漆黒の悪魔機兵
侵入者を排除しようと自律的に動き出した怪物は、言うならば漆黒の悪魔機兵。
優れた強者という脅威を抹消するためだけに生み出された、リブラ隊長と同等の背丈がある人形兵器だ。
その悪魔機兵が迸らせる殺気は独特であり、同じ場所に居合わせているだけで痛みを覚えるほど刺々しく突き刺さり、更に粘度が高い液体を全身に浴びせかけられたような不快感が含まれていた。
それに伴い、本気で拒否反応すら覚えそうな気配が場を満たすせいで、息が詰まりそうになる。
「気持ち…悪い……」
全員が想い浮かべた第一印象をシャウが代弁した。
純粋なおぞましさしか感じられない未知の恐怖が空気を支配し、強い嫌悪感が生まれる。
また襲われる前から彼女達全員は自分の死を連想してしまうほど強大な脅威だと悟り、全身の身の毛がよだち、そして酷い冷や汗をかいた。
目の前に存在する敵は人造の生物兵器に過ぎないと分かっていても、きっと正真正銘の大悪魔なのだと皆が直感する。
それだけ、この世界において異物だった。
「うおおおぉぉお!筋肉魔法高速ラッシュぅううううぅう!!!」
どこか間抜けに聞こえる叫び声と共に、強烈な衝撃波が悪魔機兵に襲いかかった。
この攻撃と声はリブラ隊長が発したものだ。
彼は高速の掌底を連続で繰り出し、その際に発生する衝撃破を浴びせようと必死になっている。
一見トチ狂った行動に見えるが、攻撃として敵に当たっているのは衝突音のおかげで第三者からでも認識できた。
「ぬぉおおおおぉおぉぉぉお!鍛えぬいた我が筋肉よ!もっと、もっと躍動せよおおぉぉおぉおお!」
リブラは攻撃動作に更なる加速をかけ、衝撃破のみで周囲の空気を震わせ始めた。
だが、まるでビクともしていない。
直撃する度に悪魔機兵は体を僅かに仰け反らせているように見受けられるが、ダメージを与えているとは到底言えない。
むしろ進める脚の速度を上げて来ている有り様だ。
同時に両ガントレットから鉄をぶつけた高い音を鳴らし、鋭く禍々しいカギ爪を跳び出させてみせた。
「ひぃ!なにあれ!?」
シャウは生物を殺す事に特化した武器を見て驚く。
別にカギ爪そのものが初見というわけでは無い。
ただ悪魔機兵が振るおうとしている鋼の爪は、一本ずつの刃が大剣に匹敵するくらい非常に長大であり、まったくの別物に見えてしまったのだ。
言い代えれば、片腕から四本の大剣を出現させたようなもので、それが両腕となれば計八本の大剣ということ。
いくら巨体だと言っても、これでは馬鹿げた過剰装備にしか思えない。
また、アカネはこれまでの戦闘経験から大量にして大型の武器など扱い切れるわけが無いと判断し、閃光の刃を放つために道具を振るった。
「見た目は大層だけれども、愚かしいわね」
侮蔑する言葉と共に複数の閃光が放たれ、悪魔機兵を撃ち抜こうとする。
しかし、次に聞く音は肉を抉り抜く残酷なものでは無く、勢いよく鋼鉄を打ち弾いた甲高い音だ。
その素晴らしい響きは閃光がカギ爪に当たったことを知らせるものだが、何もアカネは敵の武器破壊を狙ったわけではない。
信じられない事に、相手は超高速でカギ爪を振るうことで全ての攻撃を弾き逸らしてみせたのだ。
「………ありえないわ…」
異常な出来事に戸惑い、ついアカネは悠長に呟いてしまう。
何が起きたのか視認したはずなのに、理解が追い付かない。
閃光を正面から防ぐ芸当をしてみせたのはタナトスと魔王幹部のみ。
まして初撃から完璧に見切ったという要素を加えたら、今まで誰も実現させたことは無く、彼女にとって初めての経験だ。
