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三角定規  作者: 江角 稚
3/26

「三人」の話

やっと、三人が揃いますね。

三角定規の頂点が。


...神崎じゃないですよ(笑)

彼はチョイ役ですから^^

帰り道、俺と奴は並んで歩く。

例えデートは出来なくても、奴が傍に、隣にいるだけで良かった。




「あれ、一ノ瀬じゃん」


その声に振り返ると、そこには彼が立っていた。


「新谷!! 久し振りだね、元気にしてた?」

俺は自然と笑みをこぼしながら言った。


「久し振りって……同じクラスじゃねぇか」

彼は苦笑いをする。




そう、彼は俺達と同じクラス。

だが……。


「文理が違うと、ほとんど授業も別々だからなー」

「まぁ確かに、そうだけどさ」


俺の言葉に、彼は相槌を打って答えた。


「今は座席も遠いし」

「大丈夫だ、心配するな。次はお前の隣を引き当ててやる」

「本当? もし出来たら、凄いな」

「あぁ、だから次の席替えまで待っててくれよ」


彼は笑顔で、断言した。


「例え座席は遠くても、文化祭とか体育祭が来れば、クラス対抗だから仲間同士だな。早くイベント、来ないかなー」

「そうだな。……で?」


彼は顔を近づけ、小声で聞いて来た。


「大原と、これからゲームでもするのか?」


「いや、奴一人だよ。俺はそう言うの、からっきし駄目だからな」

俺も何故か、小声で返した。


多分、一人称の「俺」を奴に聞かれたくなかったんだと思う。

……理由は、他にもあるのかもしれないけれど。




俺と彼が話している間、奴は半歩離れて視線をグラウンドへと向けていた。

多分、話に加わる気がないのだろう。




「何だ、俺もゲームに混ぜて欲しかったのに」

「残念でした」


俺は笑って、答えた。




「皆、頑張ってるね」

話の終わった俺と彼は、奴の隣に並んでいた。


「一ノ瀬……話、終わったのか」

「ん? うん」


生返事をしながら、グラウンドを見る。

砂埃の舞う中、選手達は果敢にも前へ前へと攻める。


「やっぱりさ、格好良いなぁ。サッカーとか」




俺は半分無意識に答えていた。

それがまずかった。




「へぇ、一ノ瀬って神崎みたいなのがタイプ?」

彼は問うた。


何故、神崎なのかと言うと──俺達のクラスのサッカー部員は、神崎だけだからだろう。


「いや、そうじゃなくて。一生懸命……努力してる人って、格好良いじゃん」

「俺だって、頑張ってるよ」

「確かに。だが断る」

「何故!?」


俺は残酷にも、微笑んで答えた。


「だって、野球部は嫌いだし」




「……ごめん、聞いた俺が馬鹿だった」

彼はうなだれて、やっとのことで答えた。


「ごめん!! だけど、野球は好きにはなれないけれど、新谷のことは好きだから──」

「分かってるよ」


彼は、俺の弁明を止めた。


「それ位のことは、分かってる。ただ、」


「ただ……?」


俺は、先を促した。




「ただ、もうちょっとだけ……本当の俺を見て欲しいかな、なんて」


彼は、無意識の内に。

少しだけ、淋しそうな表情を浮かべた。




「……新谷……?」


一体、どうしたの。

聞こうとしても、いまいち勇気が出ない。




「ねぇ、──」

「一ノ瀬」


その呼び掛けに、俺は言葉を飲み込んだ。


「帰るぞ」

そう言って、奴は校門まで歩いていった。




仕方なく、俺は奴について行った。

彼のことは腑に落ちなかったとは言え、奴とは一緒に帰りたかったから。


本日のノンフィクション...グラウンドって砂埃が激しい。


他にありませんでした(笑)

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