いろいろと紹介
「この世界を、捨てる…?」
俺の耳がおかしくなってなければ、目の前にいる天使は世界を捨てる、そういった筈だ。
「そうだよ。それとも、まだこんな世界に未練なんてあるのかい?」
未練、か…
正直、未練なんて無いのかしれない。このまま行けば、高校を卒業し、大学に入り、就職して、それで終わってしまう。何の面白味もない、平凡な人生を過ごすことになる。
その時、不意に本に目がいった。その本の内容は、ある日異世界に落とされた主人公の、非日常を描いているものだった。
(そうか。俺が異世界モノの本が好きなのは、此処に無い物がそこにあったからなのか)
「どうやら意見は決まったようだね」
「ああ、俺にこの世界を捨てさせてくれ」
「それじゃあ、いくよ」
『我の存在を糧に、天変地異、その方向性を定める。最高位の天使が命ずる。我等を理の異なる世界へ転送させよ』
「ディメンション・ワープ!」
天使が何かを唱えたあと、意識が吸われるように消えていった。その時に考えていた事はというと…
(あ、未練あったわ。本返してないわ)
割とどうでもいいことを考えていた。人間、本当に混乱した時はどうでもいいことを考えるのかもしれない。
「はっ!?」
なんだか長い夢を見ていた気がする。というか、本当に夢物語を体験していた気がする。
「あっ、ようやく起きた。おはよう、目覚めはどうかな?」
「中々悪いな」
「それだけ言えるなら充分元気なんじゃないかな」
この天使をみたらすっかり思い出してしまった。
「俺は本当に異世界に来てしまったのか」
「脳の整理はついたかな?そういえば、自己紹介がまだだったね。僕はフィルネル、天使の中で最高位に就いてたんだ」
どうやら本当に偉いらしいな。にしても、よく見てみると、かなり可愛い。だからか、何処か人間っぽくない。いや勿論、人じゃなくて天使なんだけど、なんだろうか。
そう、まるで、画面の中から出てきたかのような、そんな感じだ。
にしても、さっきからあのオーラ的な何かが感じられない様な…?これじゃあ精神年齢も相まってただの翼付き幼女じゃないか。
「ねぇねぇ、さっきから僕のこと馬鹿にしてない?」
「しないしない、するわけないだろ」
偉いから心が読めるんじゃなかったのか?そんなんなら気付いてもおかしくないのにな。
それより、一人称が僕だし、実は、オトコノコな可能性が…!?
「むぅ!本当に失礼だね、直継は。僕はれっきとした女性だよ。天使に男はいないからね。これ位は心が読めなくても、目を見れば簡単に分かるんだから」
おっと、流石に分かり易すぎたか。気をつけねば。まぁこんだけ可愛くて男とかは流石に無いか。
「心を読めないのか?」
「さっきからね。おかしいなぁ、こっちに来るまでは普通にできたんだけどね」
そういえば、ここはどこなんだろうか?見たところ、家の近くの教会に似ているような…?
って、見たことない像があるんだけど。なになに、一枚翼の堕天使?セフ○ロスかよ。
「なぁ、ここは何処なんだ?」
「んー、教えてもいいけど、まず自己紹介が先だよ」
「あー、ってそういえば俺の名前呼んでたじゃん」
「むぅ、これは形が大事なの!」
「あー分かったから、俺は天野直継、17歳、高校生……以上だ」
「もう少し何かないのかい?つまらないね、直継」
そんなこと言われても、自分でも何も出てこなかったんだ、仕方ないじゃないか。
「そうそう、ここは何処だ、だったかな?ここは、人間と亜人が互いを滅ぼそうと戦争をしている世界。如何にもファンタジーって感じで、魔法とかもあるよ」
おいおい、ファンタジーで滅ぼすとかするなよ。内容が内容だったら、ホラー物じゃないか。
「そもそもなんで戦争なんてしてんだ?」
「そんなの決まってるじゃないか。何時でも人間というのは愚かな生き物なのだよ」
「何だ、質問したらケンカ売りにくるのか?」
「直継には判らないのかい?人間の卑しき性を」
「……あぁ、そういうことか」
人間というものは、必ずと言っていい程、自分より下を見つけ、優越感に浸ろうとする。また、自分たちとは違うものを、極端に嫌う。
そんな中で、亜人たちを醜い、などと罵って、同じ立場に立つ事を許さなかった、という感じか。
「まぁ、判ってくれるならそれでいいと思うよ」
「……そんなことがあったのか」
中々この天使も苦労しているようだな。それにしても、随分とこの世界、物騒じゃないか?
そこでふと、気になったので聞いてみた。
「なぁ、ここってやっぱり人間側の領域なのか?」
「あ、あはは…」
……随分と嫌な予感がしてきた。
堕天使なんて飾ってある時点でダークサイド確定じゃないか!堕天使なんて飾るなよ。教会なのに、教会なのに!
「なっ、何故こんな所にまで人間が!?貴様、何が目的だ!天翼族の嬢ちゃんに何をしている!」
ほらな、当たったよ。人間、嫌な予感程当たり易いものは無いんだよ!
終わり方だけは考えてありますが、それまでの過程が全くの白紙です、、、
見切り発射もいい加減にしてほしいですね。
……なんとか続けますのでご容赦ください。