つまり悪魔機兵は最低限でも魔王幹部に匹敵する能力を持ち、昔のタナトスと同等以上の技量を持ち合わせていることになるはず。
だからこそ、そのようなレベルの敵だと認識して彼女達は身構えるべきだったが、もう既に手遅れだ。
悪魔機兵が接近しきる前に戦闘態勢を取ろうとするが、その頃には敵は力強い一歩を踏み出し、同時に突風が抜けていった。
「やっ………!!?」
本格的な生命の危機を察知し、シャウが何か言おうとした時には血しぶきがあがっていた。
血しぶきの発生源は、すぐに全員が知る。
同行していた断獄者の胸元が、悪魔機兵によって容赦なく貫かれたのだ。
一応断獄者は抵抗する素振りを見せていたが、たとえ万全な状態だとしても対抗は不可能だ。
「あぁ…!こんな、こんなこと…!」
「う゛、が……ぁ゛っ……ぶ…!…ぅ…………ば…」
巨大な刃が貫通した時点で上半身は千切れかけており、ほとんどの内臓器官が正常に機能できなくなってしまう。
肺と気管は自身の血で溺れて息ができない。
心臓は大部分を失い鼓動できない。
激痛だとか機能不全だとか、もはやまだ生きている事すら自覚は難しく、彼の意識と思考が一方的に奪われていく。
せいぜい許されているのは全身の痙攣と、避けられない死を朧気ながらに味わう数瞬のみ。
あとは恐怖から解放されることが唯一の救いであって、間もなく断獄者が絶命する事は出血量と見た目の惨状で分かった。
だが非常に残念なことに、次の瞬間にはもう一つのカギ爪が彼の肉体へ侵入し、悪魔機兵が両腕を振り抜いたせいで十個以上の肉塊へ変貌させられていた。
「…ひぃ……!」
湧き上がる負の感情を必死に理性で抑制しようとも、反射的に抱いてしまう戸惑いと恐怖。
シャウ達は死亡という現象に慣れきっているわけでは無いが、これまでの過酷な経験から生物の生き死に耐性がある方だと言っていい。
それでも激しく動揺してしまうくらいに残酷で無慈悲、何より猟奇的過ぎる光景だ。
ただ一人だけ、自己を優先しやすい感受性を持つカオスは次の行動へ移っていて、漆黒のオーラと黒炎を全身に纏わせていた。
「近いならこっちのものですよ!ドッロドロにしてあげます!」
彼女が纏う黒炎は、発砲された銃弾が当たる前に溶かし尽くすほど強力だ。
よって、カオスからしたら巨大なカギ爪は恐れるに値せず、そのまま触れるだけで悪魔機兵に致命傷を与えられると考えた。
そう思っての行動だったが、ここは彼女の祖国と呼ぶべき『憤怒と影の国』であり、敵に至っては優れた強者を始末するために造られた兵器だ。
ならば、強力な耐熱性が備わった装備なのは当然で、仮に戦艦の主砲が直撃しても全損しない頑丈さは誇っていた。
「ぶへっぇ!?」
この事を知らなかったカオスは悪魔機兵の裏拳をまともに受けてしまい、あっさり吹き飛ばされて近くの壁へ衝突する。
そして壁を溶かしながら倒れ込んでしまうだけで、軽く振り払われたも同然だった。
また一方で、すぐさまミズキを除く全員が改めて戦闘態勢を整え終えるが、敵の瞬発力は身構えた彼女達を完全に上回る。
「この……!!」
悪魔機兵が一歩踏み出した瞬間には、アカネとユウの二人が咄嗟に放った攻撃が弾かれるどころか、自身の負傷すら認識できない速度で深い切り傷を刻まれて意識が遠のく。
それから援護しようと、間髪無くシャウは長棒で敵の頭を打ち砕こうとする。
しかし、攻撃を当てる直前に武器はカギ爪によって破壊され、合わせて彼女の両腕に深手を与えられていた。
これらの惨状にリブラは激昂し、敵に追撃させる間を与えないよう飛び掛かった。
「おのれ!よくも国の恩人達を!」
