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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十二章 オルレアンのラ・ピュセル

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12.2 左岸か右岸か(2)ジャンヌとオルレアンの私生児の対面

 ジャンヌはオルレアンについて、バビロン(紀元前の古代都市。聖書ではバベル)について知っているのと同程度しか知らなかった。


 したがって、何か誤解が生じたのだろうと推測できる。


 ジャンヌは「ソローニュ」とも「ボース」とも言わなかったのではないか?

 ジャンヌの「声」は、イングランドは「budge(動かない/譲歩しない)」と告げていた。その一言以外に、町の絵も地図も計画も見せなかったのだから、兵士たちからすれば行軍ルートの意見など与えられていないも同然だ。


 おそらくジャンヌは、(対面してすぐ)オルレアンの私生児に繰り返した内容を、ブロワ出発前に隊長と司祭たちに言ったのだろう。


「私はタルボットとイングランド軍のところへ行かなければならない」


 それに対して、司祭と隊長はざっくばらんにこう答えた。


「ジャンヌ、私たちはタルボットとイングランド軍のところへ行くつもりだよ」[926]


 オルレアンまでどのルートを経由して到着しようが、包囲を指揮するタルボットが目の前にいることに変わりない。だから、彼らは、ジャンヌにうそをついているつもりはない。


 しかし、どうやら彼らはジャンヌが言ったことを十分に理解していなかったようで、ジャンヌもまた彼らの返事の真意を理解していなかった。


 ジャンヌは今、自分が砂と川の水によって町から隔てられていることに怒りと悲しみを感じていた。


 このとき、ジャンヌは何に腹を立てていたのだろうか?

 当時ジャンヌと一緒にいた人々はその理由がわからなかったが、精神的で神秘的なものが理由だったために誤解が生じたのだろう。


 軍隊と食料をソローニュ経由で運んだことが軍事的に間違っているかどうか、ジャンヌには判断できなかったはずだ。


 ジャンヌは道を知らない。最良のルートがどれかを判断することは不可能だ。

 敵の規模も、包囲する軍の堡塁の位置も、包囲される町の防衛手段も何も知らなかった。


 ジャンヌは、川のどちら側に町があるかをようやく知ったばかりだったが、それでも不満を抱く十分な理由があると思ったようだ。ジャンヌは、迎えにきた「オルレアンの私生児」卿に近づくと、鋭い口調で問い詰めた。


「あなたがオルレアンの私生児?」

「そうです。あなたの到着を嬉しく思います」

「私を町の対岸に来させて、タルボットとイングランド軍がいる場所にまっすぐ行かなかったのは、あなたの計画なの?」

「私と、私よりも賢明な者たちが立てた計画です。最善かつ最も安全な行軍だったと確信しています」


 しかし、ジャンヌは言い返した。


「神の名において! 神の助言はあなたたちよりも優れていて賢明です。あなたは私をだまそうとして、自分自身をだましている。なぜなら、私は騎士や都市にこれまで来たことのない、より確実な助けをもたらすからです。それは天の王の助けであり、神ご自身からのものです。神は私のためだけでなく、聖ルイと聖シャルルマーニュの祈りによってオルレアンを憐れんでいます。敵が公爵(オルレアン公)の肉体とオルレアン町の両方を同時に支配することを許さないでしょう」[927]



 ジャンヌを苛立たせた本当の理由は、タルボットとイングランド軍のところに直接連れて行かなかったことだと結論づけていいだろう。


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