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俺Tueeee物語  作者: おおきなダディ
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1/13

目覚めたら異世界

 広く開けた地に、地平線を埋め尽くす数のヒト型が犇めいていた。

 身の丈3メートルはあろうかという巨人、矮躯の子鬼、筋骨隆々の牛人に、腕が翼になっている鳥人。

 魔物の群れだ。


 対するは、鎧に身を包んだ騎士や、ローブを着た魔法使い。法衣を着た僧侶に、幅広剣を構えた剣士。

 弓兵が弓を引き、放つ。

 それが始まりとなった。

 矢が、魔法が、怒号が飛び交う。

 戦場。


 はて、私はなぜ、こんなところに居るのだろう?


 伊藤キサラギ。

 日本人。19歳。女。


 昨日までは大学生をやっていました。

 今日から異世界の勇者にクラスチェンジしました。



 夢なら覚めて。




1


(勇者よ、目覚めなさい……)

 ある日私が寝ていると、不思議な声を聞いた。

 と思った次の瞬間、見たこともないような荒野にいた。


 何が起きたんだ?

 いったいここは何処だ。

 自分の部屋じゃないのはわかる。


 周囲にはフルフェイスの騎士姿や、皮鎧なんかの中世時代のような武装集団がいた。


(勇者よ、私の声が聞こえますか……)

 不思議な声が聞こえるが、今はそんなことを気にしている場合ではない。


 ていうか、えっ、なんで?

 私、自分の部屋で寝てたよな。

 寝間着は跡形もなく、かわりに青い胸当てと、見たこともない布で出来た服。

 腰には剣を佩いていた。

 なんだこれ。ファンタジーの夢?


 頬をつねってみる。

 ……痛い。


(勇者よ、夢ではありませんよ)


 そうか。夢じゃないのか。

 いやしかし本当にそうだろうか?

 夢じゃない、という設定の夢を私は見てるんじゃないだろうか。

 隣にいたフルフェイスの騎士に話しかけてみた。


「ねえ、これ、夢じゃないよですよね?」

「夢だとしたら、とびっきりの悪夢だな」


 フルフェイスが遠くを指さす。

 その先には、米粒くらいのヒト型がたくさんいる。


「あれが全部魔物だとは。今日が世界の終わりの、始まりとなる日かもしれん」

「魔物……?」

「まだ信じられないか。無理もない。あれだけの数の魔物を見ることがあろうとは。私もまだ、現実感がない。魔王が蘇り、封印されていた魔物が解放されたなどと」


 その口ぶりは、覚悟を伴った真剣な響きだった。

 フルフェイスが黙ったので、まだ状況がつかめなていない私は、他の人にも話しかけてみた。

 だが、反応は誰も彼も似たり寄ったりだった。


 わかったことは二つ。

 魔物がここを目指し、襲いかかってくること。

 私達は、そいつらを倒すためにいる兵士だということ。


 つまり、私はこれから、あいつらと戦わなければならないらしい。


(その通りです。かつて封じられた魔族が、今この時代に蘇ったのです。そして勇者よ、貴方の使命は、この世界を救うことなのです)


 幻聴はさっきから絶好調だ。


(異世界の勇者よ。貴方にはその魔剣【ブラッドソード】と鎧【リフレクトメイル】を授けました)


 魔剣て。

 勇者なんだから聖剣とかじゃないんですかね。

 いや自分を勇者だと認めたわけじゃないんですけど。


(その剣は魔物の血をすすることによって成長し、また、所有者を癒す効果があります。鎧は魔法を跳ね返す力があります)


 ほう。

 で、なぜ私が勇者なんですか?


(私の声が聴こえるからです)


 あなたは誰?


(この世界の神です)


 私は今、神と話していたらしい。

 神って実在したんだ。


 私の気が狂ったわけじゃないことを祈る。



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