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俺Tueeee物語  作者: おおきなダディ
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戦場3


 ニタニタ笑いながら、迫り来る魔物。

 助かりたければこいつを殺すしかない。


 怖い。


 恐怖を忘れたものから死ぬ。


 そう言った人は、ついさっき死んだ。

 私をかばって。


 とにかく、立ち上がらなければならない。

 立ち上がった。

 全身から力が抜けていきそうだ。

 それでも無理やり力を入れた。

 股間が濡れているのがわかる。

 それがどうした。

 命があることに比べれば、なんのことはない。

 そう、命があることに比べれば。


 距離。まずは距離の確認だ。

 私は突き飛ばされたおかげで、それなりの距離があった。

 この鬼のような魔物はでかい。だが、この距離なら腕を振るうだけでは棍棒は届かない。

 私は、あえて相手の武器の距離ギリギリまで近づいた。

 離れていては、こいつが突進してきたとき、勢いそのままに叩き潰されてしまう。

 この距離なら、こいつが武器を振るっても届かず、突進してきたら出始めを攻撃できる。


 大振りの一撃がきた。だがわずかに届かない。

 反撃はできない。

 遠いからだ。

 リーチは、魔物の方がずっと長い。


 もう一度、魔物が棍棒を振るった。

 通過を待ってから、腕を切り裂いた。

 魔剣が刺さる。だが浅い。両断することは出来なかった。


 また距離を取る。

 怖い。怖い。怖い。

 だが、必要以上に離れてはいけない。

 この間合い。

 相手の攻撃がわずかに届かない距離。

 恐怖を味方にする間合いだ。


 腕を切り裂かれ怒った魔物は、叫び声を上げながら突進してきた。


 私は、相手の心臓めがけて剣を突き出した。


 衝突。


 ずぶり、と相手の胸に剣先が沈み、貫通する。

 剣がドクンドクン脈動する。

 魔剣【ブラッドソード】が血を吸っているのだ。


 剣を引き抜く。

 魔物の巨体が、音を立てて倒れた。


 敵はまだまだ居る。

 次の牛人。次の次の狼男、その次の動く鎧。

 囲まれないように走り続けながら、間合いを保ち、魔剣のエサにしていく。


 ああ、怖い。

 まだ死ねない。


 私はまだ、死にたくなんてない。



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