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始まりのお話

台風上陸で思いついた話です。

気軽に読んでくださいませ。

 あ、死んだ。

 やっぱり台風直撃の駅の階段で1段抜かしなんてするんじゃなかった。


 でもさ、このコンサートは絶対行きたかったんだもん。チケットをゲットする為に何度もネットで応募してさ。

 元々人気のある英国人歌手だったけど、映画の主題歌が爆発的にヒットしてから更にチケットが取り辛くなったんだよね。だけどどうしても妖精の歌声と言われる彼女の歌が聞きたくて……


 今日だって本当だったらコンサートが中止になるくらいの大雨だったけど、日本のファンの皆さんが待っていてくれるから、ってコンサートを開催する旨がSNSで流れた。


 妖精なだけじゃなくて女神だった!なんてSNSで賛美のコメントが流れて……


 だからコンサートに向かうべく、スキップして階段を登ってたんだけど。

 うん。大雨の滝のように雨水が流れてる階段で浮かれちゃダメだった。

 スルッって滑ったと思ったら。景色がスローモーションで流れた。


 聞こえてくる電車の音と、雨の音と悲鳴と。


 仰向けに落ちていく私の頭が固いものにぶつかった感触がした。


 ああ、コンサート。行きたかったな……












 どこかで、何かが鳴いている音がした。

 う~ん。これはニワトリ?コケコッコーって凄く元気な声で鳴いてる。


 あれ?でも私エレインのコンサートに行く予定だったよね。

 そうそう。それで階段から滑って落ちて……


 私はパッと目を見開いた。

 目に映るのは明るい光。外じゃなくて……ここは部屋?


 って事は、なんとか助かった……のかな。それでもって、病院に運ばれたとか。


 いやでも思いっきり階段から落ちて頭ぶつけてたけど。

 生きてるのはいいとして、体は動くのかな。


 そっと指に力を入れてみる。


 うん。両方とも動く。


 その手をそーっと目の前に持ってくる。


 足……も、動くみたい。

 首は……と思ってあたりを見回すと、病院にしてはちょっと変わった部屋が見えた。


 一見するとログハウスっぽい、木目調の室内。明るい日差しの差し込んでくる窓には白いレースのカーテンが揺れている。


 ……最近の病院はおしゃれなんだなぁ。


 頭を打ってるから慎重に起き上がってみる。

 クラクラ……は、してないみたい。それどころか包帯もしてないし、点滴もしてない。

 あれ?でも階段から落ちて無傷なんて事、あるのかな。


 その時また、窓の外からニワトリの鳴き声が聞こえてきた。

 そういえば、台風はもう行っちゃったのかな。私、どれくらい寝てたんだろう。コンサートは、終わっちゃったのかな。


 ゆっくりベッドから降りて、窓の外を見てみることにした。


 ふわりと揺れる白いレースの向こうに、真っ青な空が見える。

 ああ、お天気になったんだ、と思った私は、目に入った光景に固まった。





 ここ、どこやねん。




 はっ。驚きのあまり大阪弁になってしまったけど、生まれも育ちも横浜です。


 でもそれくらい驚いてしまった。だって病院にいるはずの私が……森の中にいるんだもの。


 2階らしき窓の正面にはうっそりと茂った木、木、木、もひとつおまけに木しか見えない。視線を落とすと、庭らしきところには花壇があって草とかお花が咲いている。何かの野菜らしきものも植えられているようだ。


 と、とりあえず……ここがどこなのか確認しないと……


 もう一つの窓から外を確認しても、そこに見えるのは緑の壁だけだった。


 ここって、森の中っぽいのかな。


 部屋の中を見回すと、可愛らしい木製のベッドと丸いテーブルと椅子とタンスがあった。タンスを開けてみると、シンプルなワンピースが何着がかかっている。新品ではないけれど、痛んだ様子もなく普通に着られそうな状態だ。その下には靴も何足か置いてあった。靴の横には籠が置いてあって、そこには下着らしき物が入っていた。


 誰か、ここに住んでる、って事よね?


 私は、そっとドアのノブを回して開いた隙間から様子をうかがった。廊下には人の気配はなく、シーンとしている。そのまま進むと、バタンと音を立ててドアが閉まった。


「ひゃっ」


 びっくりして振り返ったけど別に何もない。

 風でドアが閉まった……のかな?


 私は慎重に先を進んだ。

 私のいた部屋の隣にも部屋があるらしくドアを見つけたので、とりあえずノックしてみる。でも返事はない。


「う~ん。不在ってことかな」


 一瞬、ドアを開けて中を確認してみたいと思ったけど、家主さんが不快に思うかもしれないと考えてやめた。何が何だかよく分からないけど、とりあえず色々と説明してもらいたい事はいっぱいあるしね。私を助けてくれたっぽい見知らぬ家主さんに対して、好感度を下げたくない。


 そろりそろりと階段を降りると、そこはワンフロアの広い場所になっていた。地下に降りるらしき階段もあるけど、とりあえずそこは後にしよう。


 べ、別に暗いとこが怖いからとかじゃないからねっ。


 ワンフロアになってるとこは板張りの床で、LDKっぽい造りになっていた。座り心地のよさそうな柔らかいソファーとローテーブル。そして今はやりのアイランド型キッチンがある。カウンターにはちょっと高さのあるスツールが置いてあって、おしゃれな印象になっている。キッチンに置いてある鍋はピカピカしていて、この家の持ち主が綺麗好きな事を表していた。


 キョロキョロ見回していた私は、ローテーブルの上に手紙が置いてあるのを見つけた。


 おそらく家主さん宛の手紙だろうから、宛名から名前だけでも分からないかなと思ってひょいと見てみると、そこに書いてあった言葉にびっくりした。


 だってだって、そこには『この家で目覚めた見知らぬあなたへ』って書いてあったんだもん!



うん。まあ、アトリエ系ゲームっぽい世界のお話を書いてみたかったのです。

やったことないけど……

アトリエプロの皆さん、アドバイスプリーズ!

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