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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第八章 続・ポワティエのラ・ピュセル

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8.1 処女賛美の歴史(1)古代の巫女

 当時は、学識ある者から無学な者まで「処女には特別な美徳が宿る」と信じていた。

 はるか昔から受け継がれてきた信念で、その起源はキリスト教以前にさかのぼる。

 一部はガリア人とゲルマン人から、また別の一部はローマ人とギリシャ人から受け継がれてきた、太古の遺産のひとつである。


 ガリアの地には、森の白き巫女たちにまつわる神聖な美しさの記憶が今も残っている。霧深い大洋の海辺にあるサン島には、今も時々、九姉妹の影がさまよい、かつては姉妹が命令すると大嵐が吹き荒れたり鎮まったりすると言われた。


(⚠️サン島(Island of Sein):フランス北西部ブルターニュ沖にある島。イギリス海峡と大西洋間の商業航路に近いが、海流が速い上に危険な岩礁帯が広がっているため座礁しやすく、古くから海の危険を伝える「船乗りの言い伝え」が残っている)


 人種の黎明期に生まれたこれらの信念によると、予言の能力は処女だけに授けられるという。それは、(トロイアの王女で悲劇の予言者)カサンドラや、(ゲルマン人の女祭司で予言者)ウェレダから引き継がれた遺産である。


 巫女シビュラはイエス・キリストの到来を予言したと言われている。

 キリスト教において、シビュラは異邦人の中で最初にキリストの証人と見なされ、イスラエルの預言者たちの崇高な姉妹として崇拝された。賛歌『怒りの日(Dies Iræ)』はダビデ王自身と並んで、シビュラの一人について言及されている。


(⚠️怒りの日(Dies Iræ):キリスト教の終末思想のひとつで、第二バチカン公会議以降は通常のミサでは使われなくなった讃美歌。新約聖書『ヨハネの黙示録』に詳述されている。)


 彼女たちの予言の名声が、どのような《《信心深い詐欺》》(迷信)によって確立されたのかは、(ジャンヌを乙女に仕立てたと思われる)ジャン・ジェルソンやジェラール・マシェと同じく、私たちには知る由もない。


 15世紀当時の神学者たちと同様に、これらの処女・巫女たちを、彼らは「崇拝するが理解しない」諸国民に向けて、真実の言葉を語る者として利用していたと見なさなければならない。


 それが、キリスト教の古代からの伝統的なやり方だった。


 古代キリスト教の最古の教父であるユスティノス、オリゲネス、アレクサンドリアのクレメンスなどは、シビュラの神託をしばしば利用した。ラクタンティウスは異教徒たちと対峙した際に、これらの女預言者を差し向けて異教徒たちを翻弄した。


 聖ヒエロニムスは『ヴァロの言葉(ローマの百科全書)』に従い、彼女たちの存在を固く信じていた。また、聖アウグスティヌスは著書『神の国』の中で、エリトリアのシビュラを紹介し、それによれば、彼女はキリストの生涯を正確に予言したという。


 早くも13世紀には、これらの古代の処女たちは、大聖堂の中で、族長や預言者の隣に居場所を与えられた。


 しかし、彼女たちが多数描かれるようになったのは15世紀になってからで、教会の入口や聖歌隊の舞台に彫像が刻まれたり、礼拝堂の壁やステンドグラスに描かれるようになった。


 それぞれに独特の象徴シンボルがある。


 ペルシア人のシビュラはランタンを持ち、リビア人のシビュラは異邦人の暗闇を照らす松明を持つ。

 アグリッパ、ヨーロッパ、エリトリアのシビュラは剣を持って武装し、フリギア人のシビュラは復活の十字架(Paschal cross)を持ち、ヘレスポントス人(ヨーロッパとアジアの間、エーゲ海とマルマラ海を結ぶダーダネルス海峡の古称)のシビュラは開花したバラの枝を持ち、その他のシビュラは予言をあらわす「神秘の目」を模したしるしを掲げている。

 また、クマエ人のシビュラは飼い葉桶を、デルフォイ人、サモス人、ティブルト人、キンメリア人は茨の冠、葦の笏、鞭、十字架を掲げている。[775]


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