8.2 処女賛美の歴史(2)イブと聖母マリア
(※)ジャンヌ・ダルク関連の文脈につき、便宜上「Virgin」を処女と訳してますが、本来は性別に関係ない言葉なので、童貞の男性も含まれます。
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キリスト教の構造——「人類は女によって破滅し、処女によって救われる」と表現され、「すべての肉体はイブの呪いに巻き込まれている」という考え方に基づく神秘的秩序——は処女性の勝利を説き、ある教父の言葉を借りれば「肉体の中にありながら肉体のものではない」状態の崇高さにつながった。
(⚠️分かりやすく意訳すると、「肉欲に支配されていない状態の人間」を高く評価・称賛しているということ)
ニュッサの聖グレゴリオスは次のように言っている。
「処女であるからこそ、神は人と共に住むことを許される。
処女であるからこそ、人は天に向かって飛翔する翼を与えられる」
不淫(自発的な独身者・禁欲者)であることは、使徒ヨハネを十二使徒の長であるペテロ(初代ローマ教皇)よりも高い地位に引き上げる。聖母マリアの葬儀で、ペテロはヨハネに棕櫚の枝を渡して、こう言った。
「独身者(処女・童貞)こそが、聖母の棕櫚の枝を持つにふさわしい」[776]
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西方キリスト教世界全体において、聖母マリア、すなわち「最高の処女」は、12世紀以来、熱狂的な崇拝の対象だった。[777]
北フランスの壮大な大聖堂(ノートルダム大聖堂)は聖母マリアに捧げられ、被昇天の日には守護聖人の祝日を祝った。
大聖堂の中央玄関の柱には、聖母マリアとその聖なる神の子が彫刻され、聖母のユリが描かれた。
時には、罪とその贖い(贖罪)を同時に表現するために、その下にイブが描かれた。アダムの二人目の妻イブが、最初の妻リリスの罪を贖い、聖母(処女)は謙虚な女性たちの地位を高めた。
大聖堂の玄関上部のティンパヌムには、素晴らしい場面が描かれている。
(⚠️ティンパヌム(tympanums):古代建築の用語。ロマネスク・ゴシック建築で入口上部のアーチで形作られた半円形または三角形の部分)
聖母マリアがひざまずき、その傍らの花瓶には咲き誇るユリがある。
本を手にした天使が、マリアに「アヴェ(AVE)」と挨拶している。
それは「エヴァ(EVA)」という名の反転で、「エヴァの名を変える(mutans Evæ nomen)」という意味になる。
あるいは、マリアは三日月の上に足を置き、最高の天に昇っていく。「彼女は天使の聖歌隊よりも高みに上げられた(Exaltata est super choros angelorum)」
さらに、マリアはイエス・キリストから尊い冠を授かる。「彼は彼女の頭に貴重な石の冠を置いた(Posuit in capite ejus coronam de lapide pretioso)」
教会の窓に描かれた着色ガラスの宝石の中には、ダニエルが見た「人の手を使わずに山から掘り出された石」、ギデオンの羊毛、モーセの燃える柴、アロンの芽吹きの杖などとともに、永遠の処女マリアの寓話が描かれている。
賛美歌、連祷、聖歌の中で表現される、尽きることのないイメージの流れの中で、聖母マリアは神秘のバラ、象牙の塔、契約の箱、天国の門、明けの明星だった。彼女は生ける水の井戸、庭園の泉、壁に囲まれた果樹園、明るく輝く石、美徳の花、甘美なパーム、節制のミルトス、甘い香油だった。




