表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十一章 ブロワのラ・ピュセル/イングランド宛の手紙/オルレアンへ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/144

11.3 イングランド宛の手紙(2)托鉢修道士の思惑

 いくつか文言が、聖職者の手で書き加えられていることを示唆している。

 のちに、ジャンヌは「体と体を合わせて(body for body、神の身代わりとして)」と口述したことを覚えていなかったが、これはまったく重要ではない。


 ジャンヌは「私は戦争の指導者だ(I am chief in war)」と口述してないと主張した。

 他にも、自分が口述したのは「王に降伏せよ(Surrender to the King)」であって、「乙女に降伏せよ(Surrender to the Maid)」ではないと断言した。[890]


 ジャンヌの記憶は曖昧だったのかもしれない。

 ジャンヌに限らず、記憶というものは必ずしも正確ではない。


 それにもかかわらず、ジャンヌは自分が言ったことに非常に自信があるようで、「私は戦争の指導者だ」と「乙女に降伏せよ」という言葉は手紙に口述してないと二度繰り返した。


 ジャンヌと一緒にいた修道士たちが、これらの表現を使ったのかもしれない。


 放浪する托鉢修道士にとって、封建領主たちの土地をめぐる争いはそれほど重要ではない。したがって、シャルル七世の王位継承と財産相続は、彼らにとって最大の関心事ではなかった。


 彼らが、フランス王国の幸福・利益を望んでいたことは間違いない。

 だが、それ以上にキリスト教世界の幸福・利益を強く望んでいた。


 ジャンヌの従軍司祭となった修道士パスケレルや、修道士リシャール(後述する)などの托鉢修道士たちがジャンヌに従うのは、彼女を利用して教会の利益を図ろうとする期待があるからだ。


 したがって、彼ら(聖職者、特に托鉢修道士)は手紙の中で、ジャンヌを「戦争の指導者である」と宣言させた。

 さらに、「乙女に降伏せよ(略)善良な町々の鍵を明け渡せ」という文言に示されているように、王の世俗的な権力よりもジャンヌの霊的な力(spiritual power)を上位に据えるのは、彼らの思想からすればごく自然なことだろう。



 この手紙は、彼ら(聖職者)がジャンヌに抱いた希望のひとつを示している。


 彼らは、ジャンヌがフランスで使命を果たした後、ヨーロッパのキリスト教国すべての軍隊——すなわち十字軍——をジャンヌの後に背負わせて、エルサレム征服に出発することを期待していた。[891]


 ちょうどこの頃、シエナの聖ベルナルディーノの弟子で、シリアからやってきたフランシスコ会の修道士リシャールが[892]、パリで説教をしていた。

 もうすぐジャンヌに会うことになるが(第十七章で詳述)、彼は「世界の終わりが近づいている」と説き、信者たちに反キリストと戦うよう檄を飛ばしていた。[893]


 当時、ニコポリスとセメンドリアで、キリスト教徒の騎士を征服したトルコ人(オスマン帝国)がコンスタンティノープルを脅かしており、ヨーロッパ中に恐怖を広げていたことを忘れてはいけない。


 教皇、皇帝、国王たちは、異教徒に対して一致団結して戦う必要があると感じていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