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真っ白な天井を一人見つめているこの世に生まれ早12年が過ぎようとしている私の人生のほとんどがこの真っ白な視界である。
病弱なこの体なのだからと言えばそれまでだが、「私ってなんて可愛いのかしら」などと思うあたりまだまだ元気はあるようだ。ふと外から「神はあなたを見捨てません」と心にグサリと来る一言が聞き取れた。どうやら一人の神父とシスターの女の子が何やら人だかりの中心にいる「おぉー」神父が触れると車椅子の男の子がク◯ラもびっくり立ち上がったのだ。病院の前でそれやるてのはさておき私は窓から身を乗り出したその時「神約違反だな」低い声とともに去り行く鎌のような尻尾が見え屋上に消えていった胸のドキドキが止まらない病室を飛び出し気づいたら息も切れ切れ屋上にいたが鎌のような尻尾はそこにはなかっ「何か用か」ふと見上げるとそこには大きな犬のような生き物?がいた今度は別の意味でドキドキしたワクワクとも少し違う恐怖心なのかな?「しんやくって」私は目の前にいるバケモノかもしれないものにいつの間にか尋ねていた食べようとしているのかと思うように口が開く「あの神父は神と契約してるのさ」崇拝って意味じゃないようだ「気になるなら夜中にここに来てみるといい」そう言うとどこかに消えてしまった。気にならない?もちろん気になるその日の夜中黙って病室を抜け出すと屋上にだけどドアの向こうに先客がいるようだ。大きなワンワンじゃないあの神父とシスターの女の子だ「どうしたのしんぷさま」たどたどしいまだ幼さの残る女の子まさかドコカノドキュメンタリー映画的ないかがわし次の瞬間神父の後ろに禍禍しい獣のような生き物?が「早くよこせ」まあまあといった感じで神父さま「私の力は知ってるね」うんと頷く女の子「かみちゃまのおかげなんでしょ、あたしもたしゅけてくれたよ「モウイイダロハヤククワセロ」そう言いおわるまえに女の子を捕らえた「ウマイウマイウマイ」女の子が見る見る動かなくなったもういらないとばかりに放り投げる「一度堕ちるとダメだな」そう言うと女の子を尻尾でナイスキャッチしている大きなワンワンがそこにいた何だあれはと腰を抜かす神父さままぁ当然の反応「シオドキカ」そう言うと神父に絡み付く「マズイマズイマズイ」神父も動かなくなった「カミウマイカ?」そう言うと動こうとしたその時獣に複数の鎖が刺さる「遅いぞ厳師」次の瞬間大きな羽ばたきと共に大きな鳥が降り立つ「すまんな遅くなかった」間髪入れずに「あたしへのお礼は」鎖を放った女性?が鎖で突いていた「ゲンシ!」鎖により地に伏せている獣がその名を叫ぶ「お主は神約を破り人を喰らいすぎた」そう言うと黒い丸眼鏡を上げ「厳師の名において貴様を裁く」と言うと片手に本を出現させ神約聖書の名においてこの者に裁きをと言い出そうとすると咳き込み力が弱まるその瞬間、獣は鎖を引きちぎる「不鎖なにしてる」ワンワンはお怒りだ「ゴメン油断した」「儂も年かの」そんなほのぼのとは裏腹に獣は逃げ出そうとするとワンワンと不鎖で何とか動きを封じるが大きな鳥は辛そうだ鳥の腕がこちらを手招きしている???「そこの人の子、頼みがある」ばれちゃったってか神的なら分かるか、しぶしぶ鳥に近く「無理ですよ」近くなりそう言うと「こんなカヨワイ女の子に何が」言い終わる前に鳥は口を開く「悪いがわしの力を譲渡するお主しかおらん」「あたし人間だよ」「構わん何簡単じゃ」そう言うとあたしが光るそしておそろいの鼻黒眼鏡を付け「出でよ」鳥が言うと左手に本が右手に杖が現れた「儂の言葉を繰り返せ」こくりと頷く「その罪はこの神約聖書が裁く」そう言うと本があるページで止まりそこに獣が吸い込まれていった。「ありがとの」次の瞬間本も杖も砂のように消えてしまった「いいの問題だよ」不鎖はやるせない顔をした「しょうがないわい」「そんなわけで人の子お主が次のゲンシじゃやるやらんはお主に任せるが儂はお主じゃと思うておるここに明日の夜使いを送るその気があるならここに来いではの」そう言うと神父と女の子以外居なくなっていた。
屋上から下を眺める昨日の夜中のことは夢ではないと思えたのが神父さまが廃人のようになってしまったからだ車椅子を押され後をたどたどしく付いていく女の子彼女は意識を取り戻しことなくを得た「お前のせいではない」大きなワンワンが横に寝ていた。
早くない?と言うのは置いといて「私が早く出ていればって」そう言うと「それは受けるということかこっちは早くても構わんがね、ただ一度ゲンシになると後には戻れないので腹は括ったがいい」その言葉はとても重苦しく聞こえた。
いつもの白い天井何気なく見てきたこの天井ともお別れなのねもう心は決まっていたのかも知れない夜中もう帰ることのないかも知れない天井を後にした。
「いい面をしている」ワンワンはいい牙を剥き出し笑った。
「一応答えを聴こうか」息を整え「行きます」なれるかどうかは分からないでも行ってみたいと言うのが本音だ、ワンワンは小さく頷く「では捕まれ落ちないようにしっかりといこうか神界へ」こうして私の小さな一歩が始まった。