彼は悪魔化を発揮させることで肉体に漆黒の紋様を浮かばせ、得意の肉弾戦へ持ち込んだ。
もちろん武器によるリーチ差はあるが、お互い変わらない巨漢ぶりであり、リブラは同じ体格を持つオークと殴り合った経験が豊富だ。
だから数手の攻防は起きたが、一番厄介であるカギ爪に細心の注意を払っていたせいで、敵の突発的な回し蹴りに反応が遅れてしまう。
「ぬぉ!?」
回し蹴りが当たったとき、爆発に等しい打撃音が鳴った。
その鋭く刈り取るような蹴りは厚い鋼鉄すら裂く威力があったが、リブラは悪魔化による強化と元からの頑丈さのおかげで、尻骨の一部が砕かれる程度で済む。
それは重傷に変わらず一時的な行動不能へ陥るが、今の彼であれば数分経てば完治するはずだ。
だが、それまで立つ事すら不可能なのは確かな事実であって、あっという間にミズキ以外の全員が戦闘不能になった。
「皆さん……そんな、どうして………。ひど…過ぎる……!」
ミズキは敵に隙を見せないのが精いっぱいとなってしまい、あとは呆然と立ち尽くすしかない。
まだ悪魔機兵がミズキに攻撃を加えないのは、おそらく抵抗する素振りを見せなかったからだろう。
先に向かって来る脅威を排除し、投降する意思がありそうだったら余計な危害を加えない。
この判断を自律的に下して実行するのだから、かなり理想的な機能を持った生物兵器に思える。
またカオスに次期国王と呼ばれたダークエルフの研究員は呑気に状況を観察し、独り言を口にしていた。
「大まかな調整が必要な段階だと思っていたが、見る限り想像以上の仕上がりだな。しかし、まだまだ磨く余地は残っているようだ。………ははははっ、やはり実戦は良いデータ収集になる」
どうやら悪魔機兵が出す結果にしか興味が無いらしく、シャウ達という侵入者に対して何らかの思いを抱いているようではなかった。
比べて他の研究員はまともな思考を持っているから避難していて、その場に残るは次期国王と悪魔機兵、それからシャウ達のみとなっていた。
とは言え、侵入者が発覚した今、もうすぐ地上の軍人達が何人かこの惨劇の場へ来るだろう。
そのため確実に少しずつ、彼女達は失敗と命の終わりに追い詰められつつあった。
これはきっと、またもや最悪と呼ぶに相応しい状況。
それでも真っ先にシャウは奮起するしかないと覚悟を決め、自身に治癒をかけながら体術の構えを取った。
「…ミズキちゃんは、カオスちゃんを連れて先に行って!こいつは私が…、何とか足止めするから……!!」
「シャウさん……!でも、それだと…」
もし、これから材料を入手できたとしても、それでは置き残したシャウ達を瞬間転移させられない可能性が生まれるし、まだ採取にどれくらいの時間が必要なのか不明瞭なままだ。
このまま足止めを任せて見殺しにしたら、仲間の犠牲によって自分だけが生き永らえるようなもの。
そんな事実にミズキが耐えられるわけがない。
ただ相談する時間が無いため、シャウは要点だけを掻い摘んで叫んだ。
「ここへ戻って来れそうだったら、戻ってくれれば良いだけだよ!それに先にミズキちゃんが逃げても、私達は自分で何とか脱出する!だから早く行って!」
「そ、それでも私が魔王の力を使えば、きっと…!」
「ここで使ってどうするの!?その後、無事に逃げられるだけの余力が残っているはずが無い!……それに、大丈夫!ここで敵を倒しちゃえば、ミズキちゃんの後を追うことだってできるもん!」
そう叫んでいる途中、悪魔機兵はシャウに戦闘継続する意思があると判断して襲い掛かろうとする。
しかし動き出した直後に敵の背中に細い閃光が突き刺さり、黒い血を僅かに滴らせた。
