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俺Tueeee物語  作者: おおきなダディ
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11/13

冒険者ギルド

 バズを探して街を歩いている。

 正しくは冒険者に詳しい人を探しているのだが、心当たりがバズくらいしか居ないのだ。


 戦闘の勝利からか、街はどこも浮かれているようで、酒場は盛況だった。

 彼は酒場にいた。


「よう、ねえちゃん。一緒に飲むかい」

「いえ、いいわ。それより冒険者に知り合いはいないかしら」

「ふむ。冒険者ねえ。どんな用なんだい」

「ダンジョンを攻めるわ。だから、専門家の力を借りたいの」

「それなら冒険者ギルドへ行くといいだろう」

「ギルドは何処にあるの? 私、この街のことはあまり詳しくないのよ」

「表通りに看板が出ている。すぐに分かるさ」

「そう。ありがとう」

「どういたしまして。ところで、そこのべっぴんさんはねえちゃんのツレかい?」


 私の後ろにいる女神様を指さしてバズが尋ねる。


「ええ、そうよ。仲間なの」


 女神様は、声を出さずに一礼した。


「酌でもお願いしたいもんだね」

「この子は私専用だからダメ」

「そりゃ羨ましい」


 くいっくいっ、と服が引っ張られる。

 女神様が睨んでいた。


 酒場を出て、通りを歩く。


「どうしたのよイルヴァ様。機嫌悪いの?」

「勇者よ、さきほどの言い方は何ですか」

「私専用ってこと? その通りじゃないの」

「たしかに今の私は勇者に関わらないと何も出来ませんが、専用というのはどうかと思います」

「嘘は言ってない」

「嘘じゃなければ何を言ってもいいわけではありませんよ」

「案外細かい所に拘るのね、女神様は」

「私はこの世界の神です。勇者は世界の一要素にすぎません」

「じゃあ異世界から呼ばないでよ」

「それとこれとは話が別です」


 本当に、なぜ私が勇者なんだ。

 この話はいずれ突き詰めたい所だが、道端でやるような話ではない。


 冒険者ギルド、と書かれた看板が見えた。


「そういえば私、この世界の文字って読めるのね」

「書くことも出来ますよ」


 それはありがたいことだ。

 そういえば言葉も通じているし、これも女神の力なのだろうか。

 なにせ一から言語を習得しなければならないとなったら、不便どころでは済まないから。


 冒険者ギルドの門を開け、中に入る。

 カウンターとテーブル、そして、軽食を食べたり、お酒を飲んだりしている集団。

 ギルドというものは居酒屋を兼ねているものなのだろうか。


 カウンターの向こう側に立っている女の子が、私に声をかけてきた。


「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件でしょうか」


 受付だろうか。


「ダンジョンを攻略する仲間を探しているのだけれど」

「お客様、失礼致しますが、冒険者の方でしょうか?」


 すこし考えるが、これからやることを考えればそういうことになるのだろうか。


「ええ、そうよ」

「当ギルドに初めてお越しになられた冒険者の方には、ギルドへ登録をお願いしております」

「何をすればいいの?」


 何も準備などしていないのだが。


「現在、パーティなどは組まれていますか」


 女神はパーティに含まれますか?

 後ろを見て、目で確認する。

 イルヴァ様は頷いた。

 パーティに含めて良さそうだ。


「はい」

「どなたか前科などはございますか」


 イルヴァ様、前科とかありますか?

 目で確認すると、あるわけないでしょう、といわんばかりに睨まれた。


「いいえ」

「では、お名前と職業を伺ってもよろしいでしょうか」

「私は伊藤キサラギ、職業は剣士です」

「イルヴァ。神です」

「えっ?」


 いかん、頭がおかしい人だと思われたかもしれない。

 咳払いして、訂正する。


「連れのこの子は、魔法使いです」


 神ですってあんた。

 正直すぎてただの変人になっているじゃないか。


「では、レベルを測定致します」


 言うと、ギルドの職員は水晶球のような(というかそのもの)物体をカウンターに出した。


「この上に手をかざして下さい」


 その通りにする。10、と数字が浮かび上がった。


「はい、レベル10ですね。では、お連れの方もどうぞ」


 イルヴァ様もその上に手をかざす。

 神様のレベルも測れるのだろうか?

