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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十二章 オルレアンのラ・ピュセル

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12.1 左岸か右岸か(1)行軍ルートの誤解

 4月28日木曜日の夕方、ジャンヌはオリヴェの丘から、オルレアンの町の鐘楼、サン・ポール教会とサン・ピエール・アンポン協会の塔を見分けることができた。そこから見張り番がジャンヌの接近を知らせた。


 軍隊はロワール川に向かって斜面を下り、ブーシェの埠頭で止まった。


 一方、荷馬車と家畜は川に沿ってさらに進み、2.5マイル上流にあるシェシーの対岸、イル・ドゥー・ブルドン(ミツバチ島)まで進んだ。[922] 荷降ろしはそこで行われる予定になっていた。


 見張り番から合図を受けて、「オルレアンの私生児」卿は、ティボー・ド・テルムや他の何人かの隊長をつれて、ブルゴーニュ門から町を出て、サン・ジャン・ド・ブレイでボートに乗り、輸送隊の指揮官であるジル・ド・レとアンブロワーズ・ド・ロレの両卿と協議するために川を下ってきた。[923]


(地図:PLAN D'ORLÉANS Siège de 1429)


 一方、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは自分が左岸のソローニュ側にいることにようやく気づき[924]、行軍ルートについて騙されていたと思って、悲しみと怒りに取り憑かれた。


————————————

(⚠️行軍ルートについて捕捉)

▼ジャンヌが希望した「ラ・ボース経由の右岸ルート」:ロワール川の北側。地図の左上に、オルレアンを包囲する敵の堡塁がいくつか築かれているのが見える。敵と遭遇する可能性が高い。

▼実際に行軍した「ラ・ソローニュ経由の左岸ルート」:ロワール川の南側。シャルル七世の勢力下につき安全だが、川を渡る必要がある。

————————————


 ジャンヌがラ・ソローニュを経由する左岸ルートに導かれたのは確かだ。

 しかし、それは意図的に行われたことだったのか?

 彼らは本当にジャンヌを欺くつもりだったのか?


 言い伝えによると、ジャンヌはラ・ボースを経由する右岸ルートを希望し、「ジャンヌ、ご安心ください。ラ・ボースを通ってご案内します」という返事を受け取ったといわれている。[925]


 だが、そんなことがあり得るのだろうか?

 王から護衛を任され、すでに仲間の多くに敬意を抱かれていた「聖なる乙女」を騙してこのように弄ぶだろうか?


 彼らの中には、ジャンヌを本物の聖人ではないと見なして嘲笑した者がいたのは事実だ。

 しかし、もしそのうちの誰かが、ラ・ボース経由をラ・ソローニュ経由と偽ってジャンヌをに伝えたとしても、彼女の誤解を解く者はひとりもいなかったのだろうか?


 ジャンヌの従軍司祭パスケレル修道士をはじめ、司祭や執事、そして誠実な従騎士ジャン・ドーロンが、このような不謹慎な冗談に加担するだろうか?


 すべてが、非常に不可解だ。


 よく考えてみれば、ジャンヌが「ラ・ボースを経由してオルレアンに行きたい」と明言した件が、もっとも不可解だろう。


 ブロワを出発してすぐ、ブロワ橋を渡った時点でラ・ソローニュに入ったと全く気づかないほど、ジャンヌは道に疎かった。そんな彼女が、オルレアンの位置を正確に把握し、南から入るか西から入るかをみずから選ぶ可能性はかなり低い。


 オルレアンに入る門の名前以外何も知らなかったジャンヌが、「悪意のある隊長にそそのかされて誤ったルートを選ぶように仕向けられる」というのは、まるでマザーグースのおとぎ話のようだ。


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