この負傷に敵は反応し、後方に存在する脅威へ向けて振り返りながらカギ爪を乱雑に振るう。
とても素早い反撃。
けれど、血まみれながらもアカネは避ける事に専念していたから、刃を紙一重で回避してみせた。
「くすくすくす…。さすがの怪物でも、隙を突かれたら痛いようね?」
彼女の挑発が通じたわけでは無いが、敵は怒るように吠えながらアカネへ追撃を加えようとする。
その直前、敵の足元にあった一部の床が不自然に大きく盛り上がり、結果的に妙な踏み方をしたせいで体勢を少し崩した。
倒れている状態のリブラが土魔法を発現させ、床下の土を強引に噴出させたのだ。
「今だ!一息にやってしまえ!」
「ユウ!合わせなさい!」
「……くっ、はい…!アカネ様!」
そこにシャウの飛び蹴りが悪魔機兵の後頭部へ打ちこまれ、同時にアカネとユウが薄れそうな意識の中で死力を振り絞って全力の閃光を放つ。
これにより敵の首はへし折れ、巨体には複数の大きな風穴ができあがった。
多大な出血と肉体の大半が損壊。
まともな生物だったら確実に絶命する致命傷だ。
しかし、悪魔という怪物はタナトスですら驚く生命力と再生能力を持っている。
それは純魔帝サタナキアの身体的特徴を彷彿させる驚異さで、より昇華され兵器として進化した悪魔機兵にも、やはりその高い再生能力は備わっていた。
敵はほんの数秒足らずで立ち上がってみせており、それどころか更に凶悪なろうとしているらしく、元々の質量を無視して筋肉の増長が見られた。
この短い猶予に一応ミズキはカオスを起こすことはできたようで、シャウが続けて大声をあげる。
「カオスちゃん、ミズキちゃんをお願い!」
「っふへ?あ……はい!このカオスちゃんにお任せあれ!」
彼女の頼む言葉だけでカオスは意図を理解し、黒炎魔法の出力を抑えるなり、ミズキの手を全力で引く。
本当ならカオスはやり返したい気持ちが強かったが、ミズキと同じく薄命である少女にとっても、秘薬の材料は必要不可欠で最優先すべきこと。
だから未だ判断に迷う彼女の手を引き、他を残して先へ向かおうとする。
次期国王の研究員はこの状況変化に気づき、自身の僕に行動を促させた。
「おい、002。対象が逃走しようとしているぞ。…命令権者からの指示を認識できないのか?」
そう言うが、まず悪魔機兵は近くに居るシャウ達を処理しようとする。
つまりミズキとカオスの獲物二体を後回しにする判断であって、まだ状況を眺めているだけの研究員はぼやいた。
「最優先順位を俺の安全に定めつつ、初めに掲げた目標を達成させる思考か。混乱の際であれば悪くないが、やはり更なる最適化が必要だな。常に最適解の行動を取れなければ、秘密兵器としての存在意義が薄い。……そして私の想定を超えたとき、難点もあるようだ」
強力無比を実現した生物兵器が多大なダメージを受けること自体、性能の高さを把握しているからこそ研究員にとって予想外だった。
そのため異常な変異が見られて、通常活動は問題無くともダメージが重なるような長時間戦闘は不得手だと知る。
そもそも、これだけ悪魔機兵に対抗できる生物が居る事すら彼には想定外であり、人が培える実力そのものに強い興味がそそられた。
ただ、こうして彼が悠長にしているのは研究欲求が刺激されているからでは無く、素人だから実戦という環境に危機感が薄いだけだった。
「相変わらずブツブツうるさいですよ!どうせなら停止命令でもして下さいね!」
本人は傍観者のつもりでも、その場に居座り続けていたら被害を受けるのは当然だろう。
カオスは次期国王の隣を通り過ぎる際、もしかしたら悪魔機兵が止まるんじゃないかと思い、渾身の右ストレートを彼の顎へ打ち込んだ。
