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神様! お願いしますニヤ!!  作者: 風速健二
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10.猫娘水着になる

 中間試験が終わった。美弥と翠にとっては初めての高校での試験だ。翠は試験が終わり浮かれて寮に帰って来た美弥に

「美弥、試験はどうだったの?」

 尋ねると美弥は嬉しそうに

「多分大丈夫だニャ」

 そう言って胸を張ったが制服のブラウスのボタンは弾けなかった。

「貧乳だニャン……麗華先輩みたいになりたいニャン」

 その様子を見て思わず笑ってしまった翠だが

「ねえ、そう言えば、あなた猫耳を出してなくても言葉が猫化してるじゃない。大丈夫なの?」

 そうなのだ、最近美弥の言葉は何時でも「ニャ」が付くようになっていた。

「えへへ~実はこの方が楽なのだニャン。前は翠ちゃんと話してる時やバイトの時だけだったけど、段々面倒くさくなってしまって、最近は何時も言ってるのだニャン」

「それはいいけど、学校では変に思う人も居るわよ」

「大体皆、私が猫キャラだと思って貰えたみたいニャン。だから平気だニャン。先生も何も言わないニヤン」

 そう言って歓ぶ美弥に翠は

「試験の結果が悪いと追試があるから、そうなると当分バイトは無理よ。判っているわね?」

「それは大丈夫だニャン」

 翠は、多少心配だったが、試験前にあれほど厳しく教えたのだから、良い点数ではなくても赤点だけは免れて欲しいと思うのだった。


 やがて程なく試験が採点されて帰って来た。早速翠は美弥の所に行く

「美弥、どうだった?」

 問われた美弥は各科目の試験の採点された点数が入っている一覧表を翠に見せた。清聖では試験の用紙以外にも一覧表が作成され、一年を通じて試験の結果が記入されるのだ。翠は美弥に渡された一覧表を手にして

「う~ん赤点は無いけど、見事にすれすれの低空飛行ね」

「まるで『熱いトタン屋根の上を歩く猫』だにゃん」

「それ『熱いトタン屋根の猫』でしょう。それに例え方が違わない? まあ、言いたい事は何となく判るけどね」

「判れば良いニャン」

 こうして何とか美弥は赤点を採らずに済んだのだった。


 久しぶりにバイトに行くと、清聖の二人が復帰してきたので店内は賑やかになった。大学生のサラとロロは口々に

「あ~二人が帰って来てくれて大歓迎よ! 本当に大変だったのよ」

「復帰を歓迎するニャ!」

 そう言って喜んでくれたのだった。

 出萌もやって来て

「やあ、今日来れたと言う事は試験は無事だったんだね。まずはオメデトウ! そう言えばね、何でも『縁結びコネクション』として初の会合があるそうだ。由梨香ちゃんと麗華ちゃんもやって来るそうだよ。あの二人は成績も優秀だから心配は無いだろうけどね」

 出萌が時計を見ながら言うと間もなく二人が裏口からやってきた。ちなみに麗華は由梨香の居る店でバイトを始めるそうだ。

「おまたせ~ 二人とも揃って居るわね。実はねえ、コネクションの結成を祝って、親睦を深める為に皆でプールに行かないかと思って」

 由梨香の言葉にすかさず美弥が

「親睦を深めるなら、美味しいものを食べながらの方が良いと思いますニャ」

 そう言ってプールに難色を示したので由梨香が

「あら、泳いだ後は勿論美味しいものも食べるのよ」

 そう言ったので美弥は返事に困ってしまった。そんな様子を眺めていた麗華は

「ねえ美弥ちゃん……もしかして、お・よ・げ・な・い、とか?」

「うう……実はその通りだニャン。それに元々猫は水に入るのが嫌いだニャン」

「あんた、まさしく猫なのねえ~ 関心しちゃった!」

 由梨香が笑いながら言うと翠が

「お風呂だって毎日入っているでしょう。それに浮き輪を付ければ済む話じゃない」

 そう言って何の問題も無い事を強調すると美弥は青い顔をして首を左右に振りながら

「そうじゃ無いニャン!怖いニャン! お風呂は浅いから我慢出来るニャン。でもプールは深いニャン。だから怖いニャン」

 そんな事を言っている。翠は確かに猫は水が嫌いだと思ったが、小さな頃から体を洗う習慣を身に付けさせれば、大人になってもお風呂は平気で喜んで入る猫も居ると思った。今ではネットの動画で見る事が出来る。

「じゃあ、まずはお子様プールから始めましょうか」

 麗華が強引に決めてしまった。次の日曜日に近くの温水プールに行く事になったのだ。そこは、大きな競泳プールの他に流れるプールや子供用の温水プールも備えていたのだった。

「うう……やっぱり行くのですかニャ……」

 うなだれている美弥に翠が

「それより水着持ってるの?」

「それは、一応持ってるニャ。佐賀で買ったのがあるニャ」

「ならいいけど。今夜見せてね?」

 翠は美弥の水着を見せて貰う約束をしたのだった。


 その晩、お風呂に行く前に翠は美弥の部屋に寄った。

「見せて貰いに来たわよ。どれ?」

 翠が部屋の中に入ると美弥はもう既に水着を身に付けていた。水色を基調としたワンピースで白いラインが流れるように入っていた。腰のカットが少し角度がキツイ以外は美弥によく似合っていた。

「いいじゃ無い! そのカットだと凄く脚が長く見えるわよ。美弥はスリムだから元々脚が長いのだけど、それが強調されていて結構セクシーじゃない」

 そう言って褒めると美弥も安心したのか

「ほんとだニャン? 恥ずかしく無いニャ?」

 頬を若干赤くしながら翠に訊き直す。

「大丈夫! 自信持ちなさい! 本当は水も怖いけど水着姿になるのが恥ずかしかったんでしょう?」

 翠がズバリ言うので美弥は驚いて

「どうして判ったニャン!」

 そう言うと翠は薄笑いを浮かべながら

「私は半妖怪よ。人の心に入り込んでしまうのは、お茶の子彩々よ」

 それまで翠が半妖怪だと忘れがちで、しかもどんな特技があるのか良く判らなかったが、これで由梨香が翠を是非とも「縁結びコネクション」に誘ったのか理解出来た美弥だった。

「さ、日曜はプール行って逆ナンパしようか?」

 やけに積極的になった翠に驚く美弥だった。

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