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第1話 旅立ち




「いってきます!」


 双子の姉アンナは送り出しに並ぶ両親にむけて、弾んだ声で旅立ちの挨拶を告げる。

 顔は蒸気して、期待に満ちた表情だ。


「・・・・・・いってきます」


 反するオレは、もうどんより。というところか。

 正直出かけたくない。

 朝日はすがすがしいかもしれないが、オレの心はどしゃぶりだ。いっそ、どしゃぶりであってくれたほうが、旅立ちが遅れていいのに。そう思ってしまうほどに。


「気をつけていってくるのよ」


 母さんはオレのしけった顔が見えるだろうに、それに触れないで笑顔で送り出してくれる。

からでも止めてくれていいんだよ? 母さん・・・・・・。


「もちろんよ! ほら、ルイ! これから2人で頑張るのに、もっとしゃきっとできないの?!」


「いたっ! いきなり何するんだ」


 アンナの台詞と供に走る、背中への衝撃。

 たとえ目をつぶっていたとしても分かる。アンナの平手がオレの背中へと叩き込まれたのだ。

 彼女はすぐ手をだす。そして強引。加えて過激。

 我が姉ながら、手に負えないところは多々ある。


 はぁ。

 何でオレがこんな状況に付き合わなくてはならないのだ。


 両親が手を振って送り出してくれる姿が、ドンドン離れていくにつれて涙が出そうになる。

 オレの足取りはもちろん遅い。

 それでも進むのは、アンナに半ば引きずられているような状況だからだろうか。


 ……ああ、オレの平穏であった生活よ。というかこれからも平穏を望んだはずの地よ。今からでも戻りたい。


 なんでこうなった。

 オレは悲しい気持ちになりながら、原因となる日を振り返っていた。





  ◆◇◆◇◆◇◆





 オレ達が住んでいるところは、この世界アースガルド大陸の南端の森の中で、迷いの森と呼ばれているところ「らしい」。

 この大陸には、4つの国があり、中央にコルネリウス帝国。コルネリウス帝国を中心に東にカミュ国、西バルトロ国、南にカペル国、北にアレクサンドロフ国という名前だそうだ。種族もいろいろ、人族・獣族・妖精族・竜族・魔族・神族などエトセトラ。まあ、メインは俺達と同じ人族っていう話だけど、他の種族がいるっていうなら見てみたい気持ちは……ないな。

 まあ全部聞いた話。「らしい」ってこと。


 なぜらしいという単語がつくかというと、正直俺はこの森しか知らない。

 小さい頃からすんでいて、両親意外の誰もしらない。

 読み書きや国名や、魔法の知識や、歴史や様々な知識は全部両親からの受け売り。


 オレの両親はこんな場所に住居を構えているが昔冒険者というものだったらしい。

 口癖で、よく当時の話をオレ達に言って聞かせるのだ。


 いわく、


「オレと母さんは昔すごい冒険者だったんだぞ!」


「見てみて、このギルドカード。真っ黒でしょう?」


 まあこんなあたり。


 ギルドや冒険者がどういうものかっていうのも、両親から教えられた。

 ギルドとは国や町や村、また個人から仕事を依頼される組織の総称らしい。それを各個人・チームで依頼を請けて生活する人達を冒険者という。


 ま、この森に住んでいる限り関係ない知識だ。


 だけど、本人達はその頃の気持ちと、子供にも強くあって欲しいという気持ちがあるらしく、オレと姉であるアンナは小さい頃から両親に鍛えられた。

(あーんなことやこーんなこと)

 アンナは性格にあっていたようで、楽しんで。

 オレはもういやいやと。逃れたかったが、天然マイペースな両親にはそれは通じなく、逃亡をはかることすらままならず、拷問? のような訓練によって鍛えられた。


 そんな幼少を過ごしていたのもあり、その日のアンナの台詞はある意味予想がつくことだったのかもしれない。




 いつもと同じように訓練?を追え、夕食を食べていた時、アンナはいきなり切り出した


「私、明日から冒険者として旅をする!」


「本当か!」


「まぁ。素敵ね」


 いやまて、両親。そこは明日という台詞をつっこんだり、危ないと止めるところじゃないだろうか?


「よし、こうなったら母さんアンナが冒険者になるための準備を!」


「わかったわ。明日にでも出発できるようにしないとね!」


「ほんとにっ!? いいの?」


 アンナは物凄い勢いで両親に迫っていた。

 いや、だから、まてまて。明日? 急すぎやしないだろうか。


「父さん達そろそろ二人(・・・)でゆっくり生活をしたいと思っていたところだったんだ」


 今変な言葉が聞こえてきたのだが……二人で?

 父さんは何かたくらみがある笑顔で、母さんに至っては頬に手をあて「まぁ、お父さんったら」なんて言っている。


「父さんオレは冒険者にはならないぞ?」


 思わず聞き返した。

 なにそのお前はいかないのか的な視線は。

 暫らくの沈黙の後……。


「アンナ、ルイ頑張れよ。出来る限りの物は用意しておくからな」


「はいっ」


 アンナは嬉しそうに返事をし、俺は華麗に無視された。

 もう一度念をおしておこう。


「父さんオレはこの家にいるから」


 言った。頑張ったオレ。


「ルイったら今頃反抗期かしら……」


 母さんは表情を曇らせ本当に困った顔をしていた。


「と、とりあえずおまえ達二人は明日早いんだから寝なさい」


 父さんは慌てたように俺達にいい、『おやすみなさい』とアンナは一言挨拶をし、浮き足立って自室に戻っていった。

 オレはアンナの後に続き、とぼとぼと自室に入りすぐにベッドに横になった。



 ――翌朝、“双子”のキョウダイである俺とアンナ若干16歳、“冒険”に旅立つのであった。


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