「あひっ……!」
拳が綺麗に入り、相手は情けない悲鳴をあげて気絶する。
それでも悪魔機兵は活動停止せず、なぜか気にかけている様子も無い。
「むむ、駄目ですか。ではでは、最高責任者カードは貰っていきますねー」
更に少女は次期国王からカードキーを奪い、それを手にしてはミズキと一緒に前へ進む。
そうして悪魔機兵が再び完全回復しかける中、シャウは自分の力が通用しないと分かり、先にリブラ隊長へ駆け寄って治癒をかけていた。
「リブラ!今こそ筋肉自慢を披露して!期待しているから!」
「うむ、助かる……!」
回復した彼は立ち上がって、急ぎ悪魔機兵に立ち向かった。
見た目からして肉体の再生は終えているようだが、まだ動きは鈍い。
そのおかげでリブラの初動が勝り、彼は再び構えて攻撃に移った。
「いくぞいくぞ!我が筋肉は無敵!我が筋肉は無二!超筋肉魔法、究極高速ラッシュううううううぅううぅうおおおぉおおおおぅおおおォオォオォ!!!」
響き渡る大声を無駄に張り上げながら、リブラは最初に仕掛けた技を再度放つ。
威力そのものに大きな違いは無いかもしれないが、今度は拳を直接打ちつけるものだ。
それに衝撃波が重なるため、一撃ごとに二重のダメージが発生する。
それ以上に直接の殴打が効いているのか、悪魔機兵は勢いに押されて後退りし始めていた。
「ぬぃおおおおぉおおおおっぉおおははぉおお!!はぁはっあぁあああああぁあぁぁ!」
より叫ぶ事でリブラは無理やり自分を鼓舞し続け、じんわりと壁にまで押し込んでみせた。
しかし、一発打ち込む度に違和感を覚える。
ほんの少しずつ、僅かに相手の肉体が硬く感じるようなってきているのだ。
それどころか数十秒前までは同じ背丈だったはずなのに、今では敵の図体が一回り大きく、気づけば四肢と胴体の厚さまで増していた。
「え、これって……やばくない?絶対におかしいでしょ」
半ば呆然とシャウは呟き、アカネとユウは唖然とする。
肉体の再生を始めてから、敵の巨大化が留まることを知らない。
もう足止めするとか仕留める以前の話になっていて、既に倍近い体格になっている。
それなのにまだ大きくなり続けるのだから、アカネは冷静に距離を取りつつ言った。
「ミズキちゃんに恰好つけた手前だけれど、さすがにこれは……今の内に逃げましょう。無理だわ」
離れるのが得策になってしまうほど、勢い増して敵は巨大化していく。
それからシャウ達がミズキ達の跡を追い始める頃、悪魔機兵は地下という密閉空間のせいで自身の血肉に圧迫されて潰れながらも、その潰れた箇所から肉体が増大する連鎖を繰り返す。
やがて周辺のウイルスやら研究員まで取り込み、機材すら呑み込んで地下研究室の崩壊を招こうとしていた。
そして更に数分ほど経過したとき、外の防衛施設をあらかた破壊し尽くした氷絶帝フレーレティと時元帝クロックは、都市内で要塞の規模に匹敵する肉塊が出現していることに気づくのだった。
もちろん驚きはあったが、フレーレティが一番強く抱いた感情は感心であり、一息つきながら呟いた。
「あら、ずいぶん可愛いペットを飼っているのね。是非とも一匹欲しい所だわ」
「えぇ~?フレーレティの感性は変わっているなぁ。あれってどう見ても毛並みが悪そうなのに」
「そうかしら?案外、ちゃんと飼育すればモフモフになるかもしれないわよ。………でも、そうね。あれは誰かみたいに食欲旺盛そうだわ」
そう二体が話している間も、漆黒の大怪獣と呼ぶべき肉塊は大きくなっていき、いずれ雲に届くのも時間の問題に思えた。




