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強烈な出会い

'16/4/13

詠唱を一部変更しました。

天野 直継は、ただ祈っていた。

祈るべき対象や祈りの内容は無く、ただ祈ることだけを目的として祈っていた。

それはもう、狂っていると表現できるまでに。


昔から、直継の家の近くにはボロボロになった教会があった。天井はそもそも存在せず、壁も辛うじて建っている位のものであり、正にボロ教会だった。


小さい頃に、両親になぜそんな教会があるのか聞いてみたが、よく分からないらしい。なんでも、気づいた頃にはもうそこにあった様だった。そして、その場所が森の中にあるものだから、余計に気にする人が居なかったようだ。


(…なんて、そんなことどうでもいいか)


余談だが、インターネットで地図を調べると、何も書いてなかった。


直継は、そんな教会にお祈りをすることを習慣としている。そしてそれは、両親が交通事故で死んだ日からは極端に増えた。当時の親戚の話によると、両親が死んでから3日間の間、一歩も動かずに教会でお祈りらしき何かをしていたらしい。


今でも憶えはないが、自分でもとても恐ろしく感じる。最近は、お祈りは習慣ではなく依存なのかもしれない、と考えるようになってきた。


(…よし、そろそろ出発するか)


いくらお祈りをしたくても、流石に高校をサボる程でもなかった。

ただ、学校は自分にとって苦行そのものだった。




とりあえず学校に来て、自分のクラスに来たが、話す相手が居ないのは中々心に来るものがある。なんて言うか、いじめられている訳てはないが、疎外感に満ち溢れている感じだ。


ーーキーンコーンカーンコーンーー


「起立、礼、着席」


HR開始の挨拶と共に、直継は自分の世界に引きこもっていった。


(今日もまた、憂鬱(ゆううつ)な一日になるなぁ…)


そう思わずにはいられなかった。




__起立、礼、解散」


おっと、いつの間にやら学校が終わっていたようだ。今日はそうだな、図書室にでもい「おい天野、係の仕事、よろしくな」こう、かな……はぁ。


「……分かった」


俺の仕事じゃないだろ、という言葉が出かけたが、そんなこと言っても面倒なだけなので、仕方なく了承しておく。まったく、人の予定をぶち壊しやがって。まぁ帰宅部で暇だし後で行けばいいか。


…久し振りに声を出した気がするが、気のせいだと思いたい。自分が本当にヤバい気がしてきた。


そんなこんなで図書室に着いた。読み終わった本を返して、次に借りる本を何にしようか悩んでいた所である。

借りる本はというと、かなり偏っていた。それは、異世界を舞台とする、ファンタジー物である。


(おっ、いいの発見。後で教会で読もうっと)


掘り出し物を借りて、一先ず家に帰ることにした。




家に着いたが、勿論迎えてくれる人はいない。

親戚は直継のことを引き取ろうとした。が、いざ親戚の家に連れていくと、少し目を離した隙にふらっといなくなり、「教会にいかないと…」と譫言(うわごと)のように口にしていたようだ。


そんなこともあって、元の家に一人暮らしでいいだろう、と親戚中の意見が固まった。

ただ、家族3人で暮らしてた家は、直継にとってはとても広すぎる代物だった。


(さて、本を読みにいくか)


広すぎる家は何処か不気味で、居心地が悪かった。

そんなこともあって、暇さえあれば教会でよく過ごしていた。




(そろそろ暗くなってきたし、帰るか)


日が沈み、空が藍色に染まり出した頃、ソレは突然だった。

周りに強烈な光が照らされ、昼間より明るさのある状態になっていた。


「うわっ、何だこれはっ!?」


いきなりのことに反応できずに、光を直で浴びてしまい、暫くは何も見えなくなった。

少しずつ光量が減って行き、なんとかみていられる程度までになったが、まだ目がチカチカする。


「おっと、ごめんね。今治してあげるよ」


突然、光源の辺りから声が聞こえてきた。その声は、とても可愛らしい少女のような声だった。だからといって落ち着けるかと言われればそうでもなかった。


「だ、誰だ!どっから来た!?これはお前がやったのか!!?」


勿論、かなり取り乱すこととなった。自分が本を読んでる時に周りには誰も居なかった筈だ。


「はいはい、質問は後で答えるから、今は静かにしていてくれないかな」

『最高位の天使、其の力を回帰し、昇華し、変換させ、彼の者の暗闇を取り去ることを此処に示せ』

「アンチ・ブラインド」


少女が何かを唱えると、強烈な光で何も見えなかった筈の目が急によく見える様になった。

そして、声の主であろう少女を探すと、すぐに見つかった。

その少女と目を合わせると、急激に畏怖の念が身体中を駆け巡り、今にも頭を垂れて跪きたくなってきた。


「あ、別に跪かなくてもいいよ」

「あ、ああ」


畏怖の念を当てられてから、身体がまったく思うように動かない。


(くそっ、一体とうなってやかんだよ!?)

「一応、僕は天使の中でも一番偉いからね、纏ってる空気が違うのかもね」


(自分で偉いとか言うのかよ)

なんかこう、纏ったオーラ的なのは相当な強さだが、中身はなんかアレっぽいな。


「むぅ、確かにアレだけど、本当に偉い立場にあるんだから仕方ないじゃないか」

「っ!?心を読まれた!!?」

「そうそう、心なんて簡単に読めちゃうのだよ。2度目だけど、僕は偉いからね」

「そんなもんなのか」(偉いの関係なくね?)

「むぅっ!そんなことはどうでもいいの!」


やっぱり見掛け倒しっぽいな。中身は見た目の年相応なのかもしれない。羽とオーラさえ無ければただの美少女で、中学生位に間違われそうなもんだ。

にしても、金髪で幼女で天使って、中々オーソドックスだよな。


「君ってなかなか失礼だよね。まぁいいや、今回は君に伝えたいことがあって来たんだ」


そう言いながら、ゆっくりとこちらに向けて近づいて来た。


「つ、伝えたいこと?」


間違っても生まれてから一度たりとて天使の知り合いを作ったことはない。


「伝えたいこと、それはね…」


まだ近づく。近づいて、近づいて、ぶつかる直前で止まった。そして、直継の足を崩し、耳元に口を近づけてこう言った。


「直継、こんな所にいたら、息が詰まりそうにならないかい?だから、こんなつまらない世界、捨ててみようよ。」

先ずは皆様、数ある作品の中からこの作品を選んで頂き、ありがとうございました。

つきましては、これより完走出来るように頑張って行く所存です。

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