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手紙を読んで

 シンシア・グローリィからの手紙を読んだ私は、妙に納得してしまった。


 そっか……私、やっぱり死んじゃったんだ……


 あ~あ。どうせならエレインのコンサートの後に階段から落ちれば良かったなぁとか。

 そういえば冷蔵庫に入れてある、妹に食べられないように名前を書いておいたプリンはどうなるのかなぁとか。

 しおりに借りたコミックスの三巻、まだ返してないや、とか。


 そんなどーでもいい事を考えているうちに、目の前がぐにゃぐにゃになった。


「うぅ。ぐぅ。うぇぇ」


 そして変な声が口から漏れて。


 泣いているんだ、って自覚した途端、悲しみがあふれてきた。


「うわああああああああああああぁっ」


 なんで!?

 なんで私、死んじゃったの!?

 これは本当は夢で、私はまだ病院で寝てるんじゃないの!?


 だって私まだ15歳だよ。高校に入ったばっかで、これから青春するんだよ。

 親友のしおりと同じ学校に入れて同じクラスになって。一緒に彼氏作ろうね、って笑いあって。抜け駆け禁止だけど、好きな人できたー?って聞かれて、いないよ、って答えて。しおりも、真希と一緒に遊んでる方が楽しいから、まだできないなぁなんて言って。


 妹の有希は来年受験で、私と一緒のトコ入るって言ってて。そしたら一緒に高校に通おうね、って約束したのに。


 その約束、もう守れないよ……


 お父さんとお母さんも、私の事、大事に大事に育ててくれてたのに。

 一番の宝物は私と有希だって。二人が健康で笑ってるのが一番だって言ってくれてたのに。

 それなのに、死んじゃった。


 私はここにいるけど、でもあの世界の私は死んじゃったんだから同じだよ。


 もう……二度と会えない……


 私はそのまま声を上げて泣いた。





 泣いて泣いて泣いて。

 目が溶けるんじゃないかと思うほど泣いて。





 でも人間って因果なものだよね。

 どんなに悲しくっても、お腹が減っちゃうんだよ。不思議だね。

 このまま何も食べなくて、死んじゃってもいいやとか思うのにね。

 それなのに体は生きようとして、お腹減ったってグーグー鳴るんだよ。


 考え方を変えるんだ、私!

 死ぬはずだったのに、シンシア・グローリィによって、もう一度生きる事ができるようになったなんて奇跡なんだから。

 そしたらまた奇跡が起きて、元の世界に帰れるかもしれないじゃん。あっちの私は死んじゃってても、こっちの私は生きてるんだから、もしかしたら連絡が取れるかもしれないんだし。


 そうだよ。私の名前についてる真希の希は、希望の希。

 どんな時にでも希望を忘れないように、ってお父さんがつけてくれた凄い名前なんだから。


 だからいつか、きっと、って諦めない。

 そーだよ。願えば夢は叶うんだよ。


 うん。そうと決まったら腹ごしらえだ。

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