 変に高く出たり、水晶球が壊れたりして騒動が起きたら面倒だ。


 だが、予想に反して数字は10と出た。


「はい、レベル10ですね。では、冒険者カードを作りますので少々お待ちください」


 職員が水晶球を片付け、奥にひっこんでいく。


「イルヴァ様、レベル10なの?」

「水晶球を誤魔化すことくらい簡単です。数字を上書きしました」

「本当にレベル10というわけではないのね?」

「はい。そもそも私には、レベルというものはありません。手をかざしても何も出ませんでしたから、勇者のレベルを複写させてもらいました」


 そういうことには気が回るのに、職業では神とか言っちゃうのか。


 少し待っていると、奥からギルドの職員が戻ってきた。

 名前と職業、レベルと日付が記載されている。


「レベルが上がりましたら、また測定いたしますのでお気軽にどうぞ。また、職業を変えられましたら、一報をお願いします」

「職業って自己申告制なの?」

「そうです」

「じゃあ、魔法使えないのに魔法使いで申請してもいいわけ?」

「あまり悪質な冒険者は処罰されますけど、レベル10はレベル10ですからね。個人で習得したスキルに差があるのは当然ですし、そういったことはパーティを組む時に話し合って下さい」

「なるほど」


 考えてみれば同じレベル10魔法使いでも、補助が得意な者、攻撃が得意な者、それぞれだろう。

 それが、例え魔法が不得意で肉弾戦が得意であっても、それは習得したスキルの違いでしかないということか。

 じゃあ、職業って本当に自称なのね。

 それでいいのだろうか。


「それで、御依頼の方はダンジョン攻略のパーティメンバーの募集ということでよろしいでしょうか」

「ええ、いいわ」

「承りました」


 私達がカウンターでそんなやりとりをしていると、赤い鎧を着た金髪の女の子が席を立ち、近づいてきた。


「話は聞かせてもらいましたわ!」


 なんとも場違いなキラキラした目で、私に話しかけてくる。

 この子も冒険者なのだろうか。


「ええと、どなたですか?」

「わたくしはアンネローゼ・グーテンベルク。レベル7の姫騎士ですわ!」


 そう言って、冒険者カードを見せてくる。

 本当に職業欄に姫騎士と書かれている。

 姫騎士ってなんだよ。


「パーティ募集とのことですが、わたくしをあなた達の仲間に加えて頂けませんこと?」

「そのしゃべり方、作ってるでしょ」

「そんなことはどうでもよろしい! それで、どうなんですの?」


 どうしよう。

 妙にエキセントリックな奴に絡まれてしまった。


(……勇者よ、彼女を仲間にするべきです)


 イルヴァ様が頭に言葉を送ってきた。

 相談ということか。


 なぜ彼女を仲間にした方がいいと?


(見たところ、装備の質が良い。いずれも魔法がかかっていますし、金属の質もいいみたいです)


 つまりお金持ちということか。

 なんというか、俗な理由ね。


(強い装備というものは、それだけ所有者を守ってくれます。勇者に与えた剣と鎧のように)


 ま、その通りね。


「仲間になってくれるならありがたいわ。それで、あなたはパーティとか組んでいるの?」

「今はソロですわ」

「ちなみに得意なことは?」

「剣と、簡単な補助魔法が使えますわ」

「志望動機は?」

「魔物を倒すために決まっていますわ!」

「よし、採用!」


 なんかバイトの面接みたいになってきた。


 この世界の冒険者的には、あまり違いはないのかもしれない。


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