冒険の幕開け・後編
遂に戦闘表現が入ります。
あれぇおかしいなぁ、こんなに遅くなるとおもってなかったのに…
「そうだな、嬢ちゃんなら魔法の適性が高そうだし、こっちの店なんかがお勧めだぞ」
現在、俺達の装備や道具など揃える為に、斡旋所内の店に入っている。その斡旋所内の店は、色々な売り物があり、その種類によって区切られていた。
それらの様子は、まるで日本の大型ショッピングモールみたいな感じといえば分かるかと思う。
「僕かい?僕なら、確かに魔法は使えたよ。でも今は、はぁ…」
どうやら、堕天使になってから魔法がまるで使えなくなったらしい。何故かは分からないが。
「まぁまぁ、それはこれからに期待ってことでいいだろ。そうだな…これなんかどうだ?このローブ、嬢ちゃんにぴったりだぞ」
「本当だね、僕にぴったりだ。どうだい直継、似合うかい?」
ライゴが差し出したローブは、膝に届きそうな位の丈で、フードが付いているタイプの物の様だ。うん、確かにぴったりだな。
「ああ、似合っているんじゃないか?」
「よし決めた、僕はこれにするよ」
「そうか、お眼鏡にかなって良かったぜ」
にしても、そんなに簡単に決めても良かったのか?まぁ、本人は嬉しそうにしているからいいか。
「会計は銀判45枚になります」
「ああ、分かった」
…何だろう、ケチる訳ではないが、布製品でこんなに高くなるものか?俺の小手と脚装備の合計より高いぞ。
「なぁ、やっぱ…」
「高くないぞ。防御力は高いし、魔力上昇が付いてるしな」
どうやらやはり性能は良いそうだ。でもどうやって調べてるんだろうか。まぁ、その内分かるだろう。
「それじゃあ、後は道具類を買っておくか。その次に、俺のギルドに行くぞ」
ということで、手早く道具類を買い、ライゴのギルドとやらに行くことにした。
「どうだ、ここが俺のギルドだ。かっこいいだろ?」
見ると、斡旋所を一回りくらい小さくした感じの建物だった。そして、なんか横に一軒家らしき物が3軒くらい見えた。何なんだ、あれ?
「なぁ、ギルドメンバーは全員で何人だ?」
「あぁ、100人は居るんじゃないか?」
それなら納得する…かもしれない。というか自分のギルドなんだから、人数くらい憶えとけっての!
「さて、お目当ての物はこの中だ、ついてきな」
「え、これかよ」
ライゴがさっき見た一軒家の内の一つに迷いなく入り込んでいく。え、これって全部倉庫なの、家じゃ無いの?
「変わった倉庫だな」
「ま、まぁな」
なんだこいつ、今反応がおかしかったぞ。
「変わってるね、家が倉庫なんて。僕には信じ難いよ」
「やっぱばれたか…常識が無い小僧達なら騙せると思ったんだがな」
「馬鹿にしてるのか?誰が見てもここは家だろう」
いくら常識が無かったとしても、家くらい分かるだろう。俺は原始人かっての。
「最初はな、住んでたんだよ。だが、溢れた物を次々と突っ込んでたらな、こうなっちまったんだよ」
と、バツの悪そうな顔で言っているが、唯のゴミ屋敷と一緒じゃないか。こいつに、整理整頓は無理だな。
「で、こんだけ汚い中、お目当ての物は見つかるのか?」
「ちょっと待ってろ…ほらあった!これは嬢ちゃんの魔杖だな。ちょっと握ってみてくれ」
「なんだかしっくりくる気がするよ」
「それなら成功だな。それは中々良い奴だからな、長く使えると思うぞ」
「わかったよ、ありがとう」
「良いってことよ。あと、ほらよ。これが小僧用の剣だ、握ってみろ」
と言われたので、握ってみた。渡された剣は両刃で、全体的に黒く、刃の部分だけが白く光っている。グリップの部分は皮で覆われており、しっかりと手に馴染む。
ただ、一つだけ問題があった。
「この剣、重いな」
「最初はそんなもんだ。戦っていく内に慣れるさ」
え、重さって慣れるもんなの?まあいい、振り廻せない程の重さでも無いしな。
「さ、これで準備は整った。あとは実践あるのみだ。俺についてきな」
「え、何処に行くんだ?」
「ああ、さっき実はな、小僧達の為に依頼を取ってきておいたんだ。内容は、行ってからの楽しみだ」
ということで、ついて行く羽目になった。
依頼『スライム発生』ランクE
レイナス付近の湖の畔にて、スライムが発生した。後に害とならない様に、これを討伐してほしい。
報酬…スライム5匹につき銅判2枚
「うわっ気持ち悪っ」
それが俺の第一印象だった。こいつら、ド○クエみたいな形をしてる訳じゃない。粘液の塊の様なものが蠢いているだけだ。可愛げなんてあったもんじゃない。
「おいおい小僧、こんなんで音を上げてちゃ、最強の冒険者に慣れねぇぜ」
誰が最強になりたいって言ったよ!俺は戦闘民族の王子様か!
…とはいえ、ここで音を上げてたら話にならない事は分かっている。ならば立ち向かうしかない。
剣を鞘から抜き、正中線に構える。
「落ち着け、落ち着いて対処するんだ。分かったな?」
そうだな、落ち着いて、相手をよく見るんだ。
丁度、1匹が此方に近づいてきた。よし、こいつを狙おう。
スライムがゆっくり近づく。そして、いきなり俺に向かって飛び付いてくる。
その時、体が自然に動いた。スライムの飛び付きを右に避け、剣を置いていく様にしてスライムに斬りつけた。
すると、視界に経験値入手の情報が流れた。
[EXP1入手!]
「おお、初めてでコアを一撃とな中々やるじゃないか!」
見ると、スライムが蒸発し、核らしき物が残っていた。
にしても、なんだったのだろうか?体がアシストされたかの様に綺麗に動いた。
「凄いね直継、剣を習っていたのかい?」
「いや、俺は何もやってない筈だ」
不思議な事もあったもんだ。まるで体が経験者の様に動くとは。
よし、この調子でどんどんスライムを狩っていこうか。
初めての戦闘表現で分かりにくいかもしれませんが、どうかご容赦下さい。いかんせんこれが処女作なので…