正反対の意見です。あたしはこう思います確かに関わらない関わるどちらにしてもあたしたちはこの神世界に居続ける者です確かに勾神様が言うように我等八百万の神の力は多いが強いとは言い切れませんそれは劔神様の話を聞いて分かりました。きっと勾神様が仰るとおり抗うこと自体に意味は無いのかも知れないでもあたしはこう思います抗わなくても同じなら抗ったって同じなんじゃないかってだから力を貸してくれませんか」その手の先にいるのは傾くんだった「な、なにをそんなこと僕にいわれても困るよ」宝石王も困った様子で「何をいっておるそんなこと此奴にいうても」「初めに可笑しいと思ったのはここに来る前です傾様だけなら分かりますが勾神様の使いである飾神様まで帰ってこぬのは納得がいかなかった数多くの神様の所在不明といきなり帰ってきた傾くんそして彼の話の中に入っているべきはずの飾神様の存在では何故傾くんは話をしなかったのか「そんなものただそう忘れていただけさ初対面だったしね」息を大きく吸い込み一声「″秤輝″」その言葉を聞き首を傾げる「何、なんかの呪文ですか?」次の瞬間傾くんめがけ宝石王の一撃が「傾、婿殿をどうーした!!」すさまじい剣幕で宝石王が襲いかかるあたしが解りやすいように説明する「呪文?そんなわけないじゃないですかどこの世界に自分の大事な大事な」宝石王は止まらない「ワシの大事な孫を忘れる訳ないじゃろーが!」スカッと宝石王の拳が空を切る宝石王の拳をかわして「なーんだもうバレちゃったつまーんないの」両腕を後ろに組むその姿それに声まで僕神くんにそっくりだが明らかに彼では無かった鼻息荒い宝石王を制ししながら「本物の傾様はどこにおられるのですか?」自らを指して「ここに居るじゃんだからあたしが」その言葉に「確かに貴方の姿は傾様のようだけど本体はここにはない」自信があるわけじゃない相手は名前の通り写す神力なんだ「だったら」いきなり躱すのは辞めて宝石王の攻撃を喰らおうと「ちょっと待って下さい」宝石王の攻撃がピタリと止まる「何故止める」その答えを出したのは今まさに一撃喰らおうかという自称僕神くんだった「確かに私は写神です」そんなことは分かってるでも肝心なのは「だったら問題ない」と拳を握り直したとき自称僕神くんの口から「この体が傾様のでない保障はないんですけどねぇ」その言葉に宝石王の拳の力が抜ける「先程の彼女の言葉にあったでしょうどの道神世界に居続ける確かにそうなんだよね他に選択肢なんてないしあたしは勾のように無関心にもなりきれずかといって劔のように戦おうって強ーい意思があるわけでもないそんな感じかしらでももし貴方があたしをふん縛れる事が出来ればそうね会の事考えていいえ賛成してあげる」そんなこと出来ないでしょうけどと飄々とするその答えからはイマドキひと言で言うならそんな感じなのかも知れないでももしイマドキな感じなら「おい!」ふと宝石王からの言葉にきずくことなくそんな感じのあたしに「何故お前が秤輝の事を知っている」そそれはと応えようとすると「今はそんなことより傾様をお救いする方が先です。おそらくあいつに体を乗っ取られているんだと思います」その言葉を聞いても「だったら~」と開き直る写神ゴニョゴニョとあたしは宝石王に耳打ちすると「出来なくはないがそのあとは?」との問いに「とにかく手はず通りに」分かったと頷く宝石王あたしは偽物?僕神くんめがけ突っ込む彼は躱しているがかなりすれすれだ体はかすれ傷だらけになっているだがおかしなことに彼はそんなことお構いなしに突っ込んでくるやっぱりあたしの中で彼女は何故ギリギリで躱すんだろう確かに彼女の体ではないと仮定して自分のじゃないからというのは理解できなくもないただだからといってあたしに彼女が致命的な打撃を与えたわけじゃない彼女の攻撃は躱せないレベルじゃない僕神くんはあの時宝玉ちゃんによって力を変質されてた八百万の神としては抜きん出る神力を手に入れたかも知れないただそれはあくまで八百万の神としての話だ彼女の鋭い攻撃も黒竜の衣とほーちゃんの神力を持ってすれば躱さずとも受け止めることすら出来るほどだ現に彼女の攻撃はあたしまで届かないそんな姿を驚いて見ているのは彼女だけじゃなく宝石王も同じだった「今です」とのあたしの声に我に返り「水晶囲い」と彼女の廻りに水晶の壁が迫り閉じ込められる「あーあ残念また遊ぼうねぇ」と呟やく彼女に「もう終わりですよ」と彼女につぶやくそして彼女は気を失う「どうしたのだ?」という宝石王に「大丈夫です」と先程の写神の部屋へ勝手にと止める宝石王を他所にドアを空けると「ね、終わってるでしょ」その場を見るとわんわんさんと鎖ねーさんによって助けられている本物の僕神くんや飾神達と鎖ねーさんの鎖で身動き取れない本物の写神様が這いつくばっていた「どーして」と顔だけが上を向きそんな彼女に合わせ膝を降り「簡単です貴女の態度は自信に満ちていたこと初めに会ったとき部屋へ入れなかったこと」「だが本当に眠っていただけだったのでは?」「確かにでもそれなら飾神達の行動です」″「手分けしてそうだ劔のところにでも行って」その答えにあたしは首を振る「彼女達は複数ですけど、先程いった劔神様のところにはおられなかった。あの時あたし達以外に劔神様に来客があった節がありましたなので」にこやかに笑いながら「先程の話憶えてますよね」分かったとばかりにそこに「捕まるとは」「やはり八百万の力だけでは」と勾神様と劔神様が現れる自分達の意思は変わることはないとして捕まった罰として八百万の神代表として写神様が会に出ることになったのである。




