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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十一章 ブロワのラ・ピュセル/イングランド宛の手紙/オルレアンへ

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11.2 イングランド宛の手紙(1)ジャンヌの声明文

 3月、ジャンヌはポワティエの神学者の一人に、イングランドに対する短い声明文を口述筆記させた。[881]


 ジャンヌはそれを手紙にまとめて、何人かの仲間に見せた後、ブロワから使者を派遣して、サン・ローラン・デ・オルジェリルにいるイングランド陣営に送った。


 この手紙は、イングランド王ヘンリー六世と摂政ベッドフォード公、そしてソールズベリー伯の死後に包囲戦を指揮していた3人の隊長——スケールズ、サフォーク、タルボットに宛てた内容だった。


 以下は、その本文である。[882]



————————————

† ジーザス・マリア †


イングランド国王、

フランス王国の摂政を自称するベッドフォード公爵、

ベッドフォード公爵の副官を自称するサフォーク伯ウイリアム・ド・ラ・ポール、

ジョン・タルボット卿、

トマス・スケールズ卿、


天の王の御前において、正しい行いをせよ。


天の王である神によってここに遣わされた乙女に降伏せよ、

あなたがたが奪い取り、荒廃させた[884]

フランスのすべての良き町[883]の鍵を明け渡せ。


乙女は神の名において、

王家の血統を主張するためにここに来た。[885]


乙女は和平を結ぶ用意がある。[886]


もし従うならば、あなたがたが、

フランスから奪ったものをフランスに返し、

償うことで、乙女を満足させることができる。


オルレアンの街の前にいる弓兵も戦友も、

身分の高い者もそうでない者も、

神の名において、あなたがた自身の国へ立ち去れ。[887]


もし従わないならば、

乙女は驚くべき業(働き・奇跡)によって

まもなくあなたがたに襲いかかり、

大いなる災いをもたらすだろう。[888]


イングランド王よ、

もし従わないなら、私は戦争の指導者として、

フランスのどこであろうと、

私はあなたの兵士たちに出会うたびに、

彼らを無理やりにでも立ち退かせる。


もし彼らが従わないなら、

私は彼らを皆殺しにするだろう。


私は天の王である神によって、

彼らをフランス全土から一人残らず追い払うために

体と体を合わせて(神の身代わりとして)、

ここに遣わされた。


もし彼らが従うなら、私は彼らに慈悲を示す。


そして、あなたがたは、

天国の王である、祝福された聖母マリアの子である神から

フランス王国を手に入れることができるなどと

心の中であろうと考えてはならない。


なぜなら、真の後継者であるシャルル王こそが

それを手に入れるからだ。


天国の王である神がそう望んでおり、

乙女を通してシャルル王にそれを明らかにした。


王は立派な軍勢とともにパリに入城するだろう。


もしあなたがたが、

神と乙女によって成し遂げられた

これらの素晴らしい業(奇跡)を信じないのであれば、

どこにいようとも、我々は戦うことになる。


もしあなたがたが、正しい行いをしないならば、

フランスにおいて千年もの間なかったほどの騒ぎが起こるだろう。


そして、思い知るがいい。

天の王は、乙女と彼女の優秀な兵士たちに、

あなたがたがどんな戦いにおいても

打ち勝つことができないほどの偉大な力を送るだろう。


そして、最後には、天の神が

誰がより正当な権利を持っているかを

明らかにするだろう。


ベッドフォード公よ、乙女はあなたが

あなた自身に破滅をもたらさないよう祈り、懇願する。


もしあなたが、正しい行いをするならば、

あなたは彼女の軍勢に加わり、

フランス人がキリスト教国のためになされた

最も公正な行いをする場所(十字軍遠征)に行けるだろう。


もしあなたがオルレアンの町で平和を望むなら、答えよ。


もし従わなければ、

それはあなたがたにとって大きな損害となり、

まもなく災いをもたらすことを覚えておけ。


聖週間の火曜日に記す。

————————————




 ジャンヌがイングランドに宛てた手紙は、このような内容だった。


 それは新しい精神で書かれた。なぜなら、イエス・キリストの王権を宣言し、この戦いが聖戦であると表明したからである。


 この手紙は、ジャンヌ自身のインスピレーション(霊感)から生まれたのか、それとも聖職者たちの話し合いを経て口述された内容なのかを見極めるのは難しい。


 一見すると、司祭が思いつきそうなアイデアだ。

 これは旧約聖書『申命記』の教えからそのまま適用した内容である。



「ある町を攻撃しようとして、そこに近づくならば、まず、降伏を勧告しなさい。もしその町がそれを受諾し、城門を開くならば、その全住民を強制労働に服させ、あなたに仕えさせねばならない。しかし、もしも降伏せず、抗戦するならば、町を包囲しなさい。あなたの神、主はその町をあなたの手に渡されるから、あなたは男子をことごとく剣にかけて撃たねばならない。ただし、女、子供、家畜、および町にあるものはすべてあなたの分捕り品として奪い取ることができる。あなたは、あなたの神、主が与えられた敵の分捕り品を自由に用いることができる」(旧約聖書『申命記』第20章10〜14節)



 少なくとも、この機会にジャンヌが自分の気持ちを表現したことは確かだ。

 のちに、ジャンヌは次のように言っている。


「私は和平を求めたが、拒否された場合はすぐに戦う覚悟ができていた」[889]


 ジャンヌはこの手紙を口述したが、書かれた内容を読むことができなかった。

 したがって、ペンを握った書記が(ジャンヌの口述に)何か書き加えたのではないかと、疑念が浮かぶかもしれない。


(⚠️訳者の覚書…というか愚痴)


今回、手紙の翻訳がしんどすぎた…。


書かれている内容を伝えるだけなら、それほど難しくはないのですよ。


のちの異端審問で、さして重要でもなさそうな部分にジャンヌがこだわりを見せたり(宗教的な概念・思想などは説明が難しいから、翻訳では省略したいのに〜)特定の言葉を「言った/言ってない」など、こまかい語彙や文脈がしつこく追求されます。


意味を伝えるだけの翻訳ではカバーしきれない!

内容に矛盾が生じる場合は、のちほど手紙の訳文を改訂する可能性があります。

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