「俺」と「奴」で暑苦しくも爽やかな登校時刻
季節は、春から夏へと変わっていった。
俺達の関係も、変わっていくのだろうか?
季節は初夏から夏本番へと向かう頃。
俺は汗を拭いながら、学校への坂道を登る。
「暑い……」
その呟きすらも、より暑さを増す。
ジリジリと照りつけるような太陽は、梅雨明けを告げてすぐに勢力を取り戻したようだ。
もう少し、へばっていれば良いものを。
六月下旬とは、何とも厄介な天気なのである。
それは毎年のこととは言え、考えると辛い辛い。
そんな時。
「はよー」
俺を横切る、爽やかな声。
この、暑さを蹴飛ばして行く声は。
この、胸の内をより熱くさせる声は。
「……大原」
そう、自転車と言う涼しげな風を一瞬だけ与えて過ぎ去ってしまった奴。
「ちっくしょー」
俺はニヤリと笑い、スタートダッシュを決め込んだ。
「鞄、入れてくれー!!!」
これ以上、暑くなろうが汗をかこうが。
気温も体温も、同じ気がした。
ずっと暑いまま、変わらない気がした。
「嫌だね」
奴は笑いながら、ギリギリ俺の追い付けないスピードで自転車を漕ぐ。
俺達は、ずっと走っていられるような気がした。
本日のノンフィクション、は...夏に入る前から暑い!!!(笑)