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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第九章 トゥールのラ・ピュセル

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9.3 ジャンヌの装備(1)甲冑と馬選び

 15世紀のトゥールは、フランス王国の主要な製造都市のひとつだった。

 住民はあらゆる種類の製造業に秀でていた。

 金、銀の絹織物を織り、金属の鎧を製造していた。ミラノ、ニュルンベルク、アウクスブルクの甲冑職人には及ばないが、鉄の鍛造と槌打ち(金属の打ち出し・加工)に長けていた。[813]


 この町で、王の命令により、熟練した甲冑職人がジャンヌのために錬鉄製の鎧一式を作った。[814]


 当時の慣習に従って、兜、4つの部分に分かれた胸当て、肩当て(エポレット)、腕当て(アームレット)、肘当て、前腕当て、小手ガントレット、腿当て(キュイス)、膝当て、すね当て、靴で構成されていた。[815]


 職人は、女性の体型を強調する考えはなかっただろう。


 しかし、この時代の甲冑は、胸元がふっくらとしていて、ウエストは細く、胴鎧コルセットの下に幅広のスカートがついている。そのほっそりとした優美さと妙にスリムな外見は、甲冑でありながら女性的な雰囲気を漂わせ、アマゾンの女王ペンテシレイアやローマのカミラのために作られたかのようだ。


 乙女ジャンヌの甲冑は、100リーブル・トゥルノワという控えめな価格から判断すると、白くて飾り気のないものだった。


 同じ甲冑職人が同時に、ジャン・ド・メスとその仲間のために作った甲冑2着は、合わせて125リーブル・トゥルノワだった。[816]



 トゥールには、腕利きの仕立て屋も兼ねている有名な服地商(draper)がいたので、そのうちのひとりがジャンヌを採寸して、絹や金糸・銀糸でできたウプランドを作った。隊長たちが胸当ての上に羽織るような、ゆったりした上着コートだ。


 見栄えを良くするために、前開きになったそのコートは、馬に騎乗する騎士の周りをひらひらと舞うように、周囲に広がるスカラップカット(ホタテ貝の形状にカット)されていなければならない。


(⚠️ウプランド(houppelande):14世紀後半〜15世紀にかけて流行した、ゆったりとしたガウンのような上着。丈は床に届くほど長く、袖は非常に大きく、ベルスリーブやファンネルスリーブと呼ばれる形をしている。なお、甲冑の上に着るチュニック状の「サーコート(Surcoat)」とは別物。ウプランドは男女兼用だが、サーコートは男物)


 ジャンヌは上質な服を愛していたが、それ以上に上質な馬を愛していた。[817]


 シャルル七世はジャンヌに王の厩舎から好きな馬を選ぶように勧めた。

 あるラテン語の詩人の言うことを信じるならば、ジャンヌは由緒ある血統だがかなり年老いた馬を選んだ。その馬は、メーヌとアンジューの総督だったピエール・ド・ボーヴォーが、かつてシャルル七世の二人の兄のうちのひとりに贈った軍馬だった。兄のひとりは13年前に、もうひとりは12年前に亡くなっていた。[818]


 この軍馬、あるいは別のもう一頭がラポーの家に運び込まれ、アランソン公爵が見に行った。


 騎士と同様に、軍馬も装備を整えなければならない。

 頭を保護するシャフラン(馬の兜)と、騎手を包み込むような幅広の鞍頭の付いた木製のサドル(鞍)が用意された。[819]


 この時代、盾は不要だった。

 打撃を防ぐことができないチェーンメイル(鎖帷子)は、何の影響も受けないプレートアーマー(板金鎧)に取って代わられ、それ以来、祝祭や式典のパレード以外では使用されなくなっていた。


 剣は、ジャンヌにとって最も重要な装備品だった。

 忠誠心と結びついた力の象徴である輝かしい剣を、ジャンヌは王室の武具職人から提供されることを拒否した。聖カタリナ自身の手からそれを受け取ると決めていたのである。


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