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その8

 う~ん、最近出番が少ないというか、役立ててないというか……。

by美流九


作者より

 時間がない中書いているので、多少駄文になっているやもしれません(いつもかもしれないけど)。そこの所はいつかバシバシ改稿したいので、今回はすみませんが次回は頑張るので宜しくお願いします。


      ✚


科学ゾーン:ステーション265:内縁部:市街


「見つけたぞ!!」

「っ、ぉぉぉおおおおおおおおお!! 敏捷パラメーター全開ぃぃいいいいい!!」

「わあぉ、ちぃーちゃん早い早いぃ!!」

「さすがチーターね」

「チーター言うなぁぁあああ!! 後背中から降りろ、重いぃぃいいいいいい!!」

 俺たちは市街地をとにかく疾走していた。最初は、「いぇーい、リアルステルスゲームだぁ」という美流九のテンションに乗っかり、市街地の影という影を渡って慎重に進んでいたが、今ではそれは見る影もない。というのも、やはりどこぞステルスゲームのようにはいかないもので、ものの数分で発見されることになった。

 とはいえ流石チートならぬリベロ。敏捷度まで半端無かった。お陰で随分アンテナに近くなってきたぞ。

「ファックユー!!」

 突如禁句とともに飛来する弾丸。

「ここには禁止ワードというものがねえのか!?」

 なるほど、市街地の狭い路面でバリケード建てて撃ってくるとは、中々の考えだと思う。だが、こっちは身体能力強化まである。飛来する弾丸は、俺のひと睨みで圧倒的にスピードが落ちていた。いや、落ちたように見えるというべきか。とにかく、身体能力強化は同時に動体視力まで強化してくれているようだった。

 咄嗟に後ろに回していた右腕を前に突き出し、羽根を前方に展開して銃弾を防ぐ。だが、

「わぁー!! ちぃーちゃん落ちる落ちるぅ!!」

「ぐぶっ、首を締めるな、HPが落ちる!!」

 二人も背負っているので、腕を回せばどちらか片方は浮いてしまい、どうしても自力で俺にしがみつく必要が出てくる。俺は右利きなので、どうしても美流九に負担が出てしまうのだが――

「ちぃーちゃん、早く腕回してぇ!!」

「無理だ!! 俺が無防備になるだろ!! 頼むから降りてくれ、そして戦ってくれ!!」

「仕方がないわね」

 南嶺は仕方ないというように降りて、拳銃を構えた。続くように、美流九も背中から降りる。

「戦ってあげるわ」

 素早い動作(といっても当然システム補正が入っているが)で銃弾を装填した南嶺は構えをとってパンパンッ!! と銃声を連続させた。小さなうめき声がバリケードの奥から聞こえて、少しだけ見えていた頭がバンという音をたてて光に爆散した。

 思わず唖然とする。

「南嶺、おま……スゲエな」

「まあ、ずっと守ってもらっているし、たまにはね」

 南嶺はどうやら僅か数ミリの隙間に垣間見えた頭部に銃弾を叩き込んだらしい。流石というか、なんというか、いやとにかくこの幼馴染は黒い側面でいつも驚かされる。

「…………」

 後ろで美流九が押し黙っているが……なんだからしくない。

「……美流九? どうかしたのか?」

「……うん? なんでもないよぉ」

 美流九はいつものぶりっ子口調ではあるが、声には少し影があるような気がする。

「……もしかして、役に立てて無いことを気にしてるのか?」

「…え? そんな訳」

「隠してたって分かるわよ」

 美流九の誤魔化すような笑みに、南嶺は不敵な笑みを浮かべて言った。

「ちぃーちゃんはともかく、私はあなたと長い付き合いなのよ。それぐらい分かるわ」

「おい、最初に見抜いたのは俺だと思うんだけど」

 南嶺は俺の声を無視して続ける。

「でも、役に立ってないと思うのは勘違いだわ。だってあなたは人質から解放されるチャンスを作ったじゃないの」

「…………」

 美流九は暫く南嶺を呆然と見つめた後、「そうだね」とにぃと笑った。

 同じように俺と南嶺も微笑んだ所で、

「キルユー!!」

 禁句ワードと共に銃声が。

「あったかい雰囲気ぶち壊す言葉言うなボケ!!」

 思わず少しイラッとして羽根を大剣に変える。

「行くぞっ!!」

 掛け声と共に地面を蹴りだす。空中を飛ぶ時の要領で前方に体を前に押し出し、ブースターで急加速するようにして前方に現れた兵士達のもとに飛び込んだ。

「おわあぁっ!!」

 下手な言葉で仕掛けてきたくせにいきなりの事に対応できなのか、コイツら。

「そんな小心者には喝!!」

 焦ったようにして放たれる銃弾を掻い潜り(というか、一発としてこちらに向かって来ず)、俺はまず手前に現れる兵士のがら空きの頭部を横一閃。突如として爆散した。

 味方が殺られたことで少し冷静になったのか、バディーを組んで現れたもう片方の兵士は、素早くナイフを取り出して近接格闘の体勢に入っている。

「ナイス判断だ。でも!!」

 相手の体勢が整う前に素早く飛び込む。虚を突かれた兵士は慌てて後方へ下がるが、

「おいおい、間合いの大きさを忘れてんじゃねえよ!!」

 大剣を一気に振り回し――そして引っかかった。

 あ、と俺、兵士、南嶺、美流九が思わず呆然とする。

「……間合いの大きさを忘れていたのは俺の方だったみてえだな……」

 そりゃ狭い路地だもの。建物に引っかかる事はあるって。

「ちぃーちゃんのばかぁああああ!!」

 美流九の叫びと共に平静を取り戻した兵士が、ナイフを片手に飛び込んでくる。

 慌てて剣を手放し、後方にバックステップ。ギリギリの所をナイフが掠めて、HPがほんの1ドット削れた。

「おわっ」

 兵士は更に追撃をするためにナイフを持つ腕をつきだしてくる。反射的に俺はその伸ばされた腕の手首を掴み、そのまま勢いを受け流すようにして背負投げ。路面にもろに兵士が叩きつけられた。

「ぐおっ!!」

「ええウソぉ!!」

 俺の驚きの言葉と、兵士の呻き声が同時に発せられる。

 すかさず南嶺が拳銃で倒れた兵士の頭を穿つが、すでにその意識は別の方へ向かっていた。

「ちぃーちゃん、今のスキル!?」

「いや、俺スキルもってねえし、多分昔柔道をちょこっとかじってたからじゃないか?」

 一時期少しだけやる気を出して、柔道をしていた事がある。その影響だろう。――とはいえ、今のはまるで体に染み込んでたみたいに動けたぞ? 現実なら可能かもしれないが、ここはどうあがいてもVRゲーム。そんな事はあり得ない筈なのに――?

「ちぃーちゃん、余韻に浸ってないで早く行かないと!!」

 南嶺に催促されて、俺は心に抱いた疑問を掻き消すようにして二人のもとへと向かった。


      ✚


「随分と近くなってきたぞ!!」

「まだ油断は禁物だよ!!」

「ちぃーちゃん、右の方に!!」

 遥か遠くに見えた円塔は、もう随分目の前に見えていた。当然油断は出来ないが、敵も随分減ってきている。

「うぉおおおお!!」

 羽根を弓に変えて、次々と矢を番えて放つ。建物の上から銃撃してきた連中の急所に次々突き刺さり、光となって爆散させていった。

「……どうやら片付いたみたいだな」

 ほっと一息ついて、俺は辺りを見回した。激しい戦闘によって、閑散としていて、ひと気は全くと言ってない。

「……なんかおかしくないぃ?」

 不安げに声を出す美流九に、南嶺は頷いて同意した。

「まるで嵐の前の静けさみたいね」

「そうかあ? ただ単に諦めただけじゃねえの」

 そうは言うが、内心ではやはり不安を持っていた。戦闘機の数を見た限りじゃそんなに人数は少なくはなかったし、そもそもあのムジカの様子を鑑みるに、そんな簡単に諦めてくるとはとても思えない――

「気休めなんて言ってる場合じゃないよぉ。早く行こぉ」

 美流九の言う通りだ。人が居ないなら、この期に乗じてすたこらとここから逃げるだけだ。

「よーし、んじゃ早速アンテナに――ッ!?」

 突如大きな振動。地が、ステーションそのものが揺れているような感覚だった。

「じじじ、地震!?」

「馬鹿、美流九。ここは宇宙空間に浮いてんだぞ!! そんな事あるか!!」

「ということは――」

 南嶺の言葉が、更に大きな振動によって掻き消された。

 すると、眼前の路面が直線を引き、十センチ程沈む。

「なんだ!? 何が起きてんだ!?」

 沈んだ地面が徐々に動いていく。地面の動きに合わせて、街の建物も掻き分けるように動き出した。

「くそ、まさか――」

 俺がようやく、何が起きているのか事態を察知した時、

『さて、そろそろ悪あがきの時間も終わりです』

 ムジカの拡声器によって増幅された声と同時に、沈んだ地面が開ききり、更なる地面が地下から浮き上がる。

 そしてその地面に載せられて現れるのは、巨人のような躰に鈍色の輝き。

「そうか、コレがお前たちの”切り札”って訳か」

 これ出すために、ここら一帯には人っ子ひとり居なかったのか。それにしても、随分と大仰な事をやる。

 全身がゾクゾクした興奮に震えた。なるほど、これがこのVRゲームの醍醐味――

「なるほど、この巨大ロボットで邪魔しようって訳か。でも――」

 そんなもの用意した所で、解決方法が無いわけじゃない。

「この俺は、チート能力保持者だぜ!!」

 俺は青い羽根を巨剣に変えて、遥か高みから見下ろす巨人に向かって飛び出した――

 巨大ロボット来たわよこれ!! 段々SFらしくなってきたじゃない!!

 ……え? これVRMMOだろうって? そんなSFチックでいいのかって? これじゃたんなるFPSだって? ……そんな細かい所拘っているとこの作品読めないわよ?

by南嶺

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