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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第八章 続・ポワティエのラ・ピュセル

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8.7 学者たちの結論(2)期待と希望そして欺瞞

 ようするに、学者たちの結論は、①乙女の約束にはまだ何も神聖なものは現れていないが、調査の結果、彼女は謙虚で、処女で、敬虔で、正直で、素朴で、完全に善良であることが判明したこと。そして、②乙女は「オルレアンの前で神からのしるしを与える」と約束しているので、聖霊の賜物を拒否することのないよう、オルレアンに連れて行かなければならない、ということであった。


 これらの結論は、多数の写しが作成され、王国の諸都市とキリスト教世界の諸侯に送られた。例えば、神聖ローマ皇帝ジギスムントも写しを受け取った。[792]


 もし、ポワティエの神学者たちが、好意的かつ厳粛な結論に至るまで、6週間の調査期間中に、


「彼らが準備していた驚異(ジャンヌの奇跡の伝説)を発表して、乙女の栄光を高め、フランス国民の心を勇気づける」


そういう意図があったとしたら、見事に成功したといえる。[793]



 6週間もの長期にわたる綿密な調査は、男装した少女が悪魔ではないかと疑っていたフランス人たちの深い疑念を和らげ、奇跡を期待する人々の想像力をかきたてた。

 神学者たちは、「試練の炎の中から、天上の光輪で輝きを放ちながら現れた栄光の乙女を好意的に迎えるように」とすべての人に訴えた。


 学者たちを論破したジャンヌは、まるで聖カタリナが再臨したかのようだった。[794]


 しかし、「難しい質問に賢明な答えで応じた」という話は、奇跡を渇望する大衆には物足りなかったようだ。ジャンヌは神秘的な試練を受け、奇跡としか言いようのない方法で乗り越えたのだと、大衆は想像した。


 そのため、調査から数週間後、ブルターニュとフランドルでは新たに素晴らしい奇跡の物語が語られるようになった。


 ポワティエでジャンヌが聖体拝領を受ける準備をしていたとき、司祭は「聖別されたパン」と「聖別されていないパン」を持っていき、ジャンヌに「聖別されていないパン」を渡そうとした。

 ジャンヌはそれを手に取ると、「これは救い主キリストの肉体ではなく、本物は司祭が聖布で覆って隠している中にあります」と告げた。[795]


(⚠️聖別されたパン:キリスト教の聖餐式・聖体拝領において、聖別されたパンとワインは「キリストの肉と血=生贄の供物」を表している。聖餅、聖体とも訳される)


 この話が広まった後、ジャンヌが偉大な聖人であることに疑いの余地はなくなった。


 調査が終了し、4月初旬に乙女をオルレアンに派遣する絶好の機会が訪れた。

 ジャンヌは武器と装備を整えるために、まずはトゥールに送られた。[796]



 それから66年後、ポワティエに住んでいた100歳近い老人が、「白い甲冑を身につけた乙女が馬に乗ってオルレアンへ向かう姿を見た」と若い同胞に話した。[797]


 老人はサン・テティエンヌ通りの角にある石を指差して、ジャンヌが馬に乗るときに踏み台にしていたと語った。


 実際のところ、ポワティエにいた頃のジャンヌはまだ甲冑を着ていなかった。

 しかし、ポワトゥーの人々は、その石を「乙女の馬乗りの踏石」と呼んだ。


 瑣末なことはさておき、聖女ジャンヌは、喜びに満ちた足取りでその踏石から馬に飛び乗ったに違いない。彼女が「毛皮を着たイングランド」から救済したいと切望していた、苦しみ虐げられている人々のところへ向かうために。[798]


(※)『上巻・第八章 続・ポワティエのラ・ピュセル』完結